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協力隊での初期計画は、途上国のデータ品質改善を


山本 で、それは、各ヘルスセンターや診療所から、
   県の部署に来ますよね。

   で、あなたは、基本的に机に座ってるじゃないですか。
   その、地方自治体(県)の、保健の部署に。

ひげ えぇ、います。

山本 デスクとパソコンがあって。
   で、(データの収集には)かかわってきますよね、
   色んな診療所とか村が。

   で、そこ(県の保健部署)に行った時に、
   何が問題だと思いました?

   あなたが(日本で協力隊に応募した時に)
   最初に(途上国からの要請として)言われた、
   案件の紙に書かれていた内容はあったと思いますけれども、

   ま、それを聞くと話が長くなるんで聞かないです、はい。

   あなたが実際に、B国に行った後に、
   最初の3ヶ月から半年でですね、
   (2年間でやる予定の)初期計画っていうのを
   考えるはずなんですが、
   (それを作る上で、まず、現地の)
   何が問題だと思いました?

ひげ えーっとですね、まぁその、
   (集められてくる)データの質が悪いだろう
   っていうのはありました。
   でー、

山本 それは案件というか、
   (最初の要請の)紙に書いてあったということですね?

ひげ えー、実は案件の事は
   (行ってみたら)全て終ってたんです。

山本 あ、そうなんですか。
   行ったらもう終ってた。

(注:こういうことは、青年海外協力隊ではよくある。
   山本はそういう状況を多くの事例から既に知っているので、
   始めから聞こうと思わなかった。) 

ひげ (要請内容は)終ってた、終ってたんですよ。
   だからもう、自分でやりたい放題だと。

山本 なるほど。

ひげ これはチャンスだと。

山本 えぇ。

ひげ 僕が大学時代にやりたかった、
   まさに「データ(品質改善)」が必要だってことが、
   まさに出来ると思って。

山本 大学時代にやりたかったことっていうのは?

ひげ やりたいことっていうか、
   まぁ問題だと思った、
   その、「データがもぅめちゃくちゃだ」という、
   あの意識にあったことが、出来るじゃないと。

山本 なるほど、意味が分かりました。

ひげ えぇえぇ。

・・・

県の保健部署で、何をやろうとしたのか?


山本 で、それ(データ品質改善)は、何をやったんですか?
   何をやろうとしたんですか?

ひげ まずあの、レポートをですね、過去1年分、
   15の病院を12ヶ月分ですから、何冊位あるんだろ?
   ま、100冊以上ですよね。
   の、レポートを全部バーって見る訳ですよ。

山本 えぇ。

ひげ で、まぁあのー。

山本 それは紙なんですね?

ひげ 紙ベースで、20ページ位あるんですよ、1つ。

山本 はい。
   それは手書きですか?

ひげ 手書きです。

山本 手書きですか(笑)。

ひげ あの、「県まで」が手書きなんですよ。

山本 はいはいはい。

ひげ で、そこから1個上(の州から)が
   (パソコンに入力された)データなんですね。

山本 なるほど。

ひげ でその紙のデータが間違ってるから、
   そこから上も全部間違ってる訳ですよ。

山本 なるほど。

ひげ えぇ。

山本 え、ちょっとここで(読者のために)解説すると、
   「途上国でデータがいい加減な理由」の1つが、
   要するに、あの、さっき言った、

   末端のヘルスセンターから、県、州、国っていう風に
   データを上げていくシステムが全然出来てない、
   ということ。

   ま、どっかで誰かがサボってたり、
   元々その(データ処理の)能力が無かったり、
   (それをするために)必要な人、物、金のどれかが無い、
   等の理由で、

   えー、こういう、データを上に報告するというシステムが
   無い事が、(途上国の最大の問題の一つとして)
   一般論としては知られてるんですね。

   データが上がってこないと、
   また、それが正確なデータでないと、
   各地域の現状がわからないので、

   保健にしても、教育などの他の分野にしても、
   それに対する適切な対策が立てられないからです。

   で、えーっと、これから私が(ひげさんに)聞く事は、
   (このB国のデータがメチャクチャな理由が)
   (上述の)一般論の話に入る(内容な)のか、
   入らない(内容な)のか、(私は)知らないんで、
   そういうことをとりあえず聞きたいわけです。

・・・

B国のデータの問題は何か?


山本 でその、紙の媒体で各診療所や、
   ヘルスセンター、ま保健所ですね、
   から来るデータに関してですが、
   ちゃんとやってたんですか?
   人々は?

ひげ 全然ちゃんとやってなかったです(笑)。

山本 あ、全然ちゃんとやってないんですか。

ひげ もー、もぅ酷いですよ。

   あの、ま、2つあって、
   診療所の(データの問題の)種類が2つあって。

   1つはまぁ「時間通りに全然来ない」と。
   タイムリネス(指定された日時までにデータが来ないん)です。

山本 あの、働く場所に働く奴が来ないということ?

ひげ あのー、違います違います。
   「レポートを、月初の5日までに届けろ」
   という話なんですよ。

山本 要するに、マンスリー・レポート
   (月ごとの報告書)を出せと。

ひげ マンスリーレポート、はい。
   月初に出すのが、ま、決まりになってるんですけれども、
   それはもぅ、こうやって(遅れて)出てくる訳ですよね、
   それが1個。

   で、(二つ目の問題が)データの質そのものが悪い。

山本 なるほど。

ひげ 質っていうのはどういう事かと言うと、
   空欄があるとかですね、
   空欄なら(まだ)良くて、空ページがあったりだとか。

山本 アハハハハハ(笑)。

ひげ アハハハハハ(笑)。
   空ページがある、空欄はまだ良い方です(笑)。

   あとは、明らかに間違えた計算間違い。
   えーっと、
   今月は15人の患者がヘルスセンターに参りました、
   でそのうち2人死にました。
   で15−2は13なんですけども、
   15−2が14だったりだとか、10だったりする訳ですよ。

山本 はい。

ひげ ていう様な明らかな計算間違い。

山本 なるほど。

ひげ とかですね、あともう1個は不一致。
   不一致っていうのが、
   月末の入院者数と、次の月の月初の入院者数って、
   必ず一致しますよね?

山本 はい、はい。

ひげ (人は)消えない訳ですよ、普通は。

山本 はい。

ひげ ですけど、何故か一致しないんですよね。
   先月の月末の入院者数と、
   今月の月初の入院者数がずれてる訳ですよ。

山本 はい。

ひげ だからそういう不一致とか結構あって、
   ま、空欄、空ページ、計算間違い、不一致、みたいな。

山本 はい。

ひげ そういう様な「エラー」(データ記載上のミス)が、
   明らかに分かる様なのが一杯あるんですよ。

山本 はい。

ひげ で、まぁまとめると、
   1)時間的にルーズであるということと、
   2)レポートの質がそもそも悪い、
   ということが、ま、問題ですね。

山本 ま、その2つが最大の(問題)ということですね?

ひげ そうですね。

・・・

具体的にどうしたか?


山本 で、何をしようと思いました?

ひげ とりあえずですね、
   ま、1)勿論時間を正確に出させるというのと、
   その、2)レポート内のエラーを減らす。

   だからまぁ、簡単に言うとですね、
   (病院の)レジスターに書いてある、
   レジスター、記録簿ですね、
   カルテとかにですね、
   皆さん手書きでちゃんと書いてる訳ですよ。

   で、(その病院の)記録簿に書いてあるものと、
   (県に提出してくる)レポートに書いてあるものを、
   イコール(同じ)にすると。

山本 はい。

ひげ 僕が行った時の現状は、
   レジスターに書いてある事と、
   レポートに書いてあることが、
   全く一致してない訳ですよ。

   全く、まぁ全くではないですけれども、
   かなり違う事が書かれてると。

   で、これをイコールにすることを、自分の活動にした訳です。

山本 なるほど。

ひげ で、行った時に、まその、
   レポートのエラーを数える訳ですよ。

   で、そうすると、月にだいたい、
   15の病院の、90個位のエラーが、

   その空欄、空ページ、不一致とか計算間違い、
   90個位あるんですよね。

山本 はい。

ひげ で、まそれを減らしていくと。

   その為にまぁ、何が必要か。

   ま、テクニックがまず必要だ、
   (県が)何を求めてるか(病院の担当者が)分からないから、
   空ページ、空欄が出てくるんだと。

山本 はい。

ひげ ここの空欄は、何を書けばいいのか分かってない訳ですよ。

山本 はい。

ひげ まぁ、そういったマニュアル作りから始めて、
   えー、まぁ色々もぅ、幾つも幾つも対策立てて、
   エラーを減らしていこう、
   という様なことをやってたんです、はい。

・・・

アフリカの人を、どうやって真面目に働かせるか?


山本 まー私は・・、
   B国と言いましたけれども、
   アフリカは皆そうなんですが、
   時間守る奴なんかまずいなくてですね、
   まずその、省庁に来る奴も遅刻しますし、
   来ても何もしないでボーっとしてる奴も一杯いますし、
   ていうのが(普通の)アフリカです。

ひげ (笑)。

山本 B国もかなりそういう国でしたねぇ。

ひげ えぇ。

山本 まある意味、皆幸せでのんきで。

ひげ えぇえぇえぇ。

山本 ま、日本人の真面目な奴から見ると、
   こんなにふざけて働かない奴ばっかの、
   とんでもない国無いな、っていう。

ひげ アハハハハハ(笑)。

山本 で問題は、外国人の私やあなたが行ってですね、
   いきなり、ま、
   「時間守って」って言って、
   「レポートは月末までに出せ」ってことを言って、
   言う事きくのかっていう。

ひげ あー、そうですね。
   それがですね、(いうこと)きいたんですよ。

山本 どうやりましたかね?

ひげ それはですね、あの、
   カウンターパートという同僚がいますよね?

山本 ・・ま、色々な場合があるんですが、

   (政府系の国際協力の場合、)
   カウンターパート(仕事の相棒として割り当てられる人)は、
   途上国側の公務員の誰かの場合や、
   ヘルスセンターの関係者の場合等があるんですが、
   あなたの場合はどれがカウンターパート、相棒でした?

ひげ 相棒はですね、統計部門の統計担当ですね。

山本 地方自治体、県の?

ひげ 県レベルの統計担当。

山本 地方自治体の、地方公務員の統計担当。

ひげ はい。
   統計担当で、彼の職業は看護師でしたね。
   看護師兼、統計担当という形で。

   で勿論、その、(私が県の部署に)行った時にですね、
   えー、

   (もし私が)彼に、
   (病院から)時間通りに(レポートを)出させて、
   (データの)質を上げなきゃ駄目だよって言っても、
   (彼は)それはやらないと思います。

山本 は。

ひげ 何故かっていうと、
   (彼には既に)彼の普段の仕事があって、
   更に「データ品質改善」をすることは、
   彼にとって仕事が「純増」しちゃうから、です。

   彼はだから、そんなこと言っても乗り気にならない訳です。

山本 はい。

ひげ でそれ自体は、(私の)社会人経験から、
   人にもの頼む時は駄目だということを分かってたので、

   じゃ、いかに彼の得になるように、

   データを減らしていかせたりとか、
   その、
   時間通り出来るように(すると得になるかの)
   説明が(僕に)出来るか、が、
   まぁ求められたんですけれども。

山本 なるほど。

ひげ でそれ自体は、結構簡単に見つかって。

   彼は、月末になると、
   (病院から)出てきたレポートを見てですね、
   空ページがあると一応電話するんですよ、
   (各病院の)担当者に。

山本 はい。

ひげ 「お前この空ページ空欄だけど、どうなってんだーっ」
   つって。
   「お前今から、そっちのレポート見て言え」
   とか言って、書いてる訳ですよ。

山本 はい、はい。

ひげ で他のレポートが来ると、
   またそれについても電話してる訳ですよ。

山本 はい、はい。

ひげ で、また遅れてレポートが来ると、
   またそれについても電話してる訳ですよ。

山本 はい、はい。

ひげ も、そんな事で、もの凄い時間を使ってるんですね。
   レポートの修正に時間を使ってるのが、
   ありありと見えた訳ですね。

山本 はい。

ひげ これは、データの品質を上げて、エラーを減らせば、
   彼はデータに、その修正する時間を減らして、
   他の業務に時間を回せると。

山本 えぇ。

ひげ ていう事が分かったんです、すぐ。

山本 は。

ひげ 気付いた、気付いたんですよ。

山本 は、なるほど。
   そのカウンターパートの、得になるから、
   お前皆に啓発しろと。

ひげ そうなんです、そうなんですよ。
   要するに、ま、僕は、
   簡単に言うとそういう事なんですけれども、

   ま、言う時は、
   「君が凄く丁寧に時間を使って、
    データを修正してるのが分かった」と。

山本 はい。

ひげ 「でもそれにはもの凄い時間がかかって
    大変そうに見える」と。

   「僕と一緒にデータを改善しさえすれば、
    データの修正時間が減って、
    もっと他の事に時間が割けるんじゃないか」と。

   「やってみないか」って言ったら、
   「実はそうなんだよ」って言って、
   て話になって、
   全面的に協力してくれる事になったんですよね。

・・・
・・・

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