.

医療系の分野で、国際協力をやりたい人のために、
どうすれば、それが可能となるかを、ざっと概説しておく。

・・・

まず、前提を四つ、話さなければならない。

・・・

ポイント1.

医療と公衆衛生を合わせて、国際協力の世界では、
『保健』という。

この中に、

 惷控舛琉緡邸蔑彎押法戮噺討个譴襦
 医師や看護師が直接、診療を行う行為と、

∋劼匹發簀ド悗悗痢慷祝廟楴錙淵錺チンの接種)』や、

F幼児、妊婦、一般成人への『健康診断(健診)』や、

ぞ絏漆綟擦良甬擇覆鼻岼汰瓦平紂廚鯆鷆,垢襦愎紊髪卆検戮諒野や、

などの分野がある。

一般に、『狭義の医療』とは、,領彎欧鮖悗后
だが、『広義の医療(保健)』とは、上記のすべてを指す。

また、◆↓、い瞭睛討髻公衆衛生と言う。


・・・

ポイント2.

上記のように、国際保健協力は、
「臨床」の分野だけではないため、
この分野で活動している全てを見渡した場合、
マネジメントなど(後述)が専門である文系出身の人も多い。

関わっている人の総数でみた場合、
医師や看護師でない人の方が多いと言ってよい。

(要するに、これを読んでいるあなたが、文系の人であっても、
 以下のような分野で、
 人の命を救う「広義の医療(保健)」に関わることができる。)

例えば、
日本がODA(政府開発援助)を通して、得意としている分野は、

(欸鬟轡好謄犇化
(マネジメント(5S、カイゼン、TQM)、政府等のガバナンス、
 財務管理、情報管理、人材育成、サービス向上、など)、
⊃紊髪卆検幣綽綟察下水道、トイレ、水質管理等)、
0緡鉄鏈爐諒歇藉浜(点検、在庫管理、ロジスティック(運搬等))、

などがある。


参考:
5S、KAIZEN、TQMなどのマネジメント導入と途上国への医療支援に関するツイート 6563字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65668344.html

参考:
WHOが提唱。HSS(保健システム強化)はService delivery, Health workforce, Information, Medical products/technologies, Health financing, Leadership/governance

・・・

ポイント3.

他の国際協力の分野と同じように、医療でも、
緊急援助と、開発援助に、支援の形態は分かれる。

ゞ杁浣臀とは、
紛争や自然災害によって、
その国の政府や自治体が崩壊してしまい、
自ら対応できなくなっている場合、
紛争の最中や、自然災害の直後に、
外国人等が、その地域に入り、
国や自治体の代わりに、その対応をやってあげるもの。
この場合、
外国人の医師や看護師が、自分で診療をすることも多い。
また食糧・水・医療物資なども、
外国から持ち込み、配布してあげることが多い。

開発援助とは、
紛争も災害も終結し、ある程度、
国や自治体が機能している段階で、
その途上国の人々が主役となり、
自分たちの国や地域を、
よりよくしていこうとする活動を、
外国人などが手伝うこと。
この場合、
主役は途上国の人であり
(途上国政府や、村のコミュニティーなどであり)、
外国人は、脇役でサポーターである。
だから、途上国の人がどうしたいかを
まず確認する必要があり、
それに沿って、言われたことをやるのが基本。

一般の人は、
医療系の国際協力と言うと、
,龍杁浣臀の方だけを思い浮かべがちだが、
すべての医療系の国際協力の中で、
その8割以上の予算も、人も、
△粒発援助の方に使われている。

これが事実であり、
一般の人の認識は、大きく間違っていることを、
最初に申し上げておく。

・・・

ポイント4.

国際協力には、基本的に、
三つの枠組みがある。

国連系、政府系、NGO(非政府組織)系である。

このうち、
国連系と政府系の組織に入った場合、
(開発援助が中心となり)
基本的に、
途上国の政府に対して、
政策提言とその実施のサポートを行うことになり、
狭い意味での医療である、
自分自身による直接的な医療行為を行うことは、
ほぼ無くなる。

もしも、どうしても、
自分自身で患者を診療する医療行為をしたい場合、
(直接的な医療活動を主体としているタイプの)
NGOに入り、そうした活動をするしかない。

要するに、
『憧れの』国連職員などになった場合、なれたとしても、
自分で患者さんを診ることはなくなり、
(悪く言えば)お役所仕事ばっかりになる、ということである。

医療系の人は、この点は、きちんと認識してから、
将来の設計をして頂きたい。

ただし、お役所仕事だからといって、
「つまらない仕事だ」というわけではなく、
世界や、国を動かしたい場合、
どうしてもそうした方向で仕事をしていくことになる、
ということである。
またそれは、もちろん、立派な仕事である。

・・・
・・・

と、いうわけで、これからの進路を考える場合、
あなたが、医療従事者系なのか?
そうではなく文系出身なのか?
また、
臨床志向(直接的医療活動をしたい)なのか?
行政志向(国や世界を変える仕事をしたい)なのか?

で、以下の4つに分かれる。


A.医師や看護師が、自分で直接患者を診療する
  『臨床』をやりたい場合、直接的な医療行為をするNGOへ。

B.医師や看護師であっても、
  途上国の政策を変える大きな仕事をしたい場合、
  国連系か政府系へ。


C.医師や看護師などの医療従事者でなくても、
  マネジメント、財務管理、水と衛生などの専門家として
  日本政府などのODA(政府開発援助)の技術協力に関わる方法。

D.医師や看護師などの医療従事者でなくても、
  公衆衛生学修士(MPH)などを取得し、
  途上国政府へ政策提言とその実施をサポート。


以上の4つの、どれを目指すかで、
あなたに対するアドバイスは、全く異なってくる。

この記事では、主に、AとBについて述べる。
だが、CやDを狙う人にも参考になる情報があるので、
一読をお勧めしておく。

CやDを狙う人の場合、
通常の文系の大学生がプロの国際協力師を目指す場合の
ルートも同時に必要となるため、以下のサイトも参照。

チャート式、国際協力師(有給のプロ)への道 5669字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65673216.html


・・・
・・・

A.医師や看護師が、自分で直接患者を診療する
  『臨床』をやりたい場合、医療系のNGOへ。


この記事を読んでいる人は、
医学生・看護学生・医師・看護師・助産師などが多いと思われ、
かつ、
「医療とは直接的に患者を診療することだ」
と思っていた人が多いと考えられるので、
まず、このコースに進む場合のアドバイスを最初に記載する。


(1)最低限の資格の取得

^綮嫐筏、看護師免許などの国家資格が必要。
△修慮紂⊆駄碍亳海魄綮佞覆藐淒、看護師なら3年以上。
1儻譴フランス語のいずれかで仕事ができることが必要。
以上がほぼ絶対条件。

できればあったほうがよいその他の条件としては、
助産師の免許、保健師の免許、
母子保健の知識と経験(小児科・産婦人科・小児外科の勤務経験)、
救急室の勤務経験(とりあえずどんな疾患でも診られること)、
ICU(集中治療室)や手術室の経験、などから最低ひとつ。

あとは、エイズ全般の知識、感染症対策全般の知識、
子どものワクチンに関する知識など、あったほうがよい。

意外なところでは、途上国では「モバイル・クリニック」
(自動車などで無医村へ行き、一日だけの診療所をやること)
があるので、自動車の免許や、自動二輪の免許。

その他、海外渡航経験(できれば開発途上国のもの)、
ボランティア経験
(インドのマザーテレサの家、タイのナンプー寺など)、
スタディーツアー
(途上国にある病院の見学ツアー)への参加経験、など。

参考:
これらについても、以下を参照。

チャート式、国際協力師(有給のプロ)への道 5669字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65673216.html


(2)できれば、事前に熱帯医学と公衆衛生学の知識

  長崎大学熱帯医学研究所(三か月間)
http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/3months/

  タイのマヒドン大学(六か月間)
http://www.ic.mahidol.ac.th/

 これらにより、終了証明書(ディプローマ)を得ておく。


(3)現地へ挑戦

医師ならNGOしかない。看護師なら青年海外協力隊もある。

正確にいうと、
(日本政府の国際協力の実施機関である、
 国際協力機構(JICA)の初心者向けの部署である)
青年海外協力隊には、医師の募集がないため、
もしも、それでも青年海外協力隊として行きたい場合、
「感染症対策」「エイズ予防対策」等の「職種」に応募するか、
または、
職種としては「村落開発普及員」に応募し、
その中にある、無数のプロジェクトの中から、
村の衛生状態の改善を図る案件等に応募することが考えられる。
要するに、
医師でも協力隊に行けることは行けるのだが、
途上国では「医師としての医療行為はできない」ということである。

これは、
日本の医師免許証は、原則として、日本でしか効力をもっておらず、
他の国で医療行為をすることは、法律上、根拠がないため、である。

(ただし、紛争の最中や、自然災害の直後などで、
 その国または自治体の医療体制が完全に崩壊してしまっている場合は、
 人道上の例外規定として許される場合がある。)

看護師の場合も同様に、
青年海外協力隊として、途上国に看護師として入っても、
日本の看護師のような、いわゆる直接的な医療行為をすることは少ない
(できない国が多い)。
(特に、日本の助産師が途上国にいった場合、
 直接的な医療行為にあたる「お産の介助行為」ができないことは、
 本人にとって、精神的なストレスとなることが多い。) 
現地の看護師に教育をするか、あるいは、
公衆衛生的な、保健師としての活動を要請されることがほとんどである。

と、いうわけで、
医師であろうが、看護師であろうが、
いわゆる、日本で行っているような医療を行いたい場合、
政府の青年海外協力隊ではなく、
民間のNGOに行くことになる。

医療系の活動を行なっているNGOは無数にあるが、
ある程度有名なところを列挙すると、以下である。

日本赤十字社の国際部
http://www.jrc.or.jp/kokusai/

IFRC(国際赤十字連盟)
http://www.ifrc.org/

MSF(国境なき医師団)
http://www.msf.or.jp/

MDM(世界の医療団)
http://www.mdm.or.jp/

AMDA(アジア医師連絡協議会)
http://amda.or.jp/

シェア=国際保健協力市民の会
http://share.or.jp/

ケア・インターナショナル
http://www.careintjp.org/

日本国際ボランティアセンター(JVC)
http://www.ngo-jvc.net/

HANDS
http://www.hands.or.jp/

HuMA
http://www.huma.or.jp/

ペシャワール会
http://www1a.biglobe.ne.jp/peshawar/

INFJ=財団法人国際看護交流協会
http://www.infj.or.jp/

難民を助ける会(AAR)
http://www.aarjapan.gr.jp/

など。

なお、話を戻すが、基本的に私は、
初心者には、青年海外協力隊を勧めている。
理由は、
政府が運営しているため、
民間の玉石混合の(優劣の差が激しい)NGOよりは、
信頼できる組織だからである。
加えて、給料が毎月10万円ぐらいでる、
事前に語学研修・技術補完研修がある、
などのメリットがあり、
様々な欠点もあるものも、
この青年海外協力隊に勝るシステムは、
民間には見受けられない。


(4)以上の経験の後、二つに分かれる。

その後:その1 NGOでずっとやる

途上国の現場(田舎)に行き、
直接患者さんを診られるNGOが好きなら、一生NGOへ。

日本でバイトをし、お金がたまったらNGOで海外へいく。
このくりかえし。これもひとつの人生。

医療系は、人材派遣会社が日本に豊富にあり、
バイトでよければ、食いっぱぐれの心配はない。

リクルート・ドクターズキャリア
http://type.careergate.jp/fukushi/rec-docter.htm

リクルート・ナースバンク
http://www.recruit-nb.jp/

パソナ
http://www.pasona.co.jp/clients/services/haken/iryou.html

リンク・スタッフ
http://www.linkstaff.co.jp/

メディカル・アソシア
http://medicalassocia.jp/

メディカル・プリンシプル
http://www.medical-principle.co.jp/


その後:その2 国連かJICAへ行く。

これについては、以下を参照。


・・・
・・・

B.医師や看護師であっても、
  途上国の国を変える大きな仕事をしたい場合、国連系か政府系へ。


やはり給料がもらえる組織で活動したい場合、
または国や世界をまるごと動かす仕事がしたい場合、
国連か政府系を目指す。

(その前に、
 ,裡裡韮呂篝椎海外協力隊の経験があってもよいが、
 なくても(将来の就職上は、あまり)問題ない。
 ただし、私個人の意見としては、
 医師免許や看護免許を取得後、いきなり政府系に入ってしまうと、
 全く臨床経験がないまま、その道の上層部になってしまうので、
 医師や看護師などであるならば、まずは、
 実際の現場を3〜5年は経験することを勧めておく。)

政策提言とその実施のサポートなどの、
コーディネート業務が多いため、
直接的な医療現場からは、ほぼ離れる。

こうした途上国政府へのアドバイザーになるためには、
大学院修士(公衆衛生学修士(MPH))などの
専門性を証明するもの(資格か経験)がある方が有利。

公衆衛生学修士(MPH)をとるためには、
以下の三つの大学院が、
国際保健の世界では、ビック3、である。

ハーバード大学大学院・公衆衛生学講座
http://www.hsph.harvard.edu/

ジョンズ・ホプキンズ大学大学院・公衆衛生学講座
http://www.jhsph.edu/

ロンドン大学大学院・公衆衛生学講座
http://www.lon.ac.uk/

特にWHO(世界保健機関)などの国連組織に
将来就職したい場合、これらを卒業した方が良い。

日本では、東大などでもとれるが、
最近新設されたものとしては、

長崎大学大学院・国際健康開発研究科
http://www.tm.nagasaki-u.ac.jp/mph/

帝京大学大学院・公衆衛生大学院・国際保健専門家養成コース
http://www.teikyo-u.ac.jp/graduate_school/mph/index.html


・・・

ここで、国際保健に関する、どんな「課題」について、
勉強しておいたら良いか、ということについて触れる。

患者さんを直接診療するNGOの場合、
途上国では肺炎や下痢、マラリアなどの感染症に
対応することが多いが、
国連や政府レベルでの保健政策を行う場合、
必要となる知識は、まったこ異なる。
具体的には、以下である。

まず、公衆衛生学修士を取得する過程で、
大学院でも必ず習うことだが、
医療経済学や費用対効果などの知識が必須となる。
それらを理解するために、統計学・疫学の知識も必要。

ついで、現在、ミレニアム開発目標では、
母子保健に重点が置かれており、また、
エイズ・結核・マラリア等の感染症に重点がおかれているが、
2015年以降は、大きく方針が変わる予定である。

それは、(感染症の反対語である)
非感染性疾患(non communicable diseases : NCD)
と呼ばれる疾患群であり、
現在、これに何を含むかで、WHO等がもめているのだが、
一応、
癌、心筋梗塞、脳卒中、糖尿病など。

(これらは、これまでは先進国の病気だったが、
 現在、途上国でも、ものすごく増えてきている。)

つまり、これらの専門家になった方が、
2015年以降は、WHO等の国際保健機関に
雇用される可能性が高くなる、と言えるかもしれない。

また、さらに、
日本が短期間で世界最長の平均寿命を達成できたことは
国際保健のトピックとなっており、
その要因の一つが、
「国民皆保険」(universal coverage)だと言われている。
つまり、
途上国に、国民皆保険を導入させること自体の専門家が
これから必要だと考えられる。

あとは、看護師の場合、
助産師と保健師の資格も、とっておいた方がよい。
というか、必須である。
妊産婦死亡率の改善は、今後も課題となるし、
また、
公衆衛生学の基本的な要素は、
保健師を取得するための勉強に入っているからである。


・・・

公衆衛生学修士(MPH)を取得したら、
基本的に、。複稗達狙賁膕箸、国連JPOのどちらかを目指す。


。複稗達繊⊃雄猜臀検聞餾欟力機構)
http://www.jica.go.jp/recruit/

,裡複稗達舛竜蚕儷力専門家のことを、
一般に、JICA専門家と言う。
後述する、
国立国際医療研究センターに就職し、
このJICA専門家として派遣されるケースを狙うのが
最も妥当であるが、
上記のサイトから、単発で応募することも可能である。


■腺邸殖複丕論度 
http://www.mofa-irc.go.jp/

△里海箸髻一般に、JPO制度という。
応募条件は、
英語(または仏語)、修士、職務経験二年以上、三十五歳以下
である。
基本的に、国際機関で働いてみたい場合、
△裡複丕論度が、最も確率が高いと言われている。
これを目指すのが、普通である。
ただし、
JPOの任期は2年であり、
その後、国連に残ろうと思った場合、
応募されているどこかの部署に対し、自ら応募をし、
なんとか採用してもらわねばならない。
国連職員は、数か月から最長2年までの
短期雇用の繰り返しである。
一生、それが続くのだ。
よって、普通は、ある段階で、
その就職の繰り返しの「いたちごっこ」を止めて、
大学の講師などの、永久就職先を探す人が多いと思う。


・・・

それら以外の選択肢としては、
厚生労働省の医系技官(厚生労働技官)などが、
WHO,UNAIDS(国連合同エイズ計画)
などに出向になるケースだ。

日本政府は、WHOへ拠出金を出しているため、
そのお金の力で、日本人が占めることができるポスト(役職)が、
現在、WHO本部のジュネーブに、数ポストある。
またUNAIDS(国連合同エイズ計画)にもポストが一つ。

これを狙って、
国際機関(WHO、UNAIDS等)に行くために
厚労省の医系技官に就職する、ということも考えられる。

そして、運よく、それらに出向になった際に、
そこで(日本政府を、ある意味、裏切って)
国際機関に残ってしまう、という方法である。

だが、この方法には、リスクが多数ある。

一つは、
この方法をとると、日本政府や厚労省から、
『裏切りもの』と、ののしられること。
対人関係等が悪くなるため、
将来の仕事に悪影響がでる場合がある。
(でも、気にしない人もいる。)

二つめは、
国際機関に出向になっても、
(裏切らなかった場合)
通常、2年程度で政府の職場は交代制のため、
また、日本の厚労省に戻ってしまうため、
(自分のやりたくもない)国内の事務仕事に
まわされてしまうこと。

三つ目は、
そもそも、厚労省の医系技官は、
少なくとも100人以上おり、
その中で、現在、
WHOに出向になっているのは数人、
UNAIDSに出向になっているのは一人、である。
つまり、医系技官になったところで、
国際機関に派遣される確率は、
単純計算で4%未満である。
よって、それでもそれを狙うならば、
厚労省内で、人事権をにぎっている「偉い人」に、
『とりいる』必要がある。
が、そううまくいくかどうか。

ともかく、要するに、
国家公務員や官僚となり、
省庁を含む国立の組織や病院で働いていると、
(普段から人事担当の上司に、自分の希望を話しておけば)
国際機関に出向になったり、JICA専門家として活動するよう、
要請される場合がある、ということである。

厚生労働省 医系技官採用情報
http://www.mhlw.go.jp/general/saiyo/ikei/

参考:
厚生労働省の医系技官の採用者数。
2005年12人、2006年13人、2007年7人、
2008年13人、2009年13人、2010年10人超。

参考:
厚労省からWHOに派遣されていた人々のトップは、
中谷比呂樹医師。
1952年 酒田市で生。1977年 慶應義塾大学医学部卒。
1979年 厚生省入省。
WHO本部事務局(在ジュネーブ)人材開発部政策解析課長。
世界エイズ・結核・マラリア基金理事会理事、
UNAIDAS事業調整理事会理事。


・・・

上記のように、
国連職員も、厚労省の医系技官から国際機関に派遣されるのも、
どちらも、なかなか厳しい道のため、
永久就職を狙うのであれば、国際保健をやりたい場合、
以下の施設への就職が、最も有力となる。

それは、
国立国際医療研究センターの国際医療協力部である。

普段は、ここの常勤職員となっており、
外務省、厚労省、JICA等から要請があると、
公衆衛生学修士(MPH)などを持つ専門家として、
途上国の保健医療政策の指導などをするためや
(国際機関などの)国際会議に派遣される、
という形の雇用形態である。

この部署の人数は47人程度で、
医師が27名、それ以外は看護師・助産師等である。

毎年、数名の新規職員の募集がある。
だが、退職者が出た時の、随時募集のため、
国際保健に興味のある方は、
(就職条件である、国家資格・勤務年数(3〜5年程度)・
 英語力(TOEFLの点数等)などがそろった後は)
定期的に、このサイトをチェックした方がよい。

独立行政法人 国立国際医療研究センター 国際医療協力部
http://www.ncgm.go.jp/kyokuhp/

国立国際医療研究センター 国際医療協力部 採用・募集
http://www.ncgm.go.jp/kyokuhp/recruit/

だが一方で、
日本の政府開発援助(ODA)の予算は、
年々減少してきているため、
基本的に、この組織は今後縮小する可能性がある。
(職員の数が、47人から、減っていく可能性が高い。)
(既に減ったかも(?))

なお、注意点としては、
国立国際医療研究センターには、
通常の「病院部門」と「研究部門」と「国際医療協力部」があるが、
それぞれ、全く別の活動をしている。
つまり、通常の病院の方に就職してしまった場合、
基本的に、国際協力の話は、こない。
ただし、看護師の場合、病院の方で採用されても、
後日、希望を出しておけば、
国際医療協力部に回されることがある。
一方、医師の方は、
後で、病院から国際医療協力部に回されることはないので、
最初から、国際医療協力部に就職する必要がある。

また、
この国立国際医療研究センター・国際医療協力部にいると、
WHOに派遣されるポストが、厚労省などからの紹介で、
まわってくることがあり、このため現在も、WHOの
アフリカ地域事務所(AFRO)と
西太平洋地域事務所(WPRO)に、
それぞれ一人ずつ、派遣されている。


・・・

また、国立感染症研究所から
WHOなどへの出向というケースもある。

(鳥インフルエンザ、多剤耐性結核、天然痘(バイオテロ)などの
 これからアウトブレイクする可能性が高い
 疾患の専門になっていれば、派遣される場合がある。)

私の医学部時代の同級生の医師は、現在このルートで、
WHOのインフルエンザ担当の
メディカル・オフィサーとして働いている。

国立感染症研究所
http://www.nih.go.jp/niid/


・・・

次は、開発コンサルタント会社である。
医療系で国際協力をやりたい人には、
あまり、馴染みがないかもしれないが、
株式会社などの形態で、
国際協力をおこなっている会社は、多数存在する。

日本政府のODA(政府開発援助)の予算で、
プロジェクトを外務省やJICAから下請けをし、
「競争入札」の形で案件の獲得を争い、
獲得した場合、お金をもらって事業を行う業務形態である。

これは、最初に記載したように、
直接的な医療ではなく、
マネジメント、医療機器保守、ヘルスシステム強化、医療経済、
水と衛生などに関する「広い意味での医療」に関わることになる。

具体的には、以下の会社などが、
医療系のプロジェクトを請け負っている。


株式会社コーエイ総合研究所
http://www.kri-inter.co.jp/

IDCJ(一般財団法人 国際開発センター)
http://www.idcj.or.jp/

ICネット
http://www2.icnet.co.jp/

株式会社フジタプランニング
http://fujita-plan.com/

株式会社シー・ディー・シー・インターナショナル(CDC)
http://www.cdc-kobe.com/

株式会社オリエンタルコンサルタンツ
(旧パシフィック・コンサルタンツ・インターナショナル:PCI)
http://www.oriconsul.co.jp/01home/index.php

・・・

最後に、NGOにもいろいろあることを、
申し上げておく。

日本のNGOは、弱小の団体が多く、
月給は、ないか、あっても10万円以下が多く、
いわゆる、無償のボランティアで運営されていることが多い。

だが、欧米のNGOは、概して大型であり、
月給も、10万円以上どころか、
25万円以上の団体も多く、
プロジェクト・リーダークラスになると、
月給50万円以上の団体もある。
よって、就職場所として遜色ない。

さらに、
近年、国際保健におけるNGOの世界は激変している。

昔は、
国連のWHOを、一応、頂点として、
日米欧などの経済大国の政府によるODAが
国際保健の中心であった。

ところが、近年、
ビル・ゲイツ率いる、ビル&メリンダ・ゲイツ財団が、
その巨大な財力に裏打ちされた国際協力を始め、
ユニセフに匹敵するワクチン接種事業をおこなう
「GAVI」などを支援している。

GAVIは、NGOであるが、
そこには国連職員が出向して来るほどの、
巨大な団体であり、影響力のある活動を行っている。

参考:
GAVIアライアンス(ワクチンと予防接種の為の世界同盟)
The Global Alliance for Vaccines and Immunization)
http://www.gavialliance.org/

また、日本政府が
2000年の九州・沖縄サミットで主導し創設した
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」も、
様々な国や組織から拠出されている、
NGOである。

参考:
世界エイズ・結核・マラリア対策基金(グローバル・ファンド)
http://www.theglobalfund.org/en/

このように、現在の国際保健の世界は、
WHOと日米欧の政府が主導していた状況から変化しており、
民間の資金が活用される時代となり、
(これを、革新的資金調達メカニズム(IFM)と言うのだが)
その結果、国際大型NGO(財団等)が、
どんどん生まれてきている状態となっている。

よって、そこに就職することも、検討するべき時代だ、と言える。


・・・
・・・

いずれにしても、この世界は最終的にはコネなので、
英語、大学院修士、海外での活動経験、などの条件がそろった段階で、
(またはその前の段階から)
JICA関係の仕事や国連関係の仕事をしている人たちに
顔を覚えてもらうことも必要だ。

普段からメールマガジンで情報を収集し、
将来自分が行きたい組織のイベントなどに出かけていき、
その組織の人と接触していくことが、かなり重要である。

(具体的には、日本で毎年秋に開催されている
 国際保健医療学会に、お金を払ってでも参加し、
 自分の興味のある分野の活動をしている講師・座長・パネリストに
 質問などをして、顔を覚えてもらうことも、
 将来の就職ためには、必要である。)

参考:
日本国際保健医療学会 
「大会長講演・基調講演・教育講演・シンポジウム・
 ミニシンポジウム・ワークショップ・ランチョンセミナー」
http://t.co/kff7i15S
または
http://www.ghtm.m.u-tokyo.ac.jp/_src/sc955/52268D8793AF91E589EF_83v838D83O83898380_111007.pdf


・・・

また、上述の、
国立国際医療研究センター・国際医療協力部の
仲佐保課長(医師)は、
国際保健分野の学生の育成に力を入れている。
具体的には、少なくとも三つの組織に関わっており、
それを支援している。


国際保健医療学会・学生部会
http://www.jaih-s.net/

SANTE(国際保健と地域医療の保健医療人材の育成)
http://npo-sante.org/

シェア=国際保健協力市民の会
http://share.or.jp/


特に、国連や政府系での国際保健に関わりたい場合、
国際保健医療学会・学生部会には、
所属しておいた方が、妥当だと思われる。


・・・

なお、ちょっと話が戻るが、最も重要なのは、
大学院で公衆衛生学修士(MPH)をとる時に知り合う、
講師の先生や、
在学中に経験することが多い
(国際機関などの)インターン先での人脈である。
逆に言えば、それらを考慮して大学院を選ぶことが肝要である。


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さて、
以上のように、
もしも自分が、国際協力の世界で、
「有給の職場」を獲得しようと思った場合、
国連JPO試験の20倍以上の倍率から始まって、
ともかく熾烈(しれつ)な、「席の奪いあい」である。

途上国の人々を助ける職場に就くためには、
他人を蹴落として、
自分がその職場を確保しなければならないという
「巨大な矛盾がある」ということを
最初に知っておかなければならない。

そうしたことに、疑問を持つならば、
やはり、民間のNGOに行くのがいいかもしれないし、
「いや、それでも、この競争社会の中で、
 自分にできることをやっていくのだ」
と思って、国連や政府のポストを奪取するのも、
ともに、一つの人生である。

どちらが、良いも悪いもない。
決めるのは、あなただ。





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参考リンク」

精神保健で国際協力、天使さん、国連JPOに合格しWHOへ、その1 10164字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65648965.html

精神保健で国際協力、天使さん、国連JPOに合格しWHOへ、その2 11153字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65648966.html

精神保健で国際協力、天使さん、国連JPOに合格しWHOへ、その3 14159字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65648967.html

精神保健で国際協力、天使さん、国連JPOに合格しWHOへ、補足
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65648969.html

医療改革、破壊的革新、ビジネスモデルに関するツイート 10910字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65668896.html

長崎大学大学院・国際保健健康開発研究科・学生インタビュー2011年、その1 10970字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65574185.html

長崎大学大学院・国際保健健康開発研究科・学生インタビュー2011、その2 7968字
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65574194.html