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3年半前に、青年海外協力隊に合格したメイさん
(当時27歳女性)に、私はインタビューをした。

その彼女が、今月(2010年2月)帰国したので、
まだ、ホットな状態の彼女に再びインタビューをした。

協力隊への派遣の「前後」に
詳細なインタビューをすることにより、

「彼女のやりたかかったことが、達成できたのかどうか」
また、
「青年海外協力隊での現地での活動が、
 彼女が思っていたものとどう違ったのか」

お伝えできるのではないか、と思うので、
これから数回にわたり、
この派遣「前後」のインタビューを
皆様にお伝えする。


また、もう一つ、
協力隊への2年間の派遣によって、
「人間がどう変わるのか? あるいは変わらないのか?」
にも注目して頂きたい。


まずは、3年半前に、彼女から伺った
当時のインタビューから掲載する。


・・・
・・・


第一節、自己紹介と、何で国際協力をやりたいのか


山本:現在の日時は、2007年6月10日です。
   とりあえず、じゃあ、
   ペンネームは、何にしましょうか?

めい:わたし、いつもメイなんです。

山本:なんで? 5月の生まれなんですか?

めい:はい、そうです。

山本:じゃあ定番の質問ですが、
   なんで国際協力をやりたいのか、
   語っていただきましょうか(笑)

めい:わたし、そんなたいした
   崇高な思いとかがあるわけではないんで、
   何でだろうって、
   この「質問項目」をいただいて考えたんですけど・・

   わたしたぶん、小学校か中学校の時にテレビ番組で
   アフリカの飢餓の問題とかを見て、
   なんかそれがすごく印象に残っていて、
   で、そんなところもあるんだなって漠然と思っていたなかで…
   う〜ん・・・それはずっとひっかかっていたんですけれども…

   その後、学生時代、
   旅行にいろいろ行き始めて、アジアの国に行って、
   まぁ、飢餓ではないんですけど、
   そういう貧しい地域とか人々を見て、
   自分ができることってあるのかなぁって。

   なんか、いつもぬくぬくと育ってきた中で、
   それ(アフリカ)がそういうこと(貧困の状況)で
   何か役にたてることがあるなら、
   何かやってみたいなって漠然と思っていたのかなぁって…

   なんかそんな国際協力って言われるほど崇高なことじゃなくて、
   「異文化」の人たちと触れて、
   日本人である自分が何かできたらいいなっていうぐらいのものですね。
.
山本:なるほど。

めい:その人を助けたいっていうよりも、

   わたし、結構、常に、
   「自分が考える時、自分が主語」なので
   自分に何ができるかなぁって、

   自分が日本人であることで、
   それがプラスになることってあるのかなぁって。

   (国際協力って)そういうことな気がします

山本:自分が日本人であることで、それがプラスになる?
   何がプラスになる?

めい:要するに、発展途上国、開発途上国といわれる国の人たちは、
   教育をうけるのが難しかったりとか、
   まぁ今はそこまでの飢餓の問題がないにしろ、
   そういうインフラ(社会基盤)の問題とか、
   様々な問題がありますよね。

   でも、日本で私は暮して、
   少なくともそういう問題に出会ったことがないわけで、
   いろんなことを考えて、食べて、暮してっていうことがあることで、
   そういう視野をもった人間で役に立てることがあるならば
   なにかできたらいいなとか、そういう発想だと思う。

   だから、あんまりその国に行って、もっと変えたいとか
   何かしてあげたいとかっていう感じとは違うんですよね。
   なんか昔はそう思っていたのかもしれないんですけれども…。

   今は社会人3年半やって、
   自分がそこまでの人間とは思ってないけれども、
   でも、そんな自分でも何かできることがないかな。
   そんな自分だからこそ
   一緒に考えられることはないかなっていうような感じなんですよ。

   うまく言えないんですけれども、
   国際協力って言葉にされるとなんかすごく重たくて
   そんな、たいそうな人間でもないし
   そこまでたいそうな、崇高な思いもないので・・・。
   う〜ん、なんか理由になっていなくてすみません。
   「異文化交流」をしたいっていう気持ちが、
   もしかしたら強いかもしれないですね。

山本:異文化交流ってホームステイじゃないのかな?
   う〜んと、例えば、
   この間も宇宙船地球号の「補足サイト」の
   ケース2のちゃーさんっていう(女性の)看護師さんが

http://www.ets-org.jp/mirai/case/category/case02

   マザーテレサの家に1か月行ってきたけれども、
   その中で、現地レポートを載せてくれたんですけれども、

http://www.ets-org.jp/hosoku/mirai_002_11.html

   その子は、
   なんか3万円とか5万円くらい払って
   ホームステイさせてもらってた・・。

   (異文化交流したいのなら)そういうのでは(ダメなの?)
   …あっそっか、
   青年海外協力隊の場合、国が全部お金だしてくれるもんね。
   2年間ね。
   ある意味これは最高のホームステイだよね。
   自腹きるんじゃなくて、出してくれると。

めい:そうですね。

   まぁ、今回の(協力隊への応募の)書類で、
   なんでやりたいのかって書かされているんで、
   書いているんですけれども、
   ほんとにたいそうなことは書いてないんですよ、私。
   なんか妙なことを書いてるんですよ。

   私、書いてるの読んでみましょうか?


・・・

第二節、履歴書と、大学について


山本:あっ、ちょっとまってね。
   ここで、履歴書からいこうかね。

   まず、今、何歳?

めい:27歳になりました。
.
山本:女?

めい:はい、一応。(笑)

山本:一応、確認しないといけないんでね。最近は。
   「本人が言った性」が正しいので。

(注:性同一性障害などの事情のため)

めい:あ、大丈夫です。一致してます。

山本:え〜っと、埼玉県立某公立高校卒だよね。

めい:そうですね。

山本:C大学法学部・「国際企業関係法学科」。

めい:まぁ、たいそうなお名前で。(笑)

山本:国際企業関係法学科??
   (どんな学科なのか)全然わかりませんけれども(苦笑)。

めい:あれですね、
   ちょうどグローバリゼーションとかが
   流行りだしたころにできた学科で

   1990年代初め?半ばかな?
   なんか私たちでまだ10期生にならないくらいの
   新しい学科だったんですよ。

   要は、コーポレーションガバナンスとかに対応する
   国際人を育てる法律家を作りたい、に関わる法律家を育てたいって
   C大が結構地味だった法学部を、
   一つ新しい分野に持ち上げようとしているような学科ですね。

   だから(大学の科目の中で)語学が、
   法律とか政治学科よりも多いのと、
   少人数制っていうのがたぶん「売り」です。
   経済系の科目も必須。

山本:この学科なら、「ロースクール」(法律系大学院)に行く
   とかいう、そういう話はなかったのかね?

めい:えっ、ありましたよ、めちゃめちゃ考えましたよ。

山本:あぁ、そう。じゃぁ、なんで行かなかったの?
.
めい:あの、わたし大学受験、法学部しか受けてないんですね。
   私、弁護士とかになりたかったんですよ。

   弁護士になりたかったのは、国際協力やるためには、
   なんかの専門家じゃなきゃいけないっていうのを
   なんかで読んで、

   で、なんの専門家がいいかって考えたところ、
   当時TVとかで弁護士さんとか検事さんとか
   かっこいいなって思っていて

   そういう方向にいくには、
   法学部に行って司法試験を受けなきゃいけないって知って、
   もうそれ、中学校か高校の初めぐらいに思って、
   それからずっと思いは変わらず。

   大学も司法試験に強そうな法律学科、
   法学部のある大学しか受けないで、
   で、C大とりあえず受かったから行って…。

   で、勉強始めたら法律がつまらなくて、
   ほんとつまらなくて(怒)。

   なんでそんなに
   ロジックばっかりで考えるんだろうって。
   現実そんな簡単な言葉で解決しないこと多くない?って
   すごく思うことがいっぱいあって、

   で、当時、家庭教師(を自分でやること)とかが面白くて、
   そういう方向からもいけないかなって考え始めて、
   今に至っているっていう…。
   だから、ベースは…。

山本:ちょっと待って、
   今、論理がかなり飛躍してたけども・・。

   法学部が、とにかくつまらなくて、
   家庭教師方向から
   今の(国際協力の)方向に行けないかなってところが、
   めちゃくちゃ飛んでるんで、よくわからないんだけれども…。

   なんで家庭教師が突然きたの?
.
めい:バイトで家庭教師をしてたんですね

山本:大学の紹介とかで?
.
めい:大学の紹介とかでやって、
   まぁ、どっかのなんかの紹介でやっていたのが、結構おもしろくて。

   で、法律の勉強やってると忙しいから、
   ほんとにまぁ、そういうバイトしかできなかったので、
   時給もいいし、やってたんですね。

   で、そっちが結構おもしろくて、
   一方で法律がつまらなくて
   なんか、こういう教育関係とかって仕事にできたらいいなって。

   そういうところからも、
   もしかしたら国際協力の方向に行けないかなって…。

   国際協力はずっとあったんですよ。なんかやりたいって。

山本:まぁ、「異文化交流」がしたいと。

めい:そう、とりあえず、海外の子どもたちと何かしたい、
   海外の人たちに何かしたいっていうのがあったんですね。

山本:なんか、例えば、今、私立の早稲田とか慶応とかでも、
   留学ってあるじゃん。1年ぐらい。
   イギリスとか、アメリカとか。
   ないの? C大って。

めい:ありますよ。めちゃめちゃあるけど、
   わたしそっちの国にあんまり興味がなかったんです。

山本:先進国に興味がないってことなの?
.
めい:先進国は遺跡を見に行く分にはすごく楽しいけれども、
   生活をするっていう分にはあんまり興味がないですね。
   旅行はめちゃめちゃしてますけど、ヨーロッパは。

   アメリカ、オーストラリアは一切興味がないですね。
   歴史的遺産がないから。

山本:それ言うと(アメリカに住む)本人たちは怒ると思うけどね。(笑)

めい:はい。そうですね。
   でも、すみません。魅力を感じないです。
   行ったことないのに決めつけちゃいけないんですけれども。

   行くっていう動機づけがなくて行ってないし、
   留学してっていうのも・・。

   まぁ、必要だと本当に思えば行きたいと思うだろうって、
   で、お金もそんなになかったし、
   なんか親におんぶに抱っこっていうよりは、
   1回ちゃんと働こうかなっていうのが強かったので。

山本:で、一応、C大学を4年でふつうに卒業して。

めい:で、普通に就職してるんです。


・・・

第三節.就職、会社について


山本:で、塾(じゅく)として有名な、
   K社に就職したんだよね?

   どんな仕事をしていたの?

めい:K社はフランチャイズ(制度)なので、
   その各教室の経営者たちをまとめるほうの仕事。
   フランチャイザーですね。

山本:ふ〜ん・・・、(以前、会った時)言ってたね。
   教えるほうじゃなくて、
   コーディネーターっていうか、その〜…

めい:そうです。コーディネーターです。

山本:あの〜、宣伝とかしてたの?

めい:なんか啓蒙と、本社が持ってる「思想」の
   各フランチャイザーたちへの啓蒙と
   あと結局、活動をやめないための、
   促進っていうか、お手伝いとか・・。

山本:話が、1分だけそれるけど、
   その、K社の思想ってさ、どんな思想なの?

めい:一言でいうとほんと難しいですけど・・・

山本:なんか、算数の、
   「単純計算をいっぱいやらせる」ってことしか、
   おれ知らないんだけれども、K社って。

めい:っていうの(イメージ)を変えたいのが会社ですよね。たぶん。
   K社は基本的には、
   「子どもたちに生きる力をつけてほしい」
   って、結構言ってるんですけど。

   っていうのは、要するに、
   勉強ができればいいというのではなくて、
   勉強ができないことで、
   子どもが自分の将来の選択肢を狭めてほしくないっていうのと…

   まぁ、どっちかっていうと、
   要は、基礎的なことをやることで、
   基礎の力をつけて応用的な考えかたに発展していけるベースを、
   土台をつくりたいってことなんですね。

   で、みんな一律に進んでいくのではなくて、
   その子の得意や、苦手なものは違うし・・・

山本:ちょっといい?
   会社の思想は?
.
めい:だから、そうやってひとりひとり力が違うから、
   ほんとにできるところからやればいいと。

   例えば、まぁ、分数できない子が増えてるじゃないですか。
   小学校高学年はもちろん、もっと上いっても。

   だったら、「分数できないのは何で?」って言ったら、
   分数ができないんじゃなくて、
   その前の割り算ができないかもしれない、
   掛け算ができないかもしれない、
   下手したら、足し算、引き算もできないかもしれない。

   そうしたら、そこからやればいいじゃないかっていう発想なんですよ。
   5年生だから分数をやらなきゃいけないんじゃなくて、
   分数をやるために、できるところをやっていけば、自信にもなるし、

   できないところもゆくゆくはできていくでしょうっていう…。
   結構、個人別、能力別っていう話を必ずするんですけれども、
   保護者の方とかにも…

山本:うん。

   流行りの、LD、Learning Deference とかいうやつ?


(注:学校のために作られた教育システムを
   子どもに、無理矢理、適用するのではなく、
   個々の子どもに合わせた教育システムを考えること。)


めい:そういう難しい名前とかないんですけれども、
   本当に個人別、能力別って、
   あなたのできるところはどこって、きいて、

   あなたが必ずできるところからやっていけば、
   今できないと思っているところも、
   気づけばできるようになってるんだよって。

   で、その速さもみんな一緒じゃなくてよくて、
   一人一人違うんだから、一人一人自分のペースで進んで行こうよ。

   っていうのがK社の基本的な考え方で、   
   それをやるためにも、(子どもに)自分でできるようにしてほしくて。

   結局、自分でできなければ、
   教えられてできるようになっただけでは
   結局使える力にはなっていかないから。

   今のようなことを自分でできる人にするためにも、
   なおさらできるところから、やらせるんですよ。

   なんか、簡単に言おうとして、
   すごくわかりにくくなってるなって、自分で思うんですけど。

山本:う〜ん・・・
   子どもに、自分でできるとこからやらせて、
   最終的には、自分で考えて勉強できるように育てることを、
   会社としてはしたいけれども、

   でも、実際は「単純計算」ばっかやらせること(そのイメージ)が
   先行してるっていることね。

めい:見えるとこが先行しちゃってるから、
   なんでそれをやるのって部分を会社が伝えたいのに、
   そこが伝わってないっていうのが、
   たぶん今すごい大きな課題で、
   まぁそこが会社としてのジレンマだけど…。

   でも計算だけでもできるようになるってすごいなって
   私は思ってたので、
   結構開き直っているんですけれども。

山本:う〜ん、じゃあ話を戻して…。

めい:で、戻すと、入ったときよりもやめるときのほうが、
   (会社の考え方は)いいものだなって思います。

   入ったときって、そういうもんだって言われて、
   そういうものだと思い込んで説明していたけれども、
   やっぱりいろいろな子どもとか保護者とか、
   いろいろな子を見ている先生とかと話をしていて、
   やっぱり、実際にそういう風に
   すごく変わってってる子をいっぱい見たので。

   私はK社の教材を今でも好きだし、
   友達から聞かれたら普通に勧めますね。

   そのかわり、教室を選べといいます。

   そこがたぶん、最初の頃とは違います。
   だから、実際教室に来ている保護者には、
   この教室よくないですよとは言えないですけれども、
   自分の友達には、「近くに行けば」とは言わないです。
   いくつも見ろと言います。
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山本:それは何?、見学はできるわけ?

めい:できるんです。

山本:だいたい5つぐらい見て、
   自分で「ここの先生がいい」
   と思ったところに行け、ということ?

めい:先生っていうか、見方の基準もいろいろあると思うんですけど、
   いくつかポイントを伝えて、
   で、あとはまぁ、フィーリングでいいって
   言っているんですけれども…。

山本:先生以外に何があるの? 基準に。
   だって教材はみんな同じなんでしょ?

めい:でも、先生の人柄がどんなによくても、
   やり方がずさんだったり、
   そうですね、結局子どものためにはなってないケースってすごく多いので。

   人当たりだけ良くて、指導力がない。
   経営力と指導力のバランスってすごく大事なので。

   なので、どんなに人柄がよくて営業のトークがうまくても、
   実際教材をわかってなかったら、
   子どもをすごい苦労させてたり、
   本当はもっと伸びるはずの子が全然伸びなかったりするので、

   そこらへんは先生がいかに子どもをよくみて、
   教材を知っているかによりますね。
   すごい大事なことですね。

山本:う〜ん、なるほど・・・。

めい:やっぱり、そこらへんの見方を、私が思うところで伝えます。
   誰でもわかるように。

山本:結局この会社、K社で、3年くらいやってたの?

めい:3年半働いてましたね。

山本:だいたい同じことやってたの?おおすじで。

めい:まぁ、ずっとそうですね。

山本:法学部をでていきなりK社に入ったのは、
   学生時代に家庭教師をやってておもしろかったから、
   一応、教育関係のようなところを・・・

めい:そうです、そうです。もうそれ以外のなにものでもないです。

   あとK社は海外に進出していたので、
   海外で働けるかもって。

   で、途上国のアフリカや南米にもあったので、
   そういうところで仕事ができるかもって思って、
   仕事でそういうところに行けたら1番いいなって思って。

山本:インドとかもあるの?

めい:あります。

   私が入った年にはなかったけど、
   今は入ったので、…なので、インドはばっちりですよね。

   うちの会社のやり方的にも、
   国がそういう掛け算「2桁かける2桁」(の九九(くく))
   をやってる場合は、
   それに対応することもあるし。
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山本:そうだよね。
   インドって、2桁かける2桁の掛け算をやるもんね。


(続く)

・・・

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