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目次:

はじめに
三代目・金正恩が後継者たる実績作り、ミサイル開発と核実験
瀬戸際外交(揺さぶりをかけ、米韓日から援助を引き出す手法)
米朝協議、2012年2月
北朝鮮が人工衛星と称するミサイルの発射を4月に予定していると3月に発表
北朝鮮の人工衛星を搭載したミサイル打ち上げに各国は反発、米韓比中露
北朝鮮は人工衛星だと言っているのになぜ国際社会は反発するのか?
北朝鮮のミサイル、あるいは人工衛星とは?
韓国より北朝鮮の方が、軍事面での科学技術力は優る?
日本は、ミサイル迎撃態勢を配備
日本の原発銀座は、北朝鮮のミサイルの射程圏内
日本のマスコミ
北朝鮮の主張
北朝鮮が、3度目の核実験を示唆
イランとの軍事協力
シリアとの軍事協力
さいごに


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はじめに


北朝鮮は1998年に長距離弾道ミサイル「テポドン」を発射、直後に「国家の最高職責」とされた国防委員長に金正日を再選出し、体制をスタート。2012年4月は金日成生誕百年という節目で、かつ金正恩体制の始動のため「衛星打ち上げ」(実際は長距離弾道ミサイル)を新しい時代の幕開けとするか?


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三代目・金正恩が後継者たる実績作り、ミサイル開発と核実験


北朝鮮のウェブサイト「わが民族同士」は2012年1月に掲載した「政論」で、金正恩が核実験や、北朝鮮が人工衛星の打ち上げと主張している長距離弾道ミサイル発射を「陣頭指揮した」と伝えた。09年4月のミサイル発射については、12年1月に放映された記録映画で正恩が立ち会っていたことが判明

韓国の政府機関・外交安保研究院は2012年1月、北朝鮮が同年中にも3度目の核実験や長距離弾道ミサイルの発射に踏み切る可能性があると公表。金正恩が軍を掌握し権力基盤を固めるため軍事挑発の可能性。また、米国や韓国の大統領選などの日程にあわせ12年後半から13年前半に核実験をする恐れ


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瀬戸際外交(揺さぶりをかけ、米韓日から援助を引き出す手法)


核問題を巡る米朝協議が終わった直後、北朝鮮の国防委員会は、米本土への攻撃能力を備えたことを示唆。2012年2月。その真偽は不明。北朝鮮が米本土への攻撃能力に言及するのは極めて異例。米国が懸念する大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発の進展を示唆することで、揺さぶりをかける狙いか


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米朝協議、2012年2月


北朝鮮外務省報道官は、寧辺(ヨンビョン)でのウラン濃縮活動、核実験、長距離ミサイル発射を一時停止し、濃縮施設を含む寧辺の核施設を監視するIAEA要員の復帰を認めると発表。朝鮮中央通信が伝えた。米政府は24万トンの食糧支援を表明。2012年2月下旬に北京で行った米朝協議で合意した。


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北朝鮮が人工衛星と称するミサイルの発射を4月に予定していると3月に発表


北朝鮮の朝鮮宇宙空間技術委員会は、2012年4月に人工衛星を搭載したロケットを打ち上げると、3月に発表。ロケットは長距離弾道ミサイルと同一の性能があり、2月の米朝合意に反する可能性が高く、日米韓など国際社会の反発は必至。地球観測衛星「光明星3」を運搬ロケット「銀河3」に載せて発射


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北朝鮮の人工衛星を搭載したミサイル打ち上げに各国は反発、米韓比中露


米国務省のヌーランド報道官は、北朝鮮が(金日成生誕100周年記念、及び金正恩新体制スタート記念のため)予告通り「人工衛星」(実際は、長距離ミサイル)を2012年4月に打ち上げた場合、2月の米朝合意の破棄に当たると強く警告し、米国による食糧援助の実施も困難になるとの見解を示した。

北朝鮮が予告している2012年4月中旬の「人工衛星」打ち上げで、ロケットの1段目が韓国の西方沖に、2段目がフィリピン東方沖の海域に落ちる見通しだと韓国政府当局者が明らかにした。事実上の長距離弾道ミサイル発射実験とみている韓国政府は、「重大な挑発」として厳しく対処する方針。3月

米ホワイトハウスは、核安全保障サミットに出席するため訪韓するオバマ大統領が、南北軍事境界線に隣接する非武装地帯(DMZ)を視察すると発表。2012年3月。米韓関係の強固さを誇示し、事実上の長距離ミサイル発射を予告する北朝鮮を牽制する狙いか。2010年の韓国哨戒艦撃沈事件から丸2年

北朝鮮による人工衛星(事実上の長距離弾道ミサイル)の発射予告を巡り、フィリピン外務省はこれを中止するよう求める声明。2012年3月。4月に発射予定の「ロケット」の2段目は比ルソン島東方沖に落下する見通し。比は北朝鮮と国交があるが、声明は「重大な懸念。国連安保理決議に違反する行為」

オバマ米大統領は韓国を訪れ、北朝鮮の軍事境界線付近の非武装地帯(DMZ)を視察。2012年3月。核開発問題と、「人口衛星」(長距離ミサイル)の発射問題がくすぶる北朝鮮に、韓国と結束して対応する決意を示した。米大統領によるDMZ視察は2002年のブッシュ前大統領以来、約10年ぶり。

中国の胡錦濤国家主席と韓国の李明博大統領の会談。2012年3月下旬。北朝鮮が「人工衛星打ち上げ」としている長距離弾道ミサイル発射について胡主席は「深い憂慮」を示し、中止させる努力をすると表明。中国はこれまで「打ち上げ」に憂慮を表明していたが、中止を求める姿勢を示したのは初めて

韓国国防省は、北朝鮮が人工衛星と称して発射を予告した長距離弾道ミサイルに関し、予定の軌道をそれて韓国に飛来した場合、ミサイルでの迎撃を検討。2012年3月。国防省担当者は、「ミサイルが軌道を外れ、韓国領土へ落下する場合に備え、軌道を追跡し、迎撃を検討するのは当然だ」と述べた。

外務省、野田総理と胡錦濤・中国国家主席との懇談、2012年3月 野田総理より、「今年は国交正常化40周年であり,これを契機に是非良い関係を築いていきたい。北朝鮮が発表した「人工衛星」と称するミサイルの発射については,貴国と連携する形で強く自制を促していきたい」

韓国各紙は、外交消息筋の話として、中国政府の出国許可が得られずに3年近く中国内の韓国公館に留め置かれていた脱北者数人が2012年4月に入って許可を得て韓国に入国したと報道。「人工衛星」と称し長距離弾道ミサイル発射を強行する構えを見せる北朝鮮に対する、中国の不快感の表れとみられる

ロシア連邦宇宙庁(ロスコスモス)は、北朝鮮が衛星打ち上げとして予告する長距離弾道ミサイルの発射について「視察の招待を受けたが代表団は派遣しない」と発表。北朝鮮の弾道ミサイル発射を禁止した国連決議に違反するためとしている。2012年4月。3月に「衛星打ち上げ」視察の招待を受けていた

日中韓3カ国の外相は、中国浙江省寧波市でそれぞれ2国間会談を行い、北朝鮮が予告した長距離弾道ミサイル発射の自制を求めることで一致。また、北朝鮮がミサイル発射を強行した場合、国連安全保障理事会での対応も検討が必要との認識を示した。2012年4月上旬。中国は北朝鮮に密接なパイプを持つ



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北朝鮮は人工衛星だと言っているのになぜ国際社会は反発するのか?


北朝鮮は「人工衛星の打ち上げだ」と主張しているのに、日米韓が「弾頭ミサイル発射だ」と反論している理由。2009年の国連安全保障理事会の決議1874において、「弾道ミサイル技術を利用した全ての発射を禁ずる」と記載。つまり仮に本当に人工衛星であったとしても、『その技術』を使っては違反

韓国の李明博(イ・ミョンバク)大統領は、核安全保障サミット出席のため訪韓した潘基文国連事務総長と会談。2012年3月。北朝鮮が人工衛星(長距離弾道ミサイル?)を打ち上げると予告していることに関し、「国連安保理決議違反であり、国際社会に対する重大な挑発行為だ」との認識で一致した。


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北朝鮮のミサイル、あるいは人工衛星とは?


「人工衛星」と称する北朝鮮の長距離弾道ミサイル。2012年4月。事実上は「テポドン2号」の実験で、成功すれば大陸間弾道ミサイル(ICBM)と同等の技術を獲得することになる。06年、発射に失敗。09年、2段目の分離に成功。3段目分離は失敗?、12年は3段目が分離する確認のための実験

北朝鮮が「人工衛星だ」と称している長距離弾道ミサイルの正体は、『テポドン2号』。下から順に、1段目は、『ノドン』4基を合体させたブースター。2段目は、旧ソ連のミサイル『SSN6』を改良した『ムスダン』。3段目は、未確認。その上の先端部分に、「人工衛星」が搭載されるのは、恐らく本当

テポドン(Taepodong)。米国がミサイルを確認した地名「大浦洞」から付けたコードネームで北朝鮮では「白頭山(ペクトゥサン)」。98年、人工衛星と固体燃料ロケット等を搭載した3段型を発射。第2段目は日本を越え三陸沖に落下。第3段を加えれば射程は5千キロ以上となり米国も攻撃可能

ムスダン。北朝鮮が開発したミサイル。米国が発射基地の舞水端里(ムスダンリ)から名付けた通称。2007年、平壌で行われた朝鮮人民軍創設75周年記念パレードで初めてその姿が米偵察衛星により確認。09年15〜20基を実戦配備。12年、人工衛星打ち上げのための3段ロケットの2段目に使用?

北朝鮮が「衛星」を打ち上げるとして平安北道(ピョンアンプクト)・東倉里(トンチャンリ)の「西海衛星発射場」で進めているミサイルの本体の設置作業が2012年4月8日、完了。液体燃料の注入に数日かかるとされ、9日に始めれば、早ければ12日から発射が可能。韓国の情報関係筋の情報

北朝鮮が2012年1月中旬、日本海に向けて短距離ミサイル3発を発射。韓国政府関係者が明らかにした。北朝鮮は、金正日(キム・ジョンイル)総書記の死去を発表した11年12月19日にも短距離ミサイルを発射。韓国政府はいずれも、ミサイル改良のための試射とみている


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韓国より北朝鮮の方が、軍事面での科学技術力は優る?


北朝鮮のテポドン2号には実際に「人工衛星」が搭載されている可能性が高い。理由は、韓国が過去2回、人工衛星の打ち上げに失敗しているため。「南より北(朝鮮)の方が科学技術力が高い」ということになれば、これほどの宣伝効果はない。3代目・金正恩がリーダーにふさわしいとする「業績」になる。

韓国は米国との覚書により射程300キロ以上の弾道ミサイル保有が制限されている。だが北朝鮮が長距離弾道ミサイルの開発を続けていることから、北朝鮮全域をカバーできるよう射程を延長すべきだとの意見。2012年3月。10年、韓国軍は射程1500キロの国産巡航ミサイルを開発したが威力が劣る


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日本は、ミサイル迎撃態勢を配備


北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル(北朝鮮側は人工衛星と主張)の発射予告を受け野田政権は安全保障会議。2012年3月。ミサイルが日本の領土・領海に落下する事態に備え、自衛隊法に基づく「弾道ミサイル破壊措置命令」。沖縄県の先島諸島に地対空誘導弾パトリオット3(PAC3)を配備

田中直紀防衛相は、自衛隊に対し、北朝鮮が2012年4月に予定しているロケット打ち上げ前に、「ミサイル防衛システム」(MD)を準備するよう命じたことを発表。2012年3月。北朝鮮の衛星打ち上げに先駆け、地対空誘導弾パトリオット(PAC3)およびイージス艦の配備に備えるよう当局に要請

BBC「日本が北朝鮮のミサイルを防衛」2012年3月。Japan readies anti-missile defence for N Korea rocket. ordered missile defence systems. PAC-3 and Aegis warships


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日本の原発銀座は、北朝鮮のミサイルの射程圏内


北朝鮮のミサイルの危機にさらされている原子力発電所。〆任盒瓩い里惑重佝湘腓了峅豸業で、舞水端里(ムスダンリ)発射基地から800km。▲謄櫂疋鵑亮幼は1500km、ノドンは1300km。8業銀座と呼ばれる若狭湾一帯(福井県)が狙われる可能性。て慍譟覆弔襪)、もんじゅ、美浜


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日本のマスコミ


名神高速道路で大型トラックが路肩に停車中のタクシーに追突、後部座席にいた運転手谷田幸生(41)が死亡、助手席の番組制作会社真壁陽介(28)が軽傷。真壁は日本テレビの委託で北朝鮮の長距離弾道ミサイル打ち上げの取材をするため、タクシーをチャーターし東京から広島へ移動中。2012年3月


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北朝鮮の主張


北朝鮮外務省報道官は、長距離弾道ミサイル発射の一時停止などで合意した2012年2月の米国との協議で「人工衛星の打ち上げは停止対象に含まれないことを伝えていた」と主張し、「主権国家の合法的権利である平和的な衛星打ち上げを絶対に放棄しない」と強調。「衛星打ち上げは金正日総書記の遺訓」

金正日。1942年生。50年朝鮮戦争。53年休戦。74年後継者に内定。83年ラングーン事件。87年大韓航空機爆破。94年父死去。97年党総書記に就任。98年テポドン1号。02年平壌宣言、拉致謝罪。06年テポドン2号、核実験。08年脳梗塞。09年核実験。正恩の後継内定。11年急死。


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北朝鮮が、3度目の核実験を示唆


韓国国防省は北朝鮮の長距離弾道ミサイル技術について「米国本土に到達できる程度に射程を延ばすことは可能」。2012年4月初頭。大陸間弾道ミサイル(ICBM)の開発に向け技術をかなり進歩させているとの認識。4月中旬の長距離弾道ミサイルの発射後、短い期間内に3度目の核実験を行う可能性

在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の機関紙「朝鮮新報」は、事実上の長距離弾道ミサイル試射である「衛星」打ち上げに対する国際社会の反応次第では、北朝鮮が3回目の核実験を行う可能性を示唆する記事を掲載。2012年4月初旬。国連安全保障理事会での協議など対応措置を検討する日米韓を強く牽制

朝鮮総連は3回目の核実験を行う可能性を示唆。2012年4月。「人工衛星打ち上げに言い掛かりをつける米国の言動は、時計の針を(北朝鮮がミサイルを発射した2009年)『4月以降』へ誘導しているようだ。(同年の)5月には、朝鮮が安保理の制裁に対する自衛的措置として2回目の核実験をした」

北朝鮮が過去2回の核実験を行った北東部の咸鏡北道(ハムギョンブクト)・豊渓里(プンゲリ)で新たな地下坑道の掘削工事が進んでおり、最終段階に。2012年4月。ミサイル発射後、米国の出方次第では、3度目の核実験を強行する示唆。 衛星写真では3月から坑道の入り口に急に土砂が積まれ始めた


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イランとの軍事協力


北朝鮮とイランの弾道ミサイルのデザインは共通。1980年代のイランイラク戦争で使用されたものは北朝鮮から輸入。ノドンとシャハブ3号、テポドン1号とシャハブ4号、テポドン2号とシャハブ5号が同じデザイン。また、北朝鮮はパキスタンに弾道ミサイルを供与した見返りにウラン濃縮技術を入手。


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シリアとの軍事協力


北朝鮮とシリアの軍事協力。1966年、国交樹立。67年、第三次中東戦争で支援。91年、シリアが北朝鮮からスカッドミサイル購入。97年、イスラエル外相が北朝鮮からシリアへの化学兵器輸出を指摘。07年イスラエルが北朝鮮が建設支援したシリアの核施設を空爆。09年ギリシャが化学兵器を押収


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さいごに


国際的な外交では、軍事力の行使を見せ、敵対心を煽るような素振りをしながら、一方で和解のための会議も行う、というしたたかさが必要か。(胴颪ビンラディン殺害後、タリバンを懐柔する動き。▲ぅ薀鵑ホルムズ海峡にミサイル発射し石油輸出を封鎖しながら、一方で経済制裁回避。K鳴鮮はいつも