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「世界っていう言葉がある。

 あたしは、世界っていうのは、

 どこも、携帯の電波が届く場所なんだって

 思ってた。」



・・・

2039年、
アメリカ航空宇宙局(NASA)が、
火星の「タルシス大地」において、
異文明の遺跡を発見した。


・・・


「のぼる君、どうだった期末試験?

 え、ばっちりだったの!

 じゃ、いけるかな、いっしょの高校。」



・・・

異文明の技術の解析により、
「宇宙空間歪曲航法」、すなわち
「ワープ航法」を習得する。

これにより、
人類は、「恒星間飛行」が可能となった。


しかし、
異星人の遺跡を、さらに調査していた部隊は、
謎の異星人から攻撃を受け、
全滅した。


・・・


「のぼる君、見て。あれ。

 空に、宇宙船がいるでしょ?



 わたし、あの船に乗るんだ・・」


・・・

火星の遺跡の解析から、
異星人たちの起源は、
「シリウス星系」にあると推定された。


国連は、国連宇宙軍を組織し、
ワープ航法の可能な宇宙船を建造。

それを使ってシリウス星系へ
調査にいくことを計画する。


4隻(せき)の宇宙船に、
1000名の乗員が選ばれた。


世代を超える
(人の一生の長さを超える)調査の時間が
予想されたため、
中学生や高校生などからも、
選抜メンバーが選ばれた。


主人公の少女も、このメンバーに選ばれ、
「のぼる君」を地球に残し、
シリウス星系へ出発する。


・・・


「なつかしいものが、たくさんあるんだ

 だって、

 ここには、何もないんだもん」




・・・

2047年、調査隊は、
地球から「8.7光年」の距離にある
シリウス星系に到着する。


8.7光年。光の速さでも8.7年かかる距離。


電波でメッセージを送っても、
地球に到着するまでに長い時間が経過する。


主人公の15歳の少女のメッセージが、
地球にいる「のぼる君」に届くのは、
8.7年後。

その頃、「のぼる君」は、
もう、23歳になってしまう。



二人の時が、わかたれる。



・・・


「例えばね


 夏の雲とか。

 冷たい雨とか


 秋の風の匂いとか。

 傘にあたる雨の音とか。


 春の土の柔らかさとか。

 夜中のコンビニの安心する感じとか。


 それからね。

 放課後の、ひんやりとした空気とか。


 黒板消しの匂いとか。

 夜中のトラックの遠い音とか。


 夕立のアスファルトの匂いとか。


 のぼる君、そういうものをね


 あたしはずっと、

 いっしょに感じていたいって思っていたの。」



・・・

2048年、調査隊は、
異星人の軍隊と接触。

3隻の国連宇宙軍の船が、撃沈。


残り1隻、最後の船を守るため、
主人公の少女は、戦い続ける。


一人、暗い、宇宙空間の中で。



・・・



 ねえ、のぼる君、

 あたしたちは、遠く遠く、

 すごくすごく、離れているけど、


 でも、想いが

 時間や距離を越えることだって、

 あるかもしれない。


 のぼる君は、そういう風に

 思ったことはない?


 もし、一瞬でもそういうことがあるなら、

 その時、あたしたちは、何を「想う」のかしら・・



 ね、

 わたしたちの想うことは、きっと一つ






 あたしは 「ここにいるよ」
















ほしのこえ 予告編
http://www.youtube.com/watch?v=8U8EXQgNYRg

ほしのこえ (テーマソング)
http://www.youtube.com/watch?v=KwAPNv8gGgA






・・・

補足1:

ほしのこえ The voices of a distant star
は、
2002年の日本のアニメーション映画。

インディーズ(個人製作)系。
30分前後の、短編映画。

監督: 新海誠

ほとんど一人で、彼が製作したことから
注目をあびた、新世代アニメ。


・・・

補足2:

この映画では、
主人公の少女の回想シーンとして、
日本での、なにげない日常風景が
CG(コンピューター・グラフィック)で
描かれている。

このCGで作られた風景が、
とても美しい。

写真の「あるべき構図」もわかっているようで、
一つ一つのシーンが、完璧に美しい。

全編にながれる叙情性、
色のトーン、明るさの質も統一されていて、
感嘆した。

「こいつ、いったい、何者だ?」

と、思ったほど、素晴らしかった。



参考:
新海 誠(しんかい まこと)
1973年生まれ。長野県出身。
本名、新津 誠(にいつ まこと)。
中央大学文学部卒。
日本ファルコムで勤務後、フリーランス。
2000年に『彼女と彼女の猫』で
第12回CGアニメコンテストでグランプリ。


・・・

補足3:

日常の、しあわせ。

例えば、
コンビニに入った時、
ちょっとほっとする「ひと時」。

そんな「大切なもの」を
気づかせてくれた作品だった。