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この記事は、前回と前々回の続きです。

その1
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65626492.html

その2
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65626494.html


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国際人道法とは?


国際人道法とは、紛争において、負傷したり病気になった兵士、捕虜、そして武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた国際法。国際人道法という名の条約は存在せず「1949年のジュネーブ四条約」、「1977年の二つの追加議定書」「2005年の第3追加議定書」を中心とした条約等の総称

国際人道法。1949年、1)軍隊でも傷病者なら保護、2)海上でも同様に保護。3)捕虜は保護。4)文民は保護。77年、追加1)内戦にも締約国外にも適応。追加2)敵対行為に参加しない者の殺傷・拷問・人質の禁止。傷病者を看護する義務。05年、追加3)イスラエル付近での赤十字活動を可能に

ジュネーヴ条約とジュネーブ諸条約。前者は1864年に赤十字国際委員会が「戦争時の捕虜に対する扱いを人道的にする必要がある」として締結。後者は「ジュネーヴ四条約」とも言い、1949年に、1)陸上においては軍隊でも傷病者なら保護、2)海上でも同様に保護。3)捕虜は保護。4)文民は保護

国際人道法(International Humanitarian Law)とは、1971年の「武力紛争に適用される国際人道法の再確認と発展のための政府派遣専門家会議」で使われた表現。広義では平時からの国際人権法と武力紛争法。狭義では(武力紛争における犠牲者を保護する)ジュネーブ法

国際人道法。狭義では(紛争時の)武力紛争法(交戦法規と中立法規)の一部。武力紛争法には、1)ハーグ陸戦条約(1899年)と、2)ジュネーヴ条約(1864年、赤十字条約とも言う)があるが、(戦時中の)傷病者及び捕虜の待遇改善等が規定されている後者を、狭義の国際人道法という。

ハーグ陸戦条約。1899年にオランダ・ハーグで開かれた第1回万国平和会議において採択。1907年第2回万国平和会議で改定。交戦者の定義や、宣戦布告、戦闘員・非戦闘員の定義、捕虜・傷病者の扱い、使用してはならない戦術、降服・休戦などが規定されている。最も根源的な戦時国際法とされる。

国際人権法(International Human Rights Law))とは、国際法によって個人の人権を保障する国際法の一分野。第二次大戦後に急速に発展。戦前は人権は国内問題(国内問題不干渉義務、国際連盟規約15条8項)だった。が、1948年の国連総会で「世界人権宣言」が採択

ウィーン宣言及び行動計画(Vienna Declaration and Programme of Action)。東西冷戦後の1993年「世界先住民族年」に開催された「世界人権会議」で採択。人権蹂躙に対処する、国際人権法や国際人道法の確認。国際連合人権高等弁務官事務所が設置された

国際人道法の問題点。攻撃側には、文民の疑いがある場合にはその人を攻撃してはならないというきつい縛りをしていながら、文民側には戦闘に参加することを禁止しておらず、またいったん参加してもいつでも文民に戻ることもできるため、攻撃側としては判別ができず、結果、判断するのを止めることになる

国際人道法への批判。法学の立場からは、人道という哲学的・倫理的概念を国際法の名称として採用することは、法に情緒的な曖昧さを持ち込み、法の論理性や強制力を脆弱化する可能性。このため各国(及びその軍隊)では、国際人道法の名称の代わりに武力紛争法又は戦争法の用語が一般的に使用されている


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赤十字とは?


「赤十字」とは人道・博愛・奉仕などの理念を持つ様々な組織の総称で、ある種の「運動体」。主に三つの枠組みがある。1)赤十字国際委員会(ICRC)。紛争時の人権侵害の監視。2)国際赤十字・赤新月社連盟(IFRC)。平時と自然災害の医療。3)日本赤十字社など各国の組織。これを2)が調整

アンリ・デュナン(1828-1910年)。スイスの実業家。1859年、北イタリアでオーストリア軍とフランス・サルジニア連合軍が戦闘(ソルフェリーノの戦い)。彼は「傷つき武器を持たない兵士は、もはや兵士ではない。敵味方の区別なく救うべき」と言い救護活動をした。これが赤十字の理念の元

赤十字国際委員会( International Committee of the Red Cross : ICRC)。紛争時、中立人道的活動を行う国際組織(スイス法人)。1863年に創設。紛争時に、各戦闘組織の人権侵害を監視する役目を担っており、国際人道法の守護者と呼ばれている。

「国際赤十字・赤新月運動の基本原則」。1965年採択、1986年改訂。人道援助の要件として、「命と健康を確保すること」、「苦痛を軽減し、予防すること」、「人間の尊厳(尊重)を確保すること」。この概念が1986年の国際司法裁判所 のニカラグア判決で「人道の原則」として判示されている

赤十字国際委員会(ICRC)は「国際人道法の番人」であるため、どんな紛争であろうが、そのど真ん中に入っていく必要があり、戦争で捕まった捕虜に拷問をしていないか、民間人(非戦闘員)を殺していないか、などを監視する役目を持つ。このため世界で最も危険な任務を担ってる団体であるとも言える

赤十字国際委員会(ICRC)の武力紛争における民軍関係に関するガイドライン(2001年) 『The ICRC and civil-military relations in armed conflict』 Meinrad Studer http://bit.ly/dTQjAU

民軍協力のためのICRCガイドライン。1)出発点を赤十字諸原則(公平・中立・独立)に置き政治や軍事から独立。2)人道活動の目的は紛争解決ではない。国連や多国籍軍による紛争解決とは目的が異なる。3)同一地域に展開中の軍と密接な協議関係を持つことになるがICRCの意思決定は軍とは独立

民軍協力のためのICRCガイドラインは軍による人道活動に原則的に反対した上で、以下について協力。\治・軍事の政策決定者との対話、∧刃属飮軍との作戦面の協力、I霑警護員によるICRCの防護、に姫匯餮擦ICRCの利用、シ盈への協力、Χ力に関する会議へ参加、Х鎧演習へ参加

米軍がタリバン掃討作戦を行うアフガニスタンで赤十字国際委員会が、タリバン兵士らを対象に人命救助の訓練を実施。2010年4月と8月。兵士は再び戦闘に復帰することもあるため米軍から批判もあるが、赤十字は「政治的に正しいかどうかは問題でない。国際人道法に基づく傷病者保護の任務のためだ」

赤十字国際委員会は2003年10月27日イラクのバグダッドで事務所が入っているビル付近で自爆テロがあり少なくとも10人が死亡したと発表したがイラクでの活動は不可欠として今後も活動を継続する意向。「イラク国民のためになすべき重要な任務があり我々はここにとどまり続けなければならない」

赤十字国際委員会(ICRC)がイラクから撤退、2003年11月9日。10月27日にバグダッド事務所で自爆テロがあり、当初、同組織は活動の継続を表明していたが、8月19日にバグダッドの国連事務所も爆破(22名が死亡)されており、日に日に増す治安の悪化のため、撤退を余儀なくされた。

赤十字(または赤新月社)の標章を掲げた施設はジュネーブ条約により攻撃を受けないこととなっているが戦場では必ずしも優先されず近年の民軍連携の増加で米軍の仲間と誤解され犠牲者が増加。2003年10月イラクのバグダッド事務所で自爆テロ。2006年イスラエルのレバノン侵攻時、赤十字も空爆

赤十字国際委員会(ICRC)による「文民がどうしたら文民の資格を失うか」のガイドラン。 Direct Participation in Hostilities (DPH) http://bit.ly/gGjc7t

ICRCによるDPHガイドライン(民と軍の区別原則、2009年)によると、文民ではない人(紛争時、攻撃されてもしかたのない人)は、1)国の正規軍の構成員。2)正規軍ではない武装グループの場合は、継続的な戦闘機能を負っている人。しかし戦闘機能を持つ人に食糧を運ぶ車の運転手はどっち?

民軍連携に対しNGOの代表である赤十字国際委員会は明確に否定的である。まず軍による直接的な人道活動について紛争中か紛争後かを区別し紛争中に対しては絶対的に反対している。人道活動が政治・軍事目的と関連しているという認識を住民(テロ組織等)が持つと本来の人道活動ができなくなる為である

赤十字国際委員会が守護する国際人道法には、1)戦時において人間の尊厳を守り苦痛を軽減。そのためのアクセスの確保。2)戦闘員と文民を区別し文民及び敵対行為に参加しない人々を保護。要するに、戦闘員とそうでない人を『区別』することが彼らの最初の仕事なので、軍民連携に賛成できるはずがない


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国境なき医師団(MSF)とは?


国境なき医師団(MSF)とは1971年にフランスの医師らが作ったNGO。1968年当時、赤十字に所属しナイジェリア内戦に派遣されたフランス人医師たちは(政治的中立を守るために人道問題に関して)沈黙を守る赤十字の活動に限界を感じメディアに対し啓発する組織を作ろうとした。それがMSF

国境なき医師団(MSF)の憲章。無差別な活動(対象者の人種、宗教、民族、政治的信念を問わない)、国際医療倫理に基づく中立、公平、及び政治権力等からの独立の遵守を活動の原則とすることを謳っている。政府からの資金面、意思決定面における独立の原則も掲げる。

国境なき医師団(MSF)は、『人道的介入』の用語は、文民による活動に言及する場合のみに使用し、軍事行動を伴う活動に言及する場合には、『軍事的介入』を使用すべきであり、『軍事的人道主義』や『軍事的人道的介入』といった「虚偽に満ちたスローガン」は放棄すべきであるとしている。

国際医療系NGO「国境なき医師団」(MSF)の襲撃事件。アフガニスタンにて2004年6月2日、活動家3人が殺害された。比較的安全とされた北西部バドギス(Badghis)州で発生し、アフガン全域にテロが拡大する傾向があることが懸念。これによりMSFはアフガンからの撤退に追い込まれた

NGO「国境なき医師団」(MSF)は、2004年、治安が悪化したためにイラクから撤退した。だが2006年、再びイラク入りし、様々なプログラムを実施。イラク中部と北部にある病院に対し、^緻品と医療器具などの物資を提供、医療スタッフと心理カウンセラーの研修、3芦淵繊璽爐砲茲觴蟒

「国境なき医師団(MSF)がイラクで(軍から)独立した活動を行うことは無理。米軍の兵士が援助機関の車とそっくりな車を乗り回している。移動の際、連合軍の護衛を強制されたことや、軍隊と行動を共にすることを選んだNGOがいるのを考えると、紛争当事者からMSFの独立性を証明するのは困難」

赤十字という団体がある。大きくなるにつれ内部に考え方の違いが生じ、国境なき医師団などが分裂。その国境なき医師団も巨大になり、多数の団体が分裂し、多数の個人が去っていった。NGO(非政府組織)は大きくなるにつれ、それを繰り返すのが宿命か。人は、共感したい心と反発する心の相克で生きる

国境なき医師団に関するお問い合わせはその事務局へお願いします。私はかつて同団体の理事等をしていましたが現在は無関係です。また拙著「世界で一番いのちの短い国 シエラレオネの国境なき医師団」に書いている国際協力の考え方は私の個人的な方針です http://amzn.to/eAuxp7

欧米のNGOの違い(一般論)。1)欧州NGOは原則(政治的中立など)を守り、できる範囲で活動を行う、ミニマリスト型。2)米国NGOは事業(結果)優先で、より多くの資金を得るため政府からも資金を得、団体の中立性が損なわれても軍と連携して紛争地帯でも活動し人命を救う、マキシマリスト型

民間のNGOもテロリストに狙われる理由。1)欧米人は皆、米国の仲間に見える。2)近年の米軍による民心掌握のための援助や、民軍連携の増加。3)NGOでも各国政府から資金援助を受けている場合も多い。政治的中立性のため、絶対に受け取らないのは国境なき医師団などの欧米NGOの一部ぐらい。


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国際刑事裁判所(ICC)


国際刑事裁判所(International Criminal Court, ICC)。個人の国際犯罪を裁く常設の国際司法機関。1998年に採択された国際刑事裁判所ローマ規程に基づき2003年、オランダのハーグに設置。約100カ国が加盟。戦争犯罪や人道に対する罪、集団殺害などを扱う

ハーグとは、事実上のオランダの首都でアムステルダムとロッテルダムに次ぐオランダ第3の都市。正式名称はデン・ハーグ(Den Haag)。北海沿岸に位置するオランダ 南ホラント州の基礎自治体。人口は五百万。第一次世界大戦後、常設国際司法裁判所が設置、第二次世界大戦後、国際司法裁判所へ

国際刑事裁判所(ICC)とは、個人の国際犯罪を裁く国際機関。冷戦崩壊後に起こった旧ユーゴスラビアやルワンダの紛争では、「ジェノサイド」や「人道に対する犯罪」を裁くために臨時の国際法廷が設けられたが、これらを契機に常設化へ。2003年にオランダのハーグに設置された。

国際刑事裁判所(ICC)第8条:国際武力紛争と非国際武力紛争の区別なく殺人、人質などジュネーヴ諸条約の違反行為を禁止。同条2項b:国連憲章の元での人道的援助やPKOに係る要員や物品等であって(紛争に関する国際法の元)文民または民用物に与えられる保護の権利を有するものへの攻撃を禁止

国際刑事裁判所(ICC)による人道問題などの捜査は、国内の内情を暴かれる恐れがあるため、多くの国はそれを嫌う。また捜査権や逮捕権(などの法的強制力)は、その国の主権に関わるものなので、国際機関の職員と言えども、そのような権限はない。よって、現地警察などとの協力関係を築くことが必要

セルフ・リファーラル(self-referral)。ある国が国内で発生した人道問題等等を、国際刑事裁判所(ICC)に付託すること。例えばコンゴ民主共和国やウガンダでは、そうした事件の捜査を、ICCに依頼した。逆に、スーダンに関しては国連安保理がICCに付託したがスーダン政府は拒絶

国際人道法に違反した場合、基本的に「戦争犯罪」として国際刑事裁判所(ICC)で裁くことができる。しかし民と軍が入り乱れている中で、実効性に問題。特に攻撃側が、非攻撃側構成員の機能について詳細な情報を保持していることを前提としており、そうでない場合は、罪に問われない可能性が高い。

シエラレオネ内戦中の残虐行為を裁くシエラレオネ国際戦犯特別法廷は2007年6月、人道に対する罪など14件で起訴された3被告に対し、殺人、性的虐待、少年兵の徴集など11件について有罪判決。「少年兵や性的奴隷とするため子どもを拉致する行為」が国際法廷で有罪と判断されるのは今回が初めて

人道に対する罪。「国家もしくは集団によって一般の国民に対してなされた謀殺、絶滅を目的とした大量殺人、奴隷化、追放その他の非人道的行為」として第二次世界大戦後のニュルンベルク裁判に初めて適用された概念。ジェノサイド、戦争犯罪とともに「国際法上の犯罪」を構成。戦時、平時に拘わらない。

ニュルンベルク裁判とは、第二次世界大戦においてドイツによって行われた戦争犯罪を裁く国際軍事裁判。1945年11月から1946年10月。国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の党大会開催地であるニュルンベルクで開催。「人道に対する罪」や「平和に対する罪」という概念が作りだされた。


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国際司法裁判所(ICJ)


国際司法裁判所(International Court of Justice,ICJ)。国連の主要な常設の国際司法機関。オランダのハーグに本部。その役割は国家間の法律的紛争、即ち国際紛争を裁判によって解決、または、法律的問題に意見を与えること。その法律的意見は、国際法に多大な影響

原爆使用の合法性に関する国際司法裁判所の勧告(1996)。「人道法の原則が核兵器が発明される前に発達したものでありジュネーブ条約が核兵器を特定して扱っていないことに留意する。だが大多数の国および学者の見解で人道法を核兵器に適用できることは疑いをいれない。本裁判所もこの見解をとる」

パレスチナ分離壁に関する国際司法裁判所の勧告(2004)。国際人道法(慣習国際法としての1907 年のハーグ規則(イスラエルは非締約国)、1949 年のジュネーブ第四(文民)条約)、人権諸条約及び適用可能な安保理決議に照らしイスラエルによる壁の建設が「国際法に違反する」と判示した


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国際審査委員会


国際紛争平和的処理条約とは、国際紛争を平和的に処理するための包括的な多国間条約。ハーグ平和会議で(ハーグ陸戦条約とともに)採択され1899年署名、1910年発効。国際仲裁裁判は他の組織に役目を譲ったが、国際審査委員会は、現在でもスーダンでのダルフール問題などに対して機能している。

安保理によって設置された「国際審査委員会」の報告(2005年)。スーダン政府とダルフール反政府勢力の紛争。文民に対する無差別攻撃、軍事上の必要によって正当化されない村落の恣意的な破壊などの行為を認定。『人道に対する犯罪及び戦争犯罪』に該当するとし、国際刑事裁判所に付託するよう勧告

「日本の紛争処理への国際貢献については、憲法9条があるためPKO等でリーダーシップをとることはできない。むしろ、コンゴ民主共和国の安定化ミッションで行われたような『事実調査』で能力を発揮するべき。日本の警察の能力は高く、また中立で偏らない調査にも定評がある」 横田洋三(中央大学)


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移行期の正義(transitional justice)とは?


移行期の正義(transitional justice)とは、例えば、ある国で政府と反政府との間で内戦が続いている場合、かつ、そのどちらかが虐殺などの「人道的な罪」を犯している場合でも、停戦を実現させるため、その罪を不問にすることを良しとするかどうか。正義は失われるが平和は来る?

移行期の正義(transitional justice)に関連する事例。1)アルゼンチンで軍政から民政への移管後、訴追(1983年)。2)ユーゴスラビア紛争(1991-2000年)。3)ルワンダ虐殺(1994年)。4)南アフリカ共和国のアパルトヘイト撤退(1948-1994年)。

移行期の正義(transitional justice)。民主主義への移行を成し遂げた国において旧体制下で行なわれた人権侵害にどう対処すべきか。内戦が終結したときに内戦下で行なわれた違法行為にどう対処すべきか。大串和雄(日本国際政治学会) http://bit.ly/fJhUif

「国際社会で『正義』を貫こうとすると、当事者たちはいつまで経っても紛争を止めない。なぜなら戦争を止めると、自分が裁判にかけられて処罰を受ける可能性が高いから。つまり、人道的な犯罪者の罪を訴追しようとすると、紛争が長引き平和が実現できないというジレンマに陥る」 横田洋三(中央大学)


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民間軍事会社(PMC)は、民か軍か?


民間軍事会社(private military company)。直接戦闘、要人などの警備、軍事教育、兵站などの軍事的サービスを行う企業であり、新しい形態の傭兵組織。冷戦終結で各国の軍事費削減が進む一方、内戦やテロが頻発した1990年頃に誕生し2000年代の対テロ戦争で急成長した

民間軍事会社の英訳は、private military company : PMC、Private Military and Security Companies : PMSCs、など。2008年、民間軍事会社の行動に関して定義した(スイスの)モントルー文書では、PMSCsを使用

民間軍事会社(PMC)の民軍連携における立場は複雑だ。立場は(各国の国益とは関係ないので)民間であるが、武装組織であるので、軍と言えば軍。例えば、中東の復興プロジェクトで、文官の護衛にPMCスタッフを付けた場合その人は真っ先に死亡し易い。お金をもらっているからしかたないとするか?

民間軍事会社スタッフの安全確保は困難。1)国際人道法・第一追加議定書で、傭兵は(傷病等で)戦闘員である立場の喪失・捕虜となる権利すらない。2)DPHガイドランで、戦闘行為に参加するまでは文民であるが、その時でも、突然の死傷が生じてもやむをえない立場にある。いずれもつきはなした記述

民間軍事会社の人の給料は1日3万円。途上国では普通、日給300円程度が多いので、その100倍。だからといって死んでもいいか、という議論がある。2008年スイスで民間軍事会社の行動を定義したモントルー文書では、あくまで軍ではなく民であり国際人権法・国際人道法の対象になるとしている。

民間軍事会社スタッフ(傭兵)は、民軍連携において、最も危険な地域・立場での護衛を依頼されることが多いため、最も死にやすい。1)武装しているからしかたないか、2)金をもらっているからしかたないか、3)頼んでいるのが(米兵の犠牲を減らすための)米軍でもしかたないか。全てはグレーゾーン

アメリカはアフガニスタンとイラクで民軍連携による「地方復興チーム」(PRT)を組んで地域の治安維持などを行っているが米兵が死ぬと米国内の世論がうるさい為、民間軍事会社を使って2〜3万の黒人等の傭兵を雇い、中東の治安を担わせようという計画もある。米兵の命は他国民より重いという伝統だ

ブラック・ウォーター事件。ブラックウォーターとは米国の退役軍人が1997年に創設した軍事会社。改称しXeサービシズLLC。2007年9月イラクのバグダッドでこの民間軍事会社の社員が民間人に銃を乱射し17人を死亡させた。軍隊ではないので国際人道法の法規が適応されないという問題が発生

ミリタリー・エレメント(military elements、軍事的要素)とは、民軍関係・民軍連携・民軍協力などについて述べる時に使用される表現。軍と言っても、各国政府の正規軍だけではなく、民間の民兵(政府よりも、反政府よりもある)、民間軍事会社、セキュリティー会社などもあるため。


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無人航空機とロボット


ドローン・プレインズ(無人飛行機、ラジコン飛行機)。武装した無人航空機が世界で多数開発されており、アフガニスタン紛争、イラク戦争、その後のタリバン掃討戦などで実戦投入された。単に「ドローン」(drone)または、UAV(Unmanned Aerial Vehicle)とも呼ばれる

無人航空機(drone)による戦闘の増加の問題。1)誤爆や巻き添えによる民間人の犠牲者が増多(無論、国際人道法違反)。2)アメリカ本土からの遠隔操作でゲームのように(実感のないまま)中東のタリバン等を殺せる。3)逆に赤外線カメラ等から得られる鮮烈な映像がリモコン操縦者の精神を圧迫

ジェネラル・アトミックス社。米国の無人航空機等を開発する会社。RQ-1 プレデター(Predator、捕食者)、同型で武装型のMQ-1プレデター、MQ-9 リーパー(Reaper、刈る者、死神)、アヴェンジャー(復讐者)等を量産。ボスニア、アフガン、パキスタン、イラク等で実戦投入


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自衛隊イラク派遣と民軍連携


日本の国連安保理・常任理事国入りと自衛隊派遣。悲願達成のため、1)経済大国でG8のメンバーで、2)国連分担金を比較的真面目に払っており、3)政府開発援助(ODA)の額も往年ほどではないが高額を維持し、技術協力も積極的に行い、4)自衛隊派遣数も多い・・という最後の部分が欲しいのか。

自衛隊の海外派遣については、1991年、湾岸戦争の時のペルシャ湾派遣が最初。機雷除去を実施。2003年のイラク戦争で物資輸送。名目は難民救済。2004年から2008年までイラク特措法による戦後の復興支援。2009年、ソマリア沖の海賊に対し、海上・航空・陸上自衛隊(戦闘部隊)を派兵

国連ミッションへの軍事要員・警察要員の派遣状況(PKO等、G8諸国及び近隣アジア諸国、2011年まで) 1)パキスタン10672、2)バングラデシュ10380、3)インド8680、4)ナイジェリア5873、5)エジプト5404、15)中国2038、47)日本268、68)米国98

自衛隊イラク派遣と人間の安全保障の関係。人間の安全保障委員会は、1)脅威からの保護と同時に、2)被支援者の能力強化を提言。自衛隊はイラクで間接医療支援(被災者・患者を直接診療するのではなく、医療スタッフや医療設備を支援対象として現地の医療基盤を向上させることを目的とした医療支援)

「魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えた方が良い」。開発の世界でよく使われる表現。魚を与えても食べてしまえばおしまい。魚の釣り方を教えれば、その人は以後ずっと自分で生活を支えられるようになる。同様にお金などを与える援助よりも、職業訓練をし能力を発揮できる社会インフラの整備が重要

自衛隊イラク派遣での医療支援。イラク特措法(2003年)の、「病院の運営・維持管理等について、イラク人医師等に関して助言・指導を行うとともに状況に応じ、地域住民等の診療を実施する」を根拠とし、住民への直接診療ではなく、医療従事者を対象にした教育・指導を行う間接医療支援を実施した。

自衛隊イラク派遣での医療支援における民軍連携。日本の政府開発援助(ODA)の草の根・人間の安全保障無償資金協力等により救急車と医療器材の供与。自衛隊の衛生隊は救急車を導入する際、乗務員に対する救急法教育を実施し、超音波診断装置導入時には現地医師に対し使用法を指導。モノとヒトの支援

軍による人道活動が民間よりも優れる点。1)治安維持能力があるため赤十字すら活動できない紛争地帯でも活動可能。2)治安維持、兵站、輸送等と一体化した自己完結性を持つ。3)野外医療システムや病院船等の資源を用いた即応性に優れる医療支援が可能。4)兵器使用による傷病患者への対応に優れる

軍から見た民軍連携の医療支援における有用性。1)ハイチ地震後の平和維持活動を米軍のみで行っていたらコストは4倍だった。2)軍の衛生部隊は外傷等には強いが平和活動に必要な小児科・産婦人科・精神科は不得手。3)自衛隊のイラク派遣ではODAによる施設修復・機器供与・人材育成が必要だった

「・・・イラクって今、どうなってるの?」イラク人道復興支援活動特集 防衛省・自衛隊ホームページ http://bit.ly/dUCpSR

自衛隊イラク派遣 (2004−2008年)。活動の柱は非戦闘地域での人道復興支援活動と安全確保支援活動。実際は給水事業や公共インフラ整備をしていた。だが自衛隊である必要はなく、民間業者・NGO・民間軍事会社らに依頼した方が費用対効果的に合理的だった(十倍以上安かった)とする意見も

自衛隊イラク派遣は成功か?毎日新聞2005年10月の世論調査で「派遣を延長すべき」が18%、「延長すべきでない」が77%。読売・朝日もほぼ同様。サマワでの住民調査では派遣延長についての支持が78%、不支持が13%。だが活動が不満と答えた人は3割いて、その主な理由は「事業が小規模」

自衛隊のPKO参加は縮小傾向。理由は。横娃娃闇のブラヒミ報告以来、国連は Robust PKO(受け入れ国の同意がなくても参入し積極的武力行使を行うPKO)を派遣する流れ。△靴し日本の自衛隊は、まず憲法9条の縛りがあり、独自のPKO参加5原則でRobust PKOには参加困難

PKO参加5原則。1)停戦の合意の存在。2)受け入れ国などの同意。3)中立性を保った活動。4)上記のいずれかが満たされなくなった場合には、一時業務中断、さらに短期間のうちにその原則が回復しない場合、派遣終了。5)武器使用は要員等の生命または身体の防衛のために必要な最小限度に限定。


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民軍連携による文民の犠牲者の増加を改善するには?


国連安保理による多国籍軍やNATOが軍事介入し、自国に都合のよい新政権を作るのが世界情勢。PKOも(民軍連携の)複合型かつRobust型(武力行使型)になった現状で赤十字等の人道組織が「軍は人道支援するな」と言ったところで効果はない。今後も国連と米軍が主導する民軍連携は続いてゆく

民軍連携で援助関係者の死亡増。改善するには? 1)国際人道法における民(文官等)の定義が曖昧なので改善。2)「人道に対する罪」に違反した場合、国際刑事裁判所による処罰の徹底。3)UNコンベンションの加盟国を増やすべき。4)各国の軍隊に事前研修(国際人道法、民軍連携の実施演習など)

「民軍連携の増加により国連職員等の死亡が増加。根本的な背景にあるのは安保理の正当性。現状は、構成メンバーの欧米偏重、拒否権の行使、(人道問題等に対する)ダブル・スタンダードなど問題が多く、その決定によるPKOや多国籍軍の派遣は、途上国から理解が得られない」 長谷川祐弘(法政大学)

国連安保理の問題。五大国にとって全く国益にならなければ議題にしない。逆にからみすぎると拒否権を発動されるか、それがわかっているので議題にしない。前者は資源のないルワンダ・ソマリアの放置。後者は米国のベトナム戦争、ソ連のアフガン侵攻、ロシアのチェチェン問題、中国のチベット弾圧など。

国連安保理改革。1)とりあえず常任理事国枠の拡大。2)非常任理事国枠も拡大。3)その後、五大国の拒否権の剥奪を安保理で決議。4)国益で動く安保理を中心とした軍事・政治的国連と、社会開発的要素の強いユニセフなどの付属機関等を分離。5)3)が無理な場合、4)を中心とした第二国連を創設

中東のテロリストが援助関係者を狙う誤解。民間のNGOは国連や政府(米国等)と関係ない。また国連は(米国等に支配される)安保理主導でPKOや多国籍軍を派遣する『政治・軍事の国連』の部分と、それらと関係ないユニセフ等の『社会の国連』がある。だからNGOや『社会の国連』を狙うのは筋違い

「国連の三つの顔」とは、政治・経済・社会のそれぞれに関与する国際機関のグループ。1)安保理の五大国に集約されPKOや多国籍軍を派遣する政治と軍事の国連。2)世銀とIMFに代表される欧米中心主義の経済の国連。3)ユニセフ、UNHCR、UNDP、WFPなどの付属機関等による社会の国連

国連安保理改革。1)とりあえず常任理事国枠の拡大。2)非常任理事国枠も拡大。3)その後、五大国の拒否権の剥奪を安保理で決議。4)国益で動く安保理を中心とした軍事・政治的国連と、社会開発的要素の強いユニセフなどの付属機関等を分離。5)3)が無理な場合、4)を中心とした第二国連を創設

世界の趨勢から民軍連携が続いてゆくのは確実。すると文官の国連職員や民間NGOが米軍の仲間と誤解されて殺される事例はさらに増える。よって残念ながら紛争地帯で活動することが多い、UNHCR、WFP、ICRC、MSFなどで働くことはしばらく勧められない。それでもやるなら十分な注意と覚悟

紛争地で援助活動するなら必読。「途上国で国際協力をするための安全管理・危険回避について」 その1http://bit.ly/foVbhk その2http://bit.ly/ehpXEL その3http://bit.ly/ftOKuS その4http://bit.ly/g6OgAN


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民軍連携に関するインターネット上の情報とリンク先


内閣府・国際平和協力本部事務局(PKO)。国連平和維持活動に対する人や物での日本の貢献などについて。 http://www.pko.go.jp/

内閣府・国際平和協力本部・事務局・国際連合大学サステイナビリティと平和研究所共催・第2回国際平和協力シンポジウム 〜国際平和協力研究員による新たな挑戦〜 平成22年(2010年)10月8日、帯刀豊(たてわきゆたか、国際平和協力研究員) http://bit.ly/i6sDdx

国際平和支援活動(PSO)における民軍関係 ―CMO、CIMIC、CMCoord、ICRCガイドライン― 等(ひとし)雄一郎(外交防衛課) 国際平和支援活動(Peace Support Operations) 第局堯〃魁Ψ抻,隆慷燭般魍筺http://bit.ly/feS1VX

医療分野の民軍協力について ――軍による医療支援の意義とは―― 松木泰憲 防衛研究所紀要 第12 巻第2・3 合併号 (2010 年3 月) http://bit.ly/ideXtt

「国際平和協力活動における民軍協力──大規模自然災害復興支援、平和構築支援を中心に──」 今村英二郎(2等陸佐) http://bit.ly/hwjKCR

「国際法に見る人道概念の普遍化の過程及び人道主義の今日的課題と展望に関する考察」 井上 忠男(1952年生、日本赤十字社に入社。湾岸戦争後のクルド人救済を監視するためイラクのICRCへ。外務省・防衛庁で構成される国際人道法国内委員会委員) http://bit.ly/fRq3FV

国際平和活動における民軍連携の課題 広島大学平和科学研究センター 上杉勇司 http://bit.ly/fXkRrp

最近のテロ動向におけるイスラム原理主義テロ組織(第二部) 東京海上日動リスクコンサルティング(株) 危機管理グループ 主席研究員 茂木 寿 第62号(2004年12月発行) http://bit.ly/gp8K7s

「国際人道法上の捕虜ーアフガニスタンにおける軍事行動の事例を中心にー」 外交防衛課 苅込照彰 レファレンス 平成16年1月号(2004.1) http://bit.ly/dKz6fJ


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