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日本は就職難だと言われているが、
逆に、
いくら人員を募集しても
人が集まらない業界がある。

それが、「介護」の職場だ。

若い人が、働きたがらないのである。


・・・

いろいろ理由はあるが、
最大の理由は、給料が安いこと。

日給数千円しかいかず、
このため、月給が十万円から十数万円で
働いている人も多い。

つまり、半分ボランティアのような
業界なのである。

これでは、就職しようという人が
少なくなるのは当然だ。


また、
認知症にかかっている、ご高齢の方(かた)、
いわゆる「ボケ老人」の相手をするため、

尿や便などの排泄物の処理をしたり、
それを自分の顔や体に、ふっかけられたり、

本人やまわりの人にとって
危険な行為をすることがあるため
1秒も目を離せないなど、
大変なストレスが介護者のほうにかかり、

その上、
「やっかいばらい」として
家族の人から、押しつけられた仕事なのに、
その家族の人から、次々と
介護に関する注文をされ、
細かいことで文句をいわれる、など、

もはや、「やってられない」状況となり、
一度、この仕事についても
すぐに止めてしまうことが多いのも現状だ。


・・・

ここで問題の大きさを知るために
統計データをみてみる。


・・・

平成21年3月31日の時点で、
総務省の調査では、

我が国の人口は、
1億2,707万6,183人。

我が国の65歳以上の高齢者の人口は、
2,822万3620人。

(全人口の 22.21%)
(もうすぐ国民の5人に一人から、4人に一人になる。)

http://www.soumu.go.jp/main_content/000033819.pdf

2010年の時点で、
我が国の認知症等の患者の数は、
約226万人。

(ようするに高齢者の約10人に一人、が認知症等)

http://dementia.seesaa.net/article/9908981.html


・・・

我が国の介護福祉士の資格保有者の数は、
約60万人。

このうち、就労環境の悪さから
実際は働いていない人は、約半分。

つまり、実際に働いている人は、
30万人。


・・・

以上より、
認知症の老人、226万人に対して、
約30万人の介護福祉士が働いていることになる。

が、まったく人手が足りていない。

このため、
一人あたりの仕事量の負担が大きいため、
ますます仕事は、つらく、きつくなり、
どんどん人々は辞めていってしまう・・

という悪循環が続いている。



独立行政法人 福祉医療機構
http://www.wam.go.jp/wam/

社団法人 日本介護福祉士会
http://www.jaccw.or.jp/

社団法人 日本社会福祉士会
http://www.jacsw.or.jp/


・・・

で、以上のような状況のため、
外国人労働者を受け入れることが
検討されてきた。

(介護士とならんで不足している
 看護師も、行け入れようとしている。
 状況が、ほぼ同じだからだ。)


で、これらに関係するのが、
以下の「外交上の政策」である。


経済連携協定(EPA)
(Economic Partnership Agreement)


経済連携協定(EPA):財務省
http://www.mof.go.jp/jouhou/kanzei/fta_epa/fta_epa.htm

外務省 経済連携協定(EPA)/自由貿易協定(FTA)
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/fta/


ま、簡単にいうと、

日本は、
途上国から石油などの資源をどんどん「際限なく」買いたい。
(自由に貿易をしたい。)
日本の大企業を進出させたい。

途上国は、
労働者を日本に送り込んで、外貨を獲得したい。
日本に安い「農産物」を輸出したい。

(日本は、これらのうちの後者をされると
 国内の農家が生活できなくなるので、なんとか制限したい。
 関税を高くして、途上国の農作物が入ってくるのを防ぎたい。)

(しかし、EPAでは、建て前は、
 やがて関税を全て廃止する、ことに一応なっているので、
 なにか、それに協力しているような
 ポーズ(ふり)をしないといけない。)


と、いうような、各国の「外交上の思索」が
いろいろある中で、一応、
途上国の看護師や介護士を、
我が国は受け入れることにした、のである。

(農業などの関税を高いままにしておくために。)


・・・

で、
東南アジアなどの途上国から、
多数の看護師や介護士がやってくるのだが、
なかなか日本に定着できない。

理由は、
上記の外国人労働者たちは、
日本に来てから3〜4年のうちに、
看護師あるいは介護福祉士の
「日本の」国家試験に合格しなければならない。
(などの規定があった。)

しかし、
(アメリカの外務省の基準によれば)
日本語は、中国語とならんで、
世界で最も修得するのが難しい言語と言われており、
3〜4年でそれを身に付けた上に、さらに、
国家試験に合格するなど、ほとんど不可能に近い。

つまり、
EPAは、本気で、外国人労働者を受け入れよう、
という制度ではなく、

あくまで、日本の農業等の関税を
高いままにしておくための、
「外交上のポーズ」と考えられる。


・・・

しかし、それでも、
フィリピンなどの途上国から
多くの人々が日本にきて、
この分野で働いている。

フィリピン人は、
(核家族化してしまった日本と異なり)
いまだ大家族が多く、
家庭の中に高齢者がいるのが普通だ。

このため、
日本人よりも、高齢者の扱いに慣れている。

また、
概して、「そこぬけに明るい」性格のため、
介護現場での様々なストレスをはじきかえす
「強さ」を持っていると言われている。

このため、
例えば、中東などの石油王が、
東南アジアから「お手伝いさん」を雇う時に
他の国から雇うよりも、
フィリピンの人により高い給与が支払われる、という。


さらに、
フィリピンには、年長者を敬う(うやまう)伝統があり、
高齢者にストレートに愛情を注ぐ文化がある。

このため、
介護を受けている(日本人の)高齢者の方も、
その愛情をやがて理解するようになり、
言葉の壁を乗り越えて、意思の疎通ができるようになる・・
という。


・・・

ともかく、
我が国は、高齢化社会を迎え、
少子化の時代に入るのだから、

今後は、外国人労働者の受け入れは、
いずれにしても必要だと思う。


それが、もし、
日本の高齢者の方の幸せだけでなく、
途上国の貧しい人々への経済援助にも
つながるのであれば、
もっと積極的に取り組む必要が
あるのかもしれない。












外国人看護師・介護福祉士の受け入れについて
ISFJ政策フォーラム2009発表論文 12th – 13th Dec. 2009
http://www.isfj.net/ronbun_backup/2009/n01.pdf