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概略

スーダンで2011年1月9日、南部地域の住民を対象に、南部の分離独立を問う住民投票。独立を望む有権者が多数で、南部スーダン独立の可能性。首都ハルツームを中心とする北部はアラブ系イスラム教徒が、南部は黒人のアニミズムかキリスト教徒。長年北部が政治を支配し南部住民は「2級市民」的扱い

スーダンはアフリカで最も大きな国。北部はアラブ系イスラム教徒、南部はアフリカ系(黒人の)キリスト教徒(またはアニミズム)。1956年エジプトとイギリスから独立したが、1983年、北部の政府がイスラム法を導入したため南部は反発。内戦で約200万人が死亡、約200万人が難民・避難民に

「スーダン南部の人々は(北部の首都ハルツームを中心とする)国家から疎外され続けてきた。彼らにとって国家は外部からの軍隊と同義で一度もまともな扱いを受けていない。(2011年初頭の南部の分離独立を問う住民投票で)歴史上初めて自ら運命を決められることになった」栗本英世・阪大大学院教授

「忘れられた人道危機」とは、スーダンの惨状を表現した言葉。1980年代からの内戦で数百万人が犠牲に。2005年7月、和平合意が成立しバシール准将を大統領とする暫定政府が発足、6年間統治を行なった上で、2011年1月、南部で住民投票を実施し、1)連邦形成か、2)南部独立かを問う


選挙

スーダン南部の分離・独立に向けた住民投票が2011年1月9日に実施。南部自治政府のサルバ・キール大統領は、「南部の住民が待ち続けた歴史的瞬間」。内戦のため難民として海外で暮らす人が多く、米国やケニアなど一部の外国でも投票可能。しかし有権者390万人の多くの人が投票するために帰還。

スーダン南部の分離独立投票でキリスト教徒等の多い南部はイスラム法を導入した北部政府に反発し圧倒的多数で独立、2011年7月に新国家誕生へ。問題は、1)石油資源の8割が南部。石油は国家収入の半分以上。北部が容認するか?石油施設の帰属問題も。2)国境線も未確定。3)対外債務の分担は?

北部のスーダン政府が南部の分離独立投票を受け入れた理由は、汚名返上と国際的孤立から抜け出すため。アメリカからテロ支援国家のレッテルを貼られており経済制裁。アメリカは住民投票の見返りにそれらを解除する方向。バシール大統領のダルフール虐殺に対する国際刑事裁判所からの逮捕状はどうなる?

スーダン南部の分離独立に対する2011年1月の住民投票に対し、日本も選挙監視団15人が派遣され投票を監視する。政府は2010年12月の閣議で、国連平和維持活動(PKO)協力法に基づき、2011年1月9日から始まるスーダン南部の分離独立を問う住民投票に選挙監視団を派遣することを決定

内戦が続くスーダンに対し日本の自衛隊をPKOとして派遣するよう国連が要求。北部の政府と南部の反政府勢力は和平と紛争を繰り返しているが2011年1月に南部の独立をめぐる住民投票をするので、その監督係が必要とされていた。しかし防衛省の概算で自衛隊の派遣には百億円かかることがわかり中止


バシル大統領と国際刑事裁判所(ICC)

ダルフール紛争への関与で国際刑事裁判所(ICC)の逮捕状が出ているスーダンのバシル大統領がケニアの新憲法公布式典に出席。ケニアはICC加盟国だが逮捕せず。ICCはバシルに対し、2009年3月人道違反、2010年7月集団殺害罪で逮捕状。しかし7月アフリカ連合は逮捕に協力しない方向へ


難民

スーダンでは、1)エリトリア難民と、2)ダルフール紛争による国内避難民、3)南北間の紛争停止による帰還民など、450万人が保護を必要としている。これに対し日本は過去10年間に7800万ドルの支援を実施。日本、UNHCR、NGO5団体などとのパートナーシップを組み諸問題の解決を図る

世界最大の人道危機と言われるスーダン内戦の影響で隣国のチャドに大量の難民が流出。地元民とのトラブルもありチャドの治安も悪化。国連はPKOを派遣し安定を図った。しかし先日チャド政府の要望でPKOが撤退することに。チャドは大統領選を前に、与党が「治安の改善」をアピールしたいらしかった


南北格差、開発とテロ

スーダンは北部と南部の経済的格差が大きい。教育・医療機関などは北部の首都ハルツームに集中。南部はインフラが未整備で、ナイル川にかかる橋も一つだけ。道路も学校も少ない。400万人が食糧支援を必要としている。そこから難民の流出や、テロリスト育成の温床に。国際社会からの支援が必須の地域

スーダンの安定化は国際的に有益。1)内戦のため約200万人が周辺に流出。流出先で問題となり新たな紛争も。2)内戦地帯の貧困層はテロリスト育成の温床になり易い。3)スーダンは石油やレアメタルの埋蔵量が大きく石油メジャーや中国企業が進出。4)面積がアフリカ最大で将来莫大なインフラ事業


統計指標

人間開発指数(HDI、2010)、169カ国中、低い順に、ジンバブエ、コンゴ民主共和国、ニジェール、ブルンジ、モザンビーク、ギニアビサウ、チャド、リベリア、ブルキナファソ、マリ中央アフリカ、シエラレオネ、エチオピア、ギニア、アフガニスタン、スーダン、マラウイ、ルワンダ、ガンビア

高校までの就学率(UNDP,2007)は低い順に、ジブチ25.5、ニジェール27.2、中央アフリカ28.6、ブルキナファソ32.8、エリトリア33.3、チャド36.5、ギニアビサウ36.6、コートジボワール37.5、パキスタン39.3、スーダン39.9、パプアニューギニア40.7

世界の難民(UNHCR、2008年)は、1)パレスチナ472万、2)イラク460万、3)コロンビア343万、4)アフガニスタン337万、5)コンゴ民主共和国192万、6)ソマリア186万、7)スーダン173万、8)ウガンダ86万、9)コートジボワール71万、10)スリランカ65万

女性器切除有病率1)ソマリア97.9%、2)エジプト95.8%、3)ギニア95.6%、4)シエラレオネ95%、5)ジブチ93.1%、6)マリ91.6%、7)スーダン90%、8)エリトリア88.7%、9)ガンビア78.3%、10)エチオピア74.3%、11)ブルキナファソ72.5%

面積(万km2)、1)ロシア1709、2)カナダ998、3)アメリカ963、4)中国960、5)ブラジル851、6)オーストラリア769、7)インド329、8)アルゼンチン278、9)カザフスタン272、10)スーダン250、11)アルジェリア238、12)コンゴ民主共和国234


その他、国際情勢など

スカイプは2010年12月、国連難民高等弁務官(UNHCR)が活動する世界120拠点において接続性の低いネットワークであってもネット上で音声ビデオ通話を可能とするソフトウェアを開発。低価格で提供。既にイラク、スーダン、アフガニスタン、アルジェリア、バングラデッシュ、チャド等で使用

国連総会第3 委員会・北朝鮮人権状況(拉致等の非難)決議に反対した18カ国は、中国,北朝鮮,マレーシア,ミャンマー,ベトナム,キューバ,ベネズエラ,ベラルーシ,ロシア,ウズベキスタン,アルジェリア,エジプト,イラン,オマーン, スーダン, シリア, リビア, ジンバブエ

劉暁波のノーベル平和賞授賞式典に欠席を伝えた国。中国、アフガニスタン、アルジェリア、アルゼンチン、イラク、イラン、エジプト、カザフスタン、キューバ、コロンビア、サウジアラビア、スーダン、セルビア、チュニジア、パキスタン、ベトナム、ベネズエラ、モロッコ、ロシア。返答なしはスリランカ

同性愛が死刑となる国は9つ。サウジアラビア、イエメン、アラブ首長国連邦、イラン、アフガニスタン、スーダン、ソマリア、モーリタニア、ナイジェリア(北部のいくつかの地域)