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(今回は、「HIV感染者」の
 日本における統計の話のため、
 「HIVとともに生きる人々」、などの
 当事者に配慮された表現は使いません。
 ご容赦くださいませ。)


「先進国で、HIV感染者数が増えているのは日本だけ。」

とりあえず今回は、
日本で、HIVの感染が増加しているのが本当かどうかを
確認してみたい。

日本政府の厚生労働省の中に、「エイズ動向委員会」という組織があり、
ここが、3か月ごとに、
国内のHIV感染者とエイズ患者の発生数を、モニター(監視)している。

その情報は、下記のネットで確認できる。

・・・

エイズ動向委員会報告
http://api-net.jfap.or.jp/mhw/survey/mhw_survey.htm

・・・

読むのが面倒くさい人のために、
2008年(昨年)のエイズ発生動向の概要
を簡略化すると、以下になる。


2008年は、
(その1年間の間に、新しく見つかった)
HIV感染者が、1126 件、エイズ患者が、431 件だった。

両方を合計すると、
「新規発生件数」は1557 件で、前年(2007年)より
57 件の増加をしている。


・・・

注1:
HIV感染者とエイズ患者の違いは、以下。

HIVウィルスが人に感染すると、
徐々に血液中のウィルス量が増えていき、
それにつれて、逆に、
(免疫をつかさどる、最も重要な)
血液中の「CD4リンパ球」の数が減る。

ある程度減ると、免疫力がほぼ無くなり、
結核や、ある種の癌など、
様々な病気を発症してゆく。

このような状態になった場合、
エイズ患者と言い、
そうなる前までは、
HIV感染者というのである。


注2:
CD4リンパ球とは、以下。

血液の中に、
赤血球と白血球と血小板がある。

白血球の中に、免疫反応をつかさどる、
リンパ球というものがある。

リンパ球の中で、
免疫反応を起こす上で
最も重要な役割を持つ細胞の名前を
「CD4リンパ球」というのである。

HIVウィルスはこれに感染し、
破壊してしまう。


注3:
罹患者数と有病者数についての解説

ある年(とし)の1年間に
何人(なんにん)、HIV感染者が増えたか、を、
「罹患者数」(incidence)という。

これまでに、毎年毎年、どんどん感染していって
増えていった(累積した)HIV感染者の数から、
エイズが発症し、その後死亡した人の数を引いて、
結局、
現時点で、何人の人がHIVを持っているのか、その人数を、
「有病者数」(prevalence)という。

HIV感染者が、エイズを発症するまでは
個人差が激しいのだが、
基本的に、5〜10年ぐらいかかる。

また、抗HIV薬を飲んでいれば、
ほぼ死なない。

よって、
「罹患者数」がちょっとでもある限り、
「有病者数」は、増え続ける。


以上が、基本である。


・・・

と、いうわけで、
2008年は、

罹患者数が、
HIV感染者が、1126、
エイズ患者が、  431。

どちらも、前年よりも増えている。


その後、2009年になっても、
HIV感染者およびエイズ患者は、増え続け、
2009年9月27日の時点で、日本全体で、

有病者数が、
HIV感染者が、11、316
エイズ患者数が、 5、235。

合計で、    16、551。


と、いうわけで、確かに増えていることになる。


で、
世界の現状と日本の現状には違いがある。

世界では、
罹患者数は、最近減ってきているのだが、
日本では、
罹患者数さえ、減らずに増えている、
ということである。


(参考データとしては、
 世界の「新規感染者数」(罹患者数)は、
 1996年、350万人だったが、
 2008年、270万人まで減少し、
 およそ、23%(4分の1)ぐらいまで減った。
 が、
 日本は、逆に、次のように増えている。
 1996年、 610人。
 2008年、1557人。
 と、約3倍に増えている。)

http://www.phc-japan.net/aids/aidssurvey/hiv-data1996.html 

これは、
世界最高に近い医療レベルを誇る日本としては、
かなり恥ずかしい状況である。


なお、ちなみに、
世界でも日本でも、「有病者数」は増えており、
現在、世界で、
(推計)3340万人の人が、
HIVに感染していると言われている。


・・・

あと、欧米の社会的推計学によれば、
HIV/エイズのような
人に隠したくなるような病気は、
実際に報告されている数よりも、
少なくとも10倍の人が、感染している可能性が高い、
と言われている。

なので、
日本で、約1万6千人、の報告がある、ということは、
実際は、16万人が感染している可能性があることになる。


・・・

あとは、日本のどこで増えているのか?、
であるが、
以下のデータがある。


HIV感染者、上位10位までの都道府県(人口10万対)

1.東京  3.50
2.大阪  2.12
3.沖縄  1.17
4.愛知  0.84
5.神奈川 0.74
6.京都  0.72
7.岡山  0.72
8.香川  0.70
9.石川  0.68
10.滋賀 0.64


エイズ患者、上位10位までの都道府県(人口10万対)

1.東京  0.75
2.愛知  0.64
3.大阪  0.58
4.沖縄  0.51
5.千葉  0.51
6.栃木  0.50
7.香川  0.40
8.長野  0.37
9.岡山  0.36
10.石川 0.34


・・・

また、特筆すべきこととして、
HIV感染者の数は、
一般に男性のほうが多いのだが、

唯一、女性のほうが、感染率が高い年齢層がある。

それは、
15歳から19歳までの年齢層で、
女性のほうが、69.2%で、男性の2倍以上多い。

この理由は、
よくわかりませんが、
おそらく、
10歳代における、売春、すなわち、
援助交際(援交)などが関係している可能性があるかも。

また、それを考えてみた場合、
表には出ていませんが、
10歳から14歳までの女性の統計が、
いったいどうなっているのかを推測すると、
恐ろしいものがある。

(最近、女子中学生の援交も、非常に多いので、
 それにより、女子中学生のHIV感染率の上昇も懸念されるから。)


・・・

で、ともかく、
(それが、援交であろうがなかろうが、)
最近、新しいパートナーと
性的な関係を持った場合、
基本的には、一度、HIV検査を受けたほうが良いでしょう。


「もしかしたら、自分もHIVに感染しているかも?」

と思ったら、
次のホームページに行ってみてください。


1.
HIV検査・相談マップ 
?HIV・エイズ(AIDS)・性感染症の検査・相談窓口情報サイト
http://www.hivkensa.com/

上記のURLをクリックし、
自分の住んでいる都道府県を選んで、
あとは、夜がいいとか、土日がいいとかを選んで、
「探す」というボタンをクリックするだけ、です。

あとは、
そこに登場する保健所などに電話をし、
予約が必要か不要かなどを聞いて下さい。

また、
ほとんどの場合、匿名で検査ができ、
電話番号も住所も、言う必要はありません。

あなたが生徒や学生でも、まったく問題なく、検査ができます。
(親にばれる可能性も、全然ありません。)

よって、まったくプライバシーの心配をする必要がなく
検査ができます。


2.
もちろん、上記のホームページ以外にも、
同様の情報を提供しているサイトは、いっぱいあります。

下記もかなり有名なサイトです。

API-Net(AIDS Prevention Information Network)
エイズ予防情報ネット
http://api-net.jfap.or.jp/htmls/frameset-09.html

自分の都道府県をクリックするだけで
検査をしてくれる保健所などが、多数表示されます。


・・・

と、いうわけで、みなさん、
一度、検査を受けてみましょう!



・・・
・・・

関連リンク

・・・

HIV/エイズについて知りたい場合、
次のホームページがわかりやすいです。

国立国際医療センター 戸山病院 
エイズ治療・研究開発センター
患者ノート
http://www.acc.go.jp/client/dokuhon_frame.htm


・・・

厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/

厚生労働省:世界エイズデー前後におけるエイズ検査の実施について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2005/11/h1102-3a.html

・・・

国立感染症研究所 感染症情報センター
http://idsc.nih.go.jp/sakuin/index.html#ai

idwr 感染症の話 後天性免疫不全症候群 前編
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g2/k02_39/k02_39.html

idwr 感染症の話 後天性免疫不全症候群 後編
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g2/k02_40/k02_40.html

・・・

API-Net(AIDS Prevention Information Network)
エイズ予防情報ネット
http://api-net.jfap.or.jp/

エイズ動向委員会報告
http://api-net.jfap.or.jp/mhw/survey/mhw_survey.htm


・・・


WHO: 世界保健機関

WHO World Health Organization
http://www.who.int/en/

WHO and HIV/AIDS
http://www.who.int/hiv/en/

HIV testing and counselling
http://www.who.int/hiv/topics/vct/en/

HIV/AIDS data and statistics
http://www.who.int/hiv/data/en/

2009_epidemic_update
http://data.unaids.org/pub/Report/2009/2009_epidemic_update_en.pdf

・・・

UNAIDS: 国連合同エイズ計画

UNAIDS
http://www.unaids.org/en/default.asp

HIV data
http://www.unaids.org/en/KnowledgeCentre/HIVData/default.asp

世界の状況=UNAIDS-WHO
http://api-net.jfap.or.jp/siryou/worldnow/index.htm

外務省国際機関人事センター・国連合同エイズ計画
http://www.mofa-irc.go.jp/link/kikan_info/unaids.htm

・・・

関連ブログ:

国連エイズデー、HIV世界の現状 7191字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65328372.html

エイズ第一章、HIV/AIDSの医学的側面 6,753字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51420328.html

エイズ第二章、HIV/AIDSの社会的側面 6,132字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51445550.html

エイズ第三章、HIV/AIDSの包括的対策 10,476字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51463531.html

それでも生きる子供たちへ
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65015071.html

HIV/エイズとともに生きる子どもたち ケニア 2323字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65327489.html


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書籍: 

HIV/エイズとともに生きる子どもたち ケニア (2009/11/28)
小学館
山本敏晴
(NPO法人・宇宙船地球号・代表 元・国境なき医師団・理事)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/409726401X