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目次:

はじめに
小説・映画「パラサイト・イブ」
ミトコンドリアとは?
ミトコンドリアが私たちの細胞に寄生し共生
ミトコンドリア・イブ
ミトコンドリア病(ミトコンドリア脳筋症)
他の病気と、ミトコンドリアの関係、時計遺伝子
ミトコンドリアと、若返り遺伝子(サーチュイン遺伝子)
その他、ミトコンドリアの研究の応用
利己的遺伝子
捕食寄生
その他の寄生・共生


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はじめに


「ミトコンドリアの仕事はエネルギーを作ることです。でもどうしてミトコンドリアは、ここにいるんでしょうか?核の中とは別の遺伝子を持つということは、ミトコンドリアは独立した生命体だということになります。…パラサイト。つまりミトコンドリアは、私達に寄生した別の生き物なんです」 瀬名秀明


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小説・映画「パラサイト・イブ」


パラサイト・イヴ。瀬名秀明(1968年生、薬剤師、薬剤学博士)のSFホラー小説。95年、日本ホラー小説大賞。97年、映画化。10億年にわたり、生物の細胞の中に寄生し、時を待っていた『ミトコンドリア』が、地球の支配者となった人類に対し、その遺伝子の支配権を奪取すべく反乱を起こす物語


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ミトコンドリアとは?


ミトコンドリア。生物の細胞内にあるエネルギー(ATP)を生産する小器官。二重の生体膜からなり、独自のDNA(ミトコンドリアDNA、mtDNA)を持ち、分裂、増殖する。異常をきたした場合、ミトコンドリア病を引き起こす。また膜間腔に存在するタンパク質が漏れ出すとアポトーシス(細胞死)


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ミトコンドリアが私たちの細胞に寄生し共生


「リン・マーギュリスの説を知ってるか?人の中にあるミトコンドリアの遺伝子の数は、生物としては少し足りないんだ。彼女の説によれば、それは『ミトコンドリアが細胞の核に遺伝子を送り込んだからだ』、と言う。つまり、人間の細胞の核にある遺伝子の一部は、本当はミトコンドリアのもの」 瀬名秀明

リン・マーギュリス(1938-2011年)。米国の生物学者。マサチューセッツ大学・地球科学部教授。1967年、ボストン大学で奉職中に真核生物の、『細胞内共生説』(ミトコンドリアや葉緑体は他の細胞(それぞれ好気性細菌、藍藻)に由来)の核となる論文『有糸分裂する真核細胞の起源』を発表

(細胞の核内にある遺伝子とは別に自分自身の遺伝子を持つ)ミトコンドリアが、生物の細胞内に寄生することになった起源。10〜20億年前(?)好気性細菌でリケッチア(細胞外で増殖できない寄生菌)に近いαプロテオバクテリアが、真核細胞と共生することによってミトコンドリアになったとする仮説


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ミトコンドリア・イブ


「人間の性格や、顔・形は、父親からも母親からも受け継がれますが、(細胞内でエネルギーを生産する)ミトコンドリアは、母親のものしか伝わらないんです。ですから、ここにいる皆さんの体の中にあるミトコンドリアは、全て、あなたのお母さんから受け継がれたものだということになります」 瀬名秀明

ミトコンドリア・イブ(Mitochondrial Eve)。現生人類の、『最も近い共通女系祖先』(ある集団において、それらの全てを子孫とする祖先のうち最も現在に近い個体のこと)。約12〜20万年前にアフリカに生存していたと推定され、アフリカ単一起源説を支持する有力な証拠の一つ。

ミトコンドリア・イブ。ミトコンドリアのDNAは(核内のDNAとは別な行動をとり)母親のミトコンドリアDNAのみを引き継ぐ。これを利用して、世界中に分布するヒトのミトコンドリアDNAを調べ、現生人類の起源の地が探られた。大昔のアフリカのある女性が今の人類の全てのミトコンドリアの母親


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ミトコンドリア病(ミトコンドリア脳筋症)


「最近の研究で、糖尿病などの病気がミトコンドリアの遺伝子の異常で起きている例がかなりあることがわかった。病気になるということはエネルギーを失っているとも言える。そこで、正常なミトコンドリアを細胞ごと培養し、その患者の悪い所に入れてやる。すると、機能が回復して病気が治る」 瀬名秀明

ミトコンドリア脳筋症(ミトコンドリア病)。エネルギー産生障害による細胞機能不全が多臓器に生じる。中でもエネルギー需要度の高い、脳・骨格筋が障害され易い。中枢神経障害(てんかん、神経性難聴、知能障害)や、骨格筋・心筋障害、内分泌障害(低身長、やせ、糖尿病)、腎障害などの頻度が高い。

ミトコンドリア病(ミトコンドリア脳筋症)。細胞内エネルギー生産が十分できなくなるために起きる病気。3大病型は、)性進行性外眼麻痺症候群(CPEO)。∪嵜Г椶軅維・ミオクローヌスてんかん症候群(MERRF)。ミトコンドリア脳筋症・乳酸アシドーシス・脳卒中様症候群(MELAS)

ミトコンドリア脳筋症。治療。根本的な治療法はなく、対症療法のみ。.┘優襯ー代謝改善薬(L−アルギニン(アルギU)、タウリンなど)。脳卒中用発作急性期治療(エダラボン(ラジカット)など)。ミオクローヌスてんかん(リボトリールなど)。い修梁召梁仂瀕屠 陛尿病の治療など)。


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他の病気と、ミトコンドリアの関係、時計遺伝子


京大が、肝臓の『時計遺伝子』の抑制を、癌の化学療法と組み合わせることで新しい化学療法の可能性。2012年4月。肝臓の時計遺伝子は、肝細胞から(DNA、ATP等の原料となる)ヌクレオチドを全身臓器に周期的に供給。これを抑えると癌細胞の再生(復活)が遅れる。ミトコンドリアがそれに関与


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ミトコンドリアと、若返り遺伝子(サーチュイン遺伝子)


空腹だと『若返り遺伝子』が働く? アメリカマサチューセッツ工科大学のレオナルド・ガレンテ博士らが発見した“サーチュイン遺伝子”。この遺伝子は、空腹時にスイッチが入る。スイッチが入ると細胞内のミトコンドリアが活性化し、エネルギー効率が高まる。結果、生物の寿命が延びると言う。

長寿遺伝子、Sir2(サーツー)。マサチューセッツ工科大学のレオナルドガレンテ博士が発見。2010年。酵母菌の寿命に関係するサーツー遺伝子というものを発見し、その後線虫にもマウスにも発見され、人体にもサーツー遺伝子に似た遺伝子があることが判明。抗加齢医学会で順天堂大学の白澤教授も

長寿遺伝子、Sir2(サーツー)。その働き。〆挧Δ鮟どするたんぱく質の活性化、∈挧死アポトーシスの制御、インスリンの生成や伝達を制御、ぅ潺肇灰鵐疋螢△寮御。カロリー制限するとミトコンドリアがNADという物質を大量に吐き出し、Sir2遺伝子にまとわりつきSir2が活性化する

長寿遺伝子。酵母ではSir2、哺乳類ではSirt1。動物実験においてカロリー摂取を抑制すると寿命が延び、この現象は酵母においても同様であることが知られている。低カロリー摂取によりインスリン分泌を抑え気味にしていると、インスリンシグナルはフル稼働しないことにより、長寿に 結びつく

長寿遺伝子。哺乳類ではSirt1。 長寿遺伝子をONにして長生きする方法?  http://t.co/UfPFpBm1 ヒストンからアセチル基を外す酵素の一つで、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)により活性化。カロリー 制限により、細胞内のNAD/NADH比が上昇

長寿遺伝子。哺乳類ではSirt1。長寿遺伝子をONさせる栄養素は、赤ワイン成分として口にするぶどう果皮に含まれるポリフェノールの1種である『リスベラトロール』(3,5,4´‐トリヒドロキシスチルベン)。果物の皮などにも含まれている。

長寿遺伝子を活性化する栄養素、リスベラトロール(レスベラトロール)。ブドウの果皮や種子に含まれるポリフェノールの一種であり、強力な抗酸化力を持ちガンや生活習慣病を防ぐ可能性。動物性脂肪の多い食事をしているのに心臓病の死亡率が低いフランスの状況を指す「フレンチ・パラドックス」の要因

リスベラトロール。「夢の長寿薬」とされる『サーチュイン遺伝子』の働きを強くする。ミトコンドリアは活性化すると若返りやアンチエイジングに効果がある一方でミトコンドリアが老化してしまうと活性酸素を出し、結果的に老化につながっていく。リスベラトロールのサプリメントなども出ている

サーチュイン遺伝子(Sirtuin gene、silent information regulator gene)。酵素の一種で、老化を抑制する機能を持つタンパク質。イースト菌から発見された「Sir2」。酵母では「Sir2」、マウスでは「Sirt1」、ヒトにおいては「SIRT1」

「老化を防ぐ遺伝子、長寿遺伝子、レスベラトロールのツイート 20111211まで 2515字」 http://t.co/D32QtNXF 山本敏晴のブログより


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その他、ミトコンドリアの研究の応用


ホッキョクグマ(シロクマ)が近縁のヒグマとの共通祖先から分かれ、種として確立したのは60万年前でであり、従来の推定(11〜16万年前)を大幅にさかのぼることが判明。2012年4月。ミトコンドリアDNA解析で、過去の気候変動の影響で個体数が減り遺伝的な多様性に乏しくなったことも判明

SBIファーマ、バーレーンで健康食品に関する製品販売認可。2012年4月。5−アミノレブリン酸(ALA)は、体内のミトコンドリアで作られるアミノ酸で、エネルギー生産に関与するタンパク質の原料となる重要な物質だが、加齢に伴い生産性が低下。これを含む化粧品、健康食品、医薬品を販売へ。

「ハラル、ハラール、イスラム教の許可、ハラム、ハラーム、イスラム教の禁忌に関するツイート 20120419まで 5136字」 http://t.co/McJIPPNX 山本敏晴のブログより


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利己的遺伝子


利己的遺伝子。イギリスのリチャード・ドーキンスが1976年に著作した『The Selfish Gene』に由来。遺伝子が自分のコピーを増やすように行動すること。集団内でコピーが増えるなら、場合により、自分が今いる個体が死んでも問題ないと考え、ともかく後世にコピーを残す。自然選択説


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捕食寄生


捕食寄生。生物に見られる寄生の一つの型で、寄生者が宿主を殺してしまう寄生。昆虫に例が多い。ヾ鸚献丱舛両豺隋⊃討宿主に産卵すると幼虫は宿主の栄養を取って成長し、その体を抜け出して成虫になるが、その際に宿主が死ぬ。▲ロバエ科のコクロバエは、陸生貝類(カタツムリやナメクジ)に寄生

「カタツムリに寄生した虫は最初は殻を堅くしてくれる。でも大きくなると角に入ってきて明るい場所に出ていくよう促し、さらに角を大きく揺り動かすの。すると空にいる鳥に発見され易くなり、カタツムリは食べられちゃうの。…その虫の目的は、鳥のお腹に入り遠くに飛んでいくことだったの」 瀬名秀明


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その他の寄生・共生


「私たちの体の中にはね、いつも、たくさんの微生物が住んでるの。 信じられない? 気持ち悪い? あのねー、あなたのお腹の中にも、大腸菌などの微生物がいっぱいいて、そうした微生物がいるから(酵素を出して分解してくれるから)、食べたものを、消化したり吸収したり、できるんだよ」 瀬名秀明