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2010年9月2日に、
東京大学の医科学研究所の講堂で、
UNAIDSの新事務局長の講演があった。

その内容をまとめて掲載しおく。

・・・

演題:「世界のエイズの現状と国際社会の取組み」

演者: ミシェル・シディベ "Michel Sidibe"
   (国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長)

・・・
・・・

ミシェル・シディベは、
アフリカ系の男性で、白い服を着て、眼鏡をかけていた。

講演は英語だったが、(日本語への)同時通訳が付いていた。
が、彼はどんどん喋る人で、通訳の人は翻訳する暇がなく、困っていた。(笑)


この「ミシェル・シディベの略歴」について、
座長の、木村哲(財団法人エイズ予防財団理事長) が
以下のように解説した。

・・・

現在、UNAIDSの、exective director、という立場である。

参考:
UNAIDS : The Joint United Nations Programme on HIV-AIDS
http://www.unaids.org/
外務省国際機関人事センター 国連合同エイズ計画(UNAIDS)
http://www.mofa-irc.go.jp/link/kikan_info/unaids.htm

1952年、西アフリカのマリ共和国で生まれた。

参考:
マリ共和国
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/mali/index.html

今、57歳か58歳。

最初マリで、国民の健康に関する仕事をしていた。

1987年からUNICEFに勤務。
ザイール、ブルンジ、スワジランド、など、
アフリカの10カ国以上で、
ユニセフのプログラムを実施してきた。


参考:
UNICEF : United Nations Children's Fund
http://www.unicef.org/
外務省国際機関人事センター 国連児童基金(UNICEF)
http://www.mofa-irc.go.jp/link/kikan_info/unicef.htm


2001年からUNAIDSに勤務。
昨年1月に、事務局長に就任した。

現在、UNAIDSの目標は、以下の三つ。

zero new HIV infections (新規HIV感染がない)
zero discrimination (差別がない)
zero AIDS-related deaths (エイズ関連死がない)

その他、
「2015年までにHIV感染者のの結核による死亡をゼロにする」
など、の数値目標を多数設定している。

ミシェル・シディベは、UNAIDSを
結果を重視する組織に変えようという改革を行った。
その功績が評価され、事務局長に就任した。

UNAIDSの
事務局長としては、初めて日本にきた。

・・・

(以下、ミシェル・シディベ自身による、講演である。)

(山本の注釈は、全て(括弧内)に記して区別する。)

(彼の講演は、今回、初来日したこともあり、
 日本政府が、いかにエイズ対策に貢献したかを
 列挙する、いわゆる「お世辞」で始まった。)


日本は、エイズに本格的に立ち向かっている国として
世界によく知られている。


(エイズ対策への日本の貢献・その1・ユニバーサル・アクセス)

いわゆる、「ユニバーサル・アクセス」について、
日本は、世界で1番のレベルが達成されている。
「国民皆保健」も、その究極的姿であると思う。

(ユニバーサル・アクセス(universal access)とは、
 国籍、年齢、性別、貧困、障害などあらゆる要因にかかわらず、
 誰でも同じように「必要とするもの」
 (教育、医療、インターネット等)を利用でき、
 情報やサービスを得られる状態。
 別名アクセシビリティ(accessibility)のこと。)

途上国も、この日本の「ユニバーサル・アクセス」姿を、
模倣するべきだと思う。


(エイズ対策への日本の貢献・その2・グローバル・ファンド)

グローバル・ファンドの設立も
日本の関与なしには、ありえなかった。
感染症が非常に重要だと、
G8(沖縄)で日本が提唱したのが、きっかけだった。

(2000年7月、主要国首脳会議(G8サミット)が、
 沖縄・福岡・宮崎で開催された。
 通称、「沖縄サミット」、と言う。
 この時に、
 日本主導の「沖縄感染症対策イニシアティブ」が提唱され、
 日本政府は5年で30億円以上を提供することを約束した。
 ちなみに、「世界三大感染症」とは、
 エイズ、結核、マラリア、である。
 ともかく、
 この日本政府の拠出金が引き金となり、
 2002年1月、「世界エイズ・結核・マラリア基金」、
 通称「グローバル・ファンド」(世界基金)が誕生した。
 これにより、大量の資金がHIV対策に投入されるようになり、
 大きな成果をあげることとなった。)


参考:
世界エイズ・結核・マラリア基金(グローバル・ファンド)
Global Fund to fight AIDS, Tuberculosis and Malaria : GFATM
http://www.theglobalfund.org/en/
外務省国際機関人事センター 世界エイズ・結核・マラリア対策基金
http://www.mofa-irc.go.jp/link/kikan_info/gfatm.htm


エイズ、結核、マラリアという3大感染症に対して、
日本は、大きな経済的貢献をしている。
世界で4番目に大きい、13億ドルという拠出をしてくれた。


(エイズ対策への日本の貢献・その3・新しい枠組み・TICAD)

また日本は、
開発というものの考え方にも大きな変化をもたらした。
それは、「TICAD」だ。

(TICADとは、アフリカ開発会議の略称で、
 東京で行われる、アフリカの開発をテーマとする国際会議。
 1993年以降、日本政府が主導し、
 国連、国連開発計画(UNDP)及び世界銀行等と
 共同で開催している。
 5年に1回、首脳級会合が行われる。
 2008年5月に、横浜において、4回目となる
 "TICAD IV"(第四回アフリカ開発会議)が開催され、
 現在、アフリカの開発の一部は、この方針で行われている。
 この「新しい枠組み」を作ったことも、日本の功績の一つ。)


参考:
Tokyo International Conference on African Development : TICAD
http://www.ticad.net/
外務省 TICAD(アフリカ開発会議)
Tokyo International Conference on African Development
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/ticad/


これにより、開発は変わった。
「パラダイム・シフト」(大きな価値観の変革)
が起こった。

(TICADは、
 アフリカ開発におけるアフリカ諸国の「オーナーシップ」
 (自ら国を良くしていくという意識)の重要性と、
 国際社会による「パートナーシップ」の重要性を提唱してきた。
 この開発哲学(オーナーシップとパートナーシップ)は、
 国際社会に共有されアフリカ諸国にも浸透し、
 アフリカ自身の手になる初の包括的な開発計画である
 「アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)」
 を産み出す思想的基盤となった。)

(NEPADとは、
 先進国の援助に従属するのではなく、
 アフリカ自身の責任において、
 アフリカにおける貧困撲滅、持続可能な成長と開発、
 世界経済への統合を目指すことを目的とする団体。
 2001年7月のアフリカ連合首脳会議で採択された。)


参考:
NEPAD
The New Partnership for Africa’s Development
http://www.nepad.org/home/lang/en
NEPADの概要
http://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/oda/shiryo/hakusyo/02_hakusho/ODA2002/html/kakomi/kk01014.htm


(エイズ対策への日本の貢献・その4・人間の安全保障)

さらに日本は、
「人間の安全保障」を問題にし、その概念を啓発した。
エイズというのは、まさにその問題そのものだった。

(人間の安全保障(Human Security)とは、
 1994年に国連開発計画(UNDP)が『人間開発報告書』の中で、
 初めて打ち出した概念。
 「欠乏からの自由、恐怖からの自由」などを謳(うた)い、
 人間の「生存・生活・尊厳」を守ること、などを言う。
 が、今のところ、非常に抽象的な概念にすぎない。
 ノーベル賞を受賞したアマルティア・センと、
 JICA理事長の緒方貞子などが提唱しているため、
 国際協力の世界では、かなり有名な概念になっている。
 が、問題も多い。
 この「人間の安全保障」という概念の、長所と欠点については、
 また別のブログで詳述する。)



(以上が日本政府に対するお世辞。
 最初の挨拶の代わりとして述べられた。)

・・・

(ここからが本論。まず、導入。)


今、エイズとの戦いにおいて
我々(それに対する対策を行おうとする人々)は、
岐路に立たされている。

今が、「その時」だ。

つまり、これまでのこと(成果)に関してふりかえり、
あらたなる戦いへ進む時期である。

エイズにたちむかう私たちにとって
「最善の時」であり、同時に、「最悪の時」だ。


(以上が、本論の、導入部分。
 以下、彼は、まず、
 「最善の時」の理由として、
 お金をたくさんもらったから、
 こんなにエイズの状況は、改善されたんだよ、という話をする。
 言い方を代えれば、
 お金をエイズ対策に使えば、ちゃんと数字で結果がでるんだよ、
 と強調したいのである。
 なんでそんなことを言うのかというと、
 最近、世界経済の不況のせいで、
 エイズ対策への各国からの拠出金が減っているからである。)

・・・

(最初に、これまでのエイズ対策の功績について、話が続いてゆく。)


「最善の時」の理由は、
まず、エイズ対策に投じられた資金が
人々の役に立つ、ということが実証されてきたことだ。

つまり、
私たちの活動が、ここ数年間、実を結んでいる。


(エイズ対策のこれまでの成果・その1・カバー率)

治療カバー率が、貧しい人々に対して、
過去5年間で、12倍に増えた。

例えば、
ユニバーサル・アクセスが導入される前の2006年は、
治療を受けている人が、30万人を下回っていた。
現在は、治療をうけている人の数が、500万人におよぶ。

これまでの20年間における
保健課題の各分野をみても、
これほどの成果をあげた分野は、他にない。

(HIV治療のアクセスができるようになった人の数は、
 2003年の7%から、
 2008年には42%まで増えた。
 これは、
 2002年に創設された
 前述の「グローバルファンド」のお陰。)


(エイズ対策のこれまでの成果・その2・罹患率)

HIVの感染率(罹患率)も低下した。
新規感染(罹患)件数は、5年で17%減少した。

つまり
アフリカだけで、サハラ以南(サブサハラ)で、
40万人の感染を未然に防いだことになる。

また、
世界で、若い人の新規感染率が下がった。

エイズに関する状況が悪い、TOP15の国々で、
感染率が下がってきている。
25%まで下がった。

(新規感染者の数のピークは、
 1996年の350万人で、以後、減少している。
 2008年は270万人まで減少した。
 これは、各団体が行っている予防対策などの効果と考えられる。)


(エイズ対策のこれまでの成果・その3・死亡数)

さらに、エイズ関連の死亡も
10%の減少がある。

(死亡者数のピークは、
 2004年の220万人がピークで、以後減少している。
 2008年の死亡者数は、200万人まで減少した。
 これは、抗HIV薬の普及によると考えられる。)


(エイズ対策のこれまでの成果・その4・母子感染)

さらに新生児に関しても、多くの母子感染を防いだ。
20万人の新生児のHIV感染を防いだのだ。

(15歳以下の新規感染、43万人の、ほとんどが母子感染である。
 しかしこれも、2001年より18%減少した。
 これは、予防対策のカバー率が、
 2004年の10%から、
 2008年の45%に拡大したことによる。)

(母子感染は、なんの予防対策も行わなかった場合、
 30〜35%の確率で発生する(母から子にうつる)ことがわかっている。
 これを妊娠中の抗HIV薬の投与などによって、
 1〜2%まで、下げることができる。)


ボツワナは、
かつて、非常に感染率の高い国だった。


参考:
ボツワナ
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/botswana/index.html


近い将来、(国民が全滅して)地図から消えると思われていた。
ところが、状況は逆転した。
ユニバーサル・アクセスを実現し、
母子感染をほぼゼロにすることができたのだ。

そして日本の場合のように
非常にはっきりした形での
文化的なコミットメント(約束)ができ、
感染をくいとめることができた。


(エイズ対策のこれまでの成果・その5・薬物乱用)

IDU(注射薬物使用者)への対策に関しては、
中国、インドネシア、マレーシアで、
非常によい展開がある。

(IDUとは、注射薬物乱用(injection drug use)
 または、注射薬物使用者(injecting drug user)のこと。
 麻薬の使用者たちが、
 静脈注射用の薬を自分にうつ時に、
 同じ注射器と針を、複数の人々で、使い回しで使用するために、
 HIVやB型肝炎などの感染が広がっていくことが
 問題になっている。)

以前、中国の場合、
IDUをすることだけで、犯罪になってしまった。
「ゼロ・タレランス」だった。

(ゼロ・タレランス(zero tolerance)とは、ゼロ容認とも言う。
 小さな悪事であろうと、法律違反者を容赦なく厳しく罰すること。
 で、このことに関して、彼は、
 麻薬の使用を、小さい悪事だと考えているようで、
 それよりも、エイズの感染拡大を防ぐことを優先するべきだ、
 と主張したいようだ。)

しかし、最近、
「ハーム・リダクション」が行われるようになり、
IDU(薬物使用者)の人々は、社会的な地位を獲得できた。

(ハーム・リダクション(harm reduction)とは
 「危害の削減」のこと。
 麻薬使用者が、注射器の使いまわしをすると、
 その人たちが、HIVなどに感染してしまうので、
 彼ら・彼女らが、たむろするような、
 公衆トイレなどに、国やNGO(市民団体)が、
 清潔な針や注射器を、無料で提供する(置いておく)
 ようになった。
 これは、ある意味では、
 社会での麻薬の使用を容認(公認)することになるので、
 この是非をめぐって、大きな議論となったことがある。
 が、ともかく、
 WHOと、UNAIDSにおいては、
 この、ハーム・リダクションは、した方が良い、
 という結論を出している。
 要するに、WHOと、UNAIDSは、
 麻薬の使用は黙認(容認)し、まず、
 HIVやB型肝炎などの蔓延を止めよう、という
 方針をとっているのである。
 それが良いのか悪いのかは、なんとも言えない。
 ちなみに、いくつかの国では、宗教上の理由で、
 麻薬を使うことの方が「絶対悪」になっている場合もある。)


参考:
WHO Harm reduction among injecting drug users
http://www.wpro.who.int/health_topics/harm_reduction/
WHO HIV/AIDS
http://www.who.int/topics/hiv_aids/en/


(エイズ対策のこれまでの成果・その6・移動制限)

さて、
アメリカや中国では、
HIV感染者に関して
「渡航制限」"travel ban"をもうけていたが、
それも撤廃となりつつある。

(HIV感染者への差別(移動の制限)が、現在も各国で続いている。
 51カ国で(入国・出国の禁止などの)
 旅行・移動を制限する法律が存在する。
 アメリカと中国も
 HIVに感染している外国人の入国を拒否していたが、
 最近やっと撤廃した。)


(エイズ対策のこれまでの成果・その7・膣ジェル)

それから、
科学の発展の分野でも成果があった。

カプリサという研究所で、
「マイクロビサイド」の臨床試験が行われた。

(カプリサとは、南アフリカにある非営利の研究所で、
 UNAIDSとHIV予防のための共同事業を行っている所。
 そこが、最近、女性向けの新型の予防方法を開発した。
 それが、
 マイクロビサイド(microbicides)と呼ばれるもの。
 これは、
 性交の前に塗布する、
 抗HIV薬入りのクリームまたはゲル状の薬剤のこと。
 要するに、性交の前に、
 女性が自分で膣の中などにこれを塗ることにより、
 自分で事前に、HIV感染を(約50%)予防できるのである。
 男尊女卑社会のアフリカにおいて、
 女性が男性に「コンドームを付けて」と言う必要がなく、
 女性が自分で自分の身を守ることができるため、
 非常に有効と考えられている。)


参考:
CAPRISA
Centre for the AIDS Programme of Research in South Africa
http://www.caprisa.org/

参考:
Microbicide Trials Network
http://www.mtnstopshiv.org/


この研究所の調査結果によると、
最大で56%、女性のHIV感染を防げるとのこと。

このことが、
ウィーンの「国際エイズ会議」で発表された。

(2010年7月、ウィーンで開かれた「国際エイズ会議」で
 「バジャイナル・ジェル」(vaginal gel)(膣ジェル)
 を使うと、女性へのHIV感染率が下がるという
 上記の南アフリカの研究所の実験結果の報告があった。)


これは本当に大切なことだと思う。
マイクロ・ビサイドは、女性が自分で塗布できる。
男性の許可をえないで、自ら予防できる。
男性の関与なしにできる。
これは、過去30年間で初めての、予防方法だ。
逆に、大きく抜け落ちていた部分だったと思う。


ということで、
こういったことを考えるのであれば、
今は、エイズ対策を
(予算の規模的に)スケールダウンするのではなく、
スケール・アップする段階だ、ということを、
(各国の政策の)意志決定者に伝える必要がある、と私は思う。


・・・
・・・

(ここから、UNAIDSにとって、悪い方の話。
 要するに、2008年のリーマンショック以降、
 世界全体が経済不況に陥り、
 各国が、エイズ対策に予算をくれなくなったため、
 困っているから、金をくれ、
 ということを言いたいのである。)


さて、今が
「最悪の時」である方の理由は、何か?

私は怖い。
それは、私のまわりで毎日おこっていることに起因している。


(エイズ対策の問題点・その1・予算削減)

これまで15年間にわたって、
エイズ対策に関して、
(各国は)確固たる(実行の)意志があったが、
それが揺らいできている。

2008年の欧州諸国のコミット(拠出の約束)は
6億ドルを下回る金額になった。

これは、世界経済危機によるものだった。


(2007年、サブプライムローン(低所得者向け住宅ローン)、
 2008年、リーマンショック(大手証券会社破綻)、
 2009年、ドバイショック(中東の金融バブルが停止)、
 2010年、ギリシャ危機(EUの発展神話に陰り)、
 という一連の事件により、世界経済は低迷。
 このため、各国は国際協力分野への拠出を減らしている。)


各国のリーダーは、
この不況の中で、ODA(政府開発援助)の見直しを行った。

リソース(資金の元)がいくらでもあったはずなのに
今は、緊縮財政"fiscal austerity"になってしまった。

そしてそれがゆえに
多くの国において、予算の配分の再考がなされた。
社会サービス、公衆衛生、などの予算が、刈り込まれた。

政治家は、
社会、その成長、雇用の創出も必要である。
しかし同時に、倫理的な責任をおっているはずだ。


(エイズ対策の問題点・その2・治療続行)

それ(先進国の政治家の倫理的責任)は、
(現在)HIVの治療をうけてる500万人の人々を
切り捨ててはいけない、ということである。

そこに、
人の命がかかっているのだ、ということを認識し、
マクロ経済的な予算の調整をして頂きたい、
と私は訴えたい。

つまり、
例えば、(HIV陽性の)母親がいたとする。
自分をとるか、(やはりHIV陽性の)息子をとるか?
(どちらが、残り少ない薬を飲むのか?)

そんな選択をしなければならない世界は、
そんな悲しい世界は、ない、ということだ。

現時点において
治療の開始をまっている人が、
100万人いる。
彼らの生命が、あぶなっかしいところで揺れている。


(エイズ対策の問題点・その3・人権)

本来なら、最もリスクにさらされる人に対して
(治療の機会が)提供されるべきだ。
「ユニバーサル・アクセス」が必要だ。

しかし、実際は、
「ユニバーサル・オブスタクル」がある。

(ユニバーサル・オブスタクルとは、
 universal obstacle(世界の普遍的な障害)のこと。
 ユニバーサル・アクセスの反対後。)

MSM、IDU、など(の社会的弱者は)
アクセスがなく、一方で、偏見・差別がある。
犯罪者あつかいされるケースもある。

(MSMとは、men who have sex with men
 のことで、「男性と性交をする男性」のこと。
 男性の同性愛者のうち、具体的に、
 このような行為をする人たちの呼称。
 日本語に直訳すると、やや過激な表現だが、
 欧米では、これが最も差別的でない表現とされている。
 日本の場合、「ゲイ」と呼ぶのが一般的だが、
 この呼び方だと、
 男性同士で恋愛感情があるだけなのか、あるいは、
 具体的に、性行為をしているのかどうかが、明確でない。
 実際に、HIVの伝搬で問題になるのは、
 (MSMによる)「性行為」なので、
 欧米ではこちらがより多く使われている。)


現在、(宗教などの理由で)
同性愛を禁じる法律のある国が、80以上ある。
9カ国が、いわゆる同性愛の性的志向があれば、
死刑に値する、としている。

これは本当に恐ろしいことだ。


(エイズ対策の問題点・その4・移動制限)

現在、まだ、50カ国以上において
HIV感染者の渡航制限(入国制限)がある。

これを正すための運動を起こす必要がある。

(正確には、51カ国で入国制限がある。)


(エイズ対策の問題点・その5・母子感染)

さらに
毎年、40万人のアフリカの新生児が
HIVをもって生まれてくる。

この40万人の新生児のうち
3分の1が、1歳の前に死亡している。

こういった人を切り捨てるわけにはいかない。


現時点において、
この人たちが、かろうじて生き延びられているのは、
世界の連携・連帯によって行われているプログラムのお陰だ。

(プログラムとは、小さいプロジェクトたちの集合体のことを言う。)

これからの現状に対し、
危機感を、自ら生み出す必要がある。
怒りの感覚を持とう!

少なくとも、プログラムの構築をしなおし。
(各国の政治)リーダーたちが、
「我々が(今)やっていることは正しい」
と思えるようにしないといけない。


(以上、ともかく、エイズ対策の予算が減っているので、
 これからも金をくれ、という話だった。
 が、その状況を知っているので、彼の気持ちは、わかる。)


・・・
・・・

次回、今後のUNAIDSの方針、というか、
彼の「野心あふれる計画」について述べる。

骨子は、「予防革命」と「治療革命」。

いわゆる、今、流行りの、
イノベーション"innovation "「革新的アイデアの創出」
を、彼は行った。


・・・

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