.

あなたが、この手紙を読むころ、
僕は、きっと死んでいるでしょう。

死体があるかないかの違いは、
あるでしょうが。

これを読んだ、あなた。

どうか、この事件の真相を暴いて下さい。
それだけが、僕の望みです。


昭和58年6月25日 


・・・

主人公である、僕が死ぬ。

いや、
ほとんどの登場人物が「何度も」死んでゆく、

この
「永劫の繰り返し」の物語は、
次のように始まった。


・・・

岐阜県白川村(がモデルになっている架空の村)に
僕は、転校してきた。

最初、僕は、学校の同級生たちと
楽しく過ごしていた。

学校の放課後、
いっしょに山にハイキングに行き、
近くの川で泳いだりした。

いつまでも、この平和な日常が
続いていくものだと思っていた。


しかし、
ゴミ捨て場に捨てられていた
古い週刊誌をひろって読み、
この村の「血なまぐさい過去」を知ってしまう。

それは、
「オヤシロさまの祟り(たたり)」と呼ばれる、
一連の連続殺人事件だった。

その内容は・・


この村では、毎年6月下旬の週末に
「綿流し」(わたながし)と呼ばれる行事をする。

家で使い古した布団(ふとん)の中の綿を、
いっせいに川に流す、という古来からの儀式だった。

(長い間、温めてくれた「綿」に感謝するためらしい。)


ところが、毎年、この「綿流し」の日に、
「一人が死に、一人が消える」という事件が続いていた。


4年前(昭和54年)から去年(昭和57年)まで、
毎年、である。

ほとんどのケースが、
(この村付近の)ダム建設計画に関わり、
それに賛成していた人が被害者になっていたため、

警察は、ダム反対派の人(または人々)による犯行
の可能性が高い、として捜査を進めてきた。


しかし、もうひとつの「噂」があった。
それが、「オヤシロさまの祟り(たたり)」と呼ばれるもの。

つまり、
地元にダムを建設し、村を水没させるという、
とんでもないことに賛成する人々に、

地元の神社の「神様」である「オヤシロさま」が
災いを起こす、という「噂」だった。


「綿流しの祭りの晩に、一人が死に、一人が消える」


最初、僕は、そんな話を聞いても、もちろん半信半疑だった。


・・・

しかし、今年も、その事件は、起きてしまった。

今年(昭和58年)の綿流しの晩、
僕がよく知っていた「野鳥を撮影する写真家」が、
自分で自分の喉をかきむしって、死んだ。

(自分の爪で、喉をかきちぎって、出血多量で死んでしまった。)

さらに、
やはり僕のよく知っていた女性看護師が失踪。


今年も、「オヤシロさまの祟り」は、起きてしまった。


被害者になった二人は、綿流しの晩に、
こっそり、神社の祭具殿(さいぐでん)に忍び込み、
撮影をしていたらしい。
そのため、「オヤシロさま」の怒りを買ったのではないか、という。


これを聞いて僕は、非常に恐ろしい気持ちになった。
その尋常ではない死に方から、
人による犯行よりも、
人ならざるものの「祟り」の可能性が高いような気がしたからだ。

村の人に、この事件のことを聞くと、
みんな、一様に、口を閉ざした。
様子がおかしいくらい、この話題を、村人たちは、避けた。

(あたかも、自分たちに、なにか後ろ暗いところが、あるかのように)


事件後、警察が、なぜか(引っ越してきたばかりの)僕に、
事情聴取をした。
いろいろ聞かれた後、警察が、こういった。

「あなたの一番仲良しの、「同級生たち」に、
 今日、私(警察)に会ったことを気づかれちゃいけませんよ。

 あなたは、昔からの事件に関係している可能性が「ない」ので、
 今日、話を聞いたのです。」


つまり、警察は、どうやら、
数年間の連続殺人事件を、村ぐるみの犯行、と考えているようなのだ!


警察が、僕の「同級生たち」も疑っていることを知って、
僕は、「同級生たち」が信じられなくなった。


その日から、僕は、学校で孤立していった。
僕は、自分の護身用に、金属バットを持ち歩くようになった。


この頃から、僕は、
時々、僕の後をつけてくる、誰かの足音を聞くようになた。

ぺたぺた ぺたぺた


でも、振り向くと、そこには誰もいなかった・・



この村で、唯一、信用できる存在として、
僕は、警察と頻繁に連絡をとった。

警察の人は、次のような可能性を、教えてくれた。

「もしかすると、
 オヤシロさまの祟り、にかこつけて、
 村人たちが、総ぐるみで、
 ダム賛成派の人たちを殺しているのかもしれないんです」


僕は、誰も信じられなくなり、家に閉じこもった。

それでも、時々、(僕の後ろから)あの足音が聞こえてくる。

ぺたぺた ぺたぺた



ある日、そんな僕を心配して、
同級生たちが、家にお見舞いに来た。

同級生たちは、僕を元気づけようと、
ちょっとしたジョークをした。

僕に「元気のでる薬を注射してあげる」というジョークだった。


しかし、僕には、それがジョークには聞こえなかった。


僕の中で、疑心暗鬼の感情が、ふくれあがってゆく・・


・・



気がつくと、僕は、その同級生たちを、
金属バットで、殴り殺していた。


かつては、仲良しだった「同級生たち」を
殴り殺してしまったのだ。


僕は、逃げた。
できるだけ、遠くへ逃げた。

しかし、必死に走る僕の後ろを、
何かが、追いかけてくる。

ぺたぺた ぺたぺた


いつまでも追いかけてくる。

ぺたぺた ぺたぺた


もしかすると、これが、オヤシロさまの足音か!?


ああ、怖い。

でも、後ろを振り返れば、オヤシロさまの正体が・・


でも、怖い。
怖くて、振り向けない。


ぺたぺた ぺたぺた ぺたぺた ぺたぺた

怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い 怖い



ああ、なんだか、喉がむしょうに痒くなってきた。

死ぬほど、痒い。


痒い 痒い 痒い 痒い 痒い 痒い 痒い 



僕は、喉をかきむしる。

自分の爪が、頚動脈に達するまで、喉をひっかいた。

出血が止まらなくなり、目の前が、どんどん真っ赤に染まってゆく。


かわりに、意識が、だんだん暗くなる・・



ああ 誰かの、声が聞こえる。


「ごめんなさい」

「ごめんなさい」「ごめんなさい」




なぜ、あやまる?

なぜ、僕に、あやまる?



なぜ、

なぜ、僕は、死んでゆくのだろう・・?










これを読んだ、あなた。

どうか、この事件の真相を暴いて下さい。
それだけが、僕の望みです。
















ひぐらしのなく頃に OP (オープニング)
http://www.youtube.com/watch?v=7Vskx-8mzNw&feature=related

レナの鬼隠し編 〜私を信じて〜 ひぐらしのなく頃に Dear You -Cry-
http://www.youtube.com/watch?v=DGQXALvDq5s

なかない君と嘆きの世界 -requiem for themselves and tragedies-
http://www.youtube.com/watch?v=_f-KHV17lw0

ひぐらしのなく頃に・公式サイト
http://07th-expansion.net/hi_Main.htm









・・・

補足:

「ひぐらしのなく頃に」
は、
ゲーム、漫画、アニメ、実写映画など、
様々なメディアで発表されている作品群。

原作者は、竜騎士07(りゅうきしぜろなな)。


「正解率1%の惨劇に挑め!」
というキャッチコピーで有名。


もともとは、
2002年から、同人誌などで発表されていた
パソコン用のゲーム(サウンド・ノベル)が
母体である。

作品として最もできのよいのは、
最初の、ゲームである。

が、時間のない方は、
漫画を読むか、アニメを見ることを勧める。

実写映画は、愚作であり、見る必要はない。



補足2:

このゲームは、
昭和54年から58年までの
一連の連続殺人事件を、

別な登場人物の視点から、何度も見せることで、
徐々に事件の真相にせまっていく、という
独特の手法がとられていることが面白い。

このため、
メインストーリーだけでも、
なんと、8回も、同じ「時の流れ」を
様々な登場人物の視点から見せることで、
非常に奥深い、作品の「世界」を見せることに
成功している作品。

また、
パラレル・ワールド(平行世界)を描いた作品でもあり、
非常に面白い。

もし、見るのであれば、
是非、8つの世界、全部をご覧になることを進める。

1個だけみると、ただの、グロテスクな猟奇的殺人事件にすぎず、
非常につまらない。



補足3:

作品の分類としては、
推理小説(ミステリー)の部分と、
オカルト(超常現象)の部分が、
ある程度、いりまじっている。

しかし、
作品の世界観を作っている、
オカルトの「世界観」をみすえた上で
(それを前提として頭に置いた上で)

物語の真相を「推理」していくのが
この作品の正しい楽しみ方である。


ともかく、この作品は、
2009年に、私が最もはまった作品であった。


(でも、基本的に、女性には勧めません。
 血なまぐさいシーンや、
 グロテスクな殺害シーンが多すぎるので。

 また、その過激な表現のため、
 パソコンゲーム版は、18歳未満、プレイ禁止です。)




補足4:

しかし、実は、私は、
オカルトの部分を全く入れず、
純粋に、科学と推理だけで、
この「オヤシロさまの祟り」と呼ばれる
連続殺人事件を説明することができる。

(少なくとも、第一のストーリー、鬼隠し編は。)


もし、わたしに、半年の時間をくれるならば、
オカルトの部分をいれない、
(現実的な)推理だけで描く、「真・ひぐらしのなく頃に」を
書いてみせるのだが。


(実際は、そんな暇があるなら、
 もっとたくさんの、国際協力か、環境問題に関する本を
 書かなければならない宿命にあるので、無理なんだけど。)

(うーーん。残念。)