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三つの質問


山本 で、まぁ以上が前置きで。
   
   本篇として、あなたが事前にEメールでなさった、
   3つの質問についてお答えをします。
   まず質問3つを、単に読んでいきますね。

   1.今、市役所職員だが
     青年海外協力隊に行った方がよいのかという事    
   2.大学院は欧米の方がよいかという事
   3.市役所の市民課勤務になったけれども、
     それを国際協力分野にどうつなげるかという事
  
   順番にお答えします。

・・・

質問1: 青年海外協力隊に行った方がいいか?


山本 青年海外協力隊に行った方がよいのかという事についてですが、 
   イエスかノーで答えると、イエスです。
   
   誰に対しても同じ答えをしていますが、
   国際協力であろうが、社会的起業であろうが
   大学卒業後、すぐに始めるのは絶対に反対です。

   最低でも2年間、出来れば5年間程度の社会人経験、
   日本企業、外国企業でもいいのですが、
   ま、いわゆる社会人経験を最低2年から5年身につけて、
   その後に、青年海外協力隊に行く。
   
   あるいは、まぁ5年たったら
   国連ボランティアにも行けるようになるので、
   そういう経歴をくむことをお勧めします。

   もちろん、その2つ以外でも、
   NGOインターン、社会的企業のの創設なども、
   将来の選択肢に入ってきます。

   また、社会人として勤務しながら、
   平日の夜や土日に、
   いろいろな団体でボランティアとして活動することも必要です。

   理由は、いわゆる、いきなり大学卒業して、
   青年海外協力隊に参加しても、
   ロクな活動ができない人が8割以上だということを、
   私は多くの方にインタビューして知っているからです。
  
   あえて、
   「青年海外協力隊がなぜいいのか」という理由ですけれど。
   私の本やブログにも書いてある通り、
   青年海外協力隊には大枠で四つくらいの欠点がありますが、
   それを超えるくらいの10個以上のメリットがあります。

・・・

青年海外協力隊の欠点、四つ

   まず、欠点を四つ言っておきましょう。
   (実際は、もっとありますが。)

   一つは、
   さっき言ったように、青年海外協力隊には、
   派遣終了後に国際協力活動を続ける方は8%しかおらず、
   92%は辞めてしまう統計があります。

   二番目は、
   青年海外協力隊は派遣されている間、
   日本の銀行に毎月お金が振り込まれます
   (現在5.5万円くらいです)。
   それとは別に、現地で4万円支給され、
   その他に、家賃手当てが出る場合もあります。
   合計で、
   10万円以上、支給されるのです。
   そのお金が税金からもらえるということです。
   (民間のNGOに参加したら、お金は普通、ゼロです。)

   協力隊の隊員になると、
   さまざまなサポートを受けることができます。
   健康診断なども、日本の国が税金を使って実施してくれます。
   そのために多数の人(看護師など)が雇われることにより、
   (協力隊一人を2年間、無事に活動させるために)
   『一人当たり約1千万円』という日本の税金が使われます。

   「そこまでしても(協力隊の活動は)役に立たないのか」、
   という笑い話があるのですが(笑)。

   要するに、税金が、ほぼ無駄に使われている、ということです。

   三番目は、
   日本では、、
   「青年海外協力隊での活動を評価しない」企業の方が
   圧倒的に多いので、
   帰国後に、ニートやフリーターなどになってしまう人が
   多いことです。

   「1千万円もかけて、ニートやフリーターを生み出し、
    就職難をつくっているなんて意味ないんじゃない?」

   という意見もあります。   

   四番目は、
   外務省は予算を維持するために、
   (というのも、ODAのために1兆円以上あった予算が、
    6千億円に下がってきておりまして、この予算を確保するために)
   派遣実績を維持しなければならないので、
   青年海外協力隊は、実際は必要ない国にも
   多数派遣されている、ということです。

   「日本が、途上国に1億円投入する代わりに、
    協力隊員を4名入れさせてくれ。」といって、
   外務省が、協力隊の派遣枠を、確保しているのです。
   本当は、現地では、必用ないのに。

   協力隊員の派遣枠を、外務省が、
   派遣国の市町村にお願いしているというのが、
   少なくとも、約半数のケースです。

   まぁ残念ながらこれが事実であります。
 
・・・

青年海外協力隊の長所、10個


山本 10個のメリットですが。

   1.有給、お金がもらえます、10万円前後。
     NGOのボランティアだとただですし、
     交通費まで自腹の場合もあります。
     (青年海外協力隊の場合は)
     帰国後200万円位、日本の銀行口座に貯まっています。

   2.協力隊は政府の事業なので、
     当該国のJICA事務所、日本大使館に出入りするので、
     将来国際協力を続けたい場合、
     ODA(政府開発援助)関係者にコネを作ることができます。

   3.それ以外のさまざまな、
     開発コンサルタント会社やJICA専門家、
     大学教授でJICA専門家として派遣されてきた人、
     その他国際協力に関係のある人と、
     2年の間にたくさん巡り会える、つまり人脈ができます。

   4.派遣前に2ヶ月間、福島県や長野県にある協力隊研修施設で、
     語学の勉強として、
     英語または現地で使用される言語、
     スペイン語、フランス語であろうが、現地語であろうが、
     これらを2ヶ月間無料で勉強できます。

     これ、自分で計算すればわかりますけど、
     日本において、語学学校に二か月間、
     朝から晩まえみっちりいって、自腹で学ぼうと思えば、
     200万円はかかります。

     つまり協力隊に行けば、その事前の語学研修で、
     200万円、ボロ儲けってことですね(笑)。

     こんなおいしい話は、他にないです。

   5.技術補完研修と言って、
     派遣先の職種、案件(途上国から依頼、要請される内容のこと)
     の内容により、
     1〜2週間ほど、
     どっかの大学教授やNPO法人等に(JICAが)委託して、
     教育研修を無料で受けられます。
     つまり、国際協力に必要な事を、
     無料でこれまた1〜2週間位、
     教えてもらえるんですね。

     こんな、言語も国際協力に必要な知識も無料で受講できる…、
     JICA側が国の税金を使ってあなたに無料で教えてくれる
     というおいしい話は、なかなかありません。

     NPO、NGO等他では考えられない待遇(優遇措置)です。

   6.帰国後の待遇です。
     帰国後、ニートやフリーターになることが多かったため、
     OBなどから、苦情がでたため、
     その甲斐あってか、1日〜3日程ガイダンスを開いて、
     ブリーフィングという派遣後の説明会があり、
     そこで就職案内等を、一応、してくれます。

   7.協力隊から帰国後は、
     様々な奨学金が貰える優遇制度があります。

     例えば、さらに国際協力の専門家になりたい場合、
     国内長期研修制度に応募し、
     国内の大学院に行ける奨学金を
     獲得しようとすることができます。

     海外の大学院に行くための奨学金である、
     海外長期研修制度(これは、海長研という)
     にも応募しやすくなります。

   8.協力隊経験後にUNV(国連ボランティア)に行く枠もあります。
     そこから、国連へのコネを作ることもできます。

   9.青年海外協力隊のOBが。社団法人青年海外協力隊法人
     を作っていてそこの社員になったり、 
     そこのコネで(JICAの下請け事業への)就職を
     あっせんしてもらえます。

   10.例えば、えーとJICAが各都道府県に持っている
     国際協力推進員といって、地方自治体に置かれている、
     月給27万円位で2年間程度、
     個人事業主として雇われる、有給の枠があります。
     協力隊の研修施設の有期雇用(期間限定の雇用)職員等々の
     JICA関連職員、これらに有給で就職できる枠があります。
     これも協力隊をやるメリット。

     要するに、国際協力やりたいんだったら、
     これだけオンパレードの制度を用意してくれているのは、
     青年海外協力隊以外にはないです。

     さらには…

斎藤 海外勤務したと言える事ですかね…。

山本 そうですね。
   まぁ、国際協力をしたいという人の最終的な目標が
   ふつう国連職員ですが、
   外務省が日本人を国連内に送りつける
   JPO試験に応募するためには、
   35歳以下、英語力、大学院修士、
   社会人勤務経験が2年以上あること、
   が最低条件です。

参考:
JPO(ジュニア・プロフェッショナル・オフィサー)
外務省が日本人の国連職員を増やすために作った制度。
国連競争試験と違って、日本人のみが応募できるため、
もっとも国連に入りやすい制度だと言われている。

   
   「青年海外協力隊は2年間の勤務経験に含まれる」と、
   外務省がはっきり言っています。

   NGO、NPO、社会的企業は含まれません
   (応募条件を満たせない)。

   これが決定的な違いです、
   JPOへの応募条件としては、
   NGOでの勤務経験は、「ゴミだ」という事です。

   以上、10項目程度が青年海外協力隊に行くメリットですね。
   何から何を考えても、
   青年海外協力隊に応募しない理由はないですね。

・・・

青年海外協力隊後、国連ボランティアにいきたい


斎藤 UNV、JPOも魅力です。
   あと、やはり現地に行きたいというのがあるんですが。

   ただ、UNVの枠があるというのもどのくらい保障されているんですか。
   JICAのシニア相談員の方とお話したら、
   実際はあまりいないよという事を言われたので。
   あまりいないんでしょうか…。

山本 まずですね。青年海外協力隊の派遣人数が年間1500人前後と、
   現在は言われています。

   で、その青年海外協力隊に応募するのでさえ2〜3倍、
   昔の5〜6倍よりは減少していますが、
   どんなものに応募しようとしても
   倍率は発生するという事は承知しないといけません。

   あなたが青年海外協力隊に行こうと思っても、
   必ず行かれるわけではなくて、倍率がありますし、
   職種によってはもっと倍率が高いものもあります。

   UNVは協力隊から帰ってきた後に国際協力を続けたい人が
   8%しかいないので、単純計算で1500人、
   まぁ1000人として、8%で80人程ですね。
   国際協力を続けたい80人の中の、
   仮に、1割がUNVに行きたいと思ったとします。
   すると、8人です。
   UNVの枠が年間確か2、3人だったと思うので、
   うろ憶えの記憶ですが、8人中2〜3人が合格するとして、
   倍率は、2〜3倍だということになります。

   いずれにしても、国際協力の世界は、競争です。

   国連JPO試験の倍率は20倍ぐらい、
   JICA職員も大学卒業後に応募した場合、
   あなたが(以前)落ちた通り、20倍程ですね。

   というように、どんな道を進もうと思っても倍率が存在するので、
   落ちた場合の事を常に考え、
   代替案を用意しておくことが、
   まぁ当然必要ということです。

   UNVを希望するのはいいと思いますが、
   合格する確率は3割程度と低いので、
   あくまでも選択肢の一つであると考えるのが、
   正しいやり方ではないかと思います。

斎藤 うんうん(うなずく)。

・・・

質問2: 大学院は欧米の方がいいか?

 
山本 えっと(質問の)2番目がですね。

   大学院は欧米の方が良いのかという話ですが、明らかにそうです。
   国際機関JICA職員、技術協力専門員、
   開発コンサルタントで働く人の多くはですね、
   アメリカの有名大学である、
   えーっと、まぁいっぱいありますけど、
   私がここで20個以上の大学の名前を一個一個いうのもあれなので、
   言いませんが。

   毎年、秋、10月くらいに「国際協力ガイド」っていうのが、
   国際開発ジャーナル社から出ますので、
   その後ろの方に掲載されている、
   アメリカとか欧米の有名な国際協力関係の大学院に行くのが、
   ま、妥当だと思います。

   国連JPO試験をはじめ、JICA専門家になりたい場合も、
   開発コンサルタントになりたい場合も、
   大学院修士は現在必須なので、一部例外はありますが、
   欧米の大学院で取った方が箔がつきます。

   まぁ、
   (JPO試験などの)倍率が高いところへ応募する場合にですね、
   やはり有名大学を出たほうがいいですね。

   もちろん途上国でも、インド、バングラデシュ、
   タイ、南アフリカ共和国などでも修士を取得できます。

   また日本などでも取得できますが、
   実際に、国連職員、JICA専門家の人たちを見ても、
   欧米の大学院修士を取得している人の方が明らかに多いですね。
   という現状があるので、
   一般的に、欧米の大学院の方が良いのかという質問に対して、
   「そうです」と、答えざるを得ない事になります。

   もちろん例外はありますが、それはあくまでも少数派で、
   それこそ、あなたが懸念するマイノリティーに
   あなた自身がなってしまうことになりますね。

・・・

質問3: 市役所勤務をキャリアにつなげられるか?


山本 で、(質問の)3番目が、
   市役所市民課勤務の件ですが。

   市民課勤務が何をするかを質問する前に、
   まぁ、一般論としては、
   基本的には(国際協力と)関係ないと思われますので、
   勤務を2年から5年経験する中で、
   平日の夜とか土日、有給休暇も10日くらい取れるでしょうから、
   その間に、途上国のスタディツアーに行ったり、
   普段から行っているNGOの手伝いをするなどで、
   ボランティア経験を取得しておくことが、
   自分のキャリアプランとして必要になると思います。

   あなたは、たぶん難民関係のNGOなどに行っているようなので、
   それを引き続きずっと続けるのが考えられます。

   まぁあと、一般論としてですね。
   あなたが(将来)何処の大学院に応募する場合も、
   もしくは将来、国連やJICA職員、NGO、開発コンサルに応募する際も、
   面接試験がありますけど、面接で、
   自分の過去の経験と現在やっていること、未来のキャリアプラン
   を、一貫したものとして訴える必要があります。

   私はあまり好きではないんですが、
   ストーリーをつくったり、強みを訴えるという、この2つがですね、
   現在の面接試験で合格するための
   「潮流」というふうになっています。
   私は個人的には嫌いなのですが(笑)。

   まぁ、あの一般的に言われているので、それを説明しますが。
   基本的には、自分がこれができるという一見目を引くような、
   おぉっと思われるような、過去の業績を一つ作っておく。

   例えばジェンダーにおけるマイノリティーで、
   仮にやるんだったらですね、
   LGBTに関してこういう理由で昔から興味があり、、
   LGBTについてこういった活動を今している、
   将来、LGBTについてこういった活動をしていきたい、
   だから、
   この大学院で「なになに」を学ぶために応募してきたのだ、
   だから、将来は「A機関」でこういう仕事をしたいんだ、
   と、嘘でもいいので、そういうストーリーを描けなきゃいけない、
   っていうのが、
   現在就職するために必要だと一般的に言われています。

   そういうことが、   
   完全なウソにならない様に、少なくともちょっとくらいは、
   将来、自分がやりたいようなボランティアに
   昔かかわった事がちょっとあって、
   現在もかかわっている事を書くと、
   つまりNGOに一回参加すると、事実が作れますから、
   このくらいのちょっとしかない事(実績)を、
   100倍くらいに膨らまして書くのは、
   嘘ではなく「誇張」と言います。
   ウソではないので(笑)。

斎藤 は、はい(笑)。

山本 えっとー、まぁそういう事が出来る程度に、
   自分がやりたい団体でですね、
   ボランティア経験を積んでおくことが必要だと思います。

   自分のやる事が、仮にジェンダーやLGBT、難民、
   それ以外のボランティアでも、
   それぞれ1回ずつ位はボランティアを経験しておくことが、
   あなたの現在、市役所勤務の2〜5年の間に
   やっておかざるを得ない、というふうに私は思っています。

・・・

リーダーシップ


山本 えーと、あとはですね。
   
   今、行っているボランティアの中でも、
   あなたが現在(勤務している)市役所の市民課の中でも、
   いずれにせよ必要な事ですが、
   仮にどんなにつまらない仕事を
   あなたが(市役所で)していようとも、
   組織内においてリーダーシップを発揮し、
   その組織に関する問題を解決して、プロジェクトを達成した
   という経験が必要になります。
   これが売りになりますので。

斎藤 はい、うんうん(うなずく)。

   他にも、あなたがボランティアで参加するNGOで、
   あなたがリーダーシップを発揮して、
   なんらかのプロジェクトをうまくいかせた、
   という事実があった方がいいです。

   嘘でもいいので、ちょっとの事を誇張して、
   履歴書に書けるようにするのです。

   組織内で意見が対立している事を解決して、
   何らかのプロジェクトを達成したという事実を、
   「はったり」をかませることが必要になるんです。

   将来就職するとき、
   または大学院にアプリ(出願)を出すときに必要になります。
   ボランティアでもやるべきだし、
   あなたが今、某市役所の市民課でですね、
   何らかの目標を達成したという事が必要です。
   両方あった方がいいです。

   何の仕事をやっているか知りませんけれども、
   それにかかわらず、
   リーダーシップの発揮をやることが必要です。

   ま、以上が、
   私からの3点(の質問)に対する回答のすべてです。

・・・

2年間の勤務経験を得るために、協力隊に行きたいが?


斎藤 あとは、ちょっとお訊きしたいんですけれども。
   協力隊に行くのと大学院に行くのとでは、
   今、社会人1年目なんですけど、働きはじめて6カ月なんですが、
   現地に行きたいのもあって、(市役所勤務は)試用期間中なので、       協力隊に応募しようかと思って受けてみようかと思っているんですね。
   
   初めは2、3年は絶対に働いていようと思ったんですけど、
   仕事でも外国人の人とか窓口に来たりして、   
   結構いろいろと話したりするんですけど。
   
   国籍の事や無国籍の事や、ちょっとそういうNPOの事、
   最近関わって興味があって、2、3年くらい働いて
   そっちの知識をつけたいと思っているんですけど。

山本 難民関係の事ですか?

斎藤 難民関係というか、あの、そうですね、
   私も興味が2つに分かれているんですが。
   前に留学した時にも難民の定住支援や、
   ホスト国の人達のマイノリティーをどうサポートするかというのは、
   ずっと興味があったので、そういう意味では、
   市役所市民課という窓口で、実際にそういう人たちに会う事もあるし、
   自分の仕事の経験を生かして、
   土日にNPOとかで何かできる可能性もあるので、
   続けない手はないかなっていうのもあるんですね。

   でも、やっぱり自分は現地に行きたいなというのも感じて、
   移民や難民を送り出している側の国で、
   何かしたいと思っているんですね。
   
   で、なのでちょっと正直、
   たとえば(社会人経験)2年間というのは無視して、
   協力隊に今(応募を)出して、万一受かったとして、
   来年の冬くらいから…社会人経験1年半程になりますが
   …行ってしまうか、それとも、あとちょっと辛抱して、
   来年の今頃から、大学院や協力隊へ行く準備を始めるか。
   2年間(社会人経験)というのを作ってから行くかどうしようか。
   
   そもそも、順番として、大学院に先に行くべきか、
   協力隊に先に行くべきか。
   タイミングの問題なんですが…考えていますね。

山本 先ほど、回答しているので改めて言う必要もないんですが、
   社会人経験の2年間は絶対に必要です。今、辞めてはいけません。

   理由は、国連のJPO試験に関わらず、
   ほとんど全ての開発コンサルタント会社や、
   NGOですら2年間の社会人経験のない人は雇いません。
   うちにもボランティアがたくさん来ていますが、
   社会人経験が2年以上ない人は、
   ほとんど役に立ちません。
   (一部、例外的に優秀で、かつ真面目な人はいますが、稀です)

   社会人経験を2年間続けることで、
   持続的に仕事をするという忍耐力をつけたり、
   社会的なコミニケーション能力をつけたりするのが
   非常に重要です。
  
   それがない人は、協力隊に行こうが大学院に行こうが
   通用しないという事です。
   これは私だけの意見ではなく、
   ほとんどの団体がその様に考えているので、
   社会人経験を2年続けるという事は必要という事ですね。

   あと、大学院と協力隊をどちらを先に行こうかという話ですが、
   当然協力隊です。

   理由は、協力隊に行くと大学院に行く奨学金がもらえるからです。
   日本であろうが、欧米であろうが、
   大学院に行くにはお金がかかりますけれども、
   特に、海外の大学院へ行く場合は、
   先進国の学費が300万円、
   イギリスやアメリカに1年間滞在するだけでも
   300万円かかるので、
   合計600万円必要なんですよ。

   途上国の場合もう少し安いですが、いずれにせよお金は必要です。
   で、協力隊にいくと、
   奨学金を申請した時に、とりやすくなる、ということです。

   もう一つは、現場経験とアカデミックな学問の経験とを、
   ちょうど半々にする必要があるというふうに私は考えています。   
   両方が必要です。

   両方が必要なんですが、どちらが先に必要かという事は関係なく、
   どっちももし取るんだったら、先に協力隊へ行って、
   大学院に行くための奨学金を得た方がいいに決まっている
   という事ですね。

   順番を逆にすると、
   大学院の学費が自腹になる可能性が高くなります。
   単純に、経済的な理由だけのために、協力隊が先です。
   
   以上です。

・・・

青年海外協力隊を、一度、遊びで受けてみたいが?


斎藤 はい。
   
   今、24歳なんですけど、
   青年海外協力隊の秋募集に応募しようと思っていて、
   健康診断を受けちゃったんですね。
   練習のつもりで受けて、面接も受けてみて、
   来年もう一度受けてみようかと思うんですが…。

山本 多分ね、辞めた方がいいですよ。
   えっと、協力隊の1次試験、合格しちゃう可能性があります。
   2倍程度なので。
    
   すると面接官はですね、2人…人物面接と技術面接
   というのがあるんですが、
   面接官は短い人だと2年契約で、長い人だと10年くらい
   変わらない場合もあるので、
   これを受けると面接官に顔を覚えられるんですね。

   すると、
   「遊びできました、来年受けるつもりで来ました」
   というと、
   憶えられてしまいます。

   来年、本番で受験した時に、
   「何故、あなた辞めたの?」と質問されます。

   マイナスのネガティブな印象が付きますので、
   絶対にやめた方がいいですよ。

   一発合格を狙って来年の春に受けた方がいいです。
   今回受けることはマイナスになるので
   絶対にやめた方がいいです。
   人間は好き嫌いで決めるので、
   面接官に嫌われる可能性があります。
   あなたは遊びで受けるわけですから、やめておくんですね。
   (応募をしているのなら)取り下げたほうがいいですね。

斎藤 まだ応募はしていないです。

山本 健康診断のお金が無駄になるだけです。

斎藤 1万6千円だったんですけど、うふふ、
   そうですね、今回受けても1万6千円は無駄になるので(笑) 
  
   ただ、JICAの人に一応電話で確認していて、
   「もし何か事情があって、合格して辞退した場合、
   次回(試験を)受けられないとか、選考に影響ありますか」
   って訊いたら、「ない」と言われましたが…。

山本 表面上はないんです、実際にはあります。
   面接官が人間だからです。
   好き嫌いで決めるのが人間なので。

   公式上は「ない」と言うにきまっていますが、
   面接官は、ただの好き嫌いのある人間だ、ということです。

・・・

青年海外協力隊への現職参加は?


斎藤 来年(受験する)となって、春に応募して合格した場合、
   25年度の春からになりますよね。職場は辞めますよね。
   その時、職場は現職参加というふうにした方がいいでしょうか。
   まぁ、そんなの個人の自由だとは思うんですが、
   席は残した方がいいというふうに聞くことはあるんですが、
   そのへんどう思われますか。

山本 はい。
   基本的に現職参加を、私はお勧めしています。
   理由はですね、あのー、
   国際協力は人によっては一度経験すると、
   満足して「国際協力は、もういいや」と、
   辞めてしまう人の方が圧倒的に多いんですね。

   協力隊からの帰国後に国際協力する人が8%
   という事からもわかるんですが、
   あるいは、
   アカデミックに携わる人も大学に進学する人も
   多く見ても3割程度ですよ。
   7割の人は辞めてしまうんです。

   あなたは今、やりたいみたいなことを言っているけれども、
   実際は、2年間するといやになっている事の方が、
   まぁ、客観的に言って高いんです、数字上は。

   私としては、現実主義者なので、
   確率の高い方の話を中心にしますから、現職参加をお勧めします。
   国際協力に興味がなくなった場合にも、
   普通に職場に戻れる方がいいですよ、というふうに私は思います。
   
   現職参加の方が(将来の安全性が)絶対にいいですし、
   社会人経験も2年以上あれば、
   他の企業が次に雇ってくれる可能性が飛躍的に上がりますから、
   2年間経っていないのに協力隊に行くという
   博打(バクチ)はやっちゃいけませんよ。
   ということを、私は一貫して言っています。
   私は必ず確率の高い方をお勧めしています。

斎藤 分かりました…。
   (今応募するのは)ちょっと待って、
   再来年の春受験したいと思います。

山本 まぁそれがいいと思いますよ。
   できるなら、現職参加制度があるならば当然その方がいいですよ。

斎藤 現職参加制度あるかわからない、いや、ないと思うんですが、
   でもまぁ、話してみます。

山本 はい。

・・・

派遣される国について


斎藤 あと、ごめんなさい。もう1個訊きたいんですけど。
   (協力隊に)参加する、派遣国なんですが。
   私、資格がないので村落を受けようかと
   今の段階では思っているんですが。
   あのーバングラディシュに一人旅して楽しかったので、
バングラディシュに行きたいと思うんですが。

   ただ、せっかく2年間もいるんだし、
   国連で使う言葉をやりたいなと思っていて、
   南米とかもいいかなと思っていて。
   特定の国に絞るよりは、後々考えて使えるようにつぶしがきく…
   というと変ですが、
   あえて全然違う国に行く方がメリットがあるのかなと思って…

山本 それについては明らかでですね。
   国連の公用語であるフランス語、
   6つ(ある国連公用語)のうちの1つですが、
   要するにアフリカに行くのがお勧めです。
   
   バングラディシュだと、
   バングラ語しか喋りませんので意味ないですね。
   (将来の就職に、役に立たないです)

   将来就職する幅も飛躍的に下がります。
   フランス語を喋れれば、アフリカ全土が対象ですし、
   また、日本のJICAの緒方理事長が、
   今回理事長に再選になりましたが、
   アフリカに力を入れるそうです。

   TICAD5(第五回東京アフリカ開発会議)
   というのが、もうすぐあるのですが、
   これは、日本が主導するアフリカの開発会議の事で、
   日本はアフリカ支援を積極的にしていくという事を、
   政府としても、JICAの緒方理事長も、言っているという事です。
   
   あなたが将来就職する可能性のある開発コンサルタント会社は、
   JICAの下請けです。
   で、JICAがアフリカ支援しているって言っているんだから、
   下請けの開発コンサルも、
   全部フランス語圏で支援するわけですよ。

斎藤 はい。
 
山本 だから、そこに就職したいのであれば、フランス語を喋れなけば、
   (開発コンサルタントの仕事を)取れる可能性はは少ないです。
   ですので、フランス語を喋れることは絶対条件です。
   来年、アフリカのフランス語圏に派遣される、
   協力隊に応募して、
   フランス語を無料で勉強させてもらうのが、ベストです。   
 
   というわけで、迷う余地なくフランス語です。
   スペイン語はフランス語の次に有用ですが、
   基本的に南米でしか使えませんので、あまり意味ないですね。

斎藤 わかりました。  
   アフリカあまり行ったことないので、実感わかないですね…。

   よく、(アフリカへの)旅行なんかで
   『(一度行くと)呼ばれる』とか言われてますよね。

   バックパッカーとかで、1度インドへ行って
   好きになる人と、嫌いになる人がいて、
   好きになっちゃう人は呼ばれて行くとか、
   タイミングが合うとかってよく言ってて。

   そういう視点で話すと、
   私は、わりとそのインドやバングラデシュの方に
   すごく惹かれるものがあって。
   1回行ったときに「あ、また自分はここにくるのかな」って。
   個人的なことで根拠ないんですけど。

   で、アフリカって今まで特に、好きでも嫌いでもなくて、
   どちらかというと中南米とかに行ってみようかな
   という気になっていたんです。
   結構そういう観点で選んでいたんですね。
   ただやっぱり、(山本)先生とか他のNGOの方は
   アフリカの方がいいよって、フランス語だし。

   ということで、自分の直感とプロの方との意見とかあって、
   どっちがいいのか…っていうのも変ですけど。

山本 最後ですが、
   私が言っている事は、
   今日話した質問の回答も含めて
   全部ただのアドバイスなので、
   無視して、
   最後はあなたが自分で決める事なので、
   それで何でもいいと思いますね。
   あなたの人生ですから。
   
   ただ、一般的にいうとですね、
   毎年11月くらいに、国連開発計画UNDP
   ってところがあって、
   世界全部の人間開発指数を、
   教育、医療、経済にわけて出すんですけども。
   その中で170カ国のランキングを出すんですけども、
   下の方(のランキング)は全部アフリカです。

   南米は、はっきり言ってチリをはじめ、
   OECDに入っています。、
   要するに先進国なんですよ。
   開発の必要は、あまりないと私は思いますね、南米に関しては。
   一部の麻薬などの問題を除いては、ですが。

斎藤 はい。
  
山本 一番ひどいのはアフリカです。

   アジアと中南米は、BRICs、NEXT11といって
   新興国になってきていますので、

   バングラデュも今はアジアの中では最低に近いですけれども、
   あ、最低はミャンマーかな。
   えっとーバングラデシュもインドも新興国で、
   経済レベルはかなり上がってきていますよ。

   だから、あのー世界中の人々の中で、
   貧しい国に何かするんだったら
   サブサハラ(サハラ砂漠より南)へ行くほかない
   というのが客観的な事実です。
  
   …という事を、ま、最後に申し上げておきますね。
   ということで、今でぴったり1時間ですね。

   えー今日はどうもありがとうございました。

斎藤 ありがとうございました。

・・・

将来の展望


山本 がんばってくださいね。
  
   あぁーえっとーなんだっけ。
   今後どうする気でしたっけ、将来は。

   将来の展望だけ言ってください。

斎藤 展望だけ…。
   
   えーと、お話を聞いて、
   将来協力隊を受けるということは決めたので、
   とりあえず今回は見送って、次の回に応募してみて。
  
   で、2年間今の職場で終わった段階で行けるような形で
   派遣の時期を調整していきたいなというのと、
   応募する国に関しては、
   自分の行きたい興味のある国と、
   実際に開発の必要な国とあるので、
   その時に考えようと思うんですが、

   アフリカというのもちょっと視野に入れて考えて、
   (協力隊が)2年間終了したら、できれば奨学金をもらって、
   大学院に進むか、あるいは国連ボランティアの枠があれば、   
   そちらに先に応募したいなと思っているので。

   まぁそれで、無事に(大学)院まで終われば、JPO受けて。
   後のことは、その時に考えたいとは思いますが。
   今はちょっと、NPOの方とかにいくつか顔を出しつつ、
   仕事もがんばってお金を貯めつつ、ということです。 

   ありがとうございました。  

山本 お疲れさまでした。
   終わりでーす。