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この記事は、その1からお読み下さい。

その1
http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65766576.html

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・・・

以下、その2の目次です。

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JICA専門家の増加と協力隊の意義の希薄化
U国の省庁はJICA専門家の方に協力
JICA本部は、協力隊に期待していない
JICAのU国での技術協力プロジェクトの変化
途上国の主導ではなく、JICAの主導するプロジェクト
雨季の直前に、種もみを渡さないと言われて怒り
U国の雨季は、年2回
ネリカ米(ねりかまい)とは?
陸稲(りくとう)とは?
マイクロ灌漑はやらなかった
U国の主食
お米は、高級品
計画その1、灌漑で水田を普及
計画その2、モデル農家でネリカ米を普及
当初、2つの計画を作った
モデル地区
協力隊の活動は「野放し」か?
自動2輪の免許の現地取得
住民の、ねたみによる訴訟
ラムサール条約と、JICAへの訴訟
モデル農家へ行く交通費は協力隊員の自腹(じばら)
誰がモデル農家に教えるのか?

・・・
・・・

JICA専門家の増加と協力隊の意義の希薄化


山本 それじゃあ、現在、U国には、
   JICAの専門家として、数百万円の給料の年収をもらって
   稲作や米を普及させている人が、数人以上いると言う事ですか?

レモン います。
    長期専門家が5、6人位います。
    そのほかにも、短期の専門家が入れ替わり来るので・・・。

山本 解説します。
   JICA専門家は2種類あって、長期専門家とは、
   一年以上の勤務をする人のことです。
   一年未満の方を短期専門家と言います。
   1か月とか、3カ月とか、それ以下の、
   めちゃくちゃ短期の専門家もあります。
   
   短期の人が結構来て、長期の人もいたという事ですね。
   10人前後位?

レモン そうですね。10人前後位はいたという事ですね。

山本 なるほど。
   そのような状況なら、協力隊の存在意義は、
   疑問視する声もあるでしょうね。


・・・

U国の省庁はJICA専門家の方に協力


レモン 2012年位から、U国のNという所に、
    「国家農業アドバイザリー・サービス」みたいな、
    農業技術を普及させる組織みたいな制度があるんですが、
    そこと、JICAの技術協力プロジェクトが、
    (各地方自治体の)農業技術普及員と協力して、
    仕事をし始めたんですよ。
    私が県庁にいたとしても、(私を無視して)
    その組織との連携による稲作の普及などは、
    おこなわれていくことになります。

山本 JICAの技プロが、U国の省庁を通して、
   地方自治体の農業普及員と協力をし始めたんですか?

レモン はい、だから私の相棒のカウンターパート
    (地方自治体の農業普及員)は、私とも仕事をするし、
    プロジェクトとも仕事をするし・・・。
    JICA専門家による技術協力プロジェクトとも
    仕事をするし・・・。

山本 板挟みですか・・・。

レモン はい。

    協力隊は、(U国のネリカ米普及などの)活動に、
    意味を持たなくなったんです。
    最初は、協力隊に活動をしてほしいという事だったんですけども、
    このような経緯があたため、米隊員の中で疑問が高まりました。
    それで協力隊員と専門家が、膝を突き合わせて話したところ、
    (その時、U国にいた専門家らは、)
    「米隊員としては成果をあげて欲しいと思っていないし、
    全く期待はしていない」という風に言われました・・・。

参考:
米(こめ)隊員とは、青年海外協力隊として、
途上国で「稲作」を普及している人々のこと。

・・・

JICA本部は、協力隊に期待していない


    帰国後、JICA本部で、U国担当の方と話をしていても、
    「そんなに技術プロジェクトと隊員の活動を
    がっちり縛り付けたつもりはなくて、
    要請案件ではそうなっているけれど、
    現地に行ったら、自由に活動してくれていいよ」
    というような、そういった言い方をされたので・・・。

山本 誰にですか?

レモン JICAのU国担当の方。

山本 それは日本の麹町本部にいるU国の担当の人ですか?

レモン はい。
    そうです。
    現在は、代変わりされたんですけど・・・。

山本 はい、なるほど・・・。

レモン なので、忠実に案件どおり仕事をするとなると、
    困ってしまうわけです。
    配属先が、(協力隊の方と一緒にやる仕事に対しては)
    全くやる気がなかったりする場合もあるからです。
    私は、ずっと悩んでいました。
    結局技術プロジェクトと隊員の関係性については、

    どうしたらよいのか、何が求められているのか・・・。

山本 (協力隊の問題点が、よくわかって)面白いですね。

   まとめると、レモンさんの行ったアフリカのU国では、
   カウンターパートになった現地側の農業普及員の人は、
   \椎海外協力隊と一緒に、ネリカ米を普及する仕事と同時に、
   日本のJICA専門家とも似たような仕事をしているために、
   U国の地方公務員の人は板挟みになるという事ですね。
   
   より公式なのは、JICA専門家の方なので、
   そちらの方の意見を優先的に聞くと思います。

   すると、結果的に、青年海外協力隊と一緒にする仕事は
   軽んじられるようになるということですね。

   以上のような状況だと思いますか?

レモン 軽んじられて大変でした。
    仕事が被(かむ)ってしまいましたので。

山本 JICA専門家からの仕事を、優先させる?

レモン そちらの仕事が忙しいようなら、
    私は別のところで仕事をするようにしました。

    という感じで、自分から仕事量の調整ができたのは、
    まだしも、不幸中の幸いでした。

山本 分かりました。

・・・

JICAのU国での技術協力プロジェクトの変化

山本 2010年の10月に、あなたは現地に行きましたが、
   いつごろに、今言ったような状況を把握しましたか?

レモン JICA専門家のプロジェクトとの関係が問題化してきたのは、
    2012年の頭くらいからでしょうか・・・。
    
    最初から説明すると、
    「ネリカ米プロジェクト」という事で私は派遣されたんですけど、
    U国には2つ、お米に関するプロジェクトがありました。

    1・『ネリカ米振興計画』というのと
    2・『東部U国持続系灌漑農業開発計画』
     (Sustainable Irrigated Agriculture Development : SIAD)
    というプロジェクトがありました。
    ネリカ米振興計画というのは、ネリカ米という(米の)
    新品種の投入による生産性向上を狙ったものです。
    SIADというのが、新しい技術の投入(灌漑技術の向上)
    によって、水田を増産させ、生産性の向上を狙ったものでした。

山本 後者は、灌漑技術の振興、という事で宜しいですか?

レモン そうです。
    これらの技術協力プロジェクト二つが、
    2011年に6月に『フェーズ』(計画のある段階)が終わりました。
    そして、それらが、一端無くなって、
    2011年の11月位から『米(こめ)振興計画』
    (という新しいプロジェクト)に変わったんですね。
    そして、U国の地方自治体の農業普及員は、行政(省庁)とも、
    (直接)手を組んでやるようになりました。
    その後、2012年の2月、これから雨季が来るという段階になって、
    困ったことが起きました。
    今まで隊員は、その『プロジェクト』から
    「種もみ」の提供を受けて
    普及活動をしていたんですけども・・・。

山本 誰による何のプロジェクトから、ですか?

レモン (JICAの技術協力がおこなう)「米振興計画」からです。
    そのプロジェクトが、普及用の(米の)種子を
    協力隊の活動に(最初は)配布していたんですが、
    途中から、「隊員に渡せない」と言いだしたんです。
    その後、色々もめた結果、結局渡せるようになったんですが、
    もし、渡せなくなっていたら、
    「一体何の仕事をしたらいいんだろう・・・」
    という事になっていたと思います。
    そこから問題が顕在化したんですね・・・。

・・・

途上国の主導ではなく、JICAの主導するプロジェクト


山本 ちょっと確認しますけど、
   2011年の6月位までの2つのプロジェクト、
   1つめの、ネリカ米振興計画も、
   2つめの、灌漑で農業生産を引き上げる計画も、
   JICA側が主導したプロジェクトでしたか?
   それとも、途上国側の国または自治体が、主導していましたか?

参考:
山本が、この質問をしている理由は、近年の国際協力は、途上国政府側に、
主導してもらう傾向にあるため。
これは、プロジェクトに自分(途上国側)で責任を持ってもらうためで、
「オーナーシップ(ownership)の尊重」と言う。

レモン 2つとも、JICAが持っていましたね。
    成り立ちは違うんですが・・・。

山本 分かりました。
   ということは、2011年11月から始まった新型プロジェクトも、
   JICA側が主導しているという事で宜しいですね?

レモン はい。

・・・

雨季の直前に、種もみを渡さないと言われて怒り


山本 その新しいプロジェクトが始まって、しばらくしてから、
   種もみが来なくなった?

レモン はい。
    U国のN村というところに、
    「国立穀物研究所」みたいなものがあって、
    その中に日本のODAのプロジェクトオフィスがあって、
    そこで普及用の種もみを作っていて、また、
    研究とかをしているんです。

    ところが、普及対象地域が、U国内で増えたことにより、
    また、他のアフリカの各国にも、
    種もみを普及することになったので、
    種もみが足りなくなりました。
    このため、隊員への供給率が下がりました。
    
    協力隊は、これまで、米の普及をしてきたんだから、
    これからは、種もみを回収して普及しろ、と言われました。
    ところが、それを(種をまく時期の)
    数ヶ月前から言われていれば対応できるけれど、
    こんな雨季直前に、言われても、
    どうしようもないということで、困ってしまいました。
    
    という事になって、もめたんですね。

・・・

U国の雨季は、年2回


山本 ちなみに、U国の雨季はいつですか?

レモン 基本の確認ですが、雨季が地方によって違うんですが、
    第一雨季が、大体2、3月位から7月位まで、
    第二雨季が、9月位から11月位までですね。

山本 雨季の直前に、種をまくとか稲を植えるとか、
   そういった農業スタイルは決まっているんですか?

レモン 雨季が始まると、土が柔らかくなるので、耕しやすくなる。
    何度か耕すと、種をまきやすくなる。


・・・

ネリカ米とは?


山本 ここで、ちょうどいいので、『ネリカ米』の話をしましょう。
   元々あなたは、ネリカ米の普及に行ったのだから。

   まず一般論として、ネリカ米の話をする前に、
   米には、「陸稲(りくとう)」と「水稲(すいとう)」
   があるということで宜しいでしょうか?

レモン はい。

山本 陸稲は、水田ではない畑にまく米で、
   水稲は、水田にまく米です。
   アフリカでは、その両方が栽培されているということです。
   ネリカ米とは陸島の品種ですか?
   水稲の品種ですか?

レモン 陸島の品種だと思います。
    陸島ネリカと水稲ネリカとがあるんですが、
    陸島ネリカの方がメジャーです。

山本 私の知るところによると、
   .▲献△痢非常に生産量の多い遺伝子を持つ稲と、
   ▲▲侫螢の、水の少ない地域で育ち、かつ害虫に強いという品種。
   この2つの良いところを掛け合わせたものが、
   ネリカ米の性質だ、ということで宜しいですか?

レモン はい。

山本 これ、誰が最初に開発したか知っていますか?

レモン 知っています、えっと・・・。
    シエラレオネ出身の博士で・・・モンティー・ジョーンズ。

山本 そうですね。
   イギリスかアメリカの大学院で勉強したアフリカ系の人が、
   開発したんですね。

・・・

陸稲(りくとう)とは?


   さきほど、ネリカ米は陸稲の方がメジャーだと言っていましたね。
   陸稲は日本ではメジャーではないので、
   全然イメージがわかないんですが、どんな感じで栽培するんですか?
   雨季になって土が柔らかくなったらやるんですか?
   鋤(すき)や鍬(くわ)で土を耕してから、
   バラバラと手で蒔(ま)くんですか?

レモン 現地の人はそうやるんですが、
    プロジェクトを教える方針としては、
    『筋蒔き』をしなさい、という教え方をしますね。
    
    種まきの米と米の間に2cm位あける形で、
    ライン上に蒔くんですね。
    30cmの『畝間(うねま)』を作るんです。

山本 畝間というのは、米を蒔くラインとラインの間を言うんですね。

レモン そうです。
    そして軽く土をかぶせます。

    何故、畝間(うねま)が必要かというと、
    お米作りに必要なのが除草なんで、
    除草しやすくするためにラインの上に植えましょうという事です。

山本 除草というのは、雑草を抜く、という事ですか?

レモン はい、そうです。

山本 分かりました。
   次は、蒔いた種をカラスや雀が食べてしまう事が
   多いんですが・・・。

レモン そうですね。
    それを防ぐために、ちゃんと土をかぶせましょうと指導をします。
    バラバラに蒔いただけだと食べられやすいから、
    土をかぶせるようにしましょうという事です。

・・・

マイクロ灌漑はやらなかった


山本 余談ですが、最近、マイクロ灌漑が流行しています。
   畑全体に水をまくと効率が悪いから、
   スポット的に水をまくようにする手法です。
   これについては、あなたは全然知らないという事で宜しいですね?

レモン そうですね、(私の任地でやるのは)大変な気がします。

参考:
山本敏晴のブログより 灌漑に関するツイート 20111114まで 2674字
http://is.gd/fVWYT1

山本 ここまでが背景(基本的な事項の確認)ですね。
   ここからが本番(レモンさん自身の活動へのインタビュー)です。

   2010年10月の初めに現地に行きました。
   まず何をしましたか?

   一番ポイントは最初の半年間かな・・・。
   最初の3カ月から半年くらいの間に、あなたは、
   初期計画について書いて、
   JICAの現地本部に出さないといけないはずですよね?

レモン ええと、まず3カ月経って第一報告書を書くんですよね。
    こんな状況でした・・・と。
    半年経ったときに活動の計画書というのを書いて、
    JICAのボランティア調整員と、配属先と一緒に、
    その仕事の確認と計画の確認をするんですね。

山本 そこですね、一番重要なのは。
   最初の3カ月で、「現地はこんなんでした」と報告する時に、
   あなたは何を書きましたか?

・・・

U国の主食


レモン ちなみに、他の国は分からないのですが、
    U国は赴任して3カ月経たないと(免許の関係で)
    バイクが手に入らなかったので、
    歩いて現地まで行っていたんですね。
    (このため、歩いて)ごちゃごちゃ回ったりしていたんですが、

    その最初の3カ月で何を書いたのかというとですね・・・。
    町がこんな感じです、食べ物、食生活だとか、
    畑を見て、農民の第一雨季と第二雨季の利用の仕方が
    こんなんでしたとか、そういう事を書いたのと・・・。

山本 食べ物が重要なので、まず、それを確認します。
   アフリカの人々は主食として、米、芋、トウモロコシなどを
   粉にしたものを使うことが多いです。
   それらに、水を混ぜて、どろどろにして、
   まるめて食べたりします。
   食う場合とかあるんですけども、
   
   U国の場合は、米が主食なんですか?

レモン 主食ですね。
    U国の特徴として、主食のバラエティーが沢山あると・・・。

山本 地域によって主食が異なる、という意味ですか?
   それともひとつの地域で、たくさんの主食があるのですか?

レモン U国全体で色々なものが食べられています。
    バラエティーが6種類くらいあって、
    何がメインなのかは地方によって異なる・・・。

山本 あなたの派遣先のK県はどんな感じでしたか?

レモン 現地語で『アタパ』というんですが、
    キャッサバ(cassava、南米原産の芋)の粉と、
    ソルガム(sorghum、モロコシ)の粉と、
    ミレット(millet、キビ、アワ)の粉を、
    水で練って食べていました。

山本 キャッサバは南米原産のひょろ長い芋ですね。

   あなたの任地の主食は、米ではないのに、
   ネリカ米を普及するのは、どんな理由なんですか?

レモン 主食は、「アタパ」がメインですが、それだけではなく、
    トウモロコシの粉をお湯で練った「ポショ」とか、
    甘くないバナナ、「マトケ」というんですが、
    マトケを蒸してマッシュしたものだとか、
    ジャガ芋だとか、キャッサバだとか、
    蒸したやつとか、米とかを何品か食べて、
    (それらの主食とは別に、)スープを一品、
    という食事のスタイルが、割と普通なので・・・。

山本 炭水化物ばかり食って、タンパク質を食わず、
   緑黄色野菜も食わないというのが、
   アフリカの特徴で、各国に共通する問題だと思います。

   U国もまさにその典型だと言う事で宜しいですか?

レモン ・・・だから(私は)太ったんですよ・・・。
    (U国に行っていた2年間の間に)8キロも・・・。

・・・

お米は、高級品


レモン それはともかく、お米も結構、食べたりしますよ。
    お米というのは、価格の高い高級な食べ物なので、
    それなりのステイタスの人は、毎日食べたりはしますが、
    (貧しい)農家さんとかだと、クリスマスに食べるとか、
    お客さんが来たら食べるとか、
    お米は、若干高級品として扱われています。

    みんな、クリスマスには、絶対、お米を食べますね。

山本 高級品なんだ・・・。
   本当に・・・。

レモン 米を鍋で煮る場合と、製粉機で粉にする場合とあるんですが、
    お湯を沸かして、そこに米を洗わずに、
    だーっと入れて・・・。

山本 蓋して?

レモン はい。
    破砕米といって、粉々になった米よりも、
    形の良い米の方が価値があるので、高く売れますね。

山本 精米は、しているんですか?

レモン しています。

山本 米は高級品だという事ですね。

・・・

計画その1、灌漑で水田を普及


山本 任地での最初の3カ月が終わったとして、
   次の3カ月が、これからやる事を考えないといけません。
   誰に相談しましたか?
   カウンターパート2人に相談しましたか。

レモン 2人とも凄くやる気があって、
    私が、こういう事やりたいみたいな事をいうと、
    (カウンターパートたちは)水稲もやりたい、
    陸稲もやりたいみたいな、ことを言ってきたんです。
    凄くやる気のあるカウンターパートだったので、
    出来るだけ、彼らのやりたい事を抱きあわせて
    応援できる事を抱き合わせて計画を、
    私を入れた3人で、計画をたてた感じです。

山本 それは、具体的に何を書いたんですか?

レモン 水田に関しては、やりたい・・・。

山本 水稲の事ですか?

レモン SIAD(灌漑)のプロジェクトに関連して、
    灌漑を作って水稲を普及しようとしていました。

    元々私が赴任した地域では、
    湿地帯での水稲作が浸透していた所でした。
    「天水田」(雨水にたよった水田)での稲作をしていました。
    でもこれからは、灌漑をして、水田を作って、
    稲作をしましょうというのも、普及していきたいというのが、
    農業普及員の強い希望だったんです。
    ただ場所を選ぶんですよね。

    もともと良い土地があるような(裕福な)
    農家さんしか出来ないので、
    そういった良い土地を持った農家さんがいたら、
    話をしに行って、水田をやらないか勧めてみるというのが
    計画の一つでした。


・・・

計画その2、モデル農家でネリカ米を普及


レモン 一方、ネリカ米の主力である、陸稲の普及に関しては、
    次のような計画を立てました。 
    サブカウンティーの、さらに下に、小さい行政単位として、
    「パリッシュ」というのが、あります。
    村よりも、ちょっと大きいものです。
    村が2つ3つ位はいって、「パリッシュ」という行政単位に
    なるんです。

    各パリッシュに『モデル農家』を作ろうと言う事になりました。
    各パリッシュからモデル農家を選んで、
    栽培指導していきましょうと・・・。

    アグリカルチャーオフィサーはやる気もあるんですけど、
    彼らに足りないのが『足』なんですね。
    バイクの燃料が限られているので、
    思う存分動き回る事が出来ないんですよ。

    彼らがいくら知識があっても知識が普及していかないので、
    まず、各パリッシュ(の代表)に教えて、
    (そこから周りの)人に教えられるような知識を
    つけてもらおうということをしていました。
    そういうシステムにしました。
    そういう体制を、作っていこうと計画を立てました。

・・・

当初、2つの計画を作った


山本 なるほど。
   2つの計画を作ったのですね。

   ,發箸發箸痢△△覆燭陵彑前瞳錣任△襯優螢米とは全く関係ない、 
   SIADのほうの灌漑の計画。
   すなわち、低湿地などを
   水田ができるようにする事業
   ⇒彑前瞳錣離優螢米については、各パリッシュに「モデル農業」を
   作って普及する、ということですね。

・・・
   
モデル地区


山本 JICAのプロジェクトで多いのが、
   「モデル地区」を作るケースです。
   条件が良くて、気候も治安もいいところを
   モデル地区に指定します。
   そこで、まず絶対に成功すると思われるプロジェクトを作ります。
   そこで成功してから、それを模範として、他の地域でも、
   似たようなことをやるのです。
   こうして、徐々に、全国へ普及していきます。

・・・

協力隊の活動は「野放し」か?


山本 今言った2つの計画の1つ目は、
   元々のネリカ米と全然関係ないですけども、
   あなたがU国のJICA事務局に対し、Eメールで、
   「それでいいですか?」、と言った際、
   「いいですよ。」とあっさりOKだったという事ですか?

レモン だと思います。

山本 青年海外協力隊の活動の問題点として、
   次のことが知られています。
   3ヶ月目のレポートにしろ、6ヶ月目のレポートにしろ、
   それに対するJICA事務所からの
   フィードバック(アドバイス、批判など)が、
   遅い、ほとんどない、ということです。

   あなたの場合、6ヶ月目のレポートを提出した時に、
   それに対するJICA側からの反応はありましたか?

レモン JICA側からの反応・・・。
    コメントは、『自分のボランティア調整員』から来るんですよね。
    「頑張ってるね〜!」っていうような
    応援メッセージだけです。
    (計画の提出が)遅くても早くても(そのコメントの内容は)
    あまり変わらない、関係ない。
    ただ、良い調整員さん達だったんで、
    励まされたのは憶えていますが、
    そのフィードバックに、あまり大きな意味は・・・。

山本 ないと・・・。

レモン はい。

山本 まぁ、要するに、6カ月の初期計画を
   せっかく立てたんだけれども、
   それに対して、JICAの麹町にいる偉い人や知識のある大学教授が
   コメントや助言をくれることは、なかったという訳ですね。

レモン そうですね・・・。

参考:
「ボランティア調整員」とは、
昔は、青年海外協力隊を一度以上経験した人が、
JICAに雇われ、途上国の現地で、青年海外協力隊員に、
アドバイスを送ることなどが仕事だった。
当時から、JICA専門家のような、専門性を持つ人ではなく、
協力隊員と大差ない人が選ばれていた。
だから、その人たちからのアドバイスが、
役に立つものであったかどうかは、微妙である。
さらに近年は、ボランティア調整員は、
協力隊の経験者でなくても、選ばれるようになっため、
そうした人たちからのアドバイスは
ほとんど意味がないのではないかとも思われる。

・・・

自動2輪の免許の現地取得


山本 半年経ちましたね・・・。
   その頃あなたはやる気に燃えていましたか?
   その段階で、この2つをやろうと・・・。

レモン 燃えていましたね。
    当初は燃えていた・・・。
    半年位まで、凄く燃えていましたね・・・。
    7ヶ月目から、何か・・・ダウンしてきましたね・・・。

山本 なるほど・・・。
   分かりました・・・。

   2010年3月のインタビューの後、
   合宿に行って、自動二輪の免許を取ったんですよね?

レモン はい、そうです。

山本 現地へ行ってみたら、
   自動二輪の免許が許可されるまでに、3カ月かかたんですね。

レモン そうなんです。
    日本の免許をU国のに書き換えなきゃいけないんですよね。
    インターナショナル・ドライバーズ・ライセンスだと、
    1年しか使えないので。
    その書き換えに、ビザが必要なんですけど、
    そのビザをU国がなかなか出してくれませんでした。

    U国としては、(最初の)3カ月の間は、
    道(道路事情)を見たり現地を見たりして
    慣れてほしいと、それからバイクを支給しましょう、
    という方針だったので、
    「3カ月はかかりますよ」という事だったらしいです。
    実際には、5カ月かかったんですが・・・。

山本 5か月位かかったんですか?
   では、5か月間あなたは自動二輪を使えなかったんですか?

レモン はい、使えなかったんです・・・。

山本 では、農村地区には、道が大変で行けなかった、
   という事ですか・・・。
   
レモン はい、大変でした。
    歩いて片道2時間とか・・・。

山本 移動手段としては、現地の人が運転しているバイクの後部座席に、
   金を払って乗せてもらう方法もありますが。
   多分、JICAが危険だから禁止してるはずですが、
   そういうのは使ってましたか?

レモン 言えません・・・。

山本 それについては「言えない」と言う事ですね(笑)。

・・・

住民の、ねたみによる訴訟


山本 最初の半年は燃えていたんですね・・・。
   あと、5カ月過ぎて、バイクも使えるようになりました、と。

   その段階では、
   1.灌漑と、2.ネリカ米と、
   どちらを主力にしていたんですか?

レモン それはもう断然、2.のネリカ米の、陸稲の方ですね。

山本 1番目のほうの灌漑は?

レモン 灌漑は、結論から言うと、
    2年間あまりやっていないんです。
    いろいろ問題が出てきまして、
    最終的に、一切やらなかったんですよ・・・。

山本 どんな問題ですか?

レモン 「訴えられる」というのがあって・・・。

山本 どっちから?

レモン JICAが支援した農家さんが、支援されなかった農家さんから、
    ねたみを買って、訴えられちゃったんですね・・・。
    
    そもそも、湿地の開拓って、
    ラムサール条約で禁止されているんですよね。
    ただ、湿地帯の水際から30cmのバッファーゾーン(緩衝地帯)
    を残せば、開拓してもいいんです。

    湿地の近くに水際があって、灌漑を作るわけなんですが、
    「水争い」が起きました。
    夜中のうちに水田の水止めちゃうとかの、
    妨害工作が発生しました。

    牛飼いって沢山水が必要じゃないですか?
    牛が水を飲むので。だから奪い合いになるんです。

    ジェラシーの感情がすごく強くって、
    さらに、U国の人々は、邪魔の仕合いが激しかったんです。
    また、2012年くらいから私の県が湿地の管理について
    厳しくなってきたんです。

    私が来て、赴任して、1カ月位して、
    水田を普及しようとしていたんですが、
    その水田のオーナーさんが、
    周辺の農家さんから、訴えられてしまったんです。
    湿地開拓の法律に抵触しているという事でした。

    ただ、実際、抵触しているかどうかなんて、
    グレーゾーンのところがあります。
    湿地の地形は、そんなに単純な形していないので、
    何処が水際で、30Mはなれた所が
    どこかなんて分からないんですよね・・・。
    ただ、ジェラシーで訴えられてしまって、
    それがショックでその人が「水田やらない」って言いだしたんです。

    また、その水田ができるような土地を持っている人は、
    そもそも、そんなに貧乏な人ではないんです。
    そもそも水場が近くにあるということは、
    凄く立地条件が良いということです。
    つまり、私達が、水田を教えれば教えるほど、
    貧富の格差が広がっていく気がしてくるんですよね・・・。
   
    それで、法律上難しいという事、ねたまれるという事、
    (いろいろ面倒くさいので)割と受け入れる農家さんが
    少ないという事・・・。
    そんな色んな理由があってやらないようになっちゃいましたね。
    カウンターパートもやらないというようになりましたね。

・・・

ラムサール条約と、JICAの訴訟


山本 用語を解説します。
   ラムサール条約は、湿地やそこに住む生物を保護する条約です。
   詳細は、以下へ。
  
参考:
山本敏晴のブログより
ラムサール条約に関するツイート 20120714まで 1891字
http://is.gd/enATvK

   一般論ですが、何らかの開発、国際協力をすると、
   環境破壊が問題になる事があります。
   これでJICAも世界銀行も、過去に、
   訴訟を起こされ、訴えられています。
   詳細は以下へ。
 
参考:
山本敏晴のブログより。
JICA(国際協力機構)が現地住民から訴訟を起こされた
インドネシア・コトパンジャン・ダム事件について。 
「JICAと日本政府ODAが訴えられたコトパンジャンダム訴訟」
前半 http://bit.ly/f5ovVW 
後半 http://bit.ly/f6A18D
 
・・・

モデル農家へ行く交通費は協力隊員の自腹(じばら)


山本 結局、あなたは、1番目の水田の方は、
   問題が多いのでやりませんでした・・・。
   では、2番目のネリカ米の方に戻りましょうか・・・。

レモン はい。

山本 ネリカ米のモデル農家を各地に作って、
   栽培を教えられる人を増やすという事は、
   2年間、いつもやっていたんですか?

レモン はい、やっていました。
    2年目は若干内容を変えたんですが・・・。
    1年目に・・・。

山本 1年目って、何月からのことを言っているのですか?
   赴任した、2010年10月からのことか・・・。

レモン 半年たってからの1年目です。

山本 半年経つと、2011年3月になっていますよ。
   そこからですか?

レモン その3月から第一雨季が始まるので、
    (私が言っている1年目は)そこからの1年間です。
    そこからの1年で、各パリッシュにモデル農家を作って、
    その人に技術指導をしようというプロジェクトをしました。

    モデル農家を選ぶ基準は、
    山本さんがいう、「成功するところを選んで」
    という訳じゃなく、
    純粋に、やる気だけを重視して選んだんです。
    なので、凄い立地の悪いところもありましたし、
    現地語しか喋れない人もいました。

    雨季の初めに分かったんですが、
    その時期のカウンターパートは、基本的に忙しいんですよね。
    なので、自分一人でしなきゃいけない事が増えました。
    ただ、あまりにも遠いところは、
    一人で行っても道が分からないのと、
    現地語しか喋れない農家さんのところには、
    私が行っても、なかなか意図が通じにくいのがあって、
    思い通りには仕事が進まなかったんです。
    そのため、やる気が若干低下しました・・・。

山本 それは嫌ですね・・・。
   私は自分の団体で現地に行ってやる時は、
   車を借りて、ドライバーを確保して、通訳を確保します。
   ドライバーは道を分かっている人で、
   金も、団体の金を使って雇います。
   プロジェクトのリーダーであれば、そういう事を、
   自分の裁量で出来るんですよ。
   
   青年海外協力隊の場合、そういう事は出来ない、
   という事で、宜しいですか?

レモン 出来ますよ。
    ただし、自腹ですね。

    2年目は、ある地域に行く時に、通訳さんを雇いました。
    近くにいる英語ができるおじさんを連れて行って
    通訳してもらってました。
    
    その頃から、自分で、道も相当憶えてきてたんですが、
    一方で、やる気がそがれ始めてもいたんですね・・・。

山本 やってもいいんですね、自腹ならね・・・。

レモン やってもいいんですよ。
    ただ、金は凄い出ていくって事です。
    でも、隊員は、だれでも、
    なにかしら自腹切っていると思いますよ。

山本 ここでお金の話するとあれなんですけれども、
   協力隊は、以前は自分の銀行口座に毎月9万円位が払われて、
   現地で3〜5万円のお金が支給され、
   そのうえ家賃支給されて、計13万円位支給されていたんですが、
   最近「事業仕分け」がありまして、2009年以降ありまして、
   現在月に6万円位に減らされてると思います。
   レモンさんの時はどうでしたか?

レモン まだ、9万9千円とかだった・・・。

山本 現地での手取りとなる、おこずかい件、食事代金の支給は?

レモン 4万円位です、U国は。

山本 通訳とか、車とか乗るときも、
   その中から出していたという訳ですか?

レモン はい、そうです。

山本 U国では、通訳を1日、または1時間くらい雇うと
   いくらくらいですか?

レモン 私が雇っていた人は、
    その人のバイクをレンタルしていたんですけど、
    食費を除いて計算すると、
    1日で160円くらい払っていましたね。

山本 なるほど。
   1時間あたり、いくらですか?

レモン そういう計算はしていなかったです。
   
山本 1日160円位だと、25倍して月給に換算すると、
   4千円くらいですね。まあ、妥当です。
   なるほど、分かりました。

・・・

誰がモデル農家に教えるのか?

山本 各地にネリカ米の「モデル農家」を作って、
   その栽培方法を教えていた、ということですが、疑問があります。
   誰が、それを教えていたんですか?
   あなたは、もともと、農業が専門ではなく、
   ネリカ米についても、詳しくはありませんよね。
   だから、あなた自身は、教える講師には、なれませんよね?
   それとも、なっていたんですか?

レモン なっていましたね。
    植え方自体はそんなに難しくはないんですよね。
    米の基本的な作り方は、
    もともと結構知っている農家さんもいましたし。
    
    U国の農業のやり方や、お米の知識に関しては、
    私達、村落開発普及員の米関係隊員と、
    お米隊員に対して、「お米研修」みたいなものがあって、
    JICA専門家にみっちり教えてもらうので、
    ネリカ米の栽培のやり方を教える分には、全然問題なかったです。

山本 あなたがU国に行って、最初の2週間とか3週間とか首都にいる時、
   そのやり方を、教えてもらったという事ですか?

レモン 一端、田舎の現地に赴任して、色々回ってから、1ヶ月後位に
    再び首都に呼ばれたんです。
    3泊4日位で研修したんですね。

山本 3泊4日位で憶えられる、ということですか?(驚)
   
レモン そうですね。
    最初に知っておかないといけない事を、おそわりました。





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http://blog.livedoor.jp/toshiharuyamamoto128/archives/65766578.html