.

「エイズという病気で苦しんでいる人が
 アフリカにはたくさんいます。
 この問題が解決するには、
 どうしたらいいと思いますか?」

この質問を学校の子どもたちにすると、
次のような答えがかえってくることが多い。

「日本のお医者さんや看護師さんが、
 アフリカに行って治療してあげたり、
 薬を送ってあげればいいと思います。」

時には、こんな子もいる。

「わたし、将来、マザーテレサのように、
 貧しい国に行って、
 困っている人を救う活動をしたいんです。」

こうした子どもたちを前にして、
私は、二つのことを言うようにしている。

一つは、

「あなたの言うとおりです。
 途上国には十分な数のお医者さんや看護師さんがいないので、
 その数を増やしてあげることも大切ですね。
 日本からお医者さんや看護師さんが行くことも大事ですが、
 それと同時に、
 現地の人がお医者さんや看護師さんになれるよう、
 育ててあげることも大切です。」

ということ。
もう一つは、

「でも、それだけでは、
 エイズの問題は、解決しないんです。
例えば、私はアフリカに行き、病院で、
 エイズの人に、ただで(無料で)
お薬をあげる活動をしてきました。
 でも、ただであげると言っているのに、
 それでも病院に来ないんです。
 なんでだか、わかりますか?」

子どもたちは、通常、答えがわからず、沈黙したままです。

「まず、アフリカでは、
 エイズは、ただの病気ではなくて、
 「神さまのかけた呪い」だという迷信があります。
 何か、ものすごく悪いことをしてしまった人が、
 神様から「一生治らない病気の呪い」をかけられ、
 やがて死んでしまう・・。

 それがエイズだと思われているんです。
 その人の近くに寄っただけで、
 口をきいただけで、その呪いがうつってしまう、
 と考えられています。
 もちろん、それは間違いで、ただの迷信です。
 しかし、人々は、そう信じてしまっているんです。

 で、このような誤解が社会にある時に、
 エイズにかかっている人が、
 病院に行って、エイズの薬をもらおうとすると、
 自分がエイズだとばれてしまいます。

 すると、
 『あいつはエイズだ!』
 と陰口を言われるようになり、
 誰も、口をきいてくれなくなってしまうんです。
 買い物もできなくなりますから、
 食べ物が買えないと、最悪、飢え死にしてしまう
 かもしれません。

 さて、どうしたらいいでしょう?
 今日は、みんなで、考えてみましょうね。」


・・・

注1:
途上国の人に
「なになにしてあげる」
というのは、
先進国側の傲慢な言い方(考え方)なので
私は好きではないのだが、
小学生などにわかりやすく説明する時は、
やむなし。

注2:
HIV感染者とエイズ患者は、
まったく別に論じないといけないのですが、
これも、小学生に説明をするのは難しいので、
今回は、わざと曖昧に。

注3:
HIV感染者のことを、
「HIVとともにいきる人」
という呼び方をすることが、
WHOなどにより推奨されている。


参考文献
「HIV/エイズとともに生きる子どもたち ケニア」
小学館刊、山本敏晴写真・文
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/409726401X


写真展
「HIV/エイズとともに生きる子どもたち」
9月14日(火)から9月27日(月)まで、
新宿ニコンサロンにて
午前10時から午後7時。
入場無料。土日もやってます。
山本はだいたい在席。
新宿西口の小田急ハルクの隣り、エルタワーの28階 
http://bit.ly/dkiQhK