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現在、世界で最も貧しい国はどこか?

国際協力をするとしたら、
それが最も必要な国はどこか?

アフガニスタンか?
シエラレオネか?
ニジェールか?
パレスチナか?
スーダンか?

そうした「手を差し伸べる必要のある」国や地域の一つが、
コンゴ民主共和国だ。

以下を見れば、それがわかる。


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概要・歴史

コンゴ民主共和国(人口6000万人)は北西にあるコンゴ共和国(人口400万人)とは別の国。アフリカ中部にあり、スーダン、アルジェリアに次いでアフリカで3番目に大きい国。1960年ベルギーから(旧)コンゴ共和国として独立したが内紛が続き1971年ザイールに。1997年に現国名に変更

コンゴ民主共和国は、アフリカ大陸で3位の国土面積(全西ヨーロッパの面積)、4位の人口規模(6,600万人)を持つ大国。銅、コバルト、金、ダイヤモンド、その他のレアメタルの埋蔵量が豊富。この資源を巡り他国の介入や海外資本の権益争奪競争。結果として政治的混乱、独裁、紛争を繰り返す歴史

コンゴ内戦。コンゴ民主共和国(旧ザイール)において1997年32年間独裁を続けたモブツ大統領政権が倒されたが以後東部で内戦勃発。カビラ新大統領はツチ系ルワンダを排除しようとジンバブエ・ナミビア・アンゴラと同盟、反政府勢力・ルワンダ・ウガンダと紛争。2002年和平合意したが政情不安

コンゴ王国とは、アフリカ中央部の西側にあった王国。14〜20世紀にかけて、現在のコンゴ民主共和国とアンゴラなどの西海岸に面した地域に存在した。16世紀前半、キリスト教に改宗したアフォンソ王の時代に最盛期。ヨーロッパとの奴隷貿易により国力は疲弊していき、1914年に滅亡した。

大西洋三角貿易とは、17〜18世紀にかけて、ヨーロッパと西アフリカ(アフリカ大陸西海岸に面する諸国)と西インド諸島(カリブ海にある数千の群島)の三つの地域を結んで行われた貿易。アフリカから奴隷が西インド諸島へ。西インド諸島から綿と砂糖がヨーロッパへ。ヨーロッパから武器がアフリカへ



人口統計・平均寿命・死亡率

国連の世界人口予測によると、2009年〜2050年の人口増加率(%)は、ウガンダ179、タンザニア150、コンゴ民主共和国123、エチオピア110、ナイジェリア87、パキスタン85、フィリピン59、エジプト56、バングラデシュ37、インド35、イラン31、トルコ30、アメリカ28

平均寿命(世界銀行、2007年、年)は、短い順に、モザンビーク42.1、レソト42.6、ジンバブエ43.8、アフガニスタン43.8、中央アフリカ44.7、ザンビア45.1、スワジランド45.8、コンゴ民主共和国46.4、アンゴラ46.8、ナイジェリア46.8

平均寿命(UNDP、2007年、年)は、短い順に、ジンバブエ43.4、アフガニスタン43.6、ザンビア44.5、レソト44.9、スワジランド45.3、アンゴラ46.5、中央アフリカ46.7、シエラレオネ47.3、ギニアビサウ47.5、コンゴ民主共和国47.6、ナイジェリア47.7

5歳未満子ども死亡率(出生千当たりWHO2008)高い順。アフガニスタン257、アンゴラ220、チャド209、ソマリア200、コンゴ民主共和国199、ギニアビサウ195、シエラレオネ194、マリ194、ナイジェリア186、中央アフリカ173、ブルキナファソ169、ニジェール167

UNICEFによると2008年「5歳未満の子どもの死亡率」が高いのは、アフガニスタン(234/1000出生)、チャド(210)、アンゴラ(203)、コンゴ民主共和国(196)、ギニアビサウ(195)。低いのは、アイスランド、フィンランドなどの北欧諸国で、おおよそ、4/1000出生


人種・民族・面積

コンゴ民主共和国の民族構成。1)ルバ族18.0%、2)コンゴ族16.1%、3)モンゴ族13.5%、4)ルワンダ族10.3%、5)アザンデ族6.1%、6)バンギ・ンガレ族5.8%、7)ルンディ族3.8%、8)タケ族2.7%、9)ボア族2.3%。特徴は2割以上のマジョリティーがいない

ピグミー (Pygmy) とは、成人の平均身長が150cm未満の民族集団。熱帯雨林の環境に適応して低身長になったとされる。中央アフリカ全域に散在している狩猟採集民。集団で歌声を重ね、複雑なハーモニーを作る独特の声楽文化を持つ。コンゴ民主共和国に3〜4万人が居住。他国の統計は不明。

面積(万km2)、1)ロシア1709、2)カナダ998、3)アメリカ963、4)中国960、5)ブラジル851、6)オーストラリア769、7)インド329、8)アルゼンチン278、9)カザフスタン272、10)スーダン250、11)アルジェリア238、12)コンゴ民主共和国234



貧困・経済

一人当たりGNI(世界銀行、2008年、ドル)、少ない順に、1)ブルンジ140、2)コンゴ民主共和国、3)リベリア170、4)ギニアビサウ250、5)エチオピア280、6)マラウイ290、7)エリトリア300、8)シエラレオネ320、9)ニジェール330、10)モザンビーク370

一人当たりGDP(US$、UNDP、2007年)は、低い順に、コンゴ民主共和国298、ブルンジ341、リベリア362、ギニアビサウ477、エリトリア626、ニジェール627、シエラレオネ679、中央アフリカ713、東ティモール717、マラウィ761、エチオピア779、トーゴ788

人間開発指数(HDI、2010)、169カ国中、低い順に、ジンバブエ、コンゴ民主共和国、ニジェール、ブルンジ、モザンビーク、ギニアビサウ、チャド、リベリア、ブルキナファソ、マリ中央アフリカ、シエラレオネ、エチオピア、ギニア、アフガニスタン、スーダン、マラウイ、ルワンダ、ガンビア

人間開発指数(HDI、2007)は、182カ国中、低い順に、ニジェール0.340、アフガニスタン0.352、シエラレオネ0.365、中央アフリカ0.369、マリ0.371、ブルキナファソ0.389、コンゴ民主共和国0.389、チャド0.392、ブルンジ0.394、ギニアビサウ

アフリカ主要国のスラム人口率(UNHABITAT、2003)。エチオピア99.4%、モザンビーク94.0%、タンザニア92.1%、スーダン85.8%、ナイジェリア79.2%、ケニア70.8%、コンゴ民主共和国49.6%、エジプト39.9%、南アフリカ33.2%、モロッコ32.7%

コンゴ民主共和国と日本の「原爆投下」のつながり。ベルギーはこの国で鉱物資源の開発を行い、採取した「ウラン」をアメリカに輸出。それを用いて広島・長崎に投下された原爆が製作された。鉱物資源は、正の面では、海外からの投資を産み、負の面では、東部地域の紛争の原因となり、密輸が横行した。


生物多様性・生物資源・絶滅危惧種

森林面積の減少面積(FAO、 2000〜2005年、万ha/年)、1)ブラジル310、2)インドネシア187、3)スーダン59、4)ミャンマー47、5)ザンビア45、6)タンザニア41、7)ナイジェリア41、8)コンゴ民主共和国32、9)ジンバブエ31、10)ベネズエラ29

コンゴ民主共和国の世界遺産は5件。ヴィルンガ国立公園(ニーラゴンゴ山は地球上で最も活発な火山。2002年にも噴火し40人が死亡。希少なマウンテンゴリラの生息地でもある)、カフジ・ビエガ国立公園、ガランバ国立公園、サロンガ国立公園、オカピ野生生物保護区。

マウンテンゴリラとは、コンゴ民主共和国、ウガンダ、ルワンダの国境地帯の森林に生息するゴリラ。世界自然保護基金(WWF)によると生息数は僅か380頭。減少してゆく理由は、1)森林伐採、2)密漁(食肉、装飾(頭部の壁かけ、手の灰皿))、3)内戦による生息地破壊、4)エボラ出血熱の流行


女性・ジェンダー

ジェンダー不平等指数(GII、2008、UNDP、計算できた138カ国中)低い順に、138)イエメン、137)コンゴ民主共和国、136)ニジェール、135)マリ、134)アフガニスタン、133)パプアニューギニア、132)中央アフリカ、131)リベリア、130)コートジボワール

ジェンダー・エンパワーメント指数(GEM)を、計算することすらできない国で、女性の権利低下が、貧困・教育・医療等に影響している可能性のある国は、ジンバブエ、ソマリア、ニジェール、シエラレオネ、中央アフリカ、マリ、ブルキナファソ、コンゴ民主共和国、チャド、ブルンジ、アフガニスタン。

各国の女性の初婚年齢(国連人口部、世界結婚パターン、2000年)。低年齢で結婚する順に、1)コンゴ民主共和国16.6歳、2)ニジェール17.6歳、3)サントメ・プリンシペ(ギニア湾の島)17.8歳、4)アフガニスタン17.8歳、5)モザンビーク18.0歳、6)チャド18.0歳

合計特殊出生率(一人の女性が産む子どもの数、国連人口予測、2008)、多い順、ニジェール7.15、アフガニスタン6.63、東ティモール6.53、ソマリア6.40、ウガンダ6.38、チャド6.20、コンゴ民主共和国6.07、ブルキナファソ5.94、ザンビア5.87、アンゴラ5.79

国連女性開発基金(UNIFEM)によると、1990年代のルワンダ大虐殺では25万人の女性がレイプ被害にあったが、現在でも紛争地での性暴力は頻発。コンゴ民主共和国(旧ザイール)では武装勢力が乱立し、最大級の国連平和維持活動(PKO)が今も展開しているが、ここでも女性への性暴力が無数

2009年2月コンゴ民主共和国にて「女性への性的暴力の影響について訴える」ために、5都市を回って、『V-Day<ブイ・デー>』、「痛みを力に変えて」が実施。コンゴ民主共和国では何十万人もの女性や女の子が武力紛争の犠牲者としてレイプされた。 http://bit.ly/dn9Pz9


紛争処理・安全保障・子ども兵

2010年9月、コンゴ民主共和国・チバンダ国際協力大臣とJICA緒方理事長が会談。日本からの援助に感謝した後、中でも「警察民主化研修」の重要性を強調。同国最大の課題となっている「平和の定着と秩序回復」に直結する案件として、高い評価と期待 http://bit.ly/cIGv3d

コンゴ民主共和国では、29%の子どもしか初等教育を終えていない。戦争が激化するにつれ子ども兵士の徴集と使用が深刻化。2003年の和平交渉時、15万の兵士のうち、3万人が子ども兵。しかし2006年になっても1万人以上が武装解除していない。  http://bit.ly/aIo1xY


難民・国内避難民

世界の難民(UNHCR、2008年)は、1)パレスチナ472万、2)イラク460万、3)コロンビア343万、4)アフガニスタン337万、5)コンゴ民主共和国192万、6)ソマリア186万、7)スーダン173万、8)ウガンダ86万、9)コートジボワール71万、10)スリランカ65万

コンゴ民主共和国は、1998年以後、国内での内戦勃発による、国外への難民流出が191万8418人。一方、周辺国であるスーダンやルワンダでも紛争が起こっているため、国外から国内への難民流入が20万人程度。また国内避難民も132万人。2002年に和平合意したが、あいかわらず紛争が続く

最近の国際情勢・国際協力の動向の一つが、難民の数の減少(現在1520万人)と、国内避難民の数の増加(現在2710万人)。両者の合計は、4330万人。難民の数が減っている理由は、以下の国における難民の自発的帰還。リベリア、アンゴラ、ブルンジ、トーゴ、クロアチア、コンゴ民主共和国。

国際連合難民高等弁務官(UNHCR)が支援している対象は、1)難民が1100万人前後で、ここ数年横ばい。2)国内避難民は、2005年から急増して1400万人超に。理由は、A)新たな発生(イラク、東ティモール等)、B)クラスターアプローチで活動地域拡大(コンゴ民主共和国、ウガンダ)


感染症

「エイズの起源はポリオワクチンだ」という噂には科学的根拠なし。噂の元は"The river"という本。最初のHIV死亡例は1962年コンゴのキンシャサ・レオポルドビル。同時期(1957−1960年)にポリオワクチン接種試験が実施されていたからそれが原因としているが論理が飛躍しすぎ

マラリア罹患による死亡数(WHO,2008年)。コンゴ民主共和国18,928(人口64,703,615)、アンゴラ9,465(人口18,020,665)、ナイジェリア8,677(人口151,212,257)、ブルキナファソ7,834(人口15,233,882)、マラウイ7,748

2010年11月コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、アンゴラでポリオ流行。少なくとも226人が麻痺を発症、97人が死亡。異常に高い死亡率でWHOとユニセフが警戒。300万人の子どもと大人に予防接種開始。ポリオは感染者の大半に症状が現れず1%未満の患者に麻痺。つまり感染者数は上記の百倍


国際協力・援助

2010年4月、コンゴ民主共和国に対するユニセフを通じた無償資金協力。国内避難民の再定着、除隊少年兵及び,鉱山で働く子供の未就学を改善するため、 各コミュニティの支援団体を組織し、保健施設及び教育施設の整備を実施するために必要な資金を供与 http://bit.ly/dpTj9X

2009年9月、日本政府がユニセフを通じてコンゴ民主共和国の感染病対策のため保健プログラムに295万米ドルを拠出。1)ポリオ・麻疹ワクチン、2)ビタミンA、3)寄生虫駆除薬、4)マラリア予防のための長期残効型防虫蚊帳、の供与 http://bit.ly/9nkZxt

オリセットネットとは、住友化学が独自の技術で開発した「長期残効型防虫蚊帳」。マラリアを媒介する蚊を殺す化学成分を含んだ蚊帳で途上国で普及。WHO(世界保健機関)が推奨 http://www.sumitomo-chem.co.jp/csr/africa/olysetnet.html

国連の「深刻な食糧危機に瀕している国」のリストには22カ国が選出。アフリカの17カ国、アフガニスタン、タジキスタン、北朝鮮、ハイチ、イラク。中でももっとも深刻な状況にあるのが、コンゴ民主共和国。自然災害、紛争、不安定な政権によって、飢餓による死亡者数が世界記録を更新しつづけている


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援助に関しては無数にあるので書ききれず・・