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既に過去に1回、
生物多様性に関するツイートのまとめを行っております。

基本的な情報を知りたい方は、
そちらを先に読んだ方がいいかもしれません。
(2010年10月のCOP10が終わる前の情報です。)

生物多様性に関するツイートのまとめ20101016 13330字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65498021.html

新しい情報(と最低必要な基礎知識)は、以下です。

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基本

生物多様性とは、生物多様性条約内に書かれた定義によれば、次の三つが合わさった概念。1)遺伝的多様性(一つの種の中の遺伝子変化の数。環境への適応力に関係)。2)種の多様性(たくさんの種があるという意味)。3)生態系の多様性(種同士の関係性が多様であること。食物連鎖の形などが多彩)。

生物多様性条約3つの目的は、1)生物多様性の保全、2)生物多様性の構成要素の持続可能な利用 、3)遺伝資源の利用から生ずる利益の公正かつ衡平な配分。実際の議論は、A)生物資源を途上国から先進国に持っていき商品を作った時の利益配分、B)遺伝子操作した農作物が悪影響を起こした時の補償

1992年、リオデジャネイロで「地球サミット」が開催。12歳の少女、セヴァン・スズキが、「伝説のスピーチ」を行い、世界中の首脳を感動させ、「気候変動枠組み条約」と「生物多様性条約」を誕生させた  http://www.youtube.com/watch?v=C2g473JWAEg

1988年に「生物多様性」という言葉を産み出したハーバード大学のエドワード・ウィルソンは「バイオフィリア仮説」を提唱。バイオフィリアとは生物への友愛。人間は自発的・本能的に他の生物や生命に関心を抱き、『街頭に引き寄せられる蛾のように生命に引き寄せられていく』傾向がある、としている

2009年の内閣府調査によれば、「生物多様性の言葉の意味を知っていますか?」に対して、「聞いたことがある」36.4%、「聞いたことがない」61.5%。地域差があり、東京周辺の関東では認知度が高く、東北地方などでは認知度が低い。


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絶滅危惧種

生物の絶滅速度はここ数百年で1千倍に。1日に100種以上、毎年4万種が絶滅。2年に一度、生物多様性条約・締約国会議を開催。アメリカは条約未締結でオブザーバー。2020年までに達成すべき多様性の損失を止める目標「名古屋ターゲット」や、遺伝資源利用の国際ルール「名古屋議定書」の採択を

動物の絶滅危惧種が多い国、1)アメリカ、948種、2)オーストラリア、733種、3)インドネシア、701種、4)メキシコ、636種、5)マレーシア、455種、6)コロンビア、429種、7)フィリピン、425種、8)インド、413種、9)中国、370種、10)エクアドル、369種

アメリカは最も動物の絶滅危惧種が多い国だが「生物多様性条約」及び以下の条約群を批准していない。「京都議定書(地球温暖化防止)」「子どもの権利条約」「対人地雷禁止条約」「クラスター爆弾の使用や製造を禁じる条約(オスロ・プロセス)」「武器貿易条約」「包括的核実験禁止条約(CTBT)」

植物の絶滅危惧種が多い国、1)エクアドル、1839種、2)マレーシア、686種、3)中国、446種、4)インドネシア、386種、5)ブラジル、382種、6)カメルーン、355種、7)マダガスカル、281種、8)スリランカ、280種、9)ペルー、275種、10)メキシコ、261種

KBAとは、生物多様性重要地域(Key Biodiversity Areas)のこと。基準は、1)「脆弱性」と、2)「非置換性」(ほかの地域に置き換えることができないこと)。バードライフ・インターナショナルが1980年代から取り組んできた、IBA(重要野鳥生息地)を基礎とする概念

生物多様性条約(CBD)・第10回締約国会議(COP10)は、2010年10月11日から15日までの関連会合に続き18日から本会議、27日から閣僚級会合、29日に終了。遺伝資源の利益配分を巡って途上国と先進国が対立、名古屋議定書の原案作成において約400か所で意見が一致していない

生物多様性COP10での、多様性の損失を止める目標「名古屋ターゲット」。20の個別目標を持つ。「2020年までに生物多様性の損失を止めるための行動をとる」に変更され、「損失を止める」と明記するよう主張していた欧州連合(EU)が譲歩した形になった。途上国は甘くするよう主張していた。

生物多様性条約COP10で自然保護地域が陸域17%海域10%になったことに対し清野聡子九大准教授は「国際社会が共通の数値目標を持つ意義は大きい。ただ、設定した自然保護区を保存するための予算や人員をどう担保していくかが今後の課題」と指摘する。また保全には様々な対策の組み合わせが必要

生態系保全の世界共通目標「愛知・名古屋ターゲット」。20の個別目標のうち「保護区」については、1)陸域では先進国案と途上国案を折衷させた17%、2)海洋ではカナダや東南アジアが提案していた10%で折り合った。国際自然保護連合(IUCN)は、陸25%、海15%を提案していたが通らず

「愛知ターゲット」で目標とする自然保護地域の面積について、高い目標を掲げたいEUと発展の足枷にしたくない中国が対立。結局、陸域で17%、海域で10%の保護区を設けることに。国際自然保護連合(IUCN)によると現状は陸が14%海が1%。IUCNは陸25%海15%の保全が必要だと言う

「愛知ターゲット」20項目。認識、政府計画、有害措置廃止、関係者、自然生息地の損失速度、漁業、農林業、過剰栄養、外来種、気候変動、保護地域カバー率、絶滅危惧種、栽培種の遺伝多様性、生態系サービスの公平なアクセス、生態系回復、ABS(利益分配)、国家戦略、伝統的知識、科学技術、資金

「愛知ターゲット」が採択。松本環境相の提案で「名古屋ターゲット」から名称が変更された。2020年までに生物多様性の減少を止めようとする世界目標。野心的な目標を求める先進国と、開発抑制を懸念する途上国が対立し、折衷案となった。魚の乱獲を避ける、侵略的外来種を根絶するなど、20項目。


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政治

生物多様性条約COP10の閣僚級会合で、菅首相は、1)途上国が生物多様性保全に関する国家戦略を策定する支援、『いのちの共生イニシアティブ』、3年間で20億ドルの支援、2)地域住民の参画を得た自然保護区の管理、3)日本提唱の、『SATOYAMAイニシアティブ』、持続可能な利用の実践

「いのちの共生イニシアティブ」は生物多様性COP10で菅首相が表明した途上国支援。1)2010年から3年間で20億ドル。2)日本型国立公園管理で保護区による生態系保全。3)SATOYAMAイニシアティブ(人の手の入った環境での持続的資源利用。4)微生物の培養など生物資源の活用協力

「SATOYAMAイニシアティブ」とは、日本の提唱した持続可能な自然資源の利用推進のための取組のこと。生物多様性を保全していくには原生的な地域を保全するだけではなく「里山」のような人の影響を受けた自然環境の保全も重要。 こうした地域は世界中で見られ多くの場所で危機にさらされている

生物多様性条約COP10で日本政府は、遺伝資源が豊富な途上国が製品開発につながる微生物を現地で開発できるように技術や機材を提供・支援する方針を表明。まずインドネシアで実施。医薬品開発など利益に結びつく微生物を見つけ出し、培養や保存ができるように機材を提供。技術者を日本に招いて研修

生態系保全の世界共通目標についてEUは強硬に高い目標を主張していた。この理由は、1)地球温暖化防止でCO2排出権取引を決める際、そのルールをEUが初めて導入するなど世界を主導し、EU内の企業と市場が優位に立った。2)生物多様性でもそれに対応できるEU内の企業を有利に導きたかった?

2010年3月、ナミビア政府が、アフリカ環境大臣委員会(AMCEM)と協力し、アフリカ諸国の環境大臣を招き、生物多様性の利用の公正な分配に関する会議を開催。会議の開催は、これらの国々におけるバイオパイラシーとの戦いを進めるイニシアティブ(デンマークとドイツ政府が設立)によって支援

ナミビアとは、南アフリカ共和国のすぐ北西にある国。1884年からドイツの殖民地。1914年からはアフリカの大国・南アフリカ連邦に占領されアパルトヘイトが実施された。1990年独立。南アの近くにあるため成人HIV感染率15.3%(世界第5位)。生物多様性に関してはアフリカ諸国の代表

生物多様性COP10は2009年の「気候変動枠組条約でのコペンハーゲンの失敗」を繰り返さないため途上国が途中で方針を変更し先進国からより多くの金を引き出す戦略に。日本もこれに対応し、3回に分けて資金援助を徐々に上積みしてゆく戦略をとった。この結果、先進国の案が、ほぼそのまま通った

「コペンハーゲンの失敗」とは2009年12月気候変動枠組条約COP15において、1)先進国と新興国が激突。アメリカ対中国、フランス対インド・中国。2)国連の限界。各国の利害の主張だけ。3)議長国デンマークの不手際。先進国側の事前協定が途上国にばれた。大陸ごとの集会も根回しだと非難

生物多様性COP10で議長国日本は、1)2010年10月22日まず5年間で50億円を提示。2)27日ODA内の20億ドル(1620億円)を途上国の生物多様性支援に。3)28日、「議長案が採択されれば10億円追加」という最後のカードを切り金に目がくらんだ途上国を抑え先進国案を通した

2010年10月末、外務省が、我が国の生物多様性保全に関する途上国支援イニシアティブを発表(「いのちの共生(Life in Harmony)イニシアティブ」) http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/22/10/1027_01.html

外務省、『わかる!国際情勢(生物多様性条約COP10の成果~いのちの共生を、未来へ)』、2010年11月。「名古屋」を冠する議定書2本が採択されるなど,約3週間の会議は,大きな成果。COP10の成果と,議長を務めた日本の貢献について解説。 http://bit.ly/gYKW9K

JICAが国際協力の情報提供サイトを開設。MDGs,生物多様性、相互既存など、今ホットな話題がテーマ。『なんとかしなきゃ!資料室 なんとかしなきゃ!プロジェクト 見過ごせない?55億人』 http://nantokashinakya.jp/references/episode/


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世界銀行は2010年10月、日英印などの各国や国連環境計画(UNEP)と共同で生物多様性の経済的価値を途上国の政策に反映させる新プロジェクトを始める。生態系の価値を経済的に数値化できる簡易な手法を考案し豊かな多様性を誇る途上国が開発に走らず自然を効率的に管理する体制づくりを目指す

世界銀行のロバートBゼーリック総裁は「生物多様性が失われている背景には生態系やその恵みの価値が適切に評価されていないことが一因。必要なツールを途上国に提供する新たな『グローバル・パートナーシップ』により各国の「自然資本」に関して「欠如している情報」を提供し政府の意思決定の指針に」

2010年10月、地球環境ファシリティ、世界銀行、国際自然保護連合(IUCN)の3機関は生物多様性COP10で1000万ドル超の出資をし 「Save Our Species(SOS)」イニシアティブを発足させた。2015年までに世界最大規模の基金を構築できるよう企業に呼びかけた。

国連環境計画(UNEP)金融イニシアチブの末吉竹二郎特別顧問は、「生物多様性の損失も温暖化問題同様、人間の経済活動が原因。環境保全コストを企業活動に取り込むことが重要で、今回の会議はその気づきとして欲しい」。愛知ターゲットの個別目標20個を国や地域の開発計画にどう盛り込むかが重要


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経済的価値への換算(TEEB)

「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB : The Economics of Ecosystems and Biodiversity study )とは、生態系の破壊や生物多様性の減少がもたらす経済学的な被害を定量的評価する枠組み http://www.teebweb.org/

生態系と生物多様性の経済学(TEEB)は2007年3月ドイツのポツダムで行われたG8 環境大臣会合にて「ポツダムイニシアティブ」により、生物多様性の地球規模の喪失に関する経済評価の重要性が指摘。気候変動と経済に関するスターンレビューの 生物多様性版とも称されるTEEB活動が承認。

「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)には、2つの目的。1)「スターンレビュー」と同様に、現状のまま特に対策をとらない場合、生物多様性が損なわれることによる経済的・社会的損失の規模を示す、2)各国の政策決定者や地方自治体、(企業の)事業者や市民に対して、具体的な対処方法を示す

「生態系と生物多様性の経済学(TEEB)」の最終報告書が生物多様性条約COP10で発表。「生態系喪失の対策を取らなければ世界の損失は最大年4・5兆ドル。生態系の破壊による世界の損失は何もしなかった場合、年2兆~4・5兆ドルだが保全策として450億ドル投じれば逆に年5兆ドルの利益

「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)最終報告。ハワイのサンゴ礁の価値は年3億6千万ドル。乱獲による漁業資源損失は全世界で年500億ドル、カメルーン熱帯雨林が温暖化防止効果は1ヘクタール当たり年最高2265ドル等。世界の生態系破壊による経済損失は年間5兆ドル(405兆円)以上

生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)では「生態系保全に年3兆6千億円を投じれば、長期的には水産資源の増加や温暖化防止効果などで年400兆円の経済価値を生み出せる」との試算が紹介された。ROI(投資収益率、Return On Investment)が100倍以上となる予測

生物多様性が失われることによる地球規模の経済的な損失は毎年最大で380兆円だという「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)がCOP10で発表。国連環境計画(UNEP)の下でこのリポートをまとめたパバン・スクデブは「環境と経済を統合したバランスシート(貸借対照表)をつくるべきだ」

TEEB最終報告は、D0:理論編)科学的・経済学的な基盤、D1:政策決定者向け)生態系への支払い制度(PES)やREDD(森林減少による排出削減)、D2:地方自治体向け)意思決定の選択肢、D3:事業者向け)リスク管理と、ビジネスチャンス、D4:一般市民向け)ウェブで消費選択の参考

"REDD"とは、「森林減少・劣化からの温室効果ガス排出削減」(Reduced Emissions from Deforestation and forest Degradation)。途上国における森林の破壊や劣化を回避し、温室効果ガス(二酸化炭素)の排出を削減しようとすること


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ビジネスチャンスの啓発(TEEB,D3)

生物多様性とビジネスの歴史。COP8(2006、ブラジル)民間参画に関する決議。COP9 (2008、ドイツ)ビジネスと生物多様性に関するイニシアティブ。日本経団連生物多様性宣言(2009.3)。環境省民間参画ガイドライン(2009.8)。民間参画イニシアティブ(2010.5)。

「生態系と生物多様性の経済学」(TEEB)によれば生態系に配慮した認証商品の普及によって2008年に5兆7千億円だった市場規模が20年には25兆円に拡大。開発による自然損失を別の場所で保護された自然の価値を買い取って埋め合わせる「生物多様性オフセット」市場は3千億円から9千億円に

TEEBの最終報告のD3では、生物多様性に関連した新しいビジネスチャンスも紹介。生物多様性オフセット、生物多様性バンキング、REDD(森林減少・劣化による排出削減)、といった生物多様性保全に関連するビジネスチャンスの拡大。エコツーリズムや有機農産物など急速に拡大しているマーケット


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環境アセスメント(査定)のツール(IBAT)

TEEBの最終報告のD3が、企業を含む事業者向け。生物多様性に関するリスクをどのようにして事前に予見し、回避・低減することができるか。海外ではibat(生物多様性のための統合アセスメントツール)やBBOP(ビジネスと生物多様性オフセットプログラム)などの「リスク管理ツール」の開発

IBATとは、生物多様性統合アセスメントツール(Integrated Biodiversity Assessment Tool )。世界各地の情報を統合し提供。国連環境計画、国際自然保護連合(IUCN)、コンサベーション・インターナショナル、バードライフ・インターナショナルが共同

生物多様性のリスク管理に使える「生物多様性統合アセスメントツール」(IBAT)は、国連環境計画(UNEP)、バードライフ・インターナショナル、コンサベーション・インターナショナル(CI)、国際自然保護連合(IUCN)の4つの自然保護団体が共同で実施。無数にあったデータを統合した。

国連環境計画の世界自然保護モニタリングセンター(UNEP-WCMC)は、生物多様性情報を統合したデータベース、「生物多様性統合アセスメントツール」(IBAT)を開発。IBATは、世界各地の生物多様性や生息地に関する具体的情報を提供。企業等がプロジェクトの立案段階でリスク評価に使用


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オフセット(BBOP)

"BBOP"とは、「ビジネスと生物多様性オフセットプログラム」(The Business and Biodiversity Offsets Program)。各国の試験的オフセット事業の紹介をしオフセットの普及を目指す http://bbop.forest-trends.org/

2008年の生物多様性COP9の決議には、民間企業が取り組む最優先事項として、「BBOP(ビジネスと生物多様性オフセットプログラム)と協力して生物多様性オフセットのケーススタディーや各種ガイドライン、さらには国や地域の関連政策の枠組み作りをCOP10に向けて作成する必要性」が明記


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企業のイニシアティブ

生物多様性COP10の会期中の2010年10月26日、経済3団体は400社のネットワーク、「生物多様性民間参画パートナーシップ」を発足。先進企業の取り組みの紹介など。これはCOP10の議論を先取りして産業界に不利な仕組みが成立することを避けるのが狙いだった。これが功を奏した側面も

2010年5月、日本経団連・日本商工会議所・経済同友会は、国際自然保護連合日本プロジェクトオフィス、農林水産省、経済産業省及び環境省と協力し、生物多様性の保全及び持続可能な利用等、条約の実施に関する民間の参画を推進するプログラム、「生物多様性民間参画イニシアティブ」を設立した。

(生物多様性に関する)「民間参画イニシアティブ」(2010.5)とは、経済三団体(日本経済団体連合会、日本商工会議所、経済同友会)が主体となり、7つの行動指針に沿った活動を実践。生物多様性民間参画パートナーシップ行動指針に賛同した(B&Bイニシアティブ等の)事業者やNGO等が協力

「B&Bイニシアティブ」とは、「ビジネスと生物多様性イニシアティブ」のこと。生物多様性条約の実施及び目標の達成のためには、民間部門(企業等)の取り組みが重要であるといわれているが、生物多様性条約COP9(2008年)でドイツ政府の主導により提唱された概念。日本企業も多数参加した。


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CSRとの絡み

CSRの歴史。1920年代、教会が煙草・酒等製造企業に投資しない。60年代、宇宙船地球号の概念。60~70年代、公害、反戦。80年代、メセナ、フィランソロピー。90年代グローバル化と企業の強大化、401kでSRI。2000年代、企業の不正。気候変動と生物多様性の経済的価値への換算

欧米のCSRの歴史、1980年代。1984年インドで米企業が事故、化学物質を大気中に放出し千二百人が死亡。PRTR作成へ。1988年、生物多様性の概念誕生。同年NASAが人類由来の地球温暖化を科学的に証明、IPCC設立。1989年タンカー事故、バルディーズ号事件。CERES原則へ

CSRの歴史。1987年IUCNが生態系保全をUNEPに提言。1988年、気候変動に関する政府間パネル誕生。1992年、リオデジャネイロの地球サミット(国連環境開発会議)で生物多様性条約(CBD)と気候変動枠組み条約(FCCC)が採択。1993年CBD発効、1994年FCCC発効

欧米のCSRの歴史、1990年代前半。1991年、ソ連消滅で世界が市場経済に。グローバル化で多国籍企業が巨大化。一方、新興国も台頭。1992年、地球サミットで生物多様性条約(CBD)と気候変動枠組み条約(FCCC)が採択。一方、アメリカでは401k(確定拠出型年金)でSRIが発達

欧米のCSRの歴史、2000年代後半。2006年、スターン報告書、2007年、生態系と生物多様性の経済学(TEEB)で、環境や生態系サービスの経済的価値と損失が試算。欧州で2003年WEEE施行、2006年RoHS施行、2007年REACH施行。2008年グリーン・ニューディール

企業の社会的責任(CSR)で重要な単語が「ステークホルダー」(説明責任などを果たすべき利害共有者)。以下の十種の人々など。1)株主、2)自社の社員、3)市民(顧客)、4)地域社会、5)国、6)国際社会、7)市民団体、8)教育研究機関、9)環境(生物多様性)、10)未来の子どもたち


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研究機関(IPBES、IPCCに相当)

"IPBES"とは、「生物多様性と生態系サービスに関する科学-政策政府間プラットフォーム」(Intergovernmental Science and Policy Platform on Biodiversity and Ecosystem Services)。2010年秋発足

生物多様性版IPCCが2010年秋発足。2001~05年、世界中の科学者が参加した「ミレニアム生態系評価(MA)」、05~08年IMoSEB(生物多様性に関する科学専門家国際メカニズム)、08年より、IPBES(生物多様性と生態系サービスに関する科学-政策政府間プラットフォーム)


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遺伝資源へのアクセスと公平な利益配分(ABS)

ボン・ガイドラインとは、「遺伝資源へのアクセスとその利用から生じる利益配分の公正かつ衡平な配分に関するボン・ガイドライン」(Bonn Guidelines)のことで、2002年オランダ・ハーグで開催された、生物多様性条約(CBD)・第6回締約国会議(COP6)において採択された。

医薬品や化粧品などは植物等の生物資源・遺伝資源から合成される。その市場規模は年間5千~8千億ドル(50~80兆円)。1992年に生物多様性条約が作られてから生物資源の利益配分をめぐって先進国と途上国が対立。2002年、法的拘束力のないボン・ガイドラインが作られたが途上国は納得せず

生物多様性条約(Convention on Biological Diversity :CBD)の第10回締約国会議(COP10)で最大の議題は、「遺伝資源へのアクセスと公平な利益配分」(Access and Benefit-Sharing : ABS)。先進国と資源国の利害対立

生物多様性条約の会合では、これまで、各国の交渉官の議論を積み重ね、全会一致で合意を目指すのが慣例だった。しかし今回は、主に「生物資源へのアクセスと利益の公平な分売(ABS)」を巡って各国が対立。議長国である日本の松本環境相が、議長案を提出して採択を目指すという異例の展開となった。

生物多様性条約COP10,ABSに関する最終議長案は、1)生物資源の派生品の一部も利益配分の対象に含めるが個別の契約で判断。2)遺伝資源の不正な持ち出しを監視する仕組みについては契約が適正かどうか監視する機関を一つ以上設けることを各国に義務化。機関の性格は限定せず各国が個別に判断

生物多様性条約COP10の非公式会合で、製薬企業などが生物遺伝資源を国外に持ち出して新薬開発などに利用する際、原産国の法令を守っているかを監視するための機関を各締約国に設置することで、大筋合意。監視機関は、事前同意や契約があるか、原産国の法律や規則を順守しているかなどをチェック

生物多様性COP10で生物資源の不正取引防止の仕組みは、原案では、特許官庁や研究機関が研究者や特許を申請する企業に遺伝資源の入手先を開示させる、という任務を担うべきだと記載されていた。結局、松本環境相の議長案はこの開示制度には触れず、利用国が監視部署を一か所以上設置する、に留めた

生物多様性COP10でのABS論議のうち、1)名古屋議定書発効は(途上国が折れて植民地時代ではなく)条約発効時の1992年。2)生物資源の「派生物」は(途上国の要求通り)含むが個別の契約で判断。3)生物資源の「出所の記載」と不正の管理は、各国が監視機構を最低一つ設置することで合意

生物多様性条約COP10の「生物資源の利益分配」(ABS)に関する結果は、結局、1)大航海時代までは適用時期を戻さない(議定書成立時)、2)新興感染症のワクチン開発時は例外として途上国はすぐ渡すが見返り要求、3)派生品については個別判断、4)監視機構については各国の判断にまかせる



2010年10月に行われた生物多様性COP10の国際保健への影響 生物多様性条約と「遺伝資源へのアクセスと公平な利益配分」(ABS) 5246字 http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65492305.html

生物多様性COP10で微生物など遺伝資源の利用と利益配分を定めた「名古屋議定書」が採択されたが、2010年10月末インドネシア政府は同国内で世界最多の感染者が出ている強毒性鳥インフルエンザウイルス(H5N1)をWHOに提供する見通し。「利益配分を受ける準備が整えば提供を再開する」

2010年10月20日、名古屋市で開かれている生物多様性条約第10回締約国会議(COP10)の非公式会合で、製薬企業が開発途上国で(新型インフルエンザ等の)病原体を採取してワクチンを製造する場合「公衆衛生に関する緊急事態」として利益配分を前提とした迅速な資源採取を認める方向で一致


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遺伝子組み換え作物による生態系への被害対策(MOP5)

生物多様性条約(CBD)・第10回締約国会議(COP10)は、10月18日から29日まで、名古屋で開かれる。この時、同時に、生物多様性条約に基づく「カルタヘナ議定書」・第5回締約国会議(MOP5)も開催。カルタヘナ議定書とは、遺伝子組換え生物の国境を超える移送・利用に関する規定。

生物多様性条約COP10の議題の一つ、「遺伝子組み換え作物による生態系への被害対策」がまとまり、「名古屋・クアラルンプール補足議定書」と命名される。1)被害が起きた場合、どの事業者の責任かを政府が特定。2)それが補償できない場合、政府が代行。3)財政保障や限度額は各国ごとに法整備


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経済価値へ換算することの批判

欧米の一神教は「人間は神の写し身。だから地上を支配せよ。」その結果、気候変動のスターン報告書、生物多様性のTEEBで自然の経済価値を換算。環境を人間にとってより都合のよいものに。日本の多神教は「山の神、川の神、海の神に、『生かさせて頂いている』。経済価値に換算するなどとんでもない

「生物多様性COP10では、英語が流暢でなく残念だった。アマゾンの住民なども参加し、失われていく自然の大切さを強調したが、欧米人は全く理解しない。日本人ならわかる。自然の神々を恐れ敬う多神教があったから。だから彼らの間の通訳になるべきだった。世界のかけ橋に・・」 COP10参加者


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賞の授与

イオン環境財団は2010年10月、ドイツの、アンゲラ・メルケル首相に、「生物多様性みどり賞」(国際生物多様性年特別賞)を贈った。メルケル首相は、2007年、ハイリゲンダム・サミット(主要国首脳会議)で、生物多様性の重要性を首脳宣言に盛り込むなど環境問題への取り組みを行った。

「生きもの会議の足を引っ張ってるで賞」が授与。NGOの世界的なネットワーク「CBD(生物多様性条約)アライアンス」は、欧州連合(EU)とカナダに不名誉な「ドードー賞」を授与。ドードーは絶滅した鳥。「遺伝資源へのアクセスと利益配分(ABS)」の議論で両者は開幕後も非協力的な態度だと


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地域的とりくみ

約450の企業が出展する国際見本市、「メッセナゴヤ2010」が名古屋市のポートメッセなごやで開催。、「環境・エネルギー」をテーマにし入場無料。生産国の環境保全に配慮したバナナなど、生物多様性の保全につながる取り組みが展示。携帯電話等の基板から金などを取り出す「都市鉱山」のブースも

環境問題や生物多様性のことを、一般の人に親しみやすく伝えるための最良のメディアが、『動物園』、という場所かもしれない。 「ペンギンは歩き、クマは飛ぶ 3,183字」 http://bit.ly/hnKN86


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有名人

ハリソン・フォードは、1942年生のアメリカの俳優。1977年の映画『スター・ウォーズ』で有名に。米国のNGO「コンサベーション・インターナショナル(CI)」の副理事長。生物多様性COP10を訪れ、「生物多様性は地球上のすべての生命の基盤。難しい交渉だが世界が力を合わせてほしい」

生物多様性COP10の閉会セレモニーで、国連環境計画(UNEP)親善大使を務める加藤登紀子さんが、 「Now is the time」を熱唱した。この歌は「素敵な宇宙船地球号」のテーマソング。 http://www.youtube.com/watch?v=nqavng0-5u8


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NGOの意見

生物多様性COP10の日本政府代表団の中に、環境NGOのメンバーが入っていた。国際環境NGO「コンサベーション・インターナショナル」(CI)日本事務所の名取洋司・生態系政策マネージャー(36歳)。「日本政府の姿勢が、陸上の保護地域を狭くとらえるのにこだわっているように見えました」

コンサベーション・インターナショナル・ジャパン、生態系政策プログラム、名取洋司の「生物多様性に関する政策提言」 ノー・ネット・ロスを中心に http://www.foejapan.org/forest/biodiversity/pdf/20100319_CI_Natori.pdf

「ノー・ネット・ロス」(開発してもその地域の自然や生態系の量が減らないこと)は、トリプル・ベネフィットを産む。1)気候変動対策へ貢献。CO2排出削減等。2)生物多様性保全に貢献。生物多様性重要地域の回復。3)地元コミュニティーの持続可能な発展。持続可能な森林経営、自然災害防止等。


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用語

EICネット。環境用語集トップページ。環境問題。地球温暖化。生物多様性。企業の社会的責任(CSR)など。 http://www.eic.or.jp/ecoterm/


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哲学

環境問題は3種類。1)公害。比較的短期的に人間の肉体に産業廃棄物等が健康被害を起こすもの。2)地球環境問題。気候変動、生態系サービスの劣化など、比較的長期的に人間の豊かな社会生活にリスクを負わせるもの。3)人間の利益と関係ないもの。生物資源にも観賞にも使えない絶滅危惧種の保護など

環境問題の根本的原因は、人口増加と経済活動の拡大。よって解決したい場合、その二つを減少させようというのが当たり前。現在行われている議論は上記を二つともそのままにしながら、なんとか環境やその問題を経済価値で換算することにより、ある程度、経済活動に取り入れましょう、という都合のいい話

環境問題への対策の歴史。1952年のロンドン、SOxで1万人以上死亡。1972年UNEP。1979年大気汚染条約。1988年NASAが温暖化指摘、同年IPCC。1992年地球サミット、双子の条約(CBD、FCCC)。1997年京都議定書。2006年スターン報告。2008年TEEB

環境問題を本質的に解決しようという動き。1963年宇宙船地球号操縦マニュアルで「地球の資源は有限」。66年来たるべき宇宙船地球号の経済学で「無限の資源を想定している現在の経済学ではダメ。循環型社会の必要性」 。72年成長の限界で人口の爆発的増加。国連世界人口予測が2060年に百億

環境問題解決の、あくまで次善の策が、環境の価値や環境問題リスクを経済価値に換算すること。これは本質的な問題を解決しようとしているわけではないので、仮にやったとしても失敗に終わる可能性の方が高い、と私は思う。しかし一方で当面、現実的に実行可能な対策としては、これしかないという事実も

環境問題を経済活動を縮小しないまま沈静化したい場合、製造業を根本から考え直す必要。蚕が繭(まゆ)を作る時、産業廃棄物はでない。これと同じように、製造過程でゴミ(自然界で分解されないもの)を全く出さない方法で商品を作る。無論、商品自体も自然界で分解されるもの以外、作ってはならない。

環境問題の解決は、「経済合理性に従い、必要な分野に自然に投資が向かうから大丈夫」という意見があるが、間違い。科学分野の研究はアイデアがあってもうまくいかないことが多い。百のうち、2,3成功したらいい方。いくら投資をしても、できないものはできない。投資で全てを解決することはできない

環境問題を考えた場合、人間の文明は進歩する方向を間違えたことがわかる。蜘蛛は糸を作り巣を作り、鮑(あわび)は堅い殻を作るが、資源を枯渇させたりせず、ゴミ(自然界で分解されないもの)も出さない。どうして人間は、自然界で循環できる方法で商品を製造したり廃棄する方法を発明しなかったのか

環境問題に一般的には含まれないかもしれないが、最大の問題の一つが『資源の枯渇』。具体的には、1)水、2)食糧(大量の食糧を生産するために必要な化学肥料。その原料となるリン鉱石。3)化石燃料(石油、石炭等)。4)ウラン。これらが無くなる前に、再利用可能エネルギーの開発が間に合うか?

環境問題で最大の脅威となるのは、2060年に人口百億になった時に、1)水、2)食糧(化学肥料、リン鉱石)、3)化石燃料、4)ウランが、足りるか、もしくはそれらが足りなくてもなんとかする方法を人類は持っているか、ということ。持っていない場合、一度そこで、現代文明は崩壊する可能性あり

環境問題の根本的な原因の一つが、「人間は、一度得た『豊かさ』を、捨てることができない」ということ。例えば、通勤は全て自転車にし、1日に電気を使えるのは4時間まで。自分の家の屋根にある太陽電池などで得られるエネルギーしか使わない生活・・に戻すことができない、ということが「人間の性」

ニーチェ曰く、「愚か者はよい暮らしを得ても、それよりもっとよい暮らしを求める。」 これが環境問題を含めた現代社会の本質。人間は天敵となる生物を既に全て滅ぼし、産業革命以後、太古に光合成で作られたエネルギー、すなわち石油・石炭まで使うすべを覚えた。・・もう、充分すぎるのではないか?

もしも一人一人の国民が自分の利益だけを追求し不利益にならないことだけを考え、その上で選挙で投票し多数決で物事を決める。個人のどす黒い欲望の総和が『民主主義』であるならばそれは最悪の政治形態に違いない。民主主義を行うには前提として自分の欲望を抑え社会に対して責任を持つような土壌が先

「持続可能な社会」を作りたい場合、最大の障害が「世界人口の増加」。西暦0年の人口は3億人で、以後千年以上、数億人で横ばいだった。しかし1760年代からの産業革命により人口は爆発的に増加。1810年に10億を突破すると、わずか200年の間に68億。国連世界人口予測は2060年に百億