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このブログは、前回の続きです。

青年海外協力隊派遣前と後_村落開発_メイさん_派遣後_その1 7817字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65444771.html



・・・途上国政府の、成人識字教育の問題点


山本:いずれにせよ、
   (あなたが行った)三つ(のプロジェクト)全部の話を
   欲張って聞くと、
   聞いてる方(読んでいる方)も
   わけが分からなくなっちゃうので、一個だけ選ぶと(すると)、

   当然、あなたが一番やりたかった
   「成人への識字教育」について
   (聞くことになるん)ですけど。

   さっき既に軽く説明してくれましたけど、
   具体的に何をやりました?
   簡潔に言うと。

めい:簡潔に言うと、
   うちのオフィスが本来やるべきことと私がやったことを
   対比させて説明した方が、分かりやすいと思うんですけど。

   まず、うちのオフィスがや(ってい)ることと言うのが、
   この識字プログラム(について)は、
   国が決めていることがあって、
   コミュニティに識字クラスの宣伝をすること。

   コミュニティ内で、定められたルールに則(のっと)って、
   先生を選び、また、生徒の名簿を作ること。

   登録といっても紙を一枚出すだけなんですけど、
   それを、うち(地方自治体)のオフィスがかかえる、
   フィールドワーカー(外まわりの担当者)が
   (先生と生徒の候補者を)リスト化します。

   本来であれば、
   「インストラクター」と呼ばれる
   (識字教育の学校の)先生になる人の指導を担当、
   各クラスにテキスト、
   インストラクターのためのティーチャーズ・ガイド
   あと、チョークが支給されることになっていて、
   それもうちのオフィスの仕事(でした)。

   インストラクターが
   マンスリーレポート(月報)をうちのオフィスなり、
   CDA(コミュニティー・デベロプメント・アシスタント)
   (地域共同体の発展を補助する人)
   という、フィールドワーカーへ提出して、
   それに対して、簡単な報酬、お金を配ること。

   定期的にスーパーバイズ(監督)すること、

   1年のうちに10ヶ月続く(識字教育の)プログラム、
   10ヶ月後に(生徒に対して)試験を実施して、
   採点をして、結果を出すこと。

   それを県の中心にあるうちのオフィスがまとめて、
   首都にある本部へ(試験の結果を)送る。

   その結果を受けて、サーティフィケート(修了書)を作成し、
   (識字教育の修了者に対して)それを渡す。」

山本:今の話を聞いてる人も(読んでいる人も)、
   きっと、よく分からないので、
   分かりやすくするために、順番に見ていきましょうか。

   まず、このプログラムはあなたが赴任する前から、動いていた?

めい:そうですそうです、国のプログラムなので。

山本:それでは、そこにあなたがまざって
   (参加した)ということだよね?
   あなたが立ち上げたプログラムと言うわけではないよね?

めい:(首を横に振りながら)国のプログラムです。

山本:で、もう一つは、

   識字教育をするためのインストラクターと呼ばれる教師、
   この人たちに対する(教育のしかたの)指導を
   あなたの(所属していた地方自治体の中の)
   オフィスがやっていたんだよね?

めい:これについては、(本来の名目としては)やるべきことです。

山本:これはまだやっていないということ?

めい:(現実として)できていないんです。
   だから私がやったことと言うのは、その辺りのことで。

   本来、政府からは、今言ったようなことをするために、
   お金がおりてくる(予算から配分される)ので、
   そのお金をもとに、
   一連の業務をやっていくことになっているんですけど。

   2003年に始まった今のプログラムは
   もともと、もっと前からあるんですけど、

   2002年に一旦ドナー(お金を出してくれる組織)
   がいなくなっているので、

   2003年からはほぼドナーなし、国のお金で事業をやっていて、
   お金のマネージメント(確保)ができていないので、
   その結果、業務の流れをカバーしていなくて。

   唯一、ちゃんと動いているお金と言うのが、
   (インストラクターに対しての)毎月の報酬(給料)
   だけが動いているような感じで。

山本:そこで、ちょっと不明瞭な点があるんだけど、
   あなたがいたAという県の、
   地方自治体の一部局(オフィスの一つ)に
   協力隊員として派遣されたと思うんだけど、
   何という部局名だったの?

めい:コミュニティ・デベロプメントです。

山本:デパートメント・オブ・コミュニティ・デベロプメント
   (地域共同体の開発の部署)
   とかそんな感じ?

めい:ディストリクト・コミュニティ・デベロプメント・オフィス
   (その地区の地域共同体の開発をする役所)
   でしたね。

山本:で、そこに配属されていて、
   2003年以降、
   (識字教育に対して)国からお金が来ています、と。

めい:(うなずく)

山本:で、あなたは先ほどの話で、
   報酬(人件費)と言う表現を使っていたけど、

   あなた以外の(その)オフィスで働いている人のお金と、
   CDAというフィールドワーカーのお金と、
   (識字教育の教室の先生である)インストラクターのお金と、
   いろいろあるけど、

   どの人件費を国が負担しているわけ?

めい:私の同僚については全員県庁のスタッフ。

山本:なので、彼らは仕事をしようがしまいが、
   自動的にお金が来ると。
   月給が1万円かどれ位か分からないけど、毎月。

めい:まさしくその位(の額)ですね

山本:ま、途上国では大体そういうものだと思うんだけど。
   数千円から1万円くらいの幅なので。

   で、それ以外に、
   別なお金が来た(国から配分を受けた)とするよね。

   仮定の話で、50万円とか。仮に。
   その場合は、何に使われることになるのかな?
   あなたは給料の話とかをしていたけど、誰の給料に使われる感じ?

めい:今言っている話は、識字クラスのことなので、
   村人の中から選ばれたインストラクター(先生)に関してです。

   このインストラクターへの報酬を配るのも
   うちのオフィスの仕事だったのですけど、

   これ(その人に月給を払うこと)についてのみが、
   遅れがちながらも、
   唯一きちんと支払われているお金だったんです。

山本:なるほど、それで分かった。

めい:職員に関する政府からのお給料はちゃんと来ていました。
   (識字プログラムの)予算とは別の話なので。

山本:今のやり取りで分かったのは、
   既に、あなたが派遣される前から、
   識字クラスは県にあって、動いていた、と。

   そして、先生たちがそこにいて、
   お金が配られると言うシステムはあった、と。

めい:システムはありました。

   同僚から、私が活動するように進められた地域では、
   フィールドワーカーが誰もいないからという理由で、
   実際に、誰も管理する人がいませんでした。

   本来であれば、私の同僚のうちの
   誰かが管理しないといけなかったんですけど、
   出張費が出ないと言う理由で(誰も対応していませんでした)。

山本:同僚と言うのは、(あなたの)カウンターパートのこと?


(注:カウンターパートとは、協力隊の人の相棒となる存在で、
 通常、地方自治体の公務員の一人が、割り当てられる。
 現地での相談役となり、ともに行動することも多い。)


めい:そうです。
   県の職員であれば、
   遠いところに行くとお金(手当て)がもらえるんですね。
   ただ、私が任されたエリアに行っても、手当てが出ないので、
   みんなやりたがらなくて、
   (存続している識字教育の)クラスが一個もなくて。

   結局、2003年からプログラムが再開したときも
   管理する人が誰もいなくて、
   またある時に、条件に満たない(識字教育の)クラスは
   全部閉鎖するというようなことを実施して、

   この担当地域では、
   「全てのクラスがそれに該当して、閉鎖させられてしまった」
   ので、
   国のプログラムとしては存在しているんだけど、
   実際にクラスが全くない状況にあったため、
   私が行ったときには、
   クラスを立ち上げるところから始めたんですけど。

   じゃあ、こういう形で始めましょう
   という風にお膳立てした場合にも
   (教師にとって)必要なトレーニングを
   受けさせることが出来なかったり、
   テキストも新たに支給されることがなかったので、
   さっき話したあるべき姿とは、違う形で、
   私の活動があった(始まった)んですね。

   ですので、本来あるべき姿と、実際に私がした活動と、
   分けて話した方がいいと思ったのは、
   そういう実情からだったんですが。

山本:なるほど、随分、話が分かった気がします。

めい:要するに、識字クラスは動いていなかったんです。

山本:それはあなたの担当した地域では、
   動いてなかったということですよね?

めい:他の地域でも、
   やってる、やってると(同僚は)言いながら、
   実際に2年経ってみると、本当のところはどうなのかな、
   というような、難しいプログラムではありました。

   というのも、
   農民の要求(実態)に即していない(んですよ)、
   国のプログラムなので。
   色んな意味で続きにくいんですよ。

山本:はい。

めい:多分、もっと聞いてる人(読んでいる人)が
   分かりにくそうな話を挙げますと。

   県としては、
   クラスの数が多いほうが(外部から)よく見えるし、
   生徒の数も多いほうがよく見えますよね。

   で、インストラクター(学校の先生)としても、
   実際に教えなくても、
   教えている「フリ」をして、
   レポートを(地方自治体に)あげて(報告して)、
   お金(給料)がもらえるんだったら、
   そのまま、お金をもらいたいですよね。

山本:はい。

めい:ある意味、そこで(県の部局と現場との)
   お互いの「ニーズ」(要求すること)が一致しているので、
   こっち(県のオフィス)は、
   毎月、(識字学校の)スーパーバイズ(監督)に行って、
   ちゃんとクラスが開催されているか確認しないといけないですし。

   向こう(現場のインストラクター)も、
   ちゃんとクラスをしていないと、
   閉められてしまうし、
   (そうならないために)レポートも書かないといけない。

   でも、結局、スーパーバイズに行かなければ、
   (普段、スーパバイズに行かない日は)
   やっててもやってなくても分からないわけですし。

   県のオフィサー(担当官)も、フィールドワーカーも、
   ガソリンがない(値段が高い)と言う理由で、
   あんまり(現場視察には)行かないですし。

   だから、農民がやっていようがどうだろうが、
   (実態を)知らないんですよね。
   で、やっていなくても、自分たちは困らないじゃないですか。

山本:はい。

めい:なので、毎月、報告さえもらっていれば、
   お金をあげることができるし、
   農民(識字教育の先生)も、むしろ、見に来られて、
   きちんとやっていないのがばれるよりかは、
   (県の監督官が、現場に)来ないで、
   ただ(自分で)レポートを出すだけの方が
   楽なので、お互いうまくいっているんですよね。

   だから、私の担当した(地域の)
   隣の地域を見に行ったことがあるんですけど、
   実際に(クラスが)開催されているのを見たことがないし、

   それでも、偉い人が来ると、
   スーパーバイズで見せに行くんですよね。
   でも、そういう場合は、1週間ぐらい前に、
   ちゃんと(現場に)連絡がいっているので、
   みんな来るんですよね。そこには。

   で、私はそういうのに何回か同行して、
   参加者のノートとか見たことあるんですけど、
   ノートは新品だったりするし、
   (買ったばかりのままで、書きこんで勉強した跡はないし、)

   後は、自分の前職での経験だったり、
   自分(私)の(担当している)地域で
   きちんと取り組んでいたこともあって、
   読み書きが出来る人と出来ない人の区別がつくようになって、
   本当に読めない人・かけない人を見たら、分かるんですね。

   それで、そういう(視察があった)所に
   30人参加者がいるようだったら、
   そのうち半分ぐらいの人は
   (元々)読み書きが出来るような印象を
   (私は)個人的には受けたので、

   (普段は、識字教育に来ていない人が、
    県からの監督官が来るからと、
    「今日だけ人数を合わせるために来てくれ」と頼まれて
    来てもらっていた可能性が高い、印象を受けたので、)

   このクラスは本当に活動しているの?
   と言う疑問を(私は持ち、)
   同僚に、何度も確認したんですけど、
   「頑張っているから、これだけ読めるようになったんだよ」
   と言うようなことを同僚は主張していて、
   正直なところ、識字クラスがどれだけ機能しているかと言うのは
   2年間経った後でも、私にはよく分からないです。

山本:今の話で、現状がよく分かりましたね。
   ほほう。

   以上を踏まえた上で聞きたいのが、

   政府から識字学校にお金をあげる時に、
   先生にあげるだけじゃなくて、生徒にも渡してるってことなの?

めい:いや、生徒にはあげてないです。一切ないです。

山本:あ、そうなの。
   だったら、監査(スーパバイズ)とかをするって言ったときに
   生徒の人たちは、どうして(やらせでも)集まって来るの?

   先生が1万円もらってる(給料の)うちの、
   500円を(識字教育の)生徒にあげながら、
   「お前、今日だけは来てくれよ」、みたいな感じで、
   (やってるのかね)?

めい:そこがすごく不思議で、
   (その地域の)文化的なことなのかもしれないんですけど。
   偉い人が来る時は、何もなくても、集まるんですよね。

   実際には、何かを落としてくれる(見返りを与える)、
   ということもあると思うんですけど。
   とにかく、みんな喜んで集まるんですよ。

山本:食い物や金を渡さなくても来る、と?

めい:実際に渡している場合もあって、
   そういう時には、出てくる食事が全然違ったりするので、
   ああ、お金が動いているんだな、
   と分かることもあるんですけど、

   監査に来ただけで、何も(見返りが)ないような時でも
   村人は、わーと(拍手しながら)集まるんですよ。

山本:それは(その)地域にそういう
   (昔からの)慣習があるのかもしれないね。

めい:でも、この国全体で、そういうことがあるみたいですよ。

山本:誰か(偉い人)が来ると、
   みんな集まってきて、みたいな。
   まあ、昔の日本もそういう感じだったかもしれないから。

めい:うんうん。
   だから、何のメリットがあって、
   こんな風に(監査の時だけ)集まるんだろう、
   と、私も思ってて。

   「実際にはやってないよ、
    こんな(識字教育)プログラムなんかやってられないよ」
   って、伝えた方がいいんじゃないの、と思うんですけど。

   (現実には、)偉い人が考えるプログラムのおかげで、
   自分たちはこんな風に進歩しているんだよ、
   みたいな演説が、(視察の時には)常に繰り返されています。


・・・識字教室を、いつ、週に何回やるのか?


山本:で、お金をもらっている先生が、
   (こまかい問題はともかくとして)
   農民に識字教育をするとして、

   よくあるのが、日曜日とかに、
   (キリスト教の休日を利用してやるんだけど)

   あ、そういえば、現地の人たちは、
   そもそも、イスラム教なの、キリスト教なの?

めい:私の地域ではキリスト教ですね。圧倒的に。

山本:じゃあ、日曜日の教会の(ミサの)前後で、

めい:とか思いますよね?

山本:そういう時にやるんじゃないの?

めい:だから、それが続かない理由なんですよ。

   政府が定めている条件がすごく厳しいんですよ。
   週4日、1日(あたり)2時間。

山本:あ、そう。みんなそんな暇じゃないと思うけどね。

めい:ですよね?
   全然現実に即してないし。

   乾季の収穫の後とか、みんなが暇な時期なら
   まだ可能性があるかなとか思うんですけど。

   今、ちょうど(2月ごろは)現地では雨季ですけど、
   この忙しい時期でも、
   週4日、1日あたり2時間のカリキュラムをやれ。
   ということになっていて。

   で、(日本に)帰ってきた今となれば、
   私はやれなくて当然だと思うんですけど、
   でも、そういう(途上国政府の)プログラムで。

山本:それはおかしいね。変わっているね。

めい:だから、農民の生活なんかは全く考慮していないですよ。

   むしろ、マーケットの日と土日は授業なし。
   それ以外の日に授業をやるみたいなプログラムに
   なっているところが、地域的にはほとんどですね。

山本:(驚きながら)あ、そう?

めい:だから人が集まるついでに(授業を)やりましょう、
   という感じじゃ、全然ないんですよね。

   お題目は立派なんですよね。
   週に一回だと、初学者の知識として定着しないですし、
   勉強しようと言う習慣もないですし。

山本:(その部分は)そうだね。

めい:だから、そういうことを配慮したお題目ばっかりがあって、
   週4日、2時間ずつやりましょうと言っていて。

   でも、実際にはそれを出来るはずもないし、
   ただ、誰もそれを正そうとしないのが不思議です。


・・・始めて任地に行った時のことと、任地の概況


山本:(苦笑しながら)まあ、現状はよく分かったので、
   話を戻すと、2007年の9月ごろに行ったんだっけ?

   で、北部の県に配属されました、と。
   で、行ってみたら、識字教育をやってもよかったので、
   実際に携わることになりました、と。

   そうしたら、お題目は立派で、
   現実にはそこまで動いてなかったけど
   県の一部の地域を割り当てられました、と。

   そこでは、生徒が集まっていないなどの理由で、
   既に識字学校は閉鎖されていて、
   一個も稼動していませんでした、と。

   ちなみに、
   あなたが担当した地域の面積はどれぐらいとか分かる?
   大体の目安でいいんだけど。

めい:住んでいたところから、一番遠いところ(まで)で、
   20キロぐらいですかね。
   住んでいた場所がその地域内で、それが中心部だったので、
   そこそこ都会だったんですけど。町という感じというか。

山本:インターネットカフェぐらいはあるわけ?

めい:(おどけながら)2年のうちに一個できました。
   で、(担当地域は)
   その町から20キロ圏内という感じですかね。

山本:で、いたのはそういう状況下だったということだよね?

めい:はい。


(続く)

・・・

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