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序章 サンタクロース


美咲 先生、神様って、いるんですか?

先生 それは、誰でも一度は考えてみる「問題」だね。

   でも、それを考えてみる前に、
   一つ、聞いておきたいことがあるよ。

美咲 ?

先生 サンタクロースは、いると思うかい

美咲 ・・いいえ。

先生 では、いたらいいと思うかい?

美咲 はい!

先生 それは、どうして?

美咲 プレゼントをくれるから(笑)

先生 そうだよね。

   じゃあ、どうして、
   サンタクロースはいない、と思うんだい?

美咲 だって、
   あれは、おとぎ話の世界の話しで・・

   実際は、多分、お父さんかお母さんが、
   代わりにプレゼントをくれていたんだと思います。

先生 うん。
   そうかも、しれないね。

   でも、そうじゃないかも、しれないんだ。

美咲 えっ?

先生 じゃあ、そろそろ始めようか、
   神様がいるかいないか、
   その「果てしのない議論」を。

・・・

第一節 科学的結論


先生 最初に、「結論の一つ」を話しておこう。

   「神様がいる」ことを科学的に証明した人はいない。

   しかし、それと同時に、
   「神様がいない」ことを科学的に証明した人もいない。

   だから、本当に「科学的に」考えた場合、
   「神様は、いるかいないか、わからない」
   というのが、最も正しいんだ。

美咲 へえー

先生 よく、
   「科学的に考えて、神様などいるはずないよ」
   と言って馬鹿にする人がいるけれど、
   それは(科学者として)正しい姿勢ではないと思う。

   「神様がいる」と盲信することは科学的でないけれど、
   「神様がいない」ことも証明されていないので、
   「どちらかは、わからない」、
    というのが、最も正しいんだ。

美咲 はい。

先生 これが「神様の側面」の最も基本となることの一つ。


・・・

第二節 シュレディンガーの猫


先生 「シュレディンガーの猫」という話を知っているかい?

美咲 いいえ。

先生 じゃあ、説明しよう。

   外から見えない、鉛でできた黒い箱の中に、
   「猫」を一匹入れる。

   次に、その箱の中に
   放射線を発生する可能性のある「ラジウムなどの物質」
   を入れる。

   その「ラジウムなどの物質」が、
   「これから1時間の間に放射能を発生する確率」が
   ちょうど50%になるように、その量と質を調整しておく。

   かつ、その放射能が発生した場合、
   猫は確実に死ぬような装置を設置する。

美咲 ?

先生 ともかく、
   この箱の中に、「猫」と「ラジウム」を入れ、
   箱の蓋を閉じ、1時間待つ。

   人々は部屋の外に出て、
   (死亡した場合の)猫の断末魔の声なども
   聞こえないようにしておく。

美咲 はい。

先生 さあ、1時間経ちました。
   人々は、その箱のある部屋に戻って来ました。

   猫を殺す放射線が発生した確率は、
   物理学的な計算により、50%です。

   箱の中の猫は、
   死んでいるでしょうか?
   生きているでしょうか?

美咲 ・・見てみないと、わからないと思います。

先生 そうだよね。
   『見て』みないと、わからないよね。

   蓋を開けて、見てみないと、わからない。

   見てみるまでは、
   物理学的な計算により、
   50%の確率で猫は生存しており、
   50%の確率で猫は死亡している。

   『見る』までは、
   この二つの状態が存在していることになる。

   「現実の世界」での結果は、
   どちらかになっているとしても、

   「科学的な理論上の世界」では、
   同時にこの二つの、あやふやな状態が、存在しているんだ。

美咲 蓋を開けるまでの「想像の世界」では、ですよね?

先生 そうそう。その通り。
   でも、「科学的な理論で裏打ちされた世界」だよ。

   科学は、神様のように「あやふやなもの」ではなく、
   「絶対的に確かな真実」のはずなのに、

   なんと、皮肉なことに、

   科学的な物理学の理論によって、
   あやふやな「二つの状態」が産み出されているんだ(笑)。  

美咲 ・・

先生 神様も、「箱の中の猫」と同じように、

   神様がいると思われる場所(?)の入り口を開けて
   (箱の蓋を開けて)、
   その中を「見る」までは、

   神様がいる状態
   と
   神様がいない状態
   という
   二つの「真実」が同時に存在できる、のかもしれない。

   ある「確率」のもとで。

   しかも、
   もしも、その箱の蓋を開ける方法が無い場合、
   この二つの真実が、
   永久に存在し続けてしまう可能性がある。

美咲 で、でも、
   神様がいると思われる場所、って、どこですか?

先生 そうそう。
   そこが次のポイントだ。

・・・

第三節 悪魔の証明


先生 基本的に、これまで
   「神がいる」ことを科学的に証明した人はいない。

   でも、
   「神がいない」ことを証明した人もいない。

   理由はわかるか?

美咲 ・・証明のしようがないから??

先生 その通り。

   仮に、神様がこの部屋にいなくても、
   日本のどこかにいるかもしれない。

   日本のどこかにいなくても、
   世界のどこかにいるかもしれない。

   地球にいなくても、
   宇宙のどこかにいるかもしれない。

   宇宙にいなくても、
   ビックバンの外側にいるかもしれない。

   だから、証明ができない。

   「いないこと」の証明は、
   神様に限らず、幽霊だろうが、宇宙人だろうが、
   証明できないんだ。

   こうした、「いないこと」、
   すなわち、
   「否定的な命題を証明しようとすること」は、
   ほぼ不可能である、または、
   不毛な努力であることが多い。

   それでも、この命題を解こうとする場合、
   『悪魔の証明』に挑むようなものだ、
   と言われ、そのように揶揄(やゆ)される、
   ということ。

美咲 はあ

先生 ともかく、質問の、
   「神様のいると思われる場所」はどこか、
   ということだが、

美咲 はい

先生 我々の「すぐそば」にいるけれど、
   (我々の目に見えないような)蓋(?)
   がされているために、
   我々は『見る』ことができないのかもしれないし、

   宇宙の外側にいるから、
   遠すぎて『見えない』のかもしれない。

   いずれにしても、
   世界の全てが、神様のいる場所である可能性があり、
   かつ、
   我々はそれを見ることができない。

美咲 ・・はあ。


・・・

第四節 定義と証明


先生 もっと問題になるのが、
   神様がいることを証明するには、
   二つのことをクリアする必要があるんだ。

   一つは、神様とは何か?、という『定義』。
   もう一つは、『いることの証明』とは何か?

美咲 あ、なるほど。

先生 まず、大枠を話そう。

   「いる」ことを証明するためには、
   例えば、裁判所(または大勢の群衆の前に)に、
   それ(その人)を連れてきて、
   みんなが『見て』いる前で、
   『自分が神様であることを、
    みんなに納得してもらえるような行為』
   を示してもらえばいい。

   可能かどうかは別にして、そういうことだ。

美咲 はあ

先生 一方、
   「いない」ことの証明は、さらに難しい。
   裁判所に「いないもの(いない人)」を
   連れてくるのは不可能だからだ。

   ここにいなくても、
   どこか他の場所にいる可能性があるから。

   よって、永久に無理。

美咲 はい

先生 で、前者の、「神様がいること」の証明は、
   実は、歴史上、何度か、行われているんだ。

美咲 ええっ!?

先生 比較的、最近の例としては、
   日本が敗戦した1945年までは、
   『天皇は神である』
   ということになっていた。

   神武天皇以来、日本の天皇は神の子孫で、
   うんぬん、という古文書がある。
   だから天皇は神そのもの、というのが、
   まず「定義」だ。

   国家としてそれを謳(うた)っており、
   小学校などの学校でもそう教育されていて、
   もしも異を唱(とな)えようものなら、
   国家反逆罪で死刑だった。

   だから日本人のほぼ全員がそれを認めていたので、
   少なくとも「社会的」には、「証明」されていた。

   だから、この1945年まで、日本で、
   「神は存在した」のだ。

   科学的にどうかはともかく、
   社会的には、「神はいた」。

美咲 で、でも、それは・・

先生 戦時中の日本、という、
   いわゆる軍国主義で、
   (軍隊が)天皇を国力の結集のために利用していた、
   という特殊な状況だったことは、その通りだが、
   ともかく、神がいたかどうかに関しては、
   そういうことになる。

美咲 ・・

先生 他にも、似たような例はいっぱいある。
   例えば、イエス・キリストがそうだ。

美咲 えっ?

先生 キリスト教を勉強するとわかるが、
   キリスト教では、
   「三位一体(さんみいったい)説」、というのがあり、
   『神と、その子であるキリストと、聖霊』
   は、合体していて同じものだ、という考え方なんだ。

美咲 はあ。

   神と、キリストはともかく、
   聖霊って、なんなんですか?

先生 聖霊とは、ヘブライ語で(元々は)「風」のことで、
   実際は、「霊」(れい)のことを言うらしい。

   昔は、キリストのような
   「神の預言者」(よげんしゃ)にだけ
   体内に入り込んでくる、
   「神聖な(神の)霊体」を言ったようだ。

   が、現在は、
   全ての人間に、入ってくる(生命の)「霊体」という様に、
   その解釈が変わってきている。

   しかし、キリスト教には、教派が何百もあり、
   それぞれの教派によって解釈が違い、
   実際、霊が何かについては、よくわからない。

   ま、それはともかく、
   要するに、三位一体、という考え方があるので、
   聖霊は置いておいて、
   神様と、キリストは同じ、というわけだ。

   つまり、キリストが、神様。
   だから、その当時、神は実在したことになる。

美咲 ・・・

先生 単純化して考えると、

   聖書という書物や、
   それを解釈して書いた神学書などに、
   「三位一体説」が説明してあり、
   キリストは神だ、と「定義」してある。

   そして、現在、
   世界人口のうちの、約30%、
   すなわち約20億人もの人が、
   まがりなりにも、
   このキリスト教を信仰している、という事実がある。

   仮に、そのうちの半分の10億人が、
   本当に敬虔(けいけん)なキリスト教徒だとする。

   すると、その10億人の集団の中に入れば、
   だれも「キリストは神だ」と疑っていないわけだから、

   それは、その集団において、
   社会的に、神の存在は「証明」されているわけだ。

   というか、疑う人がいないのだから、
   証明する必要すらない。

   考えてみると、この
   「証明する必要すらない状態を社会に作ること」
   こそが、最強の神の存在の証明、かもしれない。  

美咲 で、でも、それは、
   あくまで「社会的」な証明にすぎないんじゃ・・

先生 神様には、こういう側面もある、
   という話をしているだけだよ。

   つまり、どう定義するか、
   そして、それを、どう証明するか。

   あるいは、証明する必要すらない状態を作るか。

   ともかく、
   こうした定義と証明の仕方によっては、
   神様は「いる」ことになる。

   逆に言えば、
   その二つのやり方によって、
   実は、「神様」というものの「状態」は、
   常に変化しているものなんだ。

美咲 ・・神様は、「変化している状態」?


・・・

第五節 確率的存在


先生 「変化している状態」について話すとなると、
   「物質と神との類似性」について、話さないといけない。

美咲 ??

   現実の世界にある「物質」と、
   空想かもしれない「神」に、
   共通点があるんですか?

先生 そうそう。
   それが、「確率的存在」という概念だ。

美咲 確率的存在??

先生 高校の物理学の授業で、多分、習ったはずだけど?

美咲 寝てました(笑)。

先生 はっはっは。
   では、簡単に復習しよう。

   現実の世界にある物質は、
   「元素」と呼ばれる小さい粒から成り立っていると
   考えられている。

   で、その元素は、何からできているかというと、
   原子核という核のまわりを、
   いくつかの電子が、ぐるぐる回っている状態だ。

美咲 あ、それは習った記憶があります。

先生 で、問題は、ここからだ。

   原子核の周りにある、電子が存在するはずの軌道を
   「原子軌道」というのだが、
   実は、その軌道のどこに電子がいるかは、
   わからない、ということになっている。

美咲 ?

先生 原子核の周りを、ぐるぐる回っているはずの電子は、
   その原子軌道の上に、常に、
   「ある確率で存在している状態」なんだ。

   原子核のまわりに、
   「もやもやとした霧のような状態」で
   ある確率のもとに存在している、と。


   一気に話が難しくなってしまうが、

   「量子力学」という学問の分野において、
   「波動関数」という計算式があり、その一つに、
   「シュレーディンガー方程式」というのがある。

   その方程式で、
   その「電子の存在確率」が計算されるんだ。

美咲 む、難しいです。

   でも、しゅ、シュレディンガー?
   どこかで、聞いたような気が・・

先生 そうそう。

   さっき話した、「シュレディンガーの猫」
   という実験をした人と、同じ物理学者だよ。

美咲 あっ!

先生 本名は、
   エルヴィン・シュレディンガー(1887-1961年)
   という人で、オーストリアで生まれた人だ。

   彼は物理学者であると同時に、哲学者でもあり、
   「シュレディンガーの猫」の議論を始めとして、
   人間の精神世界の解明に、取り組んだ人だった。

美咲 へえー

先生 つまり、
   「シュレディンガーの猫」における
   猫の生存確率と同じように、

   神がいる場所の蓋を開けない限り、
   神がいる『確率』と、神がいない『確率』は、
   「同時に存在する」。

   それは、原子核の周りを回っている電子が、
   波動関数によって計算される
   「確率的存在」としてしか存在できない、
   その様子に似ている。

   「もやもやとした霧のような状態」で
   ある確率のもとに存在している、かもしれないと。

美咲 うーーん。難しいです。

先生 そうだね。
   でも、
   「もやもやとした霧のような状態」
   ということなら、
   それと似た概念の神様を持つ宗教もある。

   それが、イスラム教だ。

美咲 ・・ちょっと意外です。

先生 イスラム教の神さまの名前を知っているかい?

美咲 アラー、ですか?

先生 そうそう。
   そのアラーの神が、どんな形をしているか、知っている?

美咲 いいえ。

   でもきっと、キリスト教みたいに、
   神様が、預言者のモハメッドと合体して、
   モハメッドが神様そのものに
   なっちゃったんじゃないんですか?

先生 いや、違う。

   イスラム教の神は、本当の「唯一神」であり、
   神が、神の子を産むこともなく、
   逆に、
   神が、神から産まれることもない。

   永遠に、唯一、絶対の神。
   これが、アラーだ。

   さらに、
   姿かたちを一切持たない存在、とされている。

   「目無くして見、耳無くして聞き、口無くして語る」
   と言われており、
   宇宙全体に存在する「意思」または「思念体」だそうだ。

美咲 へえー

先生 だから、キリスト教とは、
   ある意味で、180度違う方向性の宗教だ。

   人間に形を模した神の、キリスト教と、
   全く形を持たない神の、イスラム教。

   どちらも、
   旧約聖書およびユダヤ教から派生した宗教なのに、
   180度、逆の方向に、発展した形になった。

   それはともかく、
   アラーの神は、姿かたちを持たないため、
   イスラム教では、
   「偶像崇拝」(ぐうぞうすうはい)が禁止されている。

   神は形を持たないのだから、
   神の「銅像」や「肖像画」などを作るなど、
   笑止千万であり、不可能であり、
   また御法度(ごはっと)である、と。

美咲 なるほどです。

先生 ともかく、
   アラーの神は、
   全宇宙にまたがって、
   「もやもやとした霧のような思念体」
   として存在しているわけだ。

   実体がないけれど、もやもやと存在している様子は、
   なんとなく、さっき話した、
   原子核のまわりを、もやもやと回っている電子の
   「確率的存在」の概念に、似ているような気が、
   しないでもない。

美咲 うーーん。そうかなぁ?


・・・

第六節 反面教師と自然科学


先生 ここで、もう一つの神の側面を紹介しよう。
   皮肉なことに、
   自然科学を発展させたのが、神の概念だとも言われている。

美咲 そ、そうなんですか?

先生 反面教師、というやつだ。

   神に対しては、その存在に対する「懐疑論」が
   昔からあった。

   その「神を否定する精神」こそが、自然科学を発展させた、
   という側面がある。

美咲 それならわかる気がします。

先生 17世紀頃までは、
   地球を中心として宇宙が回っているという「天動説」が
   キリスト教・カトリックの公認だった。

   キリスト教によれば、
   神は、自分に似せて人を作り、
   地上の全てのものを支配する存在として、人を作った、
   としている。

   そう、聖書に書いてあるのだから、是非もない。

   だから、地上の支配者たる人間は、特別な存在であり、
   その人間が住む地球は、宇宙の中心に位置している。
   だから、宇宙にある全ての星が、地球の周りを回っているのであり、
   地球が動くなど、考えられない、
   というのが、当時の、中世ヨーロッパの主流だった。

   ちなみに、この天動説を作ったのは、
   クラウディオス・プトレマイオス(83-168年)という人で、
   古代ローマの天文学者だったんだけど、
   なんと、千数百年もの間、キリスト教などにささえられて、
   彼の学説は覆(くつがえ)されなかった。

美咲 な、ながーい。

先生 そして、この(歴史的には)偉大な
   「天動説」に対する反論として、

   「地動説」を提唱したのが、
    ニコラウス・コペルニクス(1473-1543年)だった。

美咲 名前だけ、知ってます。

先生 しかし、彼の時代には、まだ誰も地動説を信じなかった。

   その突破口を開いたのが、望遠鏡で天体観測を続けた・・

美咲 ・・ガリレオ、ですか?

先生 そうそう。
   ガリレオ・ガリレイ(1564-1642年)は
   金星や木星、その衛星などの観測を続け、
   地動説を確信した。

   同時期に、ヨハネス・ケプラー(1571-1630年)が、
   コペルニクスの地動説に賛同した上で、
   惑星の運動は「楕円」または「歪んだ円」の上を
   公転している、と主張した。

   これが、教科書に出てくる、「ケプラーの法則」。

美咲 はあ・・。

   「歪んだ円」には、何か意味があるんですか?

先生 当時の宗教では、
   神様は「完璧な」存在なのだから、
   神様が作ったものである、天空の星々も、
   「完璧な」正円の軌道を描く、と考えられていた。

   だから、
   このケプラーの「歪んだ円」の軌道という学説は、
   画期的なものだったんだよ。

   で、このケプラーの法則、
   星の公転が「歪んだ円」になる理由を解明したのが、
   アイザック・ニュートン(1642-1727年)だ。

   全てのものには、「万有引力」があると提唱し、
   「距離の二乗に反比例する力」、すなわち「重力」により、
   『太陽の周りを』、地球などの星々が回っており、
   かつ、お互いの星々の重さが、
   その軌道に影響を与えあっていることも証明した。

   「歪んだ円」の証明であり、
   同時に、
   「神が作った、地球を中心とした完璧な正円の世界」
   が、崩壊した瞬間だった。

美咲 つまり、そこで、
   「神様が世界を作ったということは否定された」?

先生 そう言った人もいる。

   ともかく、この4人の天文学者たちによって、
   近代の「自然科学」の元が作られ、同時に、
   神の存在に対する、大きな議論が起こったのは、
   間違いないと思う。

美咲 ・・コペルニクス、ガリレオ、ケプラー、ニュートン。


先生 さらに、もう一人、
   偉大な物理学者の言を紹介しておく。

   スティーヴン・ホーキング(1942年から現在)は、
   難病のため車椅子での生活を送っているが、
   現代における最高の物理学者として知られている人。

   彼は、2010年に、こう明言した。

   「宇宙誕生に、神など必要ない。
    物理学的法則のもと、創造主なしで全て説明できる。

    宇宙誕生の大爆発、ビッグバンすらも、
    神に点火してもらう必要など、全くない。」

美咲 うーーん、そこまで言うんですね。


・・・

第七節 物理学の神秘


先生 ところが、
   物理学を極めた科学者たちのうち、
   何割かの人は、必ず次のように言う。

   「物理的法則を極限まで追求した結果、
    私は、神の存在を確信した」と。

   一つは、物理学の法則には、
   「奇跡的な偶然」と思われる事象が多々あり、
   なんらかの「大いなる意思」が
   この世界を作っているのではないか、
   と思わずにはいられない、という人もいるんだ。

   さきほど登場した、
   「歪んだ円」のケプラーも、
   「万有引力」のニュートンも、
   基本的に、
   「絶妙な宇宙の物理法則」を知るたびに、
   逆に、
   「この世界を作った神の偉大さ」を
   思い知っていった、とも伝えられている。

美咲 へえー・・
   どっちなんでしょうね?

先生 さあて。

美咲 最近の物理学者で、
   神の存在を信じている人は、いないんですか?

先生 けっこう、いるよ。

   例えば、
   ロバート・ミリカン(1868-1953年)という人は、
   ノーベル物理学賞を受賞したアメリカ人だけど、
   次のように言っている。

   「宇宙の背後に存在する超越者、あるいは
    偉大な建築家の存在を、私は確信する。

    純粋な『唯物論』は、
    私にとっては最も考えにくいものだ」と。

   ちなみに、『唯物論』とは、
   「事象の本質は全て物理現象だ」と考えることだよ。

美咲 へえぇ


・・・



(後半に続く)


神様はいるのでしょうか?後編 6996字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65497540.html