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このブログは、前回の続きです。

青年海外協力隊派遣前と後_村落開発_メイさん_派遣後_その1 7817字
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・・・ヒト・モノ・カネのうち、ヒトは?


   次、「ヒト」としては先生が必要だけれども、
   彼らはどうやって(先生を)見つけてきたの?

めい:村の中から自分たちで選んでもらうんです。
   政府からは、(教師を選ぶにあたり)
   すごく高ーい条件がつくんですね。

山本:「お題目」が立派だからね。

めい:そうです、そうです。
   現実には、村にはそんな人は残っていないか、
   あるいは、残っていても、違う仕事をすぐに見つけて
   辞めてしまうのがオチなので。

   村の中で信頼されている人で、
   文字の読み書きが問題ない人なら、
   私としては、目をつぶってやっていました。

山本:政府の言っている高い条件って言うのは、
   どういうものなの?

   過去に小学校の先生をしていた経歴があるとか、
   政府の教員免許を持っているとか、
   そういうお題目はあったんだよね?

めい:政府の方では、
   現地の教育制度が、
   初等教育(プライマリー・スクール)が8年、
   中等教育(セカンダリー・スクール)が4年なんですけど、

   最初の(初等教育の)8年が終わった段階で試験があって、

   あと、セカンダリーの2年次と4年次の修了時に
   それぞれ試験があるんですけど、

   この
   「セカンダリーの2年次の試験を合格していること」
   (日本の教育制度で言えば、高校1年生まで修了程度)
   が、その条件です。

   この水準だと、4、50歳の女性では、
   ほとんど該当しないんですね。

   生徒さんの年齢層がこのぐらいなんですけど、
   そこに、若い女性の先生がぽんっと来たら、
   おばちゃんたちである生徒は面白くないですし。

   そういう感じで、男性であれば、
   この水準の先生を見つけることも可能なんですけど、
   実情としては、女性の場合には、
   これよりも低い学歴の人でも可としていました。

   政府の方でも、識字教室の対象となる生徒に女性が多いので、
   女性が先生になることが好ましいとしていたんですけど、
   村人から信頼されているという性格的な問題はさておき、
   やはり、女性で
   それだけの教育水準がある人はなかなかいないんですよね。

山本:簡単に言うと、セカンダリーの2年まで終わっていれば、
   それでいいということだよね?

めい:そうです。若い世代であれば、増えているんですよ。
   女の子でも。

   ただ、おばちゃんの(中年女性)層だとほとんどいないですし、
   逆に、若い人だと、子供を生んだばかりぐらいの年齢で、
   政府が要望するカリキュラムに従って、
   定期的に休まずに教えていくのが難しかったりするんですよね。

   向こうでは、
   40歳くらいでおばあちゃんになっている(孫がいる)人たちが
   いっぱいいるので、逆にそれぐらいの年齢層の方が、
   習う人たちと年の差がないので、いいと思ったんですけど、
   現実にはそう簡単には見つからなかったですね。

   また、政府が求める教育水準がある女性だと、
   少し頑張れば(他の)仕事を見つけることが出来たりするので、
   村から離れて(町へ行って)しまうし、

   (結婚相手である)旦那さんの教育水準も
   平均より高かったりするので、
   相手と一緒にどこかに行っていて、
   村に定着してなかったりという問題があって。

   そういう意味で、政府の出している条件と、教室の継続性とが
   相反しているような現状だったんですね。

山本:(プログラムの実施条件に)持続可能性がないなあと思って、
   話を聞いていました。


・・・ヒト・モノ・カネのカネは?


山本:後は、カネの部分だけど。
   教師は1ヶ月で、いくらもらってたの?

めい:3百円です。

山本:1ヶ月に?

めい:1ヶ月に。

山本:それでは誰も残らない(仕事を辞めちゃう)よね?

めい:仕事の負担の割りに、ペイの少なさというのも問題なんですよね。
   だから、政府の方でも、
   今その金額を上げようとはしているんですけど。

山本:最低、3千円くらいはもらわないとやらないんじゃないかな?


(注:この国の地方自治体の職員は、約1万円もらっている。)


めい:UNDP(国連開発計画)の(識字教育)プロジェクトが、
   ある特定の地域でだけ行われていて、
   これは、他の地域には広がっていないんですけど、
   そこだと、千2百円です。

   先生によって、6百円だったり、
   千2百円だったりするんですけど。

   で、学習者に対して、ノートとペンを支給していて、
   教科書を使わない教育法というのをトレーニングしているので、
   教科書は一切なしで。

   だから、政府と(UNDPとで)は、
   お金の投入方法も教育法も違うんですけど。

   政府のプログラムでは、教科書を使う教育法だけど、
   教科書が支給されていないのが現状でしたし、
   ノートやペンについては、学習者(生徒)が負担でしたし。

   二つを比較すると、学習者のやる気も違うし、
   先生の方も受け取っている金額が全然違いますし。
   (教師の教育方法の)トレーニングについても、
   UNDPでは毎年やっているけど、
   政府の方では、きちんとした研修があるわけでもないですし。
   金銭的にもその他の面でも差があったのは事実です。

   まあ、村人の方では、UNDPのプログラムの存在自体を
   知らなかったんですけど、そういう違いはありました。


・・・ヒト・モノ・カネのモノ、その2、教科書と文房具


山本:今ので、ちょうどモノの話がまた出たけど、
   最低限必要なものとしては、黒板と文房具用品と、
   後はテキスト(教科書)だよね。

   今の話で、文房具は村の人の自己負担だと分かったんですが、
   本の方は?

めい:政府が決めた教科書があるので。

山本:それは人数分、例えば、
   この教室には20人いるので、20人分支給とか
   政府がただ(無料)でくれるわけ?

めい:当初はそうだったらしいですよ。

山本:あなたが行った時は?

めい:もう全然(そうではなかった)。
   (県の)オフィスにかろうじて何冊か残っていたテキストを、
   各教室に一冊ずつ配ったって感じです。

山本:一冊ずつ配ったら、当然、先生がそれを所有するよね?

めい:そうです。
   ほとんどのクラスで、先生がそれを板書してという形でした。

山本:黒板に書いて、生徒がそれを写すんだよね。

めい:写せればいいですけどね。写せない人がほとんどなので。

   私は、写す時間があるなら、最初はひたすら文章を読め、
   と言っていて。
   で、単語一つでもいいから、何回も書く練習をしろ、
   と言っていたんですけど。

山本:なるほど。今ので大体(状況が)分かった。

めい:後は、つぶれたクラスでテキストが余っていないかどうか確認して、
   テキストの在庫があるようだったら、
   回収して配ることもしていました。

山本:ヒト・モノ・カネが分かったので、見えてきました。


・・・識字教育学校の立ち上げと、運営の監査


山本:(あなたが現地に行って)
   最初から立ち上げた学校の運営がうまく回り始めたのは、
   行ってから何ヶ月目くらいの時期だったの?

めい:赴任した翌年(2008年)の2、3月にクラスを作る話をして、
   4月から授業を始めたので、
   ちょうど行って半年経ったころですね。

山本:それは、ちゃんと週4日やっていたの?
   あなたが監査(スーパバイズ)に行っていたの?

めい:私の担当の地域ではやってましたよ。
   (少なくとも)行った数ヶ月は。

山本:どのくらいの頻度で、監査というか、
   (現場の)見学に行っていたの?

めい:当初は週一回にして、
   徐々に回数を減らしていこうと思っていたんですね。
   だから、最初の数ヶ月は週に一回行っていましたね。

山本:行って、何をしたの?
   先生の教え方とかを見るの?

めい:そうです。
   後は、外国人が来るだけでみんな嬉しくて仕方がないので。
   私が行くだけで、生徒が喜んで(教室に)来るなら
   (出来る範囲で)とりあえず行っておこうと思って。

山本:(客寄せ)パンダと同じですね。

めい:そうですそうです。

   行って、先生の教え方を見るのと、
   英語も分からない参加者に対して、
   つたない現地語で、勉強頑張ろうね!(おどけ口調で)
   と、声をかけていたくらいです。

山本:その地域における「女性の非識字率」とかいう
   統計データはありました?

めい:すごく古いデータでしたし、そもそもの人口の数字からして
   信憑性の点であやしかったですね。

   本当は、識字プログラムを開催する前に調べることになっていて、
   私の地域についても、(数字を)出してもらったんですけど、
   担当の地域に村が五つあったのに、
   一つの村の数字しか出てこなかったり、
   全く(信頼性のある)数字は全然見当がつかないですね。

   国全体の識字率としては、
   60から70パーセントの間だったと思います。

   ただ、テストのときの結果なども私は見ているので、
   そういった数字というものが私はどうも信じられないですね。

・・・識字教育10カ月後の卒業試験は、いつ?


山本:何のテストをやったの?

めい:10ヶ月の識字クラスの後に、テストをさせて、
   採点をして合格者を出すんですけれども。

山本:3月から12月までの10ヶ月の識字クラスに参加した人に、
   どの程度読み書きが出来るようになったかを
   確認するテストって言うことね?

めい:そうです。

山本:それで卒業するのね?

めい:合格基準に達していれば。

山本:達していなかったら?

めい:ずっと来ることになっています。

山本:合格基準は60点とか、そういうのがあるわけ?

めい:全教科50点以上です。

山本:全教科って、何教科もあるの?

めい:4教科あります、3科目4教科。
   算数、読みと書きです。

   書くほうが2教科あって、
   ディクテーションとコンプリヘンションです。

   ディクテーションは、音読されたものを書いていって、
   コンプリヘンションが書かれているものを読みながら、
   答えを探す感じです。

   文章の中に、答えはあるんですけど、
   まず、文章を読めないといけないし、
   質問を理解して、答えを書かないといけないんです。

山本:コンプリヘンションの答えって、どういうことが聞かれるの?

めい:必ず、文章の中に答えは隠れているもので、
   考えてから答えなさいという種類の問題ではないんですけど。
   読む分量が結構あって、単語で答えるといった感じです。

山本:国旗は何色でしょうか、とか?

めい:そんな簡単じゃないですよ。

   (識字プログラムの)お題目は本当に立派なので、
   例えば、エイズについて、という文章で、
   エイズの症状について、何が原因で起こるのか、とか。
   今年の問題であれば、公衆衛生みたいな問題でしたよ。

   そういうテーマの文章が、現地語で書かれていて、
   この現地語は
   英語の他に(もう一つの)公用語となっているんですけど、

   自分のいた地域では、
   日常で「北部の方言」が使われていて。
   二つの言語は、類似性のある言語なんですけど、
   でも、結構、スペルが違ったりするんですね。
   普段のインストラクターの先生もスペルを間違ったり。

   で、普段は使わない言葉が試験の時に並ぶんですよね。
   だから、生徒は大変だったと思います。

山本:ともかく、卒業試験の内容としては、
   エイズや公衆衛生に関する結構難しいことも聞くということで、
   3教科4科目で、少なくとも50点取ればよいと。

めい:はい。

山本:で、行って半年後の3月から10ヶ月間で、
   最初の生徒が卒業したはずだよね。

めい:いえー、実際には、4月からでしたね。

山本:あ、そうかそうか。じゃあ、翌年の(1月くらいまで)?

めい:国として定めているのは、
   3月から12月までだったんですよ。
   そういうの(クラスの開催時期)も決まっているんですよ。

山本:あ、そうなんだ。

めい:で、とりあえず、4月から始まったものの、
   1月までとかには出来ないので、
   12月までのつもりだったんですね。

山本:じゃあ、9ヶ月で試験を受けないといけないと言うことだよね?

めい:(9ヶ月間だ)と思っていたんですけど、
   (そろそろ)識字クラスは、お休みにしなさいという、
   (政府の)通達があるまで続けていいのよ、
   と、オフィスの同僚にも言われてて。
   で、お休みにしなさいという通達も来ないから。

山本:はい。

めい:うちの地域でも、(卒業試験を)やりたかったら言って、と、
   参加者のみんなにも伝えたんですけど。


・・・農業が忙しくて、識字学校に来ない時期は?


めい でも、その時期って、雨が降り始めているので、
   (鍬(くわ)を振るう身振りしながら)
   (農業に)忙しいんですよ。

山本:じゃあ、まず、農業に就かないといけないんだ。
   あそこは、コメを作っている地域なの、
   それとも他のを作っているの?

めい:いやいや、コメじゃないです。
   メイズ(トウモロコシの一種)です。
   (見た目は日本の)トウモロコシです。

山本:じゃあ、メイズの収穫期は何月ごろなの?

めい:えーと、何月って言ったらいいんだろう…。
   青いのが取れるのは、4、5月くらいですね。
   それって、フレッシュ(新鮮)なやつなんですけど。

   メイズって、基本的にその後、
   粉にして(から)、「シマ」にするので。


メイズからシマの作り方
http://worldreporter.jica.go.jp/blog/zambia/2007/09/000094.php


   (そのために、メイズを)そのまま置いて乾燥させるんですよ。
   頭(こうべ)が垂れるまで。それが7、8月ですね。

山本:じゃあ、4、5月と7、8月が一番忙しいということですか?

めい:いや、忙しいのは準備の方なんですよ。
   だから、どっちかと言うと、
   雨が降り始める頃の、準備の、畑を耕す時期と、
   後は、収穫期が忙しいんですね。

山本:それは何月ごろのことなんですか。

めい:準備と言うのは、ちょうど雨が降り始める時期なので、
   11月、12月くらいから、ちょうど今くらい(2月)までですね。

山本:11、12、1、2月くらいということね。

めい:畑を耕して、植えて、そして、肥料をまくまでですね。
   後はまあ、雨が降っていると、土が流れたりするので、
   土の盛り返しをしたりということがあります。
   そうすると、3月くらいまでは、みんな畑仕事があるんですけど。
   後は、もう、勝手に育つのを待つだけですね。

山本:すると、まあ、暇だよね。

めい:はい、そうすると落ち着くんです。
   それが4、5月ごろです。

   ただ、生のは取れるんですけど、
   一生懸命に収穫するわけではないんで。
   食べたかったら(ちょっと)取るという感じで、
   本格的な収穫とは違うんですよね。

山本:ちょっと確認しないといけないんだけど、
   この国では、雨季と乾季は年に一回ずつなの?

めい:一回ずつです。

山本:なるほど、雨季は何月から何月ですか

めい:大体、11、12月から、3月ですね。4月(まで)かな。

山本:で、残りが乾季というわけですね。
   これで状況(気候)がよく分かりました。

   大体、(この国の)状況は分かったけど、
   じゃあ、それに合わせて
   (識字教育のプログラムを)作ったらいいんだよね。

めい:そうなんですよ。そう思いますよね。

山本:そう思うよ。

めい:で、話がずれますけど、私(任期の)最後の方で、
   (県の)本部の人と仕事をしていたんですけど、
   彼ら(本部の人たち)には、
   なんで、農民が暇な時期に(授業を)一気にやらないの?
   って、主張したんですよ。

   10ヶ月だらだらやるよりは、
   低いレベルでもいいから、ある程度内容を絞って、
   雨も終わって、収穫が落ち着いた時期のー、

山本:6、7月くらいから。

めい:そう。まあ、7月くらいから11月までの
   4ヶ月の間だったら、週4回(の実施)でも、
   何とかなると思ったんですよ。私としては。

   やはり、(このプログラムで)
   政府が求めるレベルに到達するには、
   時間が必要なんですね。

   でも、エイズのことや公衆衛生のことを
   自分で読んで理解できるようになるレベルにする、
   っていうよりは、
   識字クラスは日常の生活で困らないレベルにしようという目的だし。

   それ以外の情報については、
   保健省からも農業省からも提供されるので、
   そういうのに参加すれば、対応できるわけで。
   識字クラスでそこまでを網羅しようとするから
   いけないんじゃないの、と感じました。

   そういうワークショップはいくらでもあるんですよね。
   NGOからだって、保健省だって、農業省だって。
   識字クラスで、
   それを完結させようとするから大変なわけであって、

   イベントに参加したときに、
   (その時に)理解できるレベルにすればいいので、
   識字クラスの目標を、より低いレベルに設定して、
   短い期間にやった方が、やる気も続くし、
   試験の合格率も上がるし、持続性もあるし、
   教師に対する報酬も上げられるし、と伝えたんですけど。
   どうも、あまり理解してもらえませんでした。(苦笑)


・・・

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