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1945年、8月9日、午前11時すぎ。

爆音が聞こえ、見上げるとB29が一機。


次の瞬間、私は、強い光と熱戦をあびました。


腕とわき腹は、一瞬にして火傷(やけど)に。

目を開ければ、天に向かって、巨大なキノコ雲が広がってゆきます。


火傷の治療をしてもらうため、
元・軍医さんの家にいくと

そこには、信じられない光景が広がっていました。


「生き地獄」でした。


数十人の人間が、全身の皮膚が焼けただれ、
その中央では、
麻酔もしない状態で、泣き叫ぶ患者を数人がおさえつけ、
無理やり手術がおこなわれていました。


4,5日たつと、
町のあちこちで煙が立ち上りました。

死んだ人々を火葬したためでした。


避難所に指定されていた小学校の校庭では、
死んだ人々が「山積み」にされ、
一度にまとめて燃やされていました。


あまりの光景に、わたしは反対側に走って逃げました。

すると、そこには畑(はたけ)がありました。


その畑でも、今まさに
二人の少女が、火葬されるところでした。


しかし、そこは、「別世界」のようでした。


少女二人は、美しい「振袖」(ふりそで)を着せられ、
薄化粧をされておりました。


すべてが灰色で、すべてが煙におおわれた世界で、
そこだけが、なにか、違った世界のようにみえました。



何年経っても、私はその光景を忘れることはできず、
私は、本を作ることにしたのです。











・・・

上記は、
長崎平和絵本シリーズ6 「ふりそでの少女」
からの抜粋。

汐文社、1992年

松添博(作/絵)

著者略歴:
原爆被爆者療養センター所長
長崎原爆継承部会会員(語り部)



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・・・

上記の「ふりそでの少女」の一人の父親は、
三菱製鋼の工場で働いていた。

実は、この三菱グループの工場が
長崎にあったことが、
長崎に原爆が落とされた直接的な原因の一つだった。

(他にも、諸説あり)


以下、その概略。


・・・

1867年、江戸幕府の大政奉還により
明治時代が始まると、
富国強兵政策のもと、
多数、軍需産業の育成が始まった。

政府は三菱財閥と手を組み、
巨大な軍産複合体の建設場所を模索し、
(地理的な理由などで)
最終的に選ばれたのが、長崎だった。

1939年、(直接的には)海軍の要請により、
三菱兵器工場などの着工が始まる。

こうして長崎には、

三菱造船、三菱兵器、三菱製鋼、三菱電機、
などの三菱グループの工場が
多数作られただけではなく、

同時に、大日本帝国の「海軍」の軍事基地が
作られた。

おもに、「兵站(へいたん)基地」が作られ、
ロジスティック(軍需物資の調達と運搬)の
主要な部分が、この長崎で行われることになった。

文字通りの「軍産複合体」であった。


こうして運命の日、8月9日を迎える。


・・・

もちろん、原爆が長崎に投下されたのは、
三菱グループだけの責任ではないが、
ある程度の責任もあると思われる。

理由は、財閥系グループが、
自分たちが儲け(もうけ)を多くするために
日本の軍国主義化を、
より一そう煽(あお)っていた、
という部分もあったからだ。

で、
この三菱グループは、
現在、どの程度、
CSR(企業の社会的責任)を感じて、
よりよい企業づくりに取り組んでいるのかなぁ、
と思って、ちょっと調べてみた。


・・・

まず、「三菱製鋼」のほうは、
事実上、鉄鋼事業からは既に撤退していた。

一方、「三菱重工」のほうは、
未だに軍需産業として君臨し、
戦闘機などの兵器を多数、生産している。

この企業は、どんなCSRを行っているのか、と思って調査した。


長くなるので、結果だけをいうと、
(詳細は、文末に掲載)

☆10個が最高で、星なしが最低、という11段階評価で、
☆7つ、という、まあまあの結果だった。

(流石、大企業だけあって、やるべきことはやっていた。)

一応、CSRリポートの文末に、
第三者からのコメントとして、
自社に対する、ある程度の批判を言ってくれる人を
ちゃんと選んでいるところには、好感を持つ。

(普通は、ほめてくれる人ばっかりを選ぶのだが。)

具体的には、以下のコメントが、
大和総研の研究員からあった。


「(三菱重工が)防衛産業(であること)の
 考え方の中に、
 防衛省や国家のニーズに応える
 旨の記載がありますが、
 果たしてそれらは(日本の)社会(の一般市民)のニーズと
 同一視できるものなのか?」


このコメントにつきる、と思う。

要するに、企業は、
(巨大な予算を持つ)国家とくっついておけば、
その発展は間違いない、といってよい。

その最も典型的なケースが、
この軍需産業系なのだが、
国家だけを「ステークホルダー」(利害関係者)と考え、
一般の国民を無視する企業には、なって頂きたくないな、
と思う。



・・・
・・・

さあて、私は、
昨日から、この長崎に来ている。

1945年に被爆し、
すでに70歳を超えている
ご高齢の被爆者の方々に、
「あなたの大切なものは何ですか?」
という質問をし、
その絵を描いてもらった。


三菱重工などの軍需産業で働いている人々よ。

是非、
「日本の「市民」にとって本当に大切なものが何か?」
を、時には考えてみて頂きたい。






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三菱重工 ☆☆☆☆☆☆☆

1.CSRリポート  あり☆

CSRリポート2009
http://www.mhi.co.jp/csr/csrreport/index.html   

2.CSRリポート(前年度) あり☆
http://www.mhi.co.jp/csr/csrreport/contents/back/index.html
      
3.GRI対照表  あり☆
http://www.mhi.co.jp/csr/csrreport/contents/back/pdf/gri_guideline2009.pdf

4.第三者機関のコメント あり☆
   
早稲田大学大学院公共経営研究科 教授
北川 正恭氏

株式会社大和総研経営戦略研究所 主任研究員
経営戦略研究部長青山学院大学 非常勤講師
河口 真理子氏

5.自社への批判・苦言  あり☆

河口 真理子氏より、

(1)防衛産業の考え方の中に、
防衛省や国家のニーズに応える
旨の記載がありますが、
果たしてそれらは社会のニーズと同一視
できるものなのか

(2)独自の長期CO2削減の中長期目標と
自社技術による目標達成ロードマップの策定・公表

6.上記の批判・苦言を翌年に改善 なし

7.1990年比でCO2削減6%以上  なし

1990年比、8.7%増
 
8.グローバルコンパクトに参加  あり☆
http://www.mhi.co.jp/csr/globalcompact/index.html

2004年4月に参加。

9.ISO14001の取得  あり☆

16の事業所、7の研究所で取得。

10.ISO26000への参加表明  なし





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参考ブログ:

軍需産業と日本企業 4336字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65235130.html

核兵器を、今、持っている国々は、どこ? 3,209字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51067913.html

北朝鮮のミサイルを迎撃できるか? 2,327字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/51098915.html

朝鮮半島の核問題1.日本側の視点 9963字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65275270.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点A、強制連行 6349字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277261.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点B、核拡散防止条約 7713字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277651.html

朝鮮半島の核問題2.朝鮮側の視点c、核持ち込み 8256字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65277989.html

朝鮮半島の核問題3.米国側の視点a、Wの悲劇 7072字 (国際情勢、政治)
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65288840.html