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日本の地域医療の病院で、海外の国際保健をやる医師の育成

 
山本 他に(将来の道は)何ありますかね?

拓也 えー、僕としては
    
   日本で臨床をやるのであれば
   今はK大学の医局に属してますけれど  
   
山本 はい。 
 
拓也 S病院に戻りたいと思っています。
     
山本 研修をやったS病院に戻りたいと思っている?

拓也 はい。
   S病院はもともと国際保健、医療に関しても
   えー、病院の理念にしても
   (世界に)貢献していくと宣言しているし、
   今はS病院の方々も
   国際協力に力を入れようといったことに
   なってますので
   そこでの道を探っていくのも
   1つかなぁと思っています。

山本 いいこと言いますね。  
   この間、私、S病院訪れて、
   K診療副部長とお話して
   盛り上がってたんですけれど。

拓也 ふふふふっ(笑)  
   はい。
 
山本 まぁ、もしかすると、
   私も 5%ぐらいの確率で

   あのー、S病院に行って、そういうことのお手伝いを
   アドバイザー的な感じかもしれませんけれど
   やる可能性は、あるかもしれないです。
       
   なので、もし将来そのようなことになっていたら
   よろしくお願いします。

拓也 よろしくお願いします(笑) 

   ま、非常に可能性はあると思います。 

山本 ま、要するに、私も最近
   さっき言った
   IFMSA(国際医学生連盟)や
   医学生ゼミナールでも
   しゃべっていたんですけれど  

   地域医療と国際保健の融合した形での病院を
   あのー、地域医療が崩壊している
   (日本の)無医村あたりにぶっ建てて、
   (そこで、地域医療と国際協力の融合をやろうと思っています。)
   
   まぁ
   (既にある、具体例として、趣旨は、だいぶ違いますが)
   岡山県にアムダっていう
   病院(および国際協力団体)があるんですけれど

AMDA(アムダ) - 救える命があればどこへでも
http://amda.or.jp/

   そこで行われている制度のように、

   国際協力をアジア・アフリカ等でしたい医者が
   日本に帰ってくると
   就職する場所がなくて
   困るという状況を救済するために

   日本の地域に病院を作り
   えー、
   日本にいる間は、そこでがっちりと
   年収が1000万円ぐらいもらえる病院を作ると。

(注:病院に勤務する医師の平均年収は、約1000万円前後。
 開業医の平均年収は数千万円以上なので、それよりは安いが、
 日本人の平均年収は500万円前後なので、それよりは高い。
 私は、自分が医者なのに、医師の給与は高すぎる、ということを
 提唱している数少ない(変な?)人の一人。
 なんでかというと、介護福祉士の方の収入が
 月給で10万円ちょっと、年収で200万円前後と薄給なのを知っているため。
 しかし、一般の医師は、通常の医師の給与と同じぐらいの
 年収を欲するので、それに合わせた形で、
 地域医療と国際協力の融合のシステムを作らないといけない。)

   で、アフリカに半年ぐらい行く場合も、
   (まず、普段からの貯金はあるし)
   派遣中も、25万ぐらいの給料を保証してですね、
   かつ、
   日本に帰国した後も、
   地方にある地域医療の病院に、すぐ戻れる(再就職できる)、
   だから、
   アジア・アフリカなどの途上国に「行ける」、
   というような体制を作るのがですね、
   理想的だということですね。

   えー、ていうようなのが、
   地域医療と国際協力の融合がね  
   出来るのがベストじゃないかと
   個人的に思っているんですよ。

   ま、そんなところですかね。

・・・

直接的な医療をする国際協力と、間接的なシステム作りの国際保健


山本 あっ!!
   あ、あと最後の質問がですね、
   (話が)飛んでたんですけれど、

   私の方にも(国際協力をやりたい)医者や看護師が
   いっぱい来るんですけれど、
   普通、国際協力をしたい医者や看護師と言うのは
   直接、自分で患者さんを診療する、  
   診察や治療をしたいと思っているんですよ。
   どうしても。

   だから、普通の国際協力をやりたい医者は
   国境なき医師団とか、
   そこのように   
   直接自分で患者さんを診療する
   「途上国の現場に行きたい」と考えている
   医者が多いと思うんですけれど。
   まっ、8割以上がそう、のはずです。

注:
途上国で、直接、自分で患者さんを診療する国際協力を行うのは
民間のNGO(非政府組織)だけ。
例えば、国境なき医師団など。
政府系や国連系の国際協力は、
自分で直接、患者さんを診療したりはしない。
その途上国の政府(保健省)や地方自治体に働きかけ、
保健のシステム(医療、公衆衛生など)を作っていくことを
手助けする活動をする。
つまり、首都などで会議をたくさん行い、書類を作成し、
政策提言などをするのが、政府系国際協力や国連の仕事。
直接的な医療行為は、基本的にしない。
その国の(公務員などの立場として雇われている)
(途上国側の)医師や看護師が、患者さんの診療をする。
(それがうまく機能するような保健システムを作るのが
 国連や政府系国際協力の仕事。)
(日本人などの)外国人は、
案件発掘・政策提言・プロジェクトの実施(と監視)・
フォローアップ(効果判定)
などを行う。
   
   で、あなたは経歴だけを聞いていると
   ぶっちゃけ(直接的な医療行為のボランティアを)
   やったことがないですね。

   要するに例えば、えー、
   学生時代にそのウガンダで
   AIDS孤児のために学校を作りましたよね。

   あとは今、PLASになってからも
   えー、ケニアで母親から子どもへの
   HIV(の移行)を予防するための、
   その社会システムのようなものを、
   つまり、妊婦健診を推奨するシステムを作ったり、

   ま、ウガンダで
   エイズ孤児のための学校を作ったりしてますけれど、

   ま、直接、(医師として患者さんへの)診療活動を
   アフリカでやったことは(あるか)…? 
 
拓也 ないですね。

山本 ないですよね。  

拓也 はい。 
 
山本 えー、これで、
   それで、  

   次にはっきり言うと政府系である
   国立国際医療研究センターの最大の仕事は、

   はっきり言うと、
   途上国の保健省等、地方自治体に
   医療政策を提言するってのが
   国立医療センターの最大の仕事ですから
   
   っていうような(状況なんですが)、

   そういう意味ではあなたが辿ってきた
   国際協力の道と言うのは
   普通の国際協力をしたい人の道とは
   ちょっとずれている所でやってるんですよ。

(注:普通の医師・看護師は、
 まず、自分で直接医療行為をする
 NGO的な活動をやりたがる。
 少なくとも、最初は。)
   
   普通に、一般的に言って。

拓也 はいはいはい。 
    
山本 で、(K大学で)あなたの隣に私の本を読んだ、
   私のファンの女の医学生がいたと言いましたけれど
   そういう人は、

   彼女は今何をやってるか置いといてですね、

   直接自分でアフリカに行って
   困っている人の医療をしたいと思うところから
   国際協力を始める子が普通は多いんですよ,
一般論としては。

拓也 はい。 
 
山本 あなたそういうことは
   考えなかったんですか?   

拓也 もちろん、少しは考えましたけど
    
山本 えぇ。  

拓也 やっぱり、現場にいる中で
   もちろんそういった緊急支援だとか、
   そりゃまた別だと思いますが、
  
山本 はい  

拓也 そういったAIDS孤児だとか
   HIVの現状を見る中で、
   
山本 えぇ。  

拓也 自分が医療者として
   そこにいたとしても非常に無力だなと(思った)
  
山本 はい。  

拓也 それよりも(政府や地方自治体が作る)システムだとか
    
山本 はい  

拓也 政策だとかそういったことにに関わった方が 
   えー、断然有効だと思うので、 
   自分としてはもちろんそういった方で  
   進めていきたいなと思います。

山本 そっか、なるほど!!  

(注:きっと政府系国際協力のN先生の影響・指導があったのだな、
 と、ここでは山本は頭の中で考えた。)
   
   そうですか…。

拓也 そんなに、
   そんなになるほどってことは
   言ってないと思うんですけど 
 
山本 いえいえ。
   
拓也 もちろんAIDS孤児の問題に直面した 
   そのアフリカの村でも
   その保健センターで
   ボランティアをしたりだとかしていたんですけども
   
   そこに例えば医者として(自分が)行ったとしても
   まぁほとんど何も変わらないですね。
 
山本 はい。  

拓也 それを労働力として
   (医師の数が、一時的に)
   「プラス1」になっているだけで
   問題を変えられる力は
   ほとんどないと思うので
    
山本 はい。  

拓也 そんなことよりも 
   やはりそういったシステムだとか
   そういったものに携わっていた方が…。

山本 (途上国の)社会のシステムを作ったり、
   最終的には国もしくは地方、県ぐらいの
   地方自治体に政策(提言をし)

   医療政策を地方自治体等でやっていってもらう方が(良いと)。

   まぁ、
   JICAや、国立国際医療研究センターが
   やっているようことの方が
   (直接的な医療行為よりも)
   重要だと(思った)。
   
拓也 そうですね。
 
山本 まぁそれは最終的には
   正しいんですけれども、

   普通、最初からそっちに気づく人ってのは 
   少ないので、  

   やっぱり、
   (学生時代に、あなたを指導した、
    国立国際医療研究センターの職員で、
    国際保健医療学会の学生部会の面倒をみている)
   N先生は偉いというか…。
   
   まぁ国際医療保健学会の方で
   学生のころから関わっていたのが
   良かったんだな、と思いますけどね。
   
拓也 はい。 
 
山本 ただ、1点だけ言っておくと、

   えっと国際協力には2種類あって
   えっと、緊急援助と開発援助っていうのがあって
   
   いわゆるICRC
   Internatinal Comittee of Red Cross
赤十字国際員会とか国境なき医師団っていう
   いわゆるNGO
   Non-Government Organaization
   非政府組織が

   あー、戦争やってるまっ最中や
   地震が終わった24時間以内に
   本当に困っている人がいる処に駆けつけて、
   外国人が、自分で医者をやることを 
   「緊急援助」っていうんですけれど
   先生はこれをやったことがないので、
   まぁ(政策提言的な方が重要だという)
   そういう発想になっていったんだ、
   という側面もある、ということですね。
   
   批判するわけじゃないんですけれど
  
   でー、要するに、あの、いわゆるJICA…、
   先生の関わっているような
   現在の、ウガンダ、ケニアなどの国は、
   えー、そこで行われている国際協力の形は
   いわゆる「開発段階」・「開発援助」と言われていて
   紛争がもう終わっていて
   その国の政府が確立している安定した状態の時に
   まぁ医療援助をぼちぼちやるようなことを
   開発援助というんですけれど
   
   そういう段階を先生は見たり、
   学会で聞いたり多分したので
   
   えー、自分で、医者をやるのではなくて
   (途上国に)政策、医療政策を作ることが
   大事だという風な(思考の)流れに
   なっていったんだっていうことですね。

   (それがいいか悪いかは別にして。)

注:
仮に、世の中で最も困っている人から順に、
優先的に国際協力をするのが、最も正しい人道援助だ、
と考えた場合、
紛争地帯で今まさに死にゆかんとする人々を救う
「緊急援助」のほうが、より正しい国際協力だと言える。
「開発援助」は、それに比べると
比較的、(今すぐは)困っていない人に対して支援が行われている。
日本政府の政府系の国際協力は、
紛争が終わって政府が確立した段階で行う
「開発援助」だけを行う。
「緊急援助」は原則として行わない。
だから、民間のNGOが行う「緊急援助」のほうが
より正しい国際協力だ、とする意見もある。
こうした考え方も、
「どんな国際協力をすることが最も正しいのか?」
を考える上で、知っておく必要がある側面の一つ。
   
   一方でもしも
   その戦争をやってる最中の
   それこそ私が行っていたようなアフガニスタン、
   (当時)内戦中のシエラレオネなどのアフリカの国だとかに
   
   本当に困っている人のところに行った場合は
   医療施設が一つもないと
   医者も一人もいない所に行った場合は

   (しかも政府も地方自治体も満足に機能しておらず、
    政策提言も保健システムを作ることも不可能な状況では)
   
   まぁ自分で医者をやらなきゃいけない場合も
   あるのかな、という、あのー、
   発想になるんだと思います。
   
   あのー、もちろん、
   「持続可能性」を
   現地の人の(現地の人自身による「開発」の)
   持続可能性を考えた場合、
   開発援助型の考えが
   正しいと思うんですけど
   
   あのー、
   本当に困っている人がどこにいるかというと
   緊急援助の方にいるので
   
   えー、まぁどっちが偉いか(正しいか)というのは、
   もちろん全然ないのですけれども
   
   まぁ先生の場合、開発援助の方の
   現場を見たり聞いたりした機会が
   多かったんだという風に
   私は単純に感じますね。

拓也 はい。
  
山本 まぁ、でも、それはそれで
   いいんじゃないですかね、
   基本的には。 

   緊急援助の世界は基本的に
   あのー、「飯が食える場所」
   (有給の、給料がもらえる職場)があんまりないので…。
 
   一部、例外は、ありますけれども。
  
   その一方で、政府系の、
   国立国際医療研究センターやJICAは
   開発援助だけをやってる組織なんで
   緊急援助はやらない組織ですが、
   あの、結局…、
   開発援助だと(政府から)お金がもらえる、
   (国家公務員またはそれに準ずる形で雇われるので)
   国際協力をやりながら、お金をもらえる。

   緊急援助でお金がもらえる所っていうところは(少なくて)
   国連の、
   UNHCR(国連難民高等弁務官)と
   WFP(世界食糧計画)と
   PKO(国連平和維持活動)関係と、

   あとは
   NGO(非政府組織)でも、
   国境なき医師団などの超大型有名団体の中で、しかも、
   組織内の立場が、ものすごく偉くなった場合です。

(具体的には、国境なき医師団の場合、
 先進国側にいる事務局長にしろ、
 途上国側の首都にいるカントリー・マネージャーにしろ、
 月給50〜60万円前後が支払われる。
 ちなみに、偉くなる前の、
 初めて途上国にいく医師・看護師などには、
 月給13万円前後が支払われる。)

(さらに余談として、
 国境なき医師団のような大型のNGOではない、
 日本の弱小NGOの場合、
 もらえても、月給10万円以下。
 通常は、無給のことが多く、
 かつ、海外へ行く時の交通費なども
 自腹(自分の負担)であるのが普通。)

拓也 ふふっ(笑) 
 
山本 私が、国境なき医師団に入った頃は、
   当時、(月給が)5万円でしたから
   (あまりに待遇が、ひどかったのですが)
   今、(月給)13万円に増えたので、まだいいんですけれど。  

   えー、というわけで、
   (緊急援助型の国際協力をやりたいと思っている方の)
   日本人の医者の方の(自分の生活のための)
   「持続可能性」が無いというのが現実ですね。

注:普通は、
援助をされるほうの、途上国側で
医療の「持続可能性」が確保できるように
予算の安定的な確保や
スタッフ(途上国の医師・看護師)の育成、
などに配慮するのが重要、とされている。
(これが、国際協力の基本概念の一つ。)
しかし、ここでは、
先進国側で、援助をしようと思う人が、
(給料がもらえなくて自分の生活を維持できないから、)
やりたくてもできない、という意味で
持続可能性がない、という風に使っている。

拓也 そうですね。 
 
山本 というわけで先生は、はからずも
   (政府系の)開発援助の方に
   初めから行ってしまったので 
   (もし就職に成功すれば) 
   給与の問題を、ですね、
   考えなくてすむので
   ある意味幸せだったり…。

拓也 ふふふふっ(笑) 

・・・

・・・

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