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ゴミの処理・廃棄

(震災後の緊急援助のための)2週間の派遣が終わった時、
持っている全てのものを三つに分ける。

1)現地(被災国の)政府または地方自治体にあげるもの
2)日本に持って帰るもの
3)破棄するもの

これらは最終日に慌てて分類するのではなく、
毎日、診療をやりながらリストアップしておく。

以下、その詳細。

1)現地にあげるもの
 基本的に、日本語表記の薬剤は、破棄する。
 日本語で注意書きが書かれた薬物の場合、
 現地の人はそれを読めないので、
 誤った使い方をして、
 誤用や副作用で死亡する可能性がある。
 だから、破棄する。
 例外は、日本のNGO(ヒューマ)や、
 日赤(日本赤十字)などの
 日本の医療援助団体に、診療所を引き継ぐ場合。

HuMA
http://www.huma.or.jp/

日本赤十字社の国際部
http://www.jrc.or.jp/

 また
 英語等で書かれている場合も、
 それをあげた後、被災国の人が、
 なるべく使いやすいように説明書きを付記する。

2)日本に持って帰るもの
 日本から持っていった、
 薬などが入っていたジェラルミンケースは
 持って帰る。
 特注のため、1個30万円もする。
 それがいっぱいある。また作ったらお金が大変。

3)破棄するもの。
 ゴミ・医療廃棄物・生ゴミは、
 貯めてから破棄しようとすると大変なので、
 必ず毎日処分する。
 基本的には、燃やす。

 燃やしたことによる、環境への悪影響と、
 医療廃棄物をそのまま土に埋めた場合との悪影響を
 はかりにかけて考えるのだが、
 通常、燃やしてから、土に埋めることになる。

 なお、燃え残った注射器の針を現地の子どもが見つけると
 それで遊んで怪我をしたりするので、地中深くに埋める。

 途上国ででは、日本のような
 医療廃棄物の引き取り業者(1箱3万円で引き受ける会社)
 など存在しないので、自力でなんとかする。

 燃やす場合、あれば、ドラム缶を使う。
 ドラム缶の中で燃やすと、輻射熱の関係で
 中は800度ぐらいになり、なんでも燃やせる。
 内部を酸素化するために、横に穴をあける。
 穴をあけるために、
 テントを地面に固定するための杭を使う。

 なお、当たり前だが、火事に注意。
 被災地の子どもが面白がってよってくるので、
 その子どもに火傷(やけど)をさせないよう注意。

 また、燃やしたもの(灰)は、土中に埋める。
 しかし、ダイオキシンなどの環境汚染物質が、
 その灰の中にある可能性があるため、
 (井戸などの水源になる)地下水脈から
 少なくとも1.5m以上、離すことが必要。
 これを知るためには、
 被災地における、一般的な井戸の深さを調査し、
 そこから妥当な深さを判断する。

 また、医療廃棄物は、水分を含んでいることが多く、
 表面は燃えても、内部は燃えない。
 だからと言って、
 ガソリンをかけるのは危険だから止めたほうがいい。
 爆発する。
 時間をかけて、いろいろ、ひっくりかえしながら、
 燃やすしかない。けっこう大変。

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トイレ

 途上国のトイレは、
 仮に水洗であっても、つまりやすい。
 だから、便は流したとしても、
 トイレットペーパーなどの紙は、
 別に捨てる。
 別なビニール袋などを用意する。
 そしてそれを焼却する。
 貯めてから燃やすと臭い等が大変なので、
 基本的に毎日焼却する。

 (水洗トイレの場合でも)
 途上国は、断水が多いので、
 断水にそなえて、雨水などを 
 バケツで4つぐらいは貯めておく。

 途上国にトイレがない場合、
 携帯トイレを使う場合も多い。
 携帯トイレは、基本的に、ビニールの袋だが、
 最近のビニールは、
 (有機的な素材でできているためか)
 土中還元できるものがある。
 (地面に埋めると、分解されて、土になる。)
 こういう素材のものを持っていく。

http://www.kenko.com/product/item/itm_6902089272.html

 また、
 生理用品は、別に回収し、
 燃やしてから灰として土に埋める。

(日本の生理用品は、非常に特殊な素材でできているため、
 通常の方法で燃やしても燃えず、それを埋めても土中で分解されない。
 つまり、上記のような(簡易焼却の)やり方だと、
 最大の環境汚染になるものは、
 生理用品(と同様の素材でできているオムツ)である可能性がある。

注:
ナプキン、オムツ等に使われているのは、
高吸水性高分子(吸水性ポリマー)の一つ。
ポリアクリル酸ナトリウム (sodium polyacrylate)
これに、各メーカーが独自の工夫を加え、さらに数種の化学物質を加えたもの。

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ダンボールの重要性

ダンボールは、最も重要な素材。
これさえあれば、なんとかなる。

ダンボール・カッター・ガムテープ。
これらを、「三種の神器」と言う。

この三つさえあれば、
何かが壊れたり、トラブルが起きた時に対応できる。

具体例。

1)案内掲示板の作成
 明日、何時から何時まで医療活動をするか、の告知。
 (何時から何時までは来ても我々がいないことを
  近隣の被災民に告知する。)
 女性、子ども、高齢者、障害者は、
 優先して最初に診察することなども告知する。

 これらの情報を貼る掲示板をダンボールで作成し、
 紙を貼り付けられるようにする。

2)雨による地面の「ぬかるみ」を防ぐため、
 地面にダンボールを敷き詰める。

3)宿舎等で寝る時、
 地面やコンクリートに、ごろ寝する場合もあり、
 その場合の、クッション代わりに。

4)ゴミ箱の作成

5)医療廃棄物・汚物その他を、毎日燃やして処分する、
 このための着火や、その他の作業に使用する。

6)雨よけ、日よけ

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電気の問題

医療活動を行う上で、検査をしたい場合、
電気は必須となる。

日本は100ワットだが、
海外は220ワットなど様々。

日本から発電機をもっていった場合、
100ワットが必要。
海外の220ワットを使うと壊れる。

変圧器を使うか、あるいは、
発電機を現地で購入・調達するか。

また、
日本のようにコンビニで
テーブルタップ(コンセントの穴を増やすやつ)は
売っていないので、
こうしたコード類が、足りなくなりがち。

あと、
発電機をまわすための燃料であるガソリン(または灯油)は
途上国では、その品質が粗悪なことが多く、
すぐ発電機の調子が悪くなる。
このため、メインテナンス(手入れ)が必要。

ちなみに、粗悪なガソリンとは、
他の液体を足して、量を増やしていたり、
その他、様々な不純物が混ざっている、ということ。

発電機には、
2サイクルと4サイクルがあり、
2サイクルの場合、
燃焼用のオイルを時々たす必要性がある。

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氷の入手

ワクチンを冷やしておくための
コールド・チェインに使うこともあるが、
スタッフの精神的なリフレッシュにも有効なのが
氷の入手。

暑い環境では、どうしても、
冷たいジュース、水、ビールを飲みたくなる。

このため、氷をどこで入手するか。

スーパーで売っている場合、
買い占めない程度に購入。
あとは海沿いの地域の場合、
魚の市場に、通常、製氷所があるので
そこのおじさんに頼んでもらうか買う。

が、
後述するように、
氷が原因で食中毒を起こす場合があるので
注意が必要。

直接飲料水(ジュース・ビール)の中に
その氷を入れるのではなく、
缶などをまわりから冷やすほうが妥当。

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車で移動中、町の観察

通常、
医師や看護師の医療スタッフは
医療に精力を注いでしまうため、
(診療所と宿舎の間などを)
車に乗って移動している時、
寝てしまっている。

よって、調整員は、
この時に起きていて、
町のどこで、何を売っているか、
を観察することが必要。

特に、食糧・水・電気関係・ガソリン・電池、
雨が降った時の対策につかえそうなもの、
などに注意し、めぼしをつけておく。

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スタッフの構成と、ローテーション・スケジュール

緊急援助隊・医療チームの内訳は、
計23名

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団長1名

「ロジ(物資の運搬等)チーム」

ロジチーフ(ロジスティック・チーフ)1名
ロジ3名(補給・運搬・現地スタッフ管理・診療所設営)
会計1名
広報1名

「医療チーム」

メディカル・コーディネーター(医療チーフ)1名
医師3名
チーフナース1名
薬剤師1名
看護師6名
調整員4名(医療補佐、ロジ業務、受付)


注:
ロジ(ロジスティッシャン:物資の調達運搬係)と、
調整員は、かなり業務内容が重複しているため、
このブログの記事内においては、
いずれも「調整員」として、
まとめてその仕事内容を説明している。

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つまり、

医療スタッフ 12名
(医師4、看護師7、薬剤師1)

非医療系スタッフ 11名
(団長1、ロジ4、会計1、広報1、調整員4)

というように、
医療スタッフと、非医療スタッフの割合は、
ほぼ半々。

このように、国際協力で、医療系の活動をする場合でも、
非医療系スタッフによる、
「直接的な医療行為」ではない活動も、重要になる。

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スタッフのローテーション・スケジュールの作成

休日設定は必要。休むのも仕事のうち。
自分の体調を管理し、ストレスを翌日に残さないこと。

一般的にいって、
ドクターは、すごく働き者で、
ぶっ続けで働き続ける。

そのうち本人(ドクター)が倒れることもあるし、
また、
そのペースで働き続けると、
まわりの看護師・調整員・通訳(現地スタッフ)も疲れるので、
ほどほどにドクターを休ませる必要がある。

通常、
診療所内の一角を、シーツか青いビニールシート等で区切って、
まわりから見えない場所をつくり、
そこで交代で休憩する。

あるいは、
近くの民家や倉庫を借りて、休憩所を確保する。

サイト(診療所)と休憩所が近いと。
休めない場合がある。
(たまている仕事が)気になって、休めない。
だから、ある程度、離れたほうがいいかも。

もし、サイトと宿泊地が近い場合、
昼休みの時に、一度、宿舎に戻って休むことも検討。

また、状況が許せば、
(疲労のひどいスタッフを)近隣都市に連れていき、
一泊して休養をとらせることもある。

あるいは思い切って、全員まる1日休養も。
状況によっては検討する。
この場合、事前に、
診療所の周辺に(明日は休みだと)インフォメーションを流す。
患者さんが来て無駄足にならないように。

チームが半数ずつ、1日の休養をする方法もある。
いずれにしても、
患者数と、チームの疲労度の両方を考慮する。

例えば、以下のような
ローテーション・スケジュールを組む。
(あくまで参考)

8時、宿舎を出発
8時半、診療所到着。開始前の準備に30分
9時、診療開始

 医師2〜3名で診療
 患者数と疲れ具合に応じて、
 1〜2名が交替で休養。

 医療チーフも、コーディネート業務
 (政府、自治体、他団体との会合)がなければ
 医師としての仕事をする。

 看護師、6名も、
 交代で仕事と休憩。
 仕事は処置(外傷の処置、点滴・注射等)、
 トリアージ(患者の重症度・優先順位づけ)、
 薬剤師の手伝い、など

 チーフナースは、基本はフリーで
 遊撃隊としていろいろな問題に対処。
 足りない部分を補う。

 薬剤師は1名しかいないので、
 疲れた場合、調整員やナースが
 代わりにその業務を担当する。

 調整員は、
 ゲートコントロール、受付、 
 カルテの(医師でなくても記入できる部分の)記入、
 カルテ内容のパソコン入力、
 バイタルサイン(体温・脈拍数など)の測定、
 検査業務や処置業務の補助
 (暴れる子どものおさえつけ、など)、
 (医療廃棄物を含めた)ゴミの処理(焼却など)、
 撤収を見据えた、在庫の分類を、普段から行っておく。
 (被災国に贈呈するもの、持ってかえるもの、破棄するもの)
 足りなくなりそうな物資(スタッフの水・食糧など)
 の買い出しと、その運搬・在庫管理。
 昼食の調達(作るか、買うか、食べにいくか)。
 通訳、ドライバーなど現地スタッフの勤務表の作成等の管理(後述)。

12時から14時を休憩時間に。

 正午前後は暑いので、スタッフが消耗し効率が悪い。
 できれば一度宿舎に戻って休憩。
 診療所の裏で休むのは、休めそうで休めない。
 全員で宿舎に戻るか、半分ずつ交代で休むか?
 半分残す理由は、急患が来た場合に対応するかどうか?

14時、午後の診療開始。
16時半、受付終了。
17時半、業務終了。撤収作業30分。
18時、診療所を出発、宿舎へ。

18時半、宿舎に到着。
19時の日没までには絶対に返る。
 日没後の出歩きは、禁止(危険だから)。

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食生活の管理

日本人スタッフと現地スタッフをたすと
合計で、40〜50名になる。
(現地スタッフも日本人スタッフとほぼ同数雇う(後述)。)

大変な人数で
これだけの人の食糧と水を
毎日確保するのはそれだけで大変。
その準備(購入・運送・調理・ゴミの破棄)
だけでそうとう大変。

特に死活問題なのが、水。

基本的に必要となる水の概算は、
人数(50名)x活動日数(12日)x3リットル
=1800リットル (1.8トン)

とんでもない体積と重さになる。
どうするか?
人・車・ガソリン・購入場所・輸送経路・保管場所・
使用後の容器の廃棄、などを考慮。

ミネラルウォーターを買うのか?
水道水を使うか?井戸水を使うか?
それを煮沸するか?濾過するか?両方か?

生水は、決して飲まない。
下痢をする可能性は60%以上。

なお、氷も危険。
ジュースに氷を入れたら、
その氷に細菌が入っていて、
食中毒になったケースもある。
(氷は、コップのまわりから冷やすため、に使う。)

コーラなどの瓶も、
蓋をとったら、口で飲むのではなく、
ストローを使ったほうが無難。
(瓶が不潔なことがある。)

パンや野菜は、腐るので
1〜2日分しか買わない。

卵は、新鮮なものだけを買う。
途上国では、一か月前の卵も平気で売っている。
(サルモネラが繁殖しており、食中毒になる。)

生野菜は、基本的に食べない。
(途上国では寄生虫の卵が100%ついている。)
途上国の包丁にも、この
寄生虫の卵がついていると思ったほうが良い。
よって、包丁で切った後、
必ず、火を通してから食べる。
(包丁を、少々洗ったぐらいでは、
 寄生虫の卵はとれないことがある。)

現地食が口にあわない人もいるので
カップラーメンなどをもっていく。

現地スタッフは、宗教の問題などで
我々と別なものを食べる可能性がある。
その場合、その調達も必要になる。
(イスラム教は豚を食べない、など)

なお、
コーヒー、紅茶等は、
精神的なストレスの軽減のために
必要とする人が多いので、
砂糖、粉ミルクとともに
大量に調達し、
好きなだけ飲ませる。
(ただし、利尿効果があるので、
 トイレは、近くなる。)


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