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目次:

民間軍事会社
歴史的背景
国際人道法と、赤十字のDPHガイドライン
給料は高い。だから死んでもいいとするか?
米兵の犠牲者数を減らすのが目的
米国の退役軍人の会社と、ブラック・ウォーター事件
南アフリカの会社と、西アフリカの子ども兵
イラク
米国が、中南米の共産化を防ぐため傭兵
英国が、インドの植民地支配のため傭兵
リビアのカダフィがアフリカの傭兵
関連ブログ


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民間軍事会社


民間軍事会社(private military company)。直接戦闘、要人などの警備、軍事教育、兵站などの軍事的サービスを行う企業であり、新しい形態の傭兵組織。冷戦終結で各国の軍事費削減が進む一方、内戦やテロが頻発した1990年頃に誕生し2000年代の対テロ戦争で急成長した

民間軍事会社の英訳は、private military company : PMC、Private Military and Security Companies : PMSCs、など。2008年、民間軍事会社の行動に関して定義した(スイスの)モントルー文書では、PMSCsを使用

民間軍事会社(PMC)の民軍連携における立場は複雑だ。立場は(各国の国益とは関係ないので)民間であるが、武装組織であるので、軍と言えば軍。例えば、中東の復興プロジェクトで、文官の護衛にPMCスタッフを付けた場合その人は真っ先に死亡し易い。お金をもらっているからしかたないとするか?

ミリタリー・エレメント(military elements、軍事的要素)とは、民軍関係・民軍連携・民軍協力などについて述べる時に使用される表現。軍と言っても、各国政府の正規軍だけではなく、民間の民兵(政府よりも、反政府よりもある)、民間軍事会社、セキュリティー会社などもあるため。


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歴史的背景


軍民連携が増え人道的空間が減った理由。1)紛争の変化(内戦増加)、2)平和構築の気運(文民が紛争地へ)、3)多機能型PKOによるintegrated mission(PRT等)、4)安保理から武力施行権を与えられたPKO(Robust PKO)、5)民間軍事会社(PMC)の急成長


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国際人道法と、赤十字のDPHガイドライン


民間軍事会社スタッフの安全確保は困難。1)国際人道法・第一追加議定書で、傭兵は(傷病等で)戦闘員である立場の喪失・捕虜となる権利すらない。2)DPHガイドランで、戦闘行為に参加するまでは文民であるが、その時でも、突然の死傷が生じてもやむをえない立場にある。いずれもつきはなした記述

国際人道法とは、紛争において、負傷したり病気になった兵士、捕虜、そして武器を持たない一般市民の人道的な取り扱いを定めた国際法。国際人道法という名の条約は存在せず「1949年のジュネーブ四条約」、「1977年の二つの追加議定書」「2005年の第3追加議定書」を中心とした条約等の総称

国際人道法。1949年、1)軍隊でも傷病者なら保護、2)海上でも同様に保護。3)捕虜は保護。4)文民は保護。77年、追加1)内戦にも締約国外にも適応。追加2)敵対行為に参加しない者の殺傷・拷問・人質の禁止。傷病者を看護する義務。05年、追加3)イスラエル付近での赤十字活動を可能に

赤十字国際委員会(ICRC)による「文民がどうしたら文民の資格を失うか」のガイドラン。 Direct Participation in Hostilities (DPH) http://t.co/EzTNdtrK

ICRCによるDPHガイドライン(民と軍の区別原則、2009年)によると、文民ではない人(紛争時、攻撃されてもしかたのない人)は、1)国の正規軍の構成員。2)正規軍ではない武装グループの場合は、継続的な戦闘機能を負っている人。しかし戦闘機能を持つ人に食糧を運ぶ車の運転手はどっち?


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給料は高い。だから死んでもいいとするか?


民間軍事会社の人の給料は1日3万円。途上国では普通、日給300円程度が多いので、その100倍。だからといって死んでもいいか、という議論がある。2008年スイスで民間軍事会社の行動を定義したモントルー文書では、あくまで軍ではなく民であり国際人権法・国際人道法の対象になるとしている。


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米兵の犠牲者数を減らすのが目的


民間軍事会社スタッフ(傭兵)は、民軍連携において、最も危険な地域・立場での護衛を依頼されることが多いため、最も死にやすい。1)武装しているからしかたないか、2)金をもらっているからしかたないか、3)頼んでいるのが(米兵の犠牲を減らすための)米軍でもしかたないか。全てはグレーゾーン

アメリカはアフガニスタンとイラクで民軍連携による「地方復興チーム」(PRT)を組んで地域の治安維持などを行っているが米兵が死ぬと米国内の世論がうるさい為、民間軍事会社を使って2〜3万の黒人等の傭兵を雇い、中東の治安を担わせようという計画もある。米兵の命は他国民より重いという伝統だ

「欧米の政府からアフリカの虐殺の様子を見るための視察団が来て、こう言いました。『この国には石油などの資源もなく何の戦略的な価値もない。白人兵士を一人送るためには、この国の黒人8万5千人の死が必要だ」と。それが白人にとっての、アフリカの人々の命の価値だったのです」 ロメオ・ダレール

欧米の白人国家にとっては、自国の白人兵士の命の重さは、アフリカの黒人8万5千人分に相当するとの意見がある。だが、その大切な白人兵士の命よりも重要なものがある。それが石油だ。イラクやリビアには石油があるから白人を派兵する。つまり、最も価値があるのは石油。次が白人の命。最後が黒人の命


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米国の退役軍人の会社と、ブラック・ウォーター事件


ブラック・ウォーター事件。ブラックウォーターとは米国の退役軍人が1997年に創設した軍事会社。改称しXeサービシズLLC。2007年9月イラクのバグダッドでこの民間軍事会社の社員が民間人に銃を乱射し17人を死亡させた。軍隊ではないので国際人道法の法規が適応されないという問題が発生


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南アの会社と、西アフリカの子ども兵


『戦争請負会社』。戦争ビジネスは戦車や戦闘機を作る武器産業だけではなく、今や軍隊が担ってきた全ての仕事を代行する民間会社が台頭。武器の調達から実際の戦闘行為まで。アパルトヘイト時代の南ア軍のOBを中心にした会社は戦争部隊を即日編成。「軍隊貸出業」の形でコンゴやシエラレオネ等で活動


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イラク


イラクの首都バグダッドの治安。あいかわらず外国人が襲撃・誘拐される危険。このため中心部に『グリーンゾーン』と呼ばれる10平方キロの安全地帯が設置。高さ3.7mのコンクリートの壁。出る時は民間警備会社の警備員に護衛される。自動小銃・防弾チョッキ・腕に入れ墨。大半が元米軍か英軍の兵士

イラクにおける軍隊とその他の安全保障セクターの相互関係に関する人道機関のガイドライン(2004年)。人道機関・軍隊・民間警備会社の指針。独立、弱者へのアクセス、中立、公平。各機関は相互に活動の独立を保障しなければならず軍事計画への非統合、軍主導の救援活動と他機関の活動の明確な区別

自衛隊イラク派遣 (2004−2008年)。活動の柱は非戦闘地域での人道復興支援活動と安全確保支援活動。実際は給水事業や公共インフラ整備をしていた。だが自衛隊である必要はなく、民間業者・NGO・民間軍事会社らに依頼した方が費用対効果的に合理的だった(十倍以上安かった)とする意見も


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米国が、中南米の共産化を防ぐため傭兵


グアテマラ。1821年の独立後、正常は不安定で軍事クーデター頻発。1931年からウビコ将軍が独裁していたが1944年に追放され民主化。共産主義よりとなったため米国がネガティブ・キャンペーン。米国の雇用した傭兵軍がエル・サルバドルから侵攻し当時の政権を打倒。54年、親米独裁政権誕生

ピッグス湾事件。1959年、親米の傀儡政権を倒すキューバ革命が起こったが、1961年、在米の亡命キューバ人達で構成される親米ゲリラ「反革命傭兵軍」が、アメリカ合衆国の支援を受けキューバ革命政府の再転覆を試みた事件。しかし急襲は失敗し、部隊は壊滅した。この事件が翌年のキューバ危機へ

コントラ(contra)とは、中米ニカラグアの親米反政府民兵(ミリシア)の通称。ラテンアメリカの価値を訴え米軍を撤退させた英雄サンディーノの意志を継ぐサンディニスタ民族解放戦線が1961年に創設。79年同政権の成立を危惧し、米レーガンが反政府民兵(事実上の米国の傭兵)に資金提供。

コントラ戦争(第二次ニカラグア内戦)。1979-89年サンディニスタ革命政権の政府軍と米国が組織した反革命傭兵軍コントラが戦った内戦。43年間続いた親米のソモサ独裁政権を武力闘争で打倒した革命政権をソ連が支援。一方、コントラをアメリカが支援したために、冷戦時代における米ソ代理戦争


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英国が、インドの植民地支配のため傭兵


イギリスがアジアを植民地支配する時、「東インド会社」を中間支配層とした。1600年エリザベス女王の特許状で設立。18世紀にフランスを打倒し土着君主を抑圧してインドを掌握。1772年、徴税業務と治安維持業務も獲得。現地人を傭兵として多数雇い、現地人を犠牲にして植民地戦争を戦いぬいた


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リビアのカダフィがアフリカの傭兵


内戦状態に陥っているリビアで、反体制派の捕虜となったカダフィ政府軍の兵士。その戦闘の動機は何か?「(国際テロ組織)アルカイダや外国人部隊との戦い」、そして報酬(戦闘終了後69万円もらえる)。インターネットは制限され、国営テレビはカダフィ体制を賛美。敵はアルカイダという言葉を信じた

クリントン米国務長官は2011年2月末、国連人権理事会で「リビアのカダフィは遅滞なく去らねばならない」と即時退陣要求。「傭兵や暴漢」を国民弾圧に利用していると批判し国際法廷での訴追も。EUのアシュトンと意見交換し外国人傭兵や武器流入を防ぐためEUが協力してリビア上空に飛行禁止空域


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関連ブログ


「民軍関係・民軍連携・民軍協力と援助関係者の死亡増加に関するツイート」  その1 http://t.co/IXPPtMY その2 http://t.co/jgKYYxx その3 http://t.co/FqXgmOX 山本敏晴のブログより 長大なので、その1に『目次』あり。