日本では

政府と潮流

厚労省のエイズ動向委員会によると、2009年、日本の新規の、HIV感染者1021件(前年より105件減少)、エイズ患者431件、合計1452件。しかし本当に減少したかは微妙。2009年は新型インフルエンザが流行しエイズへの関心が減ったため保健所等でHIV検査を受けた人が減っていた

日本で2009年に新規にHIV/エイズに感染・罹患した人の合計は1452件。これを人口1億3千万で割ると、1.1/10万人。一方、日本では主にMSM(男性と性交する男性)で流行しているが、東京都南新宿検査相談室の検査結果では、2007年は、5.73%(5730件/10万人)だった

厚生労働省エイズ動向委員会は2010年11月末、7~9月に368人が報告され前年同期を上回ったと発表。過去十年間で世界のHIVの新規感染者は約20%減少。日本を含めた東アジアでは増加。保健所等での無料検査・相談は2008年20万件。2009年19万件台。2010年はさらに減少傾向

マーガレット・チャンWHO事務局長と菅総理の会合。2010年11月、管総理は「ミレニアム開発目標(MDGs)の達成について、「母子保健」,「三大感染症」,「新型インフルエンザ,ポリオ等の国際的脅威への対応」を三つの柱として支援すると表明。 http://bit.ly/9sl1Uo

12月1日の世界エイズデーを前に厚生労働省は若者にエイズについての正しい知識を持ってもらうため渋谷駅前で街頭キャンペーンを。コンドームとHIV検査などのセットを配布。2009年、日本国内での新たなHIV感染報告は1021人。この3年間、毎年、新規感染者が1000人以上と深刻な状況

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予防

厚労省は2010年11月末、第3四半期(6月28日~9月26日)にHIVの母子感染を1件確認。母子感染が4年ぶりに報告された前期に続く報告。今回は関東地方の外国人女性。ウイルス量を下げるなど早期に適切な治療をすれば胎児への感染率を1%以下にできるが、妊娠34週目の発見と遅かった。

新型インフルエンザのワクチンは、エイズウイルス(HIV)感染者にも一定の効果が期待できるとの研究結果を、東京大医科学研究所の藤井毅講師らが日本エイズ学会で2010年11月に発表。接種2カ月後に抗体価が接種前の4倍以上に上がった人は49・5%。同時期に接種した健康な人では58・8%

自宅でできる、HIV検査/エイズ検査。プロアクト。HIV/AIDSウイルスに感染すると体の中でHIV抗体が作られる。HIV検査/エイズ検査キットはこのHIV抗体を調べるスクリーニング検査(血液検査)。 http://medical.proact.jp/item2_03.shtml

「山本さんのブログを読んでたら私もHIVに感染してるか心配になりました。性行為をしたことなくても感染している可能性はあるんですか?」「日本の場合あまりないが、以下の可能性はある。1)ワクチンの集団接種で医師が針を変えずに回し打ちしていた場合、2)輸血・血液製剤の使用、3)母子感染

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治療

厚生労働省エイズ動向委員会は、「これまで感染から10年は発症しない人が多いといわれてきたが、数年で治療が必要になる新タイプのウイルスが国内外で増加」。国際医療研究センター戸山病院の岡慎一エイズ治療・研究開発センター長が急性感染例83人を調査、3年後に治療が必要になった人が8割以上

早く治療を始めたHIV感染者の方が死亡率が低いという結果が海外で出ている。2010年12月にエイズの「治療の手引き」改訂版をとりまとめるHIV感染症治療研究の木村哲・東京逓信病院長は「一番大きな変更点は、より早期発見、早期治療の重要性が強調される点」。近年、数年で発症する例が増加

HIV感染症「治療の手引き」第13版 (HIV感染症治療研究会) 2009年12月発行 http://www.hivjp.org/guidebook/hiv_13.pdf

HIV感染症治療研究会の目的は、「日本におけるHIV感染症治療では、診療できる医療施設に偏りがあり、加えて治療経験による格差や、情報量の差によって、治療内容に差異が生じている。この格差を早急に解消すること。」「治療の手引き」を発行。 http://www.hivjp.org/

名古屋医療センター・杉浦亙は、日本エイズ学会で、1)薬剤耐性について、血中濃度が維持されていれば耐性発生も抑えられるという疫学的事実。2)このため、服薬回数、錠剤の数の簡素化、選択肢の増加、耐性を獲得しにくい薬剤の開発などが、既に進められていることを紹介。

2010年11月末の日本エイズ学会で、HIVの薬剤耐性について、1)日本では治療困難なほどの耐性化は1.5%と諸外国より低い(杉浦ら2007)。2)耐性変異ウィルスの検出頻度がゆるやかに増加。現在は9%。名古屋・東海地区は比率が高い。

HAART(多剤併用抗レトロウィルス療法)を続けているにもかかわらず血中HIV-1 RNA量が低下しない症例など、治療の失敗が疑われる場合,1)まずは服薬率の確認、2)薬物動態の問題がないかの確認、3)内服中(中止後なら速やか)に薬剤耐性検査を。サルベージ療法の選択は専門医に相談

日本では新規にHIV/エイズと診断される患者が増加。そのため日和見(ひよりみ)感染症の発生数も増加。一般の急性期医療施設で診断治療を受ける。日本の日和見感染症は,ニューモシスチス肺炎,サイトメガロウイルス感染症,カンジダ症,結核が主要4疾患。CD4陽性細胞数によって発症時期が決定

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社会・人権

「垣根を越えよう」 日本エイズ学会会長・岩本愛吉は、「日本は島国であることから(海外からくる)感染症の対策には恵まれている。一方、島国であることから心理的な鎖国状態を産み出し、『外から来るものの排除を感染症対策の基本とする』ような発想の土壌となりやすい、という弱点を抱えている」。

日本エイズ学会会長・岩本愛吉は日本の対策の課題として、1)男性と性交する男性(MSM)の集中感染。2)感染は若年層だけとはいえない。3)薬物使用者(IDU)の間で感染が広がったらどう対応するか議論する場がない。4)現行の医療・対策の多くに現在の当事者が抱える課題が反映されていない

第24回日本エイズ学会学術集会・総会が2010年11月24日~26日まで開かれた。その模様をニューズレターで読むことが可能。会長は東京大学医科学研究所先端医療研究センター感染症分野教授岩本愛吉 http://www.secretariat.ne.jp/aids24/14.html

日本HIV陽性者ネットワーク・ジャパンプラス。HIV陽性者が秘密を抱えることもなく、社会的な不利益を受けることもなく、HIV陽性者として自立したあたりまえの生活ができる社会を目指す。情報提供活動、アドボカシー活動、ネットワーク事業。 http://www.janpplus.jp/

日本HIV陽性者ネットワーク・ジャパンプラス・羽鳥潤は、1)日本はユニバーサルアクセスはない。在日外国人、不法滞在の方、都市と地方の治療格差など。2)ハイリスクであるゲイ、薬物使用者、セックスワーカーなどの方々(MARPS)のパートナーである女性たちも高いリスクにさらされている

NPO法人・ぷれいす東京。ぷれいすは、PLACE。“Positive Living And Community Empowerment”。HIV/エイズとともに生きる人々がありのままに生きられる『場所』を提要する。代表・池上千寿子。 http://www.ptokyo.com/

NEST(ネスト)とは、HIV陽性者とその仲間たち(パートナー、家族、友人)のための場所。そこでは、HIV感染を知ってから6カ月以内の人のための"PEER Group Meeting"(PGM)(同等の立場の人の会合)も開催 http://web-nest.ptokyo.com/

バディ(buddy)とは、「相棒」という意味の英語。HIVとともに生きる人々の精神的ケアやサポートを行うため一定期間のトレーニングを受けたボランティアスタッフのこと。入退院の付き添い、入院中の訪問、在宅での家事手伝い。医療・その治療費の社会保障・雇用をしてくれる企業等の情報提供も

「病気や障害は私たちの来た道、そしてこれから行く道なんです」 五島真理為(まりい)。1948年生。NPO法人「HIVと人権・情報センター」理事長。エイズに対する偏見打破に取り組むカウンセラー。自身が複数の難病を持つ。癌末期患者の緩和ケアも行い、アートセラピー(芸術療法)を導入した


世界エイズデーに合わせ、エイズウイルス(HIV)に感染した人への企業の対応を学ぶシンポジウム「企業とエイズ」が2010年11月末、神戸で開かれ、企業の広報担当者や医師らが活発に意見交換。任意団体「BASE KOBE」が主催。、「HIV感染者が生活する上で、働ける場所の確保が大事」

菊名記念病院が患者の求めがないのにHIV感染を調べる検査をし費用を全額負担させていた。ただし手術同意書とは別にHIV検査の同意書はとっていた。医師らスタッフへの感染防止のため。厚生労働省はこうした目的の検査は病院負担が望ましいとしている。病院は自己負担した患者への返金手続きを開始

放送大学の井上洋士は日本エイズ学会で、1)東京都各種相談窓口担当者へのアンケートで、HIV陽性者が障害者認定(障害者手帳の発行)を受けられることを知る人は6割。2)抗HIV薬の進歩で長期生存できることを知る人は3割。3)論文データベースで『HIV・生活・調査』で検索しても8本のみ

発展場(ハッテン場)とは、 男性同性愛者(ゲイ)が、性行為の相手を求めて集まる場所。または同時に性行為も行う場所。 英語では、Gay cruising spot。 有料の店舗などの場合と、 無料の公園などの場合がある。エイズ対策としては、それらの場所でHIV検査を進める事業を実施

TOMARI-GIプロジェクトとは、ゲイの人たちが集う街で、HIVやエイズに対する取り組みを産み出してゆくプロジェクト。コンドームの無料配布など。新宿、新橋、上野、浅草、渋谷、野毛 http://www.hiv-map.net/report/index.php?itemid=35

全国に79ある国公私立大の医学部医学科のすべてが2010年度、薬害について学ぶ講義を設けたことが27日、文部科学省の調査で判明。「公衆衛生学」や「薬理学」といった科目で薬害教育を実施。薬害肝炎や薬害エイズの被害者らによる特別講義を行ったのは昨年度より2校多い29校。19校が検討中

薬害エイズ事件とは、1980年代に、主に血友病患者に対し、(加熱などでウイルスを不活性化しなかった)血液凝固因子製剤(非加熱製剤)を治療に使用したことにより、多数のHIV感染者およびエイズ患者を生み出した事件。1996年、ミドリ十字代表取締役、帝京大学医師、厚生省官僚が逮捕・起訴

川田龍平とは1976年生まれ東京都出身。生後6カ月で血友病と診断。輸入血液製剤の投与でHIVに感染(薬害エイズ)。1993年、国と製薬会社に対し東京HIV訴訟を起こす。95年19歳の時HIV感染と実名を公表。96年勝訴。2007年、参院選に出馬し当選。2009年、みんなの党に入党

菅直人は1946年生、山口県出身。高杉晋作に憧れる。学生運動に参加後、弁理士に。1980年の衆院選(4回目の出馬)で初当選(社会民主連合)。1996年、橋本政権で厚生大臣になり薬害エイズ事件で官僚の不正を暴いた。1996年民主党へ。2010年首相に。歴代首相の中で個人資産額が最小

セクシュアル・マイノリティのための診療所が2007年にオープン。院長の井戸田一朗医師はゲイ。「人はひとりひとり違うんです」。HIV/エイズを始めとする性感染症にも対応。 「All About しらかば診療所」 http://allabout.co.jp/gm/gc/223487/

「人は、ひとりひとり違う。だから、「人それぞれ」に応(こた)える医療を」。 ゲイ、MSM(男性と性交する男性)などのための、HIV/エイズ及びSTD(性感染症)などの専門病院。 しらかば診療所(都営新宿線曙橋駅 徒歩3分)  http://shirakaba-clinic.jp/

プロの落語家で現役医師でもあるという経歴を持つ「立川らく朝」。46歳で内科医から転身。1990年代には企業の健康教育としてエイズ対策に取り組む。2010年6月から東京都が講演を企画。『身近に感じてほしい~HIV陽性者とともに働いていること』 http://rakuchou.jp/

落語家ではないタレント四人が落語を披露する寄席が2010年12月1日、浅草で開催。呼び掛け人、俳優の小倉久寛は「自分は平和に過ごしているけど、どこかに苦しんでいる人がいる。そう考えるきっかけになれば」。若者にエイズ啓発活動を行うNGO「AAA」(アクト・アゲインスト・エイズ)主催

世界エイズデーの12月1日に東名阪3都市で実施される「Act Against AIDS 2010」の開催にあわせ、桑田佳祐デザインによるスペシャルTシャツ「桑田佳祐×AAA Tシャツ」が制作。桑田は現在病気(食道癌)の治療に専念しているため、2010年はコンサートは行わない方向。

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基礎医学研究

国立感染症研究所・エイズ研究センター・武部豊は、1)日本全体のMSM(男性と性交する男性)の間で流行しているHIVは、欧米型のサブタイプB。2)長野県や茨城県では異性間の性交が主要なリスクで、サブタイプはCRF01_AEが中心。地域的な感染の実状に応じた、HIV/エイズ対策が必要

京都大医学研究科の高折晃史教授らが2010年11月に発表。HIVが作るタンパク質Vifが(ゲノムの守護神として知られる)タンパク質p53を活性化しウイルスが増殖しやすい環境に。Vifは感染先の細胞のp53を活性化することで細胞周期を止め、それにより、HIVの増殖率を百倍以上に上昇

Vif (Viral Infectivity Factor)とは、エイズウィルスの一つ、HIV-1が持つRNAの上にある遺伝子配列の一つ。またはそこから産生される蛋白質の名称。機能は、1)HIVの遺伝子を破壊しようとする細胞内因子を抑制。2)細胞周期を止めHIV増殖率を百倍以上に

塩野義製薬は、英グラクソ・スミスクライン(GSK)との米国での合弁会社を通じ、欧米で開発している抗HIV薬「S/GSK1349572」(開発番号)が年内に治験の最終段階に入ると発表。これまでの抗HIV薬と比べ、ウイルス量を減少させる効果が強く副作用が少ないという。将来、日本市場へ