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佐藤 「山本さん。
    CSRが大切なのはわかりましたが、
    それは、大企業だけが、できることですよね?

    中小企業には、
    それを行う財力も余裕もないんですよ。

    環境に配慮して、消費電力の少ない
    「マザーマシン」(商品を作るための機械)を
    導入しようとしても、その費用がないんです。

    この不景気じゃ、特にね。

    ISO14001(環境マネージメントシステム)
    の取得をしようとしても、
    あれ、一回取得して終わりじゃなくて、
    毎年、ずっとお金がかかるじゃないですが、
    それも、かなりの費用が。

    とてもとても無理です。

    また、CSR部署なんてものを社内に作ろうものなら、
    そこで働く人の人件費や、

    CSRリポートを作るために
    その道のコンサル(コンサルタント会社等)に
    お金を払って・・
    と、きりがなくなっていくんです。支出の・・

    それに、中小企業は、
    社長が、個人のワンマンでやっている所も多く、
    一人の意思で、独裁的にやっている
    ところも多いです。

    そんな状態のところに、
    「ガバナンス(企業の統治)が大事だ。
     だから、
     会社の意思決定の過程に、
     社外の第三者の意見をいれろ」
    なんて言うことができると思いますか?

    それにそれに、
    この景気低迷の中、
    なんとかギリギリ生き残るために、

    中小企業は、いろいろ・・その、
    人には言えない、
    脱税とはいいませんが、
    ま、節税とそれとの境い目のような
    ある種の「ごまかし」をやって、
    かろうじて、食いつないでいる状態です。

    そんな状態なのに、
    「コンプライアンス」(法令の順守)が大事だ、
    「ディスクロージャー」(透明性)が大事だ、
    なんて、言えると思いますか?

    それをやったら、中小企業、
    ほとんど全部、つぶれちゃいますよ!」


・・・

と、いうのが、中小企業の現状で、
CSRをやることなど、
極めて難しいことは、
私も重々承知している。

もし、
中小企業がCSRをやれるとしたら、
その取引先の
(その中小企業の商品を買い取ってくれる)
大企業から、援助を受けて、
設備投資などのお金を融資してもらう、
ぐらいまでしてもらわないと
難しい状況だ。

これは、
「サプライ・チェイン・マネージメント」
の一貫として行われる場合もある。

サプライ・チェイン・マネージメント
とは、
取引先・連鎖・管理
のことで、

大企業が、
自分が取引を行っている中小企業に対しても
社会的責任をおっていると自覚すること。

具体的には、

大企業が、取引をする中小企業として、
ISO14001を取得している会社のみを選んだり
(そうでない会社とは付き合わないようにしたり)

逆に、
自分(大企業)が現在、取引を行っている中小企業に融資をし、
ISO14001を取得させたり、
CSR部署を作らせたりするようなことが
行われることもある。


しかし、昨今は、景気低迷のため、
大企業のほうも、軒並み赤字になっているため、
上記のようなことをする余裕はなく、
ちょっと無理・・という感じである。


・・・

と、いう状況のため、
以前から、私は、次のようなことを言っていた。


山本 「中小企業では、
    大企業のようなCSRは、
    現状では、ちょっとできないと思います。

    やれるとしたら、
    地域への貢献、かと思います。

    自分の会社のある、地域社会に貢献すること。

    ある意味で、これに勝るCSRは
    ないんじゃないかと思いますので。

    具体的には、
    学校との連携です。

    最近、文部科学省や、各地方自治体の教育委員会が、
    生徒に、(その在学中に)
    地元の企業で「社会人経験のまねごとをさせる」
    ことが推奨されています。

    体験期間は、地域によって、様々ですが、
    1日だけでも、なんでもいいですから、
    地元の小学校、中学校、高校の生徒を
    自分の会社に受け入れ、
    自分の会社が、どのような仕事をし、
    どのように、社会の人々の暮らしに貢献しているのか?

    自分の会社の商品がないと、
    社会の中の、どの部分の生活が、できなくなるのか、
    などを紹介する。

    もちろん、働く、ということの、
    楽しさと苦しさも、両方紹介する、
    ということも大切です。

    さらに言えば、
    これは、既にある地域で行われているのですが、
    いじめにあった子どもや、
    登校拒否になった子ども、
    ともかく、なんらかの悩みを抱えている
    子どもたちに対して、

    放課後の時間、自分の会社の会議室を一つ開放し、
    子どもの悩み相談に応じる取り組みを行っている
    会社もあります。

    こうした形で、地域に貢献するのが、
    中小企業ができる、最大のCSRではないでしょうか?」


・・・

と、いうことを、私はよく、しゃべっていたのです。

講演の後に、
「中小企業ではCSRはできないんじゃないか?」
という質問が来た場合に。


しかし、
先日、私はある中学校で、
PTA会長から、次のような話をきき、
愕然とした。


会長 「うちの中学校でも、生徒たちが、
    地元の企業の体験を、やらせてもらっています。

    50以上の企業が、賛同してくれています。

    しかし・・

    生徒たちに、人気がある企業は、
    デニーズなどのファミレスなんですよ。

    理由は、チョコレートパフェが食べれるから(笑)

    つまり、仕事の(体験の)内容など、どうでもよくて、
    「おまけ」でついてくる、
    (会社の人からもらえる)お菓子とかが、
    生徒の目を引きつけてしまうようです。

    前年度の先輩から、そういう情報が伝わってるようで。

    これでは、やる意味、あるんでしょうかねぇ・・」



・・・

うーむ。日本の未来は、暗いかも??