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カウンターパートと、各病院のためのマニュアル作りと指導


山本 カウンターパートってまず、第1段階ですよね?

ひげ はい。

山本 問題なのはその先で、
   カウンターパートが、
   ヘルスセンターとか診療所や病院にいる、
   もっとボケてる(なまけものの)人達を
   どうやって説得できるのかってのを知りたいですけどね。

ひげ (頷く)、アハハハハ(笑)。

山本 (私は)そうとう自信無いですけどね、やれって言われても。

注:
WHO(世界保健機関)は、
ここ10年ぐらいの間、一貫して、
途上国最大の保健課題の一つとして、
HSS(health system strengthening)をあげている。
これは何かと言うと、
途上国において、国、州、県、村、各医療施設というように
上から下へ指示を伝えたり、下から上へデータを渡したり、
することがうまくいかない現状があるため、
それを改善することが急務だ、としている。
つまり、この改善は、それほど難しい課題なのである。

ひげ それはそれでですね、
   まぁまたあのー、ま、マニュアルを彼と一緒に作って、
   えー…。

山本 紙で、ですよね?

ひげ そうですね、エクセルで作って、
   それをプリントアウトして、冊子にして、
   えー、(病院の担当者に)渡しながら説明してった訳ですよ。

   (毎月)レポートを出しに来るので、その時に、
   「お前は今回ここのとこが間違えてたから、
    次回はちゃんとこういう風に書いてくれ」
   みたいな、マニュアルを渡しながら、
   こぅ説明しながらやったってのが、
   ちょっとこれがまぁあれなんですけど。

山本 は。

(ひげさんが、自分のパソコンを立ちあげ、、
 レポートの記載ミスの数が毎月減っていったそのグラフを見せる)

ひげ (グラフを指しながら)、
   私がB国に着いたのが、ここ。
   で、すぐに(問題点を)調べて、
   (改善するための)マニュアルを
   その月のうちに作ったんですよ。

山本 はい。

ひげ あの、8月の10日に赴任して、
   9月の頭にはマニュアルが出来てたみたいな感じ。

   かなり高速で仕事をしたんですけど、
   マニュアルを配りながら説明をして、
   ま、一気にエラーの数を、30%位下げて。

   でその後、上がっちゃうんですよね、
   マニュアル効果もここまでかって事で、
   ま、ここまでは主にレポートのテクニックについて。

山本 ふーん。

・・・

各病院のミスを広報誌で公開し、モチベーションの向上へ


ひげ (レポートの書き方とか、テクニックについて)
   指導した訳ですね。

   で彼と、彼というのは、カウンターパート話した時に、
   「あと何が足りないだろうね?」って言った時に、
   「モチベーションだろう」と。

山本 はい。

ひげ 「テクニックと、やっぱモチベーションがないと、
    もっと(エラー数は)落ちないよ」って話になって、
   「じゃぁモチベーション上げるには
    どうしたら良いんだろう?」って、
   ま、彼と一緒に話してたら、
   「じゃぁ」(と)彼が提案した、僕じゃないんですよ、
   えー、
   「各病院のエラーの数を、
    レポート内のエラーの数を公開しよう」と。

山本 は、は。
   アハハハハハ、なるほどね(笑)。

ひげ A病院は15個、B病院は1個。
   で、私、元々営業出身だったので、
   そういうの(各自の業務成績を出すこと)には慣れてるし、
   嫌な思いがむしろある訳ですよ。

   いや、良い思いもした時ありますけど、
   嫌な思いもある訳で、どうかなーって言ってたんですけど、
   いやB国はね、こういうの楽しんでやるんだよと。

   ということで、毎月ですね、
   彼と一緒に広報誌を出して、
   そこの第一面に、
   今週のA病院は15個のエラーがありました、
   C病院は1個でしたという事を皆に配る訳ですよ。

山本 なるほどー。

ひげ そうすると、それ(広報誌)を病院に持って行く訳ですね。

山本 はい。

ひげ でー、病院に持って行って、病院内で見られる訳ですよ。

山本 はい。

ひげ そうすると、院長がバカにされたりするんですよ。

山本 ハハハハハ(笑)。

ひげ で、もしくはそれぞれの病院のスタッフが、県病院とかで会うと、
   「お前んとこ酷いねー、バカか」、
   とか言われる訳ですよ(笑)。

山本 なるほど。

ひげ そうすると、良い病院は誇らしげなんですよ。

山本 はい。

ひげ 悪い病院は恥ずかしくてしょうがない訳ですよ。

山本 はい。

ひげ で、これがモチベーションになってるんですね。

山本 なるほど。

ひげ で、ガガーっと、また(エラー率が)3割減る訳ですよ。

山本 なるほど。

ひげ (グラフを指しながら)ここはもっと、半分位減ったかな。

山本 しかしそれ(病院の汚点を世間にさらすこと)はねー、
   多分、出来る国と出来ない国があると(思います)。

   中東のねー、イスラム圏の
   本当に(イスラム教に対して)真面目なところでやると、
   (外国人が)殺される可能性とかあるので。

   ま、アフリカのイスラム教はかなりいい加減、
   だったりするので、(大丈夫かも)

   あとB国は、キリスト教結構多いですよね。

ひげ はい、はい、2、3割いますね。

山本 キリスト教は割とあの、安全なんで、
   何やっても大丈夫ですけど。

ひげ えぇえぇ、そうなんですよ。

   私もそれはあの、テクニックとモチベーションの、技術、
   そういう面から攻めるのは多分限界があるだろうな、とは。

   というのは、ちょっと薄々感じてました。

山本 なるほど。

・・・

ワークショップで仕上げをし、データ品質改善は大成功!


ひげ で、最後にまあの、協力隊大好きのあれですよ、講習会ですよ。

山本 あー、はいはい。

ひげ 協力隊が大好きな(笑)。
   皆よくやる。

山本 はい。

ひげ まそれをですね、
   一応テクニックとモチベーションの確認として
   最後にこぅ、
   「ワークショップ」を行って、
   で最後はまぁ、(エラー率を)10(%)そこそこまで落としたと。

注:
ワークショップとは、
各自が積極的に参加・発言をする形の講習会・勉強会

山本 なるほど。

ひげ でこれが、7ヶ月8ヶ月位、赴任して7ヶ月8ヶ月位。

山本 んー、なるほど。

ひげ で、まぁ面白くなっちゃた訳ですよね。

山本 はい、はい。
   で、うまくいったなー、しめしめと。

ひげ しめしめなんです。

山本 なるほど。

ひげ でこの後に、ま、あのーたまたま、
   統計隊員が他にも2名来たので、彼らと一緒に、
   じゃぁ今やった事を、じゃぁ全国でやろうって。

山本 はい。

ひげ てことで、
   まぁ全国に向けて「パッケージ」を作っていって、

注:
パッケージとは、
複数のプロジェクトなどを順番に行ってゆくセットとしての計画

   保健省に持って行って、こぅ…、
   こういうパッケージでやれば
   (エラー率が)下がるから、やろう、
   みたいな話をしてたんですけど、
   結局それは
   「スケールアップ」が上手くいかなくて、こー…、

注:
スケールアップとは、
村から県、県から州、州から国、などのように
小さい地域で成功した実例(モデルケース)を
より広い地域で導入させようとすること。

   最後の半年位かなー。

山本 は。

ひげ 残った機関は、やっぱり州(で)、
   ・・州を飛び超えちゃったから・・

   州でやれる事、
   (そのための)パッケージに作り直して、
   で後任に引き継いで、
   彼らに州レベルで、州レベルでやってもらうって事で
   帰って来た。

・・・

ゴミデータからは、ゴミの結果しか産まれない


山本 なるほど。
   いや、でも良いですよ。

   さっきのあの、(最初の話に)戻りますけど、
   (今後、B国で、保健関係の)プロジェクトが作られる時に
   最大の問題になる、

   統計データが正しいか、
   「客観的指標」と言われているものが正しいか、
   「指標入手手段」が適切か、
   という部分を改善しようとしてますからね。

   もしそれらがいい加減だと、
   その(後に生まれてくる)プロジェクトが(全て)、

ひげ どうしようもないですよね。

山本 どうしようもないんですよね。
   ていうのを改善してますので(いいんじゃないかと)。

   いや、多分そうだろな(そういう活動だったんだろうな)
   と思って(いて)、
   最初から後で聞こうと思ってたんで(すけど)。

   いや全く良い(活動だった)と思いますよ。

ひげ はい。
   まさに本当に、
   元々悪いデータを使って、それで計画を立ててるってのは、
   少し滑稽な話ですよね?

山本 そうですね。

ひげ 国レベルでも、プロジェクトレベルでも。

山本 えぇえぇ。

山本 元々その、はっきり言うと途上国のね、データなんて、
   まともに(地方から国へ)上げてきてるわけないから、
   いい加減なデータ使ってる訳ですよ。

   (そこからデータをもらっている)国連でさえも。

ひげ はい。

山本 何でこんなプロジェクト作ってんの、
   バカじゃないのっていうのが、
   ざらにあるんですよ。

ひげ ありますね。

山本 それをね、あの改善するのが、最も重要な、

ひげ えぇ。

山本 要するにプロジェクトやる前の
   事前調査・統計調査こそ1番重要なんですよ。

ひげ えぇえぇえぇえぇ、えぇ。
   本当に効率を求めるんだったら、
   ここから直さないと効率になりようがない。

山本 そうですよね。

ひげ えぇえぇえぇ。
   よく何かあの、統計の世界で、
   「ガベッジ・データ」(garbage data)、何だっけな、

   「ゴミデータはゴミの結果を出す」
   っていうんですけどねー。

   「ゴミデータ使ってゴミのような結果出してる」と。
   と、言われても仕方ないようなデータですね、はい。

注:
中庸を期すために書いておくが、
途上国でプロジェクトをやる前の
事前調査(統計調査)が重要なのは本当だが、
しかし、
その国の、例えば保健(医療)部門に使えるお金
(先進国からの援助額)は
たとえば1億円などと決まっている場合があるため、
事前調査(統計調査)の部分だけにお金をかけすぎると、
次に行われるべき、「実際の医療の改善プロジェクト」を
実施するためのお金がなくなってしまう、
というジレンマがあることがある。
このことも、以前から問題になっている課題の一つで、
データ品質改善と、医療プロジェクト実施の費用は、
あくまでも全体をみた上でのバランスが大切。
例えば、
事前調査に、プロジェクト費用の何%までかけるのか、
ということを最初に決めることも大切。
が、
もちろん、この、ひげさんのプロジェクトは、
データ品質改善、自体が目的であるので、
上記の問題は発生していない。

・・・

モチベーションを上げるのに報奨金は使わなかったのか?


山本 あともう1個あの、
   さっきのモチベーションを上げるので、
   抜けてた議論はですね、
   いわゆるその、インセンティブと言って、
   えっと途上国の、あのー、公務員の給料が安いので、
   (まじめに働く気が、全然おきないので)

   ま、主にNGOとかですね、場合によってはあのー、
   国際機関や政府機関も、
   給料の予備みたいなものを、

   要するに「報奨金」と言われる、
   「インセンティブ」(incentive)と呼ばれるものを渡して
   やる気を上げるという事をやる場合もあるんですけども、
   それはやってました?

ひげ やりませんでした。

山本 あーやりませんでした。

ひげ 一切金品物は無いです。

山本 あそうですか。

ひげ というのも、何故それを使わなかったかというと、
   やっぱりその、インセンティブっていうのは、
   「飴とムチ」になると思うんですけど。

山本 まぁ飴ですよね。

ひげ そうですね。
   あのー、そうですね、通常は飴をよく使いますね。
   えーでも、統計のデータって、
   「良くて当たり前」なんですよね。

山本 えぇ。

ひげ でー、それに物や金を上げるのはいかがなものかと。

山本 はは。

ひげ 良くて当たり前のものに、
   物や金あげて、
   将来的に(協力隊が撤退して)物金が無くなった時に、
   じゃぁやるのかって時に、やらない訳ですよね。

山本 えぇ。

ひげ じゃぁやっぱり、その飴をインセンティブにしちゃいかん。

山本 はい。

ひげ ムチだと。
   逆に…。

山本 (まじめにデータを出さないと)「給料下げるぞ」と、
   逆に。

ひげ むしろそれだったら有りですけど、
   そこはもぅ
   (協力隊隊員にその国の地方公務員の)人事権は無いので、
   どうするかって時に、彼と話し合ってたんですよ、
   そのカウンターパートと話し合ってた時に、
   「飴は無理だ」と、「やめよう」と、
   「ムチはどうしたらいいか、じゃぁ恥ずかしさを与えよう」、
   と話して、
   あの、(広報誌で各病院のミスの数を)広報して、
   全員の(データのミスの)数を(知らしめました)。

   あれがインセンティブです、僕らの。

山本 なるほど。

ひげ はい。

・・・

・・・

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