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一昨日、ボランティアに来て下さった一人の50歳の女性と
こんな会話をした。


・・・

N様 「先生、あたし、バックパッカーだったんです。」

山本 「えっ、あ、そう。」

N様 「一生、世界を旅してまわる方法ないかなって考えたら、
    看護師になるのが一番いいって聞いて。

    それで、
    40歳で看護学校に入って、資格をとったんです。」

山本 「へえ、そりゃまた・・(変わった経歴で)」

N様 「で、聞いたんですけど、
    JICA(国際協力機構)の「健康管理官」
    ていうのになると、月給は40万円ももらえて、
    派遣された国で、旅行しまくれるって!」

山本 「あ、それね。うん・・。名前は知ってるけど。」

N様 「先生、それに就職する方法、教えてもらえませんか?」

山本 「いや、その・・。
    たしか、ものすごい暇な仕事だったと思ったよ。

    国際協力をするわけじゃなくって、
    現地に派遣されている青年海外協力隊員なんかが、
    体調をくずした時に、
    ちょっと健康相談にのったり、とか。」

N様 「だから、いいんです。
    あたし、「なんちゃって(国際協力)」の人だから。」

山本 「!(びっくり)」

N様 「バックパッカーで世界旅行を続けるために、
    看護師になったくらいですから。」

山本 「いやあ・・。驚いたね。

    うちの団体に来る人は、
    普通、こう、もっと
    (国際協力の姿勢に関して)真面目な人が
    来ることが多いんだけど、
    ここまではっきり、そう言えるってのは、
    逆に新鮮で、
    (個人的には)面白くていいね。

    ま、いいんじゃない。
    そういうのも、生き方としては、ありだから。」

N様 「ちなみに、看護師だけじゃなくて、
    医者にも、似たようなのが、あるよ。

    各国の大使館に住んで、2年ぐらい、
    大使館の職員の健康管理をする「医官」っていう
    仕事もあるんだ。

    俺もそれ、誘われたことあるんだけど、
    あまりにも、暇そうなので、やめた。

    友達の医者が、それに行ったけど、
    することがなくて、毎日、遊び歩いてるよ。

    だから、国の金を使って、遊びつくしたい人には
    最高の職場かも。

    しかし、それらを紹介するコネは、
    俺にはないなぁ・・。

    俺は、真面目な国際協力をしたい人に、
    その「道しるべ」を紹介する事業をしてるけど、
    遊ぶほうの紹介は、していなから。」


参考リンク:

人材募集・研修 - JICA
http://www.jica.go.jp/recruit/index.html


N様 「そうですか・・」

山本 「しかし、いずれにしても、面接とか、
    いろいろ審査があると思うよ。

    あと、政府系は、コネで入ることが多いし。
    そういうのがないと、難しいかも。

    コネがなくても行けるのは・・、
    国境なき医師団、とかあるけど。」

N様 「・・・」

山本 「あそこなら、入っちゃえば、
    組織が生活費と交通費を出してくれるよ。
    家賃もただだし。」

N様 「一回、説明会にいったんです。
    でも、なんか、ちがうなぁって。」

山本 「・・ま、そうだね。
    あそこは、基本的に、
    人道的精神に燃えて、世界の人を救おうって
    人が集まるところだから、
    あなたとは、ちょっと違うかも。」

N様 「はい(小さい声)」

山本 「でも、あれだよ。
    ぶっちゃけ、
    入る時に、人道援助に燃えているふりをして、
    入って、派遣されちゃえば、
    もう、わかりゃしないってこともあるけど。

    要するに、
    入る時の面接の時に、「演技」をすれば。」

N様 「あたし、ダメだと思います。
    口がすべっちゃって。(笑)」

山本 「ふうん。
    そういう演技を続けるほどの、
    悪人にはなりきれない、ってやつですか。

    ま、人間だれしも、
    完全な善人にも、完全な悪人にもなりきれないから、
    ま、普通と言えば、普通・・。

    あとは、シニア・ボランティアは?
    けっこう、お金もらえるよ。
    昔は月給35万。今、ちょっと減ったけど。」


参考リンク:
シニア海外ボランティア JICA
40〜69歳までの青年海外協力隊のようなもの
http://www.jica.go.jp/activities/sv/sitemap/


N様 「ダメです。
    わたし、経験がそんなないんで。
    看護師になってから、数年しかないので。」

山本 「あ、そうだね。
    うーーん。
    でも一応、見てみたら。」

N様 「ダメだと思います。
    あたし、専門学校でているので、
    大学をでていないので。」

注: 
後日、山本が調べたところ、
看護師であれば、
実務経験が5年以上だけで応募できる案件が
今年はありました。
大卒などの資格も必要なし。

http://jocv-info.jica.go.jp/sv/index.php?m=List&jID=5201&n=y


山本 「じゃ、まあ、ともかく、
    その健康管理官の存在を教えてもらった人から、
    正規の方法で応募するのがいいんじゃない。
    とりあえず。」

N様 「はい。そうします。」

山本 「あとは、面接の時に、
    どうして、これに応募したのかを聞かれるから、
    自分自身のため、と、
    世界に貢献したいってことを、
    バランスよく、ちょうど半々ぐらいにいったほうが
    採用されやすいと思うけど。」

N様 「メモしなくっちゃ(笑)」

山本 「そういえば、子どもはいるの? 子育ては?」

N様 「子育ても、しました。
    息子は、今、もう大きくて、22歳ぐらいです。」

山本 「だんなさんは?」

N様 「その頃は、いました。」

山本 「ふうん。
    いやあ、自由だねえ。

    ・・・でも、よく、
    40歳から看護学校に入ろうと思ったねぇ。

    実際は、いろいろ苦労したんじゃない?」

N様 「あ、それはありました。

    看護学生の時、病院で実習をする時に、
    あたしが、一番上に見えるんです。(笑)

    (年齢的に)
    看護学生を連れている、教官に見えるみたいで、
    本当の教官から、けむたがられました。

    もうちょっと、謙虚にしないさいって(笑)」


山本 「なるほど。
    他にも、いろいろ(苦労が)ありそうだね。」


N様 「・・でも、引いたら、おしまいですから。

    そこは、がんばらないと。

    がんばって、乗り越えないと!(笑顔)」


・・・

この彼女、額(ひたい)に皺(しわ)が1本もなく、
年齢よりも、ずっと若く見えました。



この、N様のとなりで、
いっしょに数時間、仕事をしていた
22歳女性のCちゃんが、
後で、こんなことを言っていたのが、印象に残りました。


「あたし、年(とし)をとるのが、楽しみになった!」



若い人から、こんな風に言ってもらえる、50歳女性のN様は、
すごいなぁ、と思い、
ある意味で、勉強になった一日でした。