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目次:

保護する責任
ミドルパワー、ロメオ・ダレール
リビアへのNATOの軍事介入
イラク戦争、アメリカによる「市民の保護」と「大量破壊兵器疑惑」
潘基文・国連事務総長、コートジボワールに国連PKOが軍事介入
市民の保護
人道・人道支援


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保護する責任


保護する責任。自国民の保護という国家の基本的な義務を果たす能力のない、または果たす意志のない国家に対し、国際社会が当該国家の保護を受けるはずの人々について「保護する責任」を負うという新しい概念。2000年カナダが提案、2005年国連首脳会合成果文書、国連安保理決議1674で再確認

保護する責任(Responsibility to Protect、R2P)。2000年カナダの「干渉と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)が作成した報告書で定義。2001年、国連に提出。2005年、国連首脳会合成果文書で承認。2006年、国連安保理決議1674で再確認された

保護する責任とは、1)国家が国民を弾圧している時、または、2)国家に国民を保護する能力がない時、国際社会が代わりに国民を保護するべき、という概念。それまで絶対視されていた「国家主権」と「内政不干渉の原則」に、風穴を開けた。武力行使も辞さないが、あらゆる外交手段をとった後に施行可能

国連の「保護する責任」はルワンダの虐殺などを教訓に危険にさらされた人間を国家だけでなく国際社会も守る責任があるという考え方。2005年の国連総会の特別首脳会議が採択した「成果文書」に理念として盛られ必要な場合は安保理を通じ共同行動をとると記載。2011年3月リビアで初めての実践例

カナダを中心とする国々が2000年に「干渉と国家主権に関する国際委員会」(ICISS)で「保護する責任」を提唱した背景にあったのは、二つの事件。1)1994年のルワンダ虐殺(国連が躊躇する間に80万人が虐殺)。2)1995年のスレブレニッツァの虐殺(セルビア人のイスラム教徒虐殺)

保護する責任は三つの要素。1)予防する責任。紛争の原因に対する取り組み。2)対応する責任。状況に対する強制措置。軍事干渉も含む。3)再建する責任。復興、和解などへの十全な支援の提供。この中で最も重要とされるのが、予防する責任。軍事行動の前に、あらゆる努力をすることが課せられている

保護する責任による軍事行動の正当化。1)正当な権限。国連憲章第7章第51条、第8章。2)正当な理由。大量の人命喪失。3)正当な意図。体制転覆が目的でなく人民を害する能力を無力化。4)手段の均衡。必要最小限。5)合理的見通し。事態が悪化しない。6)最後の手段。事前にあらゆる外交手段

「保護する責任」とは何か 平和構築の枠組み 川西晶大 http://t.co/GsjwMYMX 2001年に提唱され、2005年9月に開かれた国際連合の首脳会合で採択された成果文書でも取り上げられた「保護する責任」

保護する責任。「国家主権は人々を保護する責任を伴い、国家がその責任を果たせないときには、国際社会がその責任を代わって果たさなければならない、そして、国際社会の保護する責任は不干渉原則に優先する」 川西晶大 レファレンス 平成19年3月号 http://t.co/GsjwMYMX

「保護する責任」の適用は可能か 国境なき医師団 http://t.co/rdNf8IEA ミャンマーでは国民が極めて危険な状態に置かれており人道援助への制限もありますが大量虐殺と定義する条件を満たしていないため、安全保障理事会は「保護する責任」の適用に関して合意に達しませんでした


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ミドルパワー、ロメオ・ダレール


ミドルパワー(中堅国家、中級国家)。国連で拒否権を持つ、軍事的な超大国(スーパーパワー)の米英仏中露ではなく、ある程度、外交上の力を持った国々。カナダ、オーストラリア、ノルウェーなど。日本、ドイツ、インド、ブラジルなどの将来の国連安保理の常任理事国入りを狙う国々も含まれる。

ミドルパワー。超大国や大国でなく、しかし一定程度の穏健な国際的影響力を持つ国家を指す概念。日本語では『中級国家』と表記。カナダ、日本、ドイツ、オーストラリア、北欧など。元ルワンダPKO司令官ダレールが国連の常任理事国だけを中心とした平和維持活動に限界を感じミドルパワーの連携を提案

ロメオ・ダレール(1946年生 )。国連PKO司令官として1994年ルワンダ虐殺を目撃。国連の無力さ・無能さを痛感し、同年に司令官を辞任。理由は司令書を正確に書けなくなり自暴自棄になったため。帰国後PTSD、アルコール依存。だが以後ミドルパワーの連携を提案。「保護する責任」を提唱

「保護の責任」を「ミドル・パワー」の連携で達成しようとするロメオ・ダレール。大国による国連の支配を批判しながらも、それでも国連の中にミドル・パワーの連携組織を作るべきだと言う。理由は、1)現在、国連のみが中立性と透明性をもっている。2)国連内にそれを作れば安保理の機能も改善される

「大国の圧倒的軍事力を使わずに『保護する責任』を果たしていくべきだと考えている。米英仏中露の力を借りるのではなく、ミドルパワー(中堅国家)が主体となるべき。日本などはもっと積極的にその能力を提供すべきだ。お金ではない、もっと多様な能力を。民間人・外交官・兵士・警官など」 ダレール


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リビアへのNATOの軍事介入


国連安保理の決議に基づき、「保護する責任」という大義名分で2011年3月、リビアに多国籍軍が派遣。しかし、英仏はカダフィ政権の体制転覆を明言しており、理念と矛盾する。「保護する責任」において軍事行動が正当化されるのは、「体制転覆が目的でなく、人民を害する能力を無力化」することのみ

国連安保理の決議による米英仏のリビア攻撃の正当性について。1)国連憲章、第2条7項に、内政不干渉の原則があるが、2)第39条に、平和に対する脅威、平和の破壊及び侵略行為への「勧告」が可能。3)第41条に、経済制裁等が可能。4)以上の効果が不十分な場合、第42条に、軍事行動が可能。

国連安保理決議1973。リビア政府に対し国民への暴力の即時停止を要求。「カダフィ政権の攻撃の脅威にさらされる市民を守るあらゆる方策をとる」と明記し、武力行使を含む選択肢を可能にした。一方で「外国軍の占領を除外する」とし、アラブ各国・民衆の感情に配慮。リビア上空の飛行禁止空域設定も

リビアのカダフィ大佐を巡る国際情勢。2011年3月からのリビア動乱に対し、国連は「市民の保護」を謳い軍事介入しようとした。だが米英仏は政権転覆まで主張。後者は国連憲章上「内政干渉」にあたるとして中露が反対。結局国連軍は動かず、NATOの枠組みで米英仏が軍事介入へ。安保理での綱引き

リビアのカダフィ殺害までの経緯。チュニジアの『アラブの春』の影響で2011年2月、民主化デモ勃発。軍が発砲し国民を虐殺したため3月、国連安保理が決議第1973。米英仏が軍事介入。反政府勢力は国民評議会を結集し、政府だと主張。8月首都トリポリ制圧。10月、故郷シルトでカダフィを殺害

リビアでのカダフィ大佐の殺害に対するロシアの主張。 聞澗時負傷していたが)負傷者の殺害はジュネーブ条約違反。△修發修盥駭安保理決議は「市民の保護」で「体制転覆」では無かった。「飛行禁止空域の設定」のみで、NATOの空爆を認めることなど、どこにも書いていない。「内政干渉」に相当

米英仏などの(国連安保理・常任理事国でもある)軍事大国が、「民主化」または「保護する責任」という大義名分の元に、中東やアフリカ諸国に軍事侵攻をする例が相次いできた。これらが本来の人道的理由で使われているのか、それとも各国の政治的な目的に利用されているだけなのか?見分ける方法は?


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イラク戦争、アメリカによる「市民の保護」と「大量破壊兵器疑惑」


アメリカがイラクに侵攻した時(2003年)大量破壊兵器の所持疑惑とともに、ブッシュ政権が言っていた大義名分があった。フセインにより弾圧されているイラク国民の「保護する責任」だった。結局アメリカはこの戦争でイラクの一般市民を最低でも15万人以上殺した。保護する責任はどこにいったのか


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潘基文・国連事務総長、コートジボワールに国連PKOが軍事介入


潘基文。米国に留学し韓国外務省時代も米国を担当し結びつきが強い。その支持で国連事務総長に。明らかな国際法違反のビンラディン殺害をした米国を擁護。パキスタン国連加盟問題では米国と板挟み。一方で国連事務総長としての功績が欲しいためコートジボワールで武力行使型PKO派遣し派手な『実績』

潘基文(パン・ギムン)事務総長の「二重基準」。米国が反対する「パレスチナの国連加盟については国連憲章に沿って加盟国が決めること。事務総長の役割は手続き面に限られている」と消極姿勢。一方、リビアでは欧米の軍事介入を積極支持、コートジボワールでも仏軍介入を支持し武力行使型PKOを派兵

潘基文。〇愼確鷲埖と批判されている。韓国外務省出身だが長年、米国を担当しており同国から支持を得て国連事務総長に就任。ビンラディン殺害に関しても(国際法違反にも関わらず)米国を支持。っ羚颪凌邑弾圧も黙認。ことなかれ主義。イ世コートジボワールで内政干渉となるPKO介入が異例

「人間の安全保障」でポイントとなっていたのは(国家の横暴によって)国民が危機的な状況に陥っている場合、国連が武力を投入して守ろうとする(保護する)ことを正当とするかどうか、だった。しかしキューバ等の社会主義国家が反対しこれは不可となった。2010年春、国連事務総長がそれを明言した

国連の潘事務総長は「米英仏などによるリビアへの軍事介入は、「国際社会が市民を保護する責任を実践している。不当な内政干渉にはあたらない。リビアのカダフィ政権は軍隊を使って自国民を多数殺害し統治の正統性を失っている。軍事行動の目的はカダフィ政権の打倒ではなく、あくまで一般市民の保護」

コートジボワール大統領選をめぐる混乱で、大統領就任を一方的に宣言して国際社会の批判を浴びているバグボ側は、2010年12月、同国に駐留する国連平和維持活動(PKO)部隊の退去を要求した。潘基文・国連事務総長は、これを退けた。バグボは、「国連PKOは深刻な内政干渉をしている。」

潘基文国連事務総長の「PKOは中立ではありえない」の発言のきっかけ。大統領選で混乱していたコートジボワールで、大統領職に居座るバグボ派拠点をPKOが2011年4月に攻撃した際、ロシア等が「PKOは中立」と反発したことに対し、「市民の保護」のため必要で、そのため「中立はありえない」

国連の平和維持活動(PKO)をめぐり、潘基文事務総長が「市民の保護が問われる場合は、部隊の中立はあり得ない」と安全保障理事会の理事国に説明していたことが判明。2011年5月。従来のPKOは「中立性の順守」を掲げ日本のPKO参加5原則でも「中立的立場の厳守」を定めており、議論を呼ぶ

国連。潘基文は「保護する責任」の重要性を強調。2012年1月 Responsibility to Protect: Ban urges action to make UN-backed tool ‘a living reality’ http://t.co/e6NpVDfR


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市民の保護


市民の保護(protection for civilians)。保護とは何か?。裡韮呂蓮蔽韻棒弧燭隆躙韻ないだけでなく)社会的な教育・医療の機会を与えられている状態。国連PKOなどの軍部は武器で身を守ること。UNHCRは法律を重視。難民として保護される権利を与えられているか

「そこにいること(プレゼンス)だけで市民の保護になること」(protection by presence)。紛争が起こっている地域で二つの軍事勢力を引き離したり、または避難民の虐殺が怒っている地域に、国連PKO・赤十字・NGO等がいることにより、それらの予防ができる場合があること


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人道・人道支援


「人道」または「人道支援」とは何か? ポイントは二つ。1)被支援者の『苦痛』を取り除く為の行為であること。2)政治的中立性、無差別性(公平性)、(紛争当事者などからの)独立性、があること。1)のみで良いなら軍隊でも可能。2)も必要なら政府の軍隊及び民軍連携は疑問。国連PKOは微妙

「国際赤十字・赤新月運動の基本原則」。1965年採択、1986年改訂。人道援助の要件として、「命と健康を確保すること」、「苦痛を軽減し、予防すること」、「人間の尊厳(尊重)を確保すること」。この概念が1986年の国際司法裁判所 のニカラグア判決で「人道の原則」として判示されている

「真の人道援助の本質的な特色は、いかなる種類の差別もなく供与されるもの。支援が赤十字の実行に見られる目的に限定されたもの、すなわち、人間の苦痛を予防、軽減し、生命と健康を守り、人間の尊重を確保するものでなければならない」。国際司法裁判所(ICJ)のニカラグア事件判決(1986年)

OECD・DACの人道活動規範。公平とは、「被災者に対して差別なしに、ニーズに基づいてのみ行動すること」。中立とは、「人道活動において武力紛争時、その他の論争において、いずれの側にも加担しないこと」。独立とは、「人道目的の政治的、経済的、軍事的又はその他の目的からの自治(自主)」