山本: 3番目です。

    ケース3・4・5は、
    (緊急状態ではない)途上国を3分類してみました。

    1つ目(ケース3)は、途上国と言っても、アフリカの山奥や、
    東南アジアの国境付近に行くと、
    病院も診療所の建物すら無く、電気も、上下水道ももちろん無く、
    医者も看護師も居ないと、いう村で、
    医療をやりたいと思った場合、
    何をするのかと、いう事ですね。

    ここでもし、直接的医療をするならば、
    私もやった事有りますけど、
    「モバイル・クリニック(移動診療所)」と言って、
    TOYOTAの4輪駆動のランドクルーザーとか、日産のサファリ、
    三菱のパジェロのような強力な4輪駆動の車
   (SUV、Sport Utility Vehicle、スポーツ用多目的車)に、
    医師、又は看護師、もしくは両方が、
    簡単な、要するにマラリアを治す薬や、
    肺炎や下痢を治す抗生物質を持って、その村に行くんです。

    あとは、ORS(経口脱水改善薬)です。
    この間言いましたね。
    下痢になった時に、1Lの水に溶かして飲む、
    こんくらいの袋に入った、こんくらいって言っちゃだめだね。

さおり:(笑)

山本 :5センチ×7センチx3ミリメートルくらいの
    ビニールの袋に入った、水に溶かして使う粉です。
    
    ポカリスエット(スポーツドリンク)の粉みたいなやつです。
    それを、1Lの水に溶かすと、 ポカリスエットのような成分になって、
    それを、脱水の患者にのますと、
    下痢から死ぬのを防げると、いう事です。

    で、無医村に着いたら、今言ったような物を、配る。
    もちろん、それなりの、(簡易な)「診断」をしてから。

    このような形態の医療行為を、
    モバイルクリニックと、言うんですね。

    これは結構、いろいろなNGOが、やっている事はやっているので、
    もしこのケース3でやりたいならば、
    これがひとつの有力な形といえるかと思います。

    首都の大きな町、もしくは州都くらいの、
    各県の県庁所在地に普段は居て、
    週に1回、月・火・水・木・金と、順番に、
    その付近に有る村々を、週に1回ずつくらい回る、
    という感じです。

    A村には、月曜の午前10時、B村には、月曜の午後2時、
    C村には、火曜の午前10字、D村には、火曜の午後2時、
    という風に、順番に無医村をまわり、診療行為をする、
    ということです。

    週に1回を、1年ぐらい続けるのであれば、まぁそれはそれで、
    1つのプロジェクトと言えるんじゃないかと、思いますね。

    これはどうですか、やれそうですか。

さおり:やれそうな気がします。

    でも、ちょっと1人で行くのは、やっぱり不安ですね。

山本 :多分、最初の1回だけは、
    前任者(すでにやっている他のNGOの人)か、
    地方自治体の保健担当者に頼んで、
    ついてきてもらって、
    村の村長さんなどと、日程について調整をして、
    それからやる、というのが、普通でしょう。

    で、もしも、自分が帰国した後にも、
    このモバイルクリニックのシステムを残したいなら、
    村人の中で、文字の読める人をみつけて、
    簡単な診断と治療をするためのチャートを書いた紙を渡し、
    その人を訓練してから、帰国すれば、
    それはそれで、ありなんじゃないかと思います。

    肺炎の診断は、この間教えましたけども、
    熱が有って、咳が有って、
    マラリアじゃ無い(マラリアの簡易迅速テストが陰性)であれば
    それでもう肺炎だと診断してしまって、抗生物質を渡す、と。

    マラリアが陽性だったら、マライアの薬を渡す、と。

    下痢してたら、下痢止めの抗生剤または抗寄生虫薬と、
    あとは脱水を防ぐためのORSを渡す、という3つだけ。

    基本的に、それで、
    9割の疾患(死亡原因の3大原因疾患)をカバーできる。

    あとは、訳の分からない寄生虫病とかは、
    あなた見ても分からないんで、
    今そのままの知識量でいくなら、無視、っていう事ですかね。

    あとは簡単な外傷の処置ができることが必要。
    ま、消毒液、ガーゼ、など。

    よくわからない発疹も多いですが、とりあえずは、
    抗生物質の混じっているステロイド軟膏持って行けば、
    それをぬれば、半分は、治ります。
    リンデロンVGという商品名の軟膏ですね。
    残りの半分の発疹は、治らないけどね。

    AIDSは、無視ですね
    AIDSは長期戦なので、
    (今、話しているようなケースで医療行為をする場合)
    ちょっと無理なので、無視。

さおり:あと結核。

山本 :慢性疾患はですね、通常は無視しますね。

    要するに、(今話しているいるようなケースでは)
    急性疾患のみを、対象にします。

    理由は、急性疾患は、治すためにかかる薬の量が少ないので、
    低コストで、多くの人の命を、救えるからです。

    慢性疾患のエイズや結核の人が1年に飲むための薬を買うのであれば、
    その人、一人分のお金で、急性疾患の患者を数十人助けられます。

    例えば、肺炎ってのは、
    30円位くらいの抗生物質を、10回くらい飲めば治るので、
    300円くらいで治るんですよ。

    AIDSって、一番安い薬でも、
    年間で1万円前後くらいはかかるんですよね。

    AIDSって今は死なない病気になっちゃったんで、
    薬をのむのは、1年でおしまいではなく、
    その人、死ぬまで永久に、
    80年飲まなきゃいけないわけですよね、死ぬまで。

    だったら、1万円×80年で、80万円・・・。

    80万円を掛けるんだったら、
    肺炎の子供を、2000人、助けられます。

    要するに、急性疾患に重点を置いた方が、
    費用対効果、コストパフォーマンスが良いと、
    いう事なので、
    今回、とりあげているようなケースの場合は、
    普通は急性疾患を対象とすると。

    慢性疾患は取り敢えずは考えない、
    万が一余裕があったら考える、って事ですね。

    さて、この間も言いましたけども、
    あなたは、結局、1年で、その活動をやめてしまうわけです。
    あなたが所属している団体があったとしても、
    そのNGOも、いつまで活動を続けるかは、わかりません。

    というわけで、この
    モバイルクリニックを、あなたが帰国した後も、
    継続したいのであれば、
    その国の、地方自治体に引き継いでもらうか、
    日本の政府機関のJICAや、
    ユニセフから資金援助を受けているNGO(途上国側にもある)
    などに引き継いでもらうのが、有力です。

    他の方法としては、今回の講座で最初に話した、
    プライマリーヘルスケアというものを、
    その無医村の、村人たち自身にやってもらう、という手法です。
    それは、
    予防を中心とした、住民の、手洗いだの、水を煮沸するとか、
    unicefからワクチンタダで貰ってきて、ぶすっと打つとか、
    WHOが推奨している、Essential Drugs 必須医薬品っていうのを
    入手して、簡単な診断と治療ができるようにするとか、
    そういうことです。

    (途上国の無医村では、炎やマラリアで死んでしまうので、その)
    診断と治療をするのは、必ずしも、
    国家資格をもった医者や看護師である必要も無いので。

    (注;日本では違法行為なので警察につかまります。)

    それやった方が現実的じゃないのかな、と私は思うと、
    いう事を話しました。

    それがこのケース3ですね。

    これは、やりようによっては、
    ネットワークNGO(NGOを助けるためのNGO)などが、
    お膳立てをしてあげれば、
    (国際協力が)初心者の医者や看護師に、
    これ(モバイルクリニックなど)を体験させることは、
    やろうと思えば出来ると思いますね。



(次回に続く)

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