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目次:

日本

母子手帳の歴史
2012年4月、厚労省が母子健康手帳を改訂
厚労省内の、母子健康手帳に関する検討会報告書
自治体などの動きと、電子化
放射線と母子手帳
起業など
大学の教材にするアイデア
未受診妊婦

世界

母子手帳の世界への普及
インドネシア
他の国
中村安秀
母子手帳に対する批判
参考となるブログ


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日本


母子手帳の歴史


母子手帳は日本独自の制度で、導入は戦中の1942年。自治体によって表紙などは違うものの、厚生労働省の省令で盛り込む内容は定められており、妊婦健診の結果、出産の状態、子供の定期健診や予防接種の記録など母子の健康管理に必要な情報を記入。妊産婦と乳幼児の死亡率を大きく引き下げるのに貢献

1942年ドイツのものをマネして日本は妊産婦手帳を導入。1948年、母子手帳が制定。1951年、児童憲章が定められ子どもの権利も明記。2001年の実態調査で父親の役割を記載するべきとの声があり、名称も親子手帳・両親手帳などに自治体ごとに名称を変更。現在イクメン・ブームでパパ手帳も

母子健康手帳は、1965年に母子保健法で市町村が交付するものとして定められて以降、社会情勢や保健医療福祉制度の変化、乳幼児身体発育曲線の改訂などを踏まえ、概ね10年ごとに様式を見直してきた。2012年4月に改訂、イクメンブームなどを受け父親の記載欄などが新設。各自治体も独自の取組


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2012年4月、厚労省が母子健康手帳を改訂


妊娠すると市町村からもらう「母子健康手帳」が2012年で70年。同年春には10年に1度の改正が予定。国は母親や父親の記述欄を増やし育児情報やデータを最新のものにする考え。最近は国の様式にとらわれず、独自の情報を盛り込む自治体も増加。母子の健康だけでなく子育てを支える重要なツールに

2012年の改定に向け厚労省は有識者の意見を参考に11年11月、見直しの具体的な指針。「親子健康手帳」への名称変更は見送ったが父親が自由に記入できる欄を増。高齢妊娠や喫煙等のリスクに対する注意を促し、ばらばらだった予防接種の記録欄をまとめた。乳児の便の色で胆道閉鎖症を発見する方法

厚生労働省は、2012年4月から「母子健康手帳」の様式を変更する。直近の調査に基づいて乳幼児身体発育曲線と身長体重曲線を改訂するほか、胆道閉鎖症など、生後1カ月前後に便色に異常が現れる先天性疾患を早期発見できるように新生児の便色情報を提供。2011年11月

母子手帳の改訂。2012年4月。ハイリスク妊娠の増加、妊産婦の意識変化、妊婦健康診査の充実といった現状を踏まえ、妊娠・分娩リスクに関する情報を追記し、妊婦検診の記録欄や妊産婦の自由記載欄を増やす

母子手帳の改訂。2012年4月。発達が遅れがちな子どもを持つ保護者に配慮して、成長発達の確認項目の一部について、ある時点で「できる」「できない」を回答する形式から、達成時期を記載する形式に変える。予防接種の様式も充実する。

母子手帳の改訂。2012年4月。厚生労働省の検討会では、父親の育児参加を促すために、手帳の名称を「親子健康手帳」に変更してはどうかとの意見もあったが、妊産婦と乳幼児の健康の保持増進(母子保健)を重視する考え方から、従来通りにすることにした。


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厚労省内の、母子健康手帳に関する検討会報告書


厚生労働省、「母子健康手帳に関する検討会報告書」 http://t.co/bTdEnDkr .ぅメンブームだが親子健康手帳の名称導入は見送り。母子保健重視のため。⊆由に記入できる欄を増。児の便色の異常を知るカラーカード。て幼児身体発育曲線を改訂。ツ蟯接種の記載欄を拡充

厚労省、母子健康手帳に関する検討会報告書 http://t.co/2swRTKHx 「母子健康手帳に関する検討会」委員 座長:柳澤 正義(日本子ども家庭総合研究所所長)

日本子ども家庭総合研究所(子ども総研) http://t.co/hjorjhIl 1934年、愛育会創設。1964年、国立の児童問題研究所に準ずる研究機関として「日本総合愛育研究所」と改称。1995年、厚生省に「児童問題研究所あり方懇談会」設置。1997年、現在の組織名に改称した


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自治体などの動きと、電子化


母子手帳の未来形として携帯電話やパソコンを使って記録する試み。岩手県遠野市は2008年から乳児健診や予防接種の記録などを入力する「電子母子手帳」。母親は与えられたIDパスワードでサイトに入り携帯などで撮影した写真も入力可能。市からはメールマガジンで、はしかの流行など医療情報を送る

医療改革。(欷云擇砲修凌佑凌芭転霾鵑盖録。カルテの内容・検査結果・CT等の画像データ、母子手帳、ワクチン接種歴などの全てをSDカード等の形で自分で保管。△気蕕乏匿佑凌芭典録や健診記録を、自治体のデータベースにアップし、そこから厚労省へ。8労省は運転免許証の番号と連動して管理

島根県海士町と博報堂生活総研が共同製作した母子手帳が2011年度の「キッズデザイン賞」(キッズデザイン協議会)と「グッドデザイン賞」(日本デザイン振興会)をダブル受賞。若い母親らの意見を取り入れ使いやすさを追求し、父親向けページも設けるなど育児環境の変化に対応した試みが評価された


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放射線と母子手帳


母子手帳が2012年4月に改訂されるが、厚労省のガイドラインの元、自治体の自由な裁量で制作でくる。放射線被害の懸念される福島等では、来年度から、妊娠中と出産後の児の被曝予想量を記載する欄を新設してはどうか。「安全と安心」を確保するために、日々、母と父が自分で記載してゆくことも検討

妊婦と3歳未満の乳幼児の母親にデジタル式線量計を貸与しているいわき市は対象を小学校入学前の子どもにも拡大。当初1万800個用意したが借りる市民が予想外に少なく2011年11月7800個余っている。既に個人で買ったりした人が多く住民票を市に残したまま市外へ避難した人が多いためらしい


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起業など


ベネッセコーポレーションも携帯電話を使った子育て記録のウェブサイトを始めており、利用料金は月額315円。出産予定日を入力すると、自動的に妊娠の状態にあわせた情報が得られる。ミルクをあげたり寝かせたりしたタイミングも記録可能。たまひよweb http://t.co/JIOFREoo


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大学の教材にするアイデア


母子手帳を教育で活用する試み。大妻女子大の井上栄教授は学生が履修する「女性と健康」で母子手帳を使った授業を実施。学生に自分の母子手帳を読ませ感想をリポートにまとめさせる。実際に自分の手帳に触れると予防接種や出生時の記録、書き込まれた母親のコメントなどを通じ、親の愛情を感じると言う

学生が自分の母子手帳を読んだ感想「母親への感謝の気持ちでいっぱいに」「分娩に20時間もかかって痛かったけど早く自分の子に会いたいという思いの方が強かったと聞き、私もいつか赤ちゃんを産むのが楽しみに」。井上栄教授は「アイデンティティーが確立する19〜20歳で母子手帳を読むと効果的」

母子手帳(親子健康手帳)だが、妊娠中から母と父が「1行日記」を記載してゆくページを作ってはどうか。無事、出産がすみ、子どもが成長し、思春期になった時、自分の母子手帳を読み、そこに記載されている両親の日々の記録を読むことにより、人格形成にプラスの影響を与えることはできないだろうか?


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未受診妊婦


近年、望まない妊娠から、いわゆる「未受診妊婦」となり、子を産んでも「児童虐待」になるケースが問題視されている。これを防ぐための方法として、中学校の終わり、または高校の終わりごろに、自分の母子手帳を読んで、自分の母や父が、どのように自分を愛していたのかを知るきっかけを持つのはどうか

妊娠後に妊婦健診を受診しない『未受診妊婦』など、胎児の健康や命を危険にさらす行為を「胎児虐待」と捉える考え方が、児童虐待防止の観点から求められている。生後の虐待をはじめ、未受診で生まれたばかりの子どもが死亡する割合が高く、望まない妊娠などへの対応を強化する必要がある。2011年秋

未受診妊婦。「緊急手術を要する症例や分娩まで医療機関にかからない未受診ハイリスク妊婦などの症例。2008年1月から12月までの1年間に千船病院産婦人科救急外来を受診した2913例のうち、66.3%(1932)は紹介状のない全くの初診例」 http://t.co/nUOpB4gJ

未受診妊婦。厚労省に「児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会」が設置されて以来2003年7月〜10年3月の0歳児死亡は年齢別で最多の4割強。うち生後1カ月未満で死亡していたのは77人(45%)。死亡した0日児については8割が望まない妊娠で、妊婦健診を受けていたのはわずか2人


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世界


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母子手帳の世界への普及


母子健康手帳の世界への普及。1948年、日本で創設。既に使用:韓国、タイ、インドネシア、ユタ州(米国)、チュニジア、コートジボワールなど。普及中:ベトナム、ラオス、バングラデシュ、パレスチナ、東ティモール、フィリピンなど。普及する計画:ブータン、アフガニスタン、ドミニカ共和国など

外務省 ODAとは? ODAちょっといい話 海を渡った日本の母子手帳 http://t.co/jTn4r3jM 日本の母子手帳がインドネシアで導入され、大きな反響。発端は、インドネシア人医師がJICAの研修で日本を訪れ、使われていた母子手帳を見かけて「インドネシアにも導入したい」

外務省、外交青書、2008年。国際協力の推進、地球規模課題への取組と国際協力 http://t.co/0HN9sAJm 戦後、日本が結核をはじめとする感染症対策に取り組み、母子健康手帳を導入し、地域に根ざした保健システムを構築して、妊産婦死亡率、乳幼児死亡率が大幅に改善したこと


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インドネシア


外務省、インドネシアにおける母子手帳の導入 http://t.co/Iodc1I4J JICAを通じ1989年から中部ジャワ州で「家族計画・母子保健プロジェクト」(〜94年)。そのプロジェクトでJICAの研修生として日本を訪れた州保健局の担当官(医師)の目にとまったのが母子手帳

JICA,母子手帳による母子保健サービス向上プロジェクト http://t.co/qRShAYJl 母子手帳による母子保健サービス向上プロジェクト(すこやか親子インドネシア)Ensuring MCH Services with the MCH Handbook Project

JICA、インドネシアで母子手帳の普及。1998年より実施。結果として、2003年には妊産婦総数に対する母子手帳の充足率は全国で48%。2004年に母子手帳に係る保健大臣令の発布、2006年の保健省に特別予算措置、地方政府による独自予算確保により、充足率は62.4%に達する見込み

インドネシアで日本の母子手帳に触発された医師の発案からJICAの協力のもと1994年に試行版の母子健康手帳。母親の知識の向上につながることが認められ97年に全国版。保健省の意欲的な取組みと、JICA、ユニセフ、NGOの支援により、全国で使用。2010年妊婦全員に配布できる数を印刷


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他の国


外務省、政府開発援助(ODA)白書、2007年版 http://t.co/AmNNpqDw 母子健康手帳の普及はインドネシアの乳幼児死亡率の改善をもたらした。パレスチナでも母子保健サービスの改善や母子保健の啓発とともにアラビア語初の母子手帳の作成。モロッコで「女性健康手帳」の開発

外務省、UNRWA(パレスチナ難民救済事業機関)60周年ハイレベル会合、岡田外務大臣ステートメント、2009年 http://t.co/Wv48s6Dx パレスチナ自治区において母子健康手帳を配布し、母子健康の向上に貢献。ヨルダンの難民キャンプでも母子健康手帳の配布に向けた準備

パレスチナではJICAの協力で2008年に西岸全域で母子健康手帳の活用。世界初のアラビア語版。2010年からはガザの一部でもこの母子健康手帳の活用。紛争の影響で妊産婦がいつもの医療施設に通えなくなっても記録が残ることの重要性。国連を通じヨルダン、シリア、レバノンのパレスチナ難民も

外務省、保健関連ミレニアム開発目標(MDGs)に関する、アジア太平洋ハイレベル・フォーラム、逢沢外務副大臣 冒頭主催者挨拶、2005年 http://t.co/3nHVf54s インドネシアや東チモールを始めとする途上国において、地域のニーズに合った母子健康手帳の開発と普及

JICA、母と子の健康を願って〜 母子保健の向上のために http://t.co/Plu8o3Tv


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中村安秀


中村安秀。日本の母子手帳を途上国に普及した第一人者。1952年生。東京大学医学部卒。1978年都立府中病院小児科医員。1986年国際協力事業団長期専門家、インドネシア。1990年国連難民高等弁務官事務所、パキスタン。1999年大阪大学教授 http://t.co/qpwMUamB

中村安秀教授へのインタビュー(日本国際保健医療学会学生部会)質問:学生時代をどう過ごしたか?回答:「石橋を叩いて渡る」の反意語である「見るまえに跳べ」(大江健三郎の小説の題名)に影響された。失敗することが恐くて決して跳ぼうとしなかったのに http://t.co/8u6c57uJ

特定非営利活動法人 HANDS http://t.co/QKhjjVqr 世界に広がる母子手帳 http://t.co/DkQyEy0k 世界の母子手帳 http://t.co/gr0LQYPB 【世界の母子手帳】母子手帳リスト http://t.co/kVBQRKzB

特定非営利活動法人 HANDS 代表メッセージ(中村安秀・大阪大学教授)http://t.co/rVwBqJ0v 日本人の医師や看護師が医薬品をもって途上国の農村で治療するのではなく、どんな国にも医師や看護師がいるので、彼らが自国の人びとの健康を守る主役になれるような活動をしたい

中村安秀「HANDSが主催した「第6回母子手帳国際会議」(2008年)では母子手帳を途上国のお母さん方に配布するだけでは効果が乏しく助産師や看護師が適切な指導を行った時に母子手帳の効果が大きくなるという議論。途上国で母子手帳プロジェクトを成功させるためには使い方を説明できる人材」

「子どもの健康とNGOの役割」中村安秀(NPO法人HANDS代表、大阪大学大学院人間科学研究科教授)http://t.co/j1ulWkj0 インドネシアの調査票をもとに、日本の厚生労働省が母 子健康手帳の評価を行った。第5回母子健康手帳国際シンポジウム(2006年)ベトナムにて


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母子手帳に対する批判


母子健康手帳だが、日本での改訂であれ、途上国への普及であれ、冊子を作るだけではダメ。それをどのように使うかを説明できる「人材」を育成し、その人が講習会を開催する場所と日時を設定し、そこに人を集める工夫をしないと「機能」しない恐れ。妊婦健診・乳幼児検診・予防接種時のセミナーが妥当か

JICAが行っているが、外務省が批判的な事業としては、1)途上国の省庁等への「5S」の導入、2)病院でのカルテの電子化、3)途上国での母子手帳の導入。これらを導入しても、(例えば、妊産婦死亡率が改善されるなどの)数字での結果が出ていない。しかしやりたがるJICAと、批判する外務省

JICA。アフリカで母子健康手帳を導入する検討、2010年。(貉匏鮃手帳が効果を発揮する為には、手帳が使われる地域に妊婦健診などの保健サービスを行き渡らせるための人材や施設が存在している必要。各国の母子保健改善策を進めるうえで母子健康手帳にどのような役割を持たせるのかを明確に

途上国で母子手帳を普及したい場合の最大の懸念は、女性の識字率が低いこと。サブサハラやアフガニスタンなどでは成人女性の半分以上が文字が読めない。だから文字が書いてある母子健康手帳は意味なし。イラスト等で説明する方法が妥当。あるいは『大人の』女性の識字率改善プロジェクトを同時にやるか

NHKの道傳(どうでん)愛子解説員がミレニアム開発目標に対し日本ができることとして最も遅れている妊産婦死亡率の改善に対し戦後「母子手帳」などを用いて劇的に改善させた「母子保健のモデル政策」を途上国に示すことと言っていた。しかし母子手帳の効果にエビデンス(証拠)があるかはまだ議論中

JICAは、母子手帳の普及や、マネジメント(5Sなど)の普及を、どちらも「日本発」という売りで普及しているが、どちらも、それによって妊産婦死亡や乳幼児死亡が改善されるというデータが出されていない。その途上国内で、母子手帳や5Sがどのくらい普及したか、というデータのみが示されている


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参考となるブログ


「母子手帳、日本での創設と普及」 4073字 http://t.co/NJrTq2gm 「母子手帳、途上国への普及 9765字」 http://t.co/IG0bf59O 山本敏晴のブログより