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(今日の話は、ちょっとだけ、18禁です。)



















とある、未来。


ある日、男が目を覚ます。
70歳ぐらいの男性である。

男は、床の間に飾ってある
人間のような「人形」に向かって、声をかける。


「おはよう、マリア。
 今日も、二人きりだね。

 年金生活だが、多少の蓄えもある。
 だから一応、悠々自適(ゆうゆうじてき)っていうのかな。

 でも、君が動いてくれたなら、
 もっと楽しいのにな。

 ま、バッテリーが切れたんじゃ、
 しかたないけど。
 
 60年前の商品じゃ、
 メーカーも、もう予備のバッテリーを
 作ってないって言うし。

 でも、ちょっと、せつないね・・


 ・・覚えているかい、マリア?
 君が初めて、この家に来た時のことを。」



・・・

「おかえりなさいませ。おぼっちゃま。

 わたくし、今日から、おぼっちゃまの
 お世話をさせて頂きます、T−207、
 マリアでございます。」


・・・

とも働きだった両親が、
まだ、当時、小学生だった、
この男の世話をさせるために、
マリアを購入した。

「メイドロイド」を。


・・・

男は、何年もいっしょにいるうちに
マリアを愛するようになる。

しかし、
当時、まだ試作品だったマリアには、
「性行為」をする機能はなかった。


それでも、男は、かわらず
マリアを愛し続ける。

動かなくなる、その日まで。


いや、動かなくなっても、
愛し続けた。


・・・
・・・


その頃、秋葉原では、
最新型のメイドロイドが売られていた。

高性能の「性行為」機能が搭載されたものだ。


一人の若い客は、値段について、
店員と交渉をする。


「うーーん、高いねえ・・」


「何を言いますか、お客さん!
 安いですよ。

 生身の女と結婚をして、
 一生、いろいろ貢がなければならないことを
 考えたら、ずっと安いです。」


「・・・そうかも。」


「それに、生身の女は、裏切るかもしれませんよね?

 その点、メイドロイドは、大丈夫。
 浮気もしないし、
 男を乗り越えたりもしないです。
 一生、一人の男を愛し続けます。

 メイドロイドとの恋愛は、永遠なのです。
 
 それに比べたら、生身の恋愛など、
 くだらないものです。


 それに、そもそも、生身の恋愛だって、
 結局みんな、
 自分勝手な、「恋愛の妄想」を作って、
 その「イメージ」を、相手に押しつけているだけ。

 男も、女も、です。


 特に、男は、「イメージ」に弱いんです。

 女もそれをわかっているから、
 化粧して着飾って、
 テレビの「恋愛ドラマで見たイメージ」に
 自分を「知らず知らず」はめこんでます。

 でも、考えてみますと、
 化粧品も、服装も、どちらも「工業製品」です。
 メイドロイドと、かわりません。

 結局、私たち男性は、
 「工業製品」のつくりだした「架空のイメージ」に
 「萌え」たり、「欲情」したりしているわけです。

 であれば、
 私たちは、始めから、
 維持するコストも、生身の女性よりは安く、
 裏切ることもない、「メイドロイド」のほうが、 
 はるかにお得だと思いますよ、お客さん!」




・・・
・・・


70歳になった男は、
動かなくなったマリアの体を、
毎晩、綺麗に洗ってあげる。

そして、寝る前に、必ず、
マリアに向かって、
「ピノキオ」の絵本を読んできかせる。


「言葉をしゃべる丸太を見つけた
 ゼペットじいさんは、
 その丸太で、人形を作りました。

 ピノキオと名づけられたその人形は、
 青の妖精に頼みます。

 僕を人間にして下さい。

 青の妖精は、
 それはできない、と言いました。

 でも、

 お前が、ずっと、いい子にしていたら、
 人間になることよりも、
 もっと素敵なことを教えてあげましょう、

 と約束をしました。


 ピノキオは、
 人間になるよりも素敵なことってなんだろう、
 とワクワクし、目を輝かせ、

 そして、眠りにつくのでした・・」







 

 

 












・・・

補足:

メイドロイド
は、
2008年の日本の映画。

正式な題名は、
AI高感度センサー搭載 メイドロイド

監督 : 友松直之
出演 : 吉沢明歩、鈴木杏里、野上正義


アダルトビデオではないが、
性行為の表現が多く、
主演女優に人気AV女優が使われているので、
微妙な作品。

よって、一応、18歳未満の方には、
視聴をお勧めできない。

女性も、見ない方がいいと思う。


しかし、
個人的には、
いやらしさは、ほとんど感じなかった。

(性表現は、むしろ、何か悲しく、いたましい。)


男女の恋愛ってなんだろう?

(工業製品に作られた、イメージに踊らされているだけ??)

(それでも、本人が幸せなら、いいのかも・・)

と考えさせられた映画。