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伊勢崎賢治さんは、1957年生まれ。

NGO及び国連職員として現地での紛争処理などを行ってきた。
武装解除に関係する仕事の実績が多数あり、
「紛争屋」を自称している。

2001年〜2002年には、国連シエラレオネ派遣団として
私と同じ時期に(西アフリカの)シエラレオネにいた。

2003年、日本がアフガニスタンのDDR(武装解除)事業の
リード国(主導国)となった際、DDRを指揮し、
アフガンの旧国軍約6万名の、武装解除を2年間で達成。

注:DDRとは、武装解除・動員解除(軍隊解散)・社会復帰
(Disarmament, Demobilization, Reintegration)

現在、
東京外国語大学・地域文化研究科・平和構築紛争予防学講座
(PCS)の教授。

・・・

以下、彼が指導する学生の講座(ゼミ?)で
話していたことをピックアップ。

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貧困という問題は、はたして僕らの問題なのか?
問題としてあつかう限り、なくならないと思う。

貧困は僕らが所有しているわけではない。
国連でもない。NGOでもない。

彼ら(途上国の人)自身が所有している。

(貧困を所有している)彼らのことわりもなく、
募金を行い、先進国の富裕層から
かってにNGOなどが募金を行う。
かってに国連が各国から分担金を集める。

どのくらいの金額を富裕層からもらったと
(途上国の貧しい人に)つたえずに、
そこから(勝手に)手数料をとって、
(こちらで勝手に決めた)現物(支援物資)を配る。

これって、おかしくないか?

援助の仕組みは、おかしい。
変でしょ?

貧困は、一つの、プロパティー(所有する資産)だ。
変な言い方だが、そうだと思う。

その(資産の)所有者に、
それに対する投資をうながすために、

どのように(先進国で)宣伝したか、
どのようにそれを伝えたか、
どれだけの金をもらったかも(それを所有する人には)言わず、
集めたお金を使って、
勝手にこちらで使い道を決めている。

おかしい。
限りなく、おかしい。

国際援助の歴史は、わずか60数年。
浅い歴史しかない。

だから、
これから変えることができると思う。

つまり、
彼らはビジネスパートナーだ。

今、有機栽培のスーパーにいくと、
農家の人の顔写真と名前が貼ってあって、
「私が作りました」という広告がある。

これが、理想形だ。
途上国への支援を行う場合も、
本人の許可をえて、プロジェクトに参画してもらい、
名前と顔(の写真)を出して、
いっしょに考えながら、いっしょにやらないといけない。

そう、思う。

・・・

世界で起こったこと(事件)については、
「メモライゼイション」"memorization"
(過去の記憶をどうとどめるか?)
が重要だ。

カンボジア、アフガニスタン、スリランカなど、
かつて「大虐殺」が起こった紛争当事者国を
(テレビ会議で)結んで、
さっきまで他の授業の枠で、ディベート(議論)していた。

しかし、メモライゼイションには問題もある。

メモライゼイションは、一般論としては、
なぜするかというと、
そういう虐殺を未来に起こってほしくない、
ということだ。

でも、それ以外の動機で
これを利用する人がいる。

政治利用する人。

(戦争・虐殺をなくし、平和の大切さを謳うという)
普遍的な価値としてとらえているわけではなく、
即時的な、
国家やある組織の都合に、利用されている。

具体的に言えば、

広島・長崎(での原爆の被害)は、我々が被害者。
しかし、
第二次世界大戦(の全体)でみれば、我々は加害者。

つまり、
加害者の事実を「うすめたい」、
そういう目的で、政治利用されている。

日本の戦争責任を、回避したい。
忘れさせたい。
そう思っている誰かが、
そういう目的で、広島・長崎を使っている。

韓国・中国で、
広島・長崎をプロモートしよう(宣伝して広めよう)としても
広まらない。
「南京虐殺を忘れないでね」と言われるだけ。

ユダヤ人の大虐殺、いわゆる「ホロコースト」も
メモライゼーションすべきものの一つだが、
(広島・長崎の件と)状況は似ている。

ナチス・ドイツがユダヤ人に対して行った虐殺は
確かに大変な悲劇だったが、
今、(ユダヤ人の国である)イスラエルは、
もっとひどい虐殺を、隣りのパレスチナに対して行っている。

つまり、
その事実を「うすめる」ために
昔の「ホロコースト」を政治利用し、
自分たちは被害者であったことを印象づけようとしている。

少なくとも、そういう目的で
活動している人も、いる、ということだ。

「今、(イスラエルが)何をやっているか?」
それから目をそらす、という意図で動いている人がいる。

広島・長崎と同じなのだ。