HIV/エイズの関するツイート20101201まで 世界の潮流と予防 13881字

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世界では

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「私には夢があります。それを実現することは無理だと周りの人から言われます。それはHIV/エイズに関係する『三つのゼロ』の実現です。1)HIV新規感染者数がゼロ。2)HIVに感染した人に対する差別がゼロ。3)エイズが原因で亡くなってしまう人がゼロ。いつかきっと!」ミシェル・シディベ

ミシェル・シディベ(Michel Sidibe)は、国連合同エイズ計画(UNAIDS)事務局長。ユニセフなどで35年以上活動した後、UNAIDS勤務。各国でユニバーサル・アクセスの達成を目指す。2015年まで母子感染を完全に無くすことと、結核による死亡を半減することを最優先とする

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国際機関と潮流

国連合同エイズ計画が『世界のエイズ流行』(Global AIDS Epidemic 2010)の最新データを発表UNAIDS "2010 Report on the global AIDS epidemic" http://www.unaids.org/globalreport/

国連合同エイズ計画(UNAIDS)が2010年11月に発表した報告書によると、2009年末時点の世界のエイズウイルス(HIV)感染者は推定3330万人となり、1年前の3280万人(修正後の数字)からやや増えた。一方で死者数はピークの210万人(04年)から180万人にまで減少した

UNAIDSが12月1日の世界エイズデーを前に世界のエイズ流行について最新データを発表。「エイズ・スコアカード」と題されるこの報告書は各国の政府とNGOが提出した国別進捗報告(Country Progress Report 2008-2009)に基づき、2009年末の時点での現状

UNAIDSが2010年11月に発表した報告書。2009年の新規感染者はサハラ砂漠以南アフリカで予防対策が効果を上げ1997年から約20%減少。「全体的にエイズ感染の拡大ペースは落ち着いた」。が、ロシア、東欧、中央アジアで薬物注射や男性同士の性交渉で感染急増。2000年以降3倍に

国連エイズ合同計画2010/11報告。1)グローバルレポート360頁を公表。2)ミレニアム開発目標(MDGs)のゴール6(エイズ関係)は達成されつつある。少なくとも56カ国でHIV新規感染は横ばいか減少。3)しかし、ARV治療が一人に提供される間に、新たに二人が感染している状況。

国連エイズ合同計画2010/11報告(2009年のデータ)。1)HIV陽性者数3330万人(2001年2860万人)。2)新規感染者260万人(2001年310万人)。3)死者180万人(2001年180万人)。4)治療を受けている人520万人(治療必要な人1500万人の36%)

国連エイズ合同計画2010/11報告。2009年のHIV新規感染(罹患率、Incidence)が2001年に比べて25%以上増加した国、7つ。西から、グルジア共和国(ジョージア)、アルメニア、カザフスタン、タジキスタン、キルギス、バングラデシュ、フィリピン。中央アジア付近が多い。

国連エイズ合同計画2010/11報告。地域毎の増加率(2009年、対2001年比)について。1)新規感染は、中東・北アフリカ(EMRO)が突出して高く108%増。2)陽性者は、1)と同じ地域で多く155%増。3)死亡は、東欧・中央アジア(EUROの東半分)が突出して高く322%増

WHOの各加盟国は6つの地域にグループ化される。各地域に地域事務局(Regional Office : RO)がある。アフリカ(AFRO)、アメリカ(AMRO)、東地中海(EMRO)、ヨーロッパ(EURO)、東南アジア(SEARO)、西太平洋(WPRO)。地域事務局長は選挙で選出

国連エイズ合同計画2010/11報告。HIV陽性者3330万人の内の3分の2にあたる2250万人はサハラ以南アフリカにいる。そのうちの22カ国でHIV新規感染が25%以上減少。流行が最も深刻な国である、エチオピア、ナイジェリア、南アフリカ、ザンビア、ジンバブエでも横這いか減少した

国連エイズ合同計画2010/11報告(2009年データ)、サハラ以南アフリカ。1)HIV陽性者数2250万人(2001年2030万人)。2)新規感染者180万人(2001年220万人)。3)死者130万人(2001年140万人)。4)成人HIV陽性率5.0%(2001年5.9%)

成人識字率(UNDP2007)は高い順に、グルジア100%、キューバ99.8%、エストニア99.8%、ラトビア99.8%、スロベニア99.7%、リトアニア99.7%、ベラルーシ99.7%、ウクライナ99.7%、タジキスタン99.6%、カザフスタン99.6%、アルメニア99.5%

HIV新規感染数(2009年)が2001年に比べて25%以上増加した7カ国のうち、4カ国は、成人識字率が99.5%以上と非常に高い。つまり、識字率が低いことと、HIVが蔓延することは、関係がないかも。一般には、HIVに対する正確な知識と予防法の理解のため、教育が重要とされているが

国連エイズ合同計画2010/11報告。1999年から2009年の間に世界全体のHIV新規感染は19%低下した。25%以上低下した国は33カ国あり、そのうち22カ国はサハラ以南アフリカのアフリカ諸国。逆に25%以上増加した国はアフリカにはない。つまりアフリカのエイズ対策は一応成功か

HIV新規感染数(2009年)が2001年に比べて25%以上減少したサハラ以南アフリカの国々は、(アルファベット順に)、ベリーズ、ボツワナ、ブルキナファソ、中央アフリカ、コンゴ、コートジボワール、エリトリア、エチオピア、ガボン、ギニア、ギニアビサウ、マラウイ、マリ、モザンビーク、

HIV新規感染数(2009年)が2001年に比べて25%以上減少したサハラ以南アフリカの国々は、(アルファベット順に)、ナミビア、ルワンダ、シエラレオネ、南アフリカ、スワジランド、タンザニア、ザンビア、ジンバブエ。

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他の組織の動き

国連人口基金の世界エイズデー2010年12月1日広報。「HIVの新規感染者は10年前と比べて20%近く減少。エイズに関連した死亡数は、5年前と比べて20%近く減少。HIVとともに生きる人々の総数は安定。エイズの被害の大きな15カ国では、若者のHIVの新規感染者は25%以上も減少」

国連人口基金(UNFPA)とは、1967年の創設当初、世界の人口増加の抑制を目的に作られたが、現在は、「母親の健康」を守る組織に改変された組織。理由は、1994年エジプトでの「国際人口開発会議」(IPCD)で「性と生殖に関する健康と権利(リプロダクティブ・ヘルス/ライツ)」の尊重

国連事務総長は、ナイジェリアのババトンデ・オソタイムヒン氏を、国連人口基金(UNFPA)の新事務局長に任命。彼は1949年生まれ、ナイジェリアのイバダン大学で医学外科学士を取得、イギリスのバーミンガム大学で薬学博士号を取得。ナイジェリアの保健大臣を務め、HIV/エイズ対策を統合。

世界のHIV感染者は増え続け3340万人。うち約半分が女性。ただし新規HIV感染者数は減少傾向で270万人。ではなぜ累計有病者数が増えるかというと死亡が減ったため(2004年220万でピーク。2008年は200万)。皮肉なことに治療法の開発で死ななくなったため有病者数は増え続ける

エイズ対策のため3000人の男女がキス。オーストリアの首都ウィーンで「エイズ対策を話し合うための国際会議」が、2010年7月に開かれたが、人々は運動の象徴である「レッドリボン」の形を形成し、お互いにキスをした。治療や予防対策を進めるため、国際社会による資金支援を求める声が相次いだ

HIV陽性者2人が抗レトルウィルス療法(ART)を開始する間に、新たに5人がHIVに感染しているといのが現状。2010年7月18日から23日まで、"Right Here, Right Now"(いまこそ人権を)というテーマで、国際エイズ会議(オーストリア・ウィーン)が開催された。

HIV/エイズに対して、最近『複合予防』という概念がある。これは『行動の修正』を焦点としてきた従来型の予防戦略の失敗を踏まえたもので、社会の総力戦としての予防のあり方を強調する概念。行動を『社会文化現象』ととらえ、社会構造の分析に基づいて開発・推進してきた『若者予防プロジェクト』

IASとは、国際エイズ学会(International AIDS Society)のこと。http://www.iasociety.org/

ICAAPとは、アジア・太平洋地域エイズ国際会議(International Congress on AIDS in Asia and the Pacific)のこと。 http://www.icaap9.org/vmc.php

「続けよう」。世界エイズ・キャンペーン。エイズの原因となるHIVというウィルスに感染しても、仕事を「続けられます」。今までの生活も「続けられます」。エイズはもう死ぬ病気ではなくなりました。治療の進歩と(治療費などへの)社会保障ができたためです。たくさんの人が今も努力を続けています

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資金援助と経済危機

「静かな革命」。世界で三千万人以上の命を奪ってきたエイズに関する大きな変化が起こってきている。1990年代半ば、複数の抗HIV薬を併用した治療法により、エイズは「死の病」から「慢性病」に劇的な変貌をとげた。しかし死ななくなったことより治療にかかる費用は増え続け、予算の確保が困難に

HIV/エイズの問題の一つは、2009年末時点でのHIV感染者総数は3330万人で前年より50万人増えたこと。皮肉なことに治療法が開発されたことで死亡数が減ったので、新規感染がちょっとでもある限り感染者数は増加し続ける。このためその治療費は年々膨らんでいき、やがて経済破綻する恐れ

国連エイズ合同計画2010/11報告。資金について。1)現状。2009年に途上国のHIV対策に159億ドル支出。まだ100億ドル不足。低・中所得国の対策費の52%は国内で調達。2)課題。資金の調達は、途上国・先進国・政府・民間の共同責任。先進国には支援の強化・継続が求められる。

国連エイズ合同計画2010/11報告。1)低・中所得国の対策費の52%は国内で調達している。2)しかし低所得国では、エイズに使われた資金の88%を国際的な財政支援に頼っている。3)その財政支援のほとんどは、二国間の資金供与である。4)その中でも、アメリカが最大の資金供与国である。

資金量で国際保健の内訳をみた場合、以下になる。1)先進国から途上国への二国間援助が約50%、2)国連機関による援助が約25%、3)世界銀行が約5%、4)その他の多国間援助が約15%、5)非営利の民間援助は約1~4%にすぎない。すなわち、資金量的には先進国からの二国間援助が圧倒的だ

1970年国連総会で採択された(先進国から途上国へ拠出するべき)ODA(政府開発援助)の金額は、対GNP比0.7%以上、というもの。ちなみに、日本は、0.2%ぐらいで達していない。フランス0.4%、英国 0.3%、ドイツ0.3%、カナダ0.3%、イタリア0.2%、アメリカ0.1%

国際エイズ学会(IAS)のエリ・カタビラ議長(ウガンダ)は、2010年11月末、現状の世界の問題点として、1)途上国ではWHOガイドラインの治療開始の目安であるCO4値350を大きく下回り重症化してから治療開始している。2)多くの人に対応し医療従事者は疲弊。3)資金が急速に枯渇。

金融危機の影響で世界基金はHIV/エイズ対策に必要とされる200億米ドルに対し、現在のところ117億米ドルしか資金を調達できていない。米国大統領エイズ救済緊急計画(PEPFAR)は途上国でHIV治療を受けている患者全体の半数以上を支えているが同機関からの資金拠出は3年連続で横ばい

国連分担金の分担率は、アメリカ22.0%(5.2億ドル)、日本12.5%(2.7億ドル)、ドイツ8.0%(1.7億ドル)、英国6.6%(1.4億ドル)、フランス6.1%(1.3億ドル)、イタリア5.0%(1.1億ドル)、カナダ3.2%(0.7億ドル)、中国3.2%(0.7億ドル)

国連分担金と国連拠出金の違い。国連分担金は各国のGDP等を参考に割り当てられる「義務」で米国22%、日本12%、ドイツ8%など。国連本体の人件費等に使われる。国連拠出金とは各国が「自主的」にその使用用途を国連の一機関に指定しながら出すお金。UNDP等の国連総会設立機関の多くが採用

国連分担金の分担率だが、日本は以前、全体の16.6%(4.1億ドル)を担当していた。しかしリーマンショック等の世界同時不況で日本のGDPがマイナス成長したため、それに伴い分担率も12.5%(2.7億ドル)に減少した。このため浮いたお金が発生。この差額を母子保健に「拠出」するか検討

国連分担金はアメリカが22%で最高額。しかしこれを最も滞納しているのもアメリカ。理由は、1)当初アメリカは自分の言いなりになる国際機関として国連を作ったがだんだん思い通りにならず。2)国連は客観的にいっても非効率な組織で、会計の透明性の問題、人件費が能力に比例していない等の問題も

世界の貿易収支における赤字(単位はドル)は、1位アメリカ8150億、2位イギリス1793億、3位スペイン1235億、4位ギリシャ571億、5位フランス549億、6位トルコ467億、7位ルーマニア243億、8位ポルトガル241億、9位オーストラリア179億、10位ポーランド156億

世界経済危機・不況。1929年、世界恐慌(アメリカから波及)。1973,79年、オイルショック。1997年、アジア通貨危機。1998年、ロシア財政危機。2007年、サブプライムローン、世界金融危機。2008年、リーマンショック。2009年、ドバイショック。2010年、ギリシャ危機

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革新的資金調達メカニズムと国際連帯税

国際協力の世界で最近よく使われる単語が「革新的資金調達メカニズム」。2007年以後の世界経済の不況により、各先進国から途上国への支援が減少。日本も事業仕分でODAを減額。という中、官民共同または民間のメカニズムで(国際協力のための)予算獲得が必要に。ワクチン債等の仕組みを作るか?

国際連帯税は、2002年3月、 メキシコのモンテレーで開かれた国連開発資金国際会議の場において、国連のミレニアム開発目標達成のため革新的資金メカニズムの一環として、導入が検討。UNITAID(国際医療品購入ファシリティ)、IFFIm(予防接種のための国際金融ファシリティ)等が設立

国際連帯税(International Solidarity Levy)とは国境を越える特定の経済活動に課税して、世界の貧困や気候変動対策などグローバルな課題解決のための資金調達手法 。革新的資金メカニズム(Innovative Financing Mechanisms,IFM)

国際医療品購入ファシリティ(UNITAID)とは、2006年に創設され、国際連帯税などから資金提供を受け、HIV/エイズ、マラリア、結核に対する薬を購入し、その市場にインパクトを与えることを目的とした組織。ブラジルとフランスが主導した http://www.unitaid.eu/

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過去の歴史と概念

「エイズとはなんですか?」 HIVというウィルスが、人間に感染して起こす病気です。HIVは白血球の中で免疫をつかさどっているリンパ球を壊してゆきます。ある程度、リンパ球の数が減ると、免疫がなくなり、結核やある種の癌などを発症して死亡します。免疫がなくなった状態を、エイズといいます

後天性免疫不全症候群(エイズ)は1981年にアメリカで発見。2年後には原因がT細胞好性のヒトレトロウイルス(HTLV-III)、後のHIV-1であることが判明。2008 年末のHIV感染者の数は約3,340万人。これまでに約6,000万人が感染。まだワクチンのめどはたっていない

HIVの流行以来、約6000万人が感染し、約2500万人がエイズで死亡した。1996年、HIVに対する効果的な治療法(HAART)が生まれ、2004年以降死者数は減少。現在500万人が抗レトロウィルス療法(ART)で命を救われているが、さらに1000万人の人が治療を必要としている

エイズは、1)単に病気(医療)なのではなく、2)インフラ(道路や公共のバス)がないため病院まで来れない、3)交通費が払えないほどの貧困、4)差別に遭うのが怖くて、ばれないように病院に来ない、5)子どもへの性教育・大人への正しい知識の普及など、国際協力の全貌を知るのに最も適切な教材

HIV/エイズの検査方法には、A)スクリーニング(ふるい分け)検査としては、1)抗原抗体同時検査、2)迅速検査などがある。B)確認検査には、1)ウェスタンブロット(WB)法、2)遺伝子検査法などがある。スクリーニング検査で陽性でも、確定ではないので、必ず確認検査が必要とされる。

レトロウイルス(retrovirus)とは、RNAウイルス類の中で逆転写酵素を持つもの。その酵素により、一本鎖のRNAから二本鎖のDNAを合成。この二本鎖DNAは宿主細胞のDNAに組み込まれ「プロウイルス」になる。これは恒常的にmRNAを発現しウィルス蛋白が合成されやがて発芽する

ARVとは抗レトロウィルス薬(anti-retroviral drug)。HIVもレトロウィルスの一種なので抗HIV薬もARVの一つ。ARTとは、その薬を使った治療法。多剤併用する場合、HAART(Highly Active Anti-Retroviral Therapy)と言う

HIV感染者やエイズ患者という表現は差別用語だという考え方があり「HIVとともに生きる人々」(people living with HIV)という表現が適切とされる。こうした人々への偏見(prejudice)・差別(discrimination)・社会的恥辱(stigma)がある

成人HIV感染率(2007年)は、スワジランド26.1%、ボツワナ23.9%、レソト23.2%、南アフリカ18.1%、ナミビア15.3%、ジンバブエ15.3%、ザンビア15.2%、モザンビーク12.5%、マラウイ11.9%、中央アフリカ6.3%、タンザニア6.2%、ガボン5.9%

国連エイズ合同計画(UNAIDS)とは、1990年代エイズが世界的に流行したため、1994年の国連経済社会理事会で5つの国連機関(WHO、UNICEF、UNDP、UNESCO、UNFPA)及び世界銀行が共同スポンサーとして発足したもの http://www.unaids.org/

南アフリカのダーバンで2000年、第13回国際エイズ会議で、白人ゲイ男性である南アフリカのエドウィン・キャメロン判事が、「自分が今ここで演説しているのは治療代を払えるからであり、いわば、お金で命を買っているようなものだ」と演説。これが貧しい人々への治療の提供に、大きな道を開いた。

3by5計画とは、WHOとUNAIDSが2000年頃に作った計画で、2005年までに途上国の300万人に治療を提供できるようにする計画のこと。実際はそれを達成できなかったのだが、以後のHIV対策に大きな影響を与えた。2002年30万人だった治療人口が、2009年520万人へ増えた

世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金、グローバルファンド)とは、2000年、日本が議長国だった「九州・沖縄サミット」において「感染症対策」が主要な議題として取り上げられた結果、2002年に設立された基金。 http://www.theglobalfund.org/en/

GFATMとは、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(世界基金、Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria 、グローバルファンド)のこと。2002年の九州・沖縄サミットをきっかけに、2002年に設立された。60億ドルの資金

ミレニアム開発目標。1)貧困と飢餓の撲滅、2)初等教育の完全普及、3)ジェンダー平等と女性の地位向上、4)乳幼児死亡率の削減、5)妊産婦の健康改善、6)HIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延防止、7)環境の持続可能性確保、8)開発のためのグローバルなパートナーシップの推進

MDGsのゴール6とはHIV/エイズ、マラリア、その他の疾病の蔓延の防止。ターゲット6A:HIVの蔓延を2015年までに食い止め以後減少。ターゲット6B:2010年までにHIVの治療への普遍的アクセス実現。ターゲット6C:マラリア等の発生を2015年までに食い止め以後発生率を減少

ミレニアム開発目標の中で保健医療が直接関係する課題は、4)乳幼児死亡、5)妊産婦の健康、6)エイズ等だが、間接的に関係するものは、1)貧困、2)教育、3)ジェンダー、7)環境、8)パートナーシップ。つまり全て。それぞれが保健の悪化の原因になり、また医療の悪化によりそれらも悪化する

菅直人首相は2010年9月ニューヨークで開催された国連ミレニアム開発目標(MDGs)サミットで途上国の保健・教育分野を支援する「菅コミットメント」を発表。母子保健やエイズなど感染症対策として2011年からの5年間で50億ドル(約4200億円)、基礎教育の普及等に35億ドルを拠出

WHOはHSS(保健システム強化:保健分野の財政・人材・情報等)の重要性を主張。お金を出すのは以下の二つの組織が担う。世界エイズ結核マラリア対策基金(global fund)と、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)。こうした財団やNGOに、国連職員が派遣されてくる時代だ

ユニバーサル・アクセス(universal access)とは、国籍、年齢、性別、貧困、障害などあらゆる要因にかかわらず、誰でも同じように「必要とするもの」(教育、医療、インターネット等)を利用でき、情報やサービスを得られる状態。別名アクセシビリティ(accessibility)

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予防

国連エイズ合同計画2010/11報告。予防について。1)現状。新規感染は260万人。1990年より19%減少した。母子感染は13万人。2004年より25%減少した。2)課題。さらなる予防の普及。特に「個別施策層」の予防プログラムの促進が求められる。母子感染予防を周産期ケアに含める

個別施策層とは、HIV/エイズ問題の文脈の中では、それに感染しやすい以下の方々。1)青少年、2)外国人・移住労働者、3)性的指向の側面で配慮の必要な方(男性の同性愛者、ゲイ、MSM(男性と性交する男性))、4)セックスワーカー(性産業従事者、売春婦等)、5)軍人(主に途上国の)。

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ワクチン

「10年以内に、HIV/エイズのワクチンができたら、俺の首をやる」。2005年、ビル・ゲイツ(1955年生まれ)が言った言葉。ビル&メリンダ・ゲイツ財団(2000年創設)を通して積極的にHIV/エイズ治療薬へ投資。2005年、ワクチンと予防接種のための世界同盟(GAVI)にも投資

GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種の為の世界同盟The Global Alliance for Vaccines and Immunization)。2000年世界経済フォーラムで設立。ビル&メリンダ・ゲイツ財団が支援。http://www.gavialliance.org

ビル&メリンダ・ゲイツ財団(Bill & Melinda Gates Foundation、B&MGF)とは、マイクロソフト会長のビル・ゲイツと妻が2000年に創設した世界最大の慈善基金。http://www.gatesfoundation.org/Pages/home.aspx

世界には8つの保健機関があり通称「ヘルス・エイト」。世界保健機関(WHO)、ユニセフ、国連人口基金、国連エイズ合同計画(UNAIDS)、世界銀行、世界エイズ結核マラリア対策基金(global fund)、ビル&メリンダ・ゲイツ財団、GAVI(ワクチンと予防接種のための世界同盟)。

WHOよりも後発組織の存在感が増大。世界基金は2010年に資金量を年間60億ドルに。これはWHOの予算の3倍。民間のビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団の年間予算額は既にWHOと同等。UNITAIDは航空券に国際連帯金を上乗せする形で資金を集める組織で協賛する航空会社が増加している

中国疾病抑制予防センター性病エイズ予防抑制センターの邵一鳴首席技師は「中国は、エイズワクチンの第1期試験の目標を完全に達成した。このワクチンは非常に安全なもので、接種者にはいかなる大きな副作用もなく、抗体を生じており、設定目標を完全に達成した。第2期ワクチンも開発され臨床実験を」

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マイクロビサイド

マイクロビサイド(microbicides)とは、抗HIV薬入りのクリームまたはゲル状の薬剤のこと。膣ゲル、バジャイナル・ジェル。南アフリカのカプリサ研究所が開発。女性が自分で膣の中などにこれを塗ることにより自分で事前にHIV感染を(約50%)予防できる。男尊女卑のアフリカで有効

2010年7月のウィーン「国際エイズ会議」で「バジャイナル・ジェル」(膣のジェル)を使うと女性へのHIV感染率が下がるという南アフリカ実験結果の報告。男性に「コンドームをつけて」と女性が頼めない、男尊女卑の慣習が強いアフリカの農村部で有効 http://bit.ly/azwr4E

南アフリカ・エイズ研究プログラムセンター(CAPRISA)は、2010年7月、抗レトロウィルス薬(テノホビル、tenofovir)を含んだ『マイクロビサイド』を使うことで、HIV感染リスクが40%減ると発表。女性が、性行為の12時間前に一度、行為後12時間以内にもう一度使うだけ。

マイクロビサイド(microbicides)をUNAIDSとともにHIV予防のため共同開発しているカプリサ CAPRISA http://www.caprisa.org/ Microbicide Trials Network http://www.mtnstopshiv.org/

CAPRISAとは、南アフリカ・エイズ研究プログラムセンター(South African Centre for the AIDS Programme of Research)。UNAIDSと共に、HIV感染予防に関する研究を実施する http://www.caprisa.org/

オーストリアのウィーンで開催された第18回国際エイズ会議(IAC)で2010年7月、英米の共同研究者らは、抗レトロウイルス薬の一種で、ヌクレオチド系逆転者酵素阻害剤に分類される「テノホビル」(Tenofovir)を含有するマイクロビサイド『CAPRISA004』の治験の成功を報告

マイクロビサイドの候補の一つだった殺精子剤(N‐9)でHIVも予防できるか? いや、予防できない。理由は、1)1996‐2000年にUNAIDSの助成で行われた試験で偽薬を使った人々よりも50%もHIV感染率が高かった。2)コンドームの使用を怠ったことで、さらにHIV感染率は上昇

マイクロビサイドによるHIV感染防止は約50%なのに、なぜ期待するのか?理由は、1)女性が自分で行える。途上国では通常、性交渉に女性の主導権はない。コンドーム付けてと言えない。2)安価で販売される予定。3)使用方法が簡便。膣や肛門内に塗るだけ。4)他の予防方法も100%は防げない

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母子感染、PMTCT

国連エイズ合同計画2010/11報告。1)周産期または授乳期にHIVに感染した子どもは、2001年の50万人から、2009年は37万人に減少した。2)UNAIDSは、2015年までに母子感染をゼロにすることを宣言。3)若者のHIV感染をなくすのに有効と実証された戦略を実施してゆく

国連エイズ合同計画2010/11報告。HIV陽性と診断された妊婦の約50%が、自分自身の健康のために抗HIV治療を検討した。(ということは、逆に言えば、HIVと診断された妊婦のうち、残り半分の約50%は、治療を検討せず、治療を受けていない? その結果、母子感染も起こり易くなる?)

2008年には43万人の乳幼児が母親からHIVに感染。このうち90%はサブサハラ(サハラ砂漠以南)アフリカ。母子感染の内訳は、出産時(産道で血を飲む)>母乳>妊娠中。母子感染予防"PMTCT"(Prevention of Mother to Child Transmission)

ケニアのHIV感染経路は以下。1)異性間の性交、75%。2)母子感染、10%。3)注射薬物乱用((Injection Drug Use: IDU)、5%。4)不衛生な医療上の注射、2%。5)輸血、1%。うち母子感染の原因は、出産時(産道で血を飲む、50%)>母乳>妊娠中(経胎盤)

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割礼

国連エイズ合同計画2010/11報告。HIV/エイズが、広汎に流行する国々においては、『男性の割礼』(男性の亀頭包皮切除、包茎手術、circumcision)のような新たな予防方法を拡大すべきである。(包皮切除した男性はHIV感染率が50~60%低くなる、という複数の報告がある)

男性の割礼が性器ヘルペスや子宮頚癌の原因になるウイルス感染のリスクを軽減させる。2009年3月「ニューイングランド・ジャーナル・オブ・メディスン」に掲載。性器ヘルペスに感染するリスクは25%減少。(子宮頚癌を起こす)ヒトパピローマウイルス(HPV)に感染するリスクは約30%減少。

割礼によるHIV感染率の低下は、1)アメリカの治験で報告された後、2)インドで割礼すると8分の1に感染確率が減る、という報告。3)フランス国立エイズ研究機関(ANRS)は3分の1に感染確率が減る。4)イリノイ大学が60%リスク低減。5)ジョンズ・ホプキンス大学は51%リスク低減。

ベルトラン・オーベルトの研究では、成人に割礼を行わせ、「受けた群」と「受けない群」の2群を比較し、割礼はエイズ感染に何らかの予防効果を持つ、と結論している。HIVの感染対象となる細胞、CD4陽性T細胞やランゲルハンス細胞が包皮に多くあり、それが切除されるためだ、という仮説がある。

包皮切除(割礼)を受けている男性は、受けていない男性よりも大幅にHIV陽性率が低い、もしくはエイズ罹患率が低いという報告がある。現在イスラム圏である西アフリカのエイズ罹患率が南部アフリカよりも大幅に低いのは、割礼(包皮切除)を受けている男性の割合が高いことが一因であるという研究も

割礼の有効性はWHOによって認められており、「男性亀頭包皮切除手術はHIV感染リスクを60%低下させる」とされる。ジンバブエ保健省は15歳から49歳の男性の80%の割礼手術の実施を目指す。現在は10%程度。米国国際開発庁 (USAID) とジョン・スノー社(JSI) が資金援助

2007年、アメリカは、「アフリカで行った成人男性の亀頭包皮切除(包茎手術、割礼)がHIV感染率を半減させること」を示す治験結果を公表した。国連の各保健機関は、歓迎を表した後で、「(エイズの予防のために)割礼をすれば、コンドームを使用しなくてよい、ということではない」ことを強調。

男性の割礼がHIV予防に効果があるという報告があったが、国際機関は、「男性の亀頭包皮切除を既存の予防策に優先させるべきではなく、安全で継続したコンドームの使用、セクシュアル・パートナー数の削減、性交開始年齢の引き上げ、HIV抗体検査とカウンセリングを含む包括的な予防方法の一つ」

HIVの感染予防策として割礼(男性の亀頭包皮切除)を推進した場合の問題点は、1)実際は感染リスクが50%減るだけで0%になるわけではないのに「これで大丈夫」と思って性行為をしまくる可能性。2)割礼が(血液の付いた)不潔な医療器具で行われるとB型肝炎等の感染症が手術で逆に広がるかも

男性が割礼をしている場合、男女間ではHIV感染の可能性は50~60%下がっていた。しかし同性の性的パートナーがいると答えた男性では割礼をした者としていない者との間で感染率の違いに差はみられなかった。2008年10月アメリカ医師会誌JAMAが米疾病対策センター(CDC)の報告を掲載

異性間の性行為に対しては男性の割礼がHIV感染確率を下げる発表があった。しかし男性同性間の性行為の場合、効果がないという報告がある。2007年アメリカの研究者チームはニューヨーク等で黒人およびラテン系の男性同性愛者を対象とした割礼とHIV感染に関する研究を実施。関連性がないと発表

WHOはエイズ対策のため割礼を推奨するようになった。友人の白人男性のWHO職員が、「他人に勧めるのだから、まず自分でやってみる」と言って割礼手術を受けた。彼曰く、「以後一か月以上、違和感が続き、とても人に勧められない。やるなら、物心つく前の子どもの頃に限るよ・・(涙)」だそうです


青少年

国連エイズ合同計画2010/11報告。世界的に見ると、包括的で正しい知識を持つ男女は、2008年に比べて僅かに増加。しかしこの数は、国連環境開発特別総会(UNGASS)の目標である、95%の3分の1にすぎない。

国連エイズ合同計画2010/11報告。過去12カ月に複数の性行為のパートナーがいた割合(現在15~25歳の人に実施)。 1999~2003年は約2.2%。 2004~2009年は1.5%。 サハラ以南アフリカでも、過去1年間に複数の相手と性行為をした人の割合は、低下しつつある。

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