「イスラム国」を名乗るテロ組織が、
日本人二人を殺害した事件を振り返る。

殺害された人の肩書きと名前は、
ジャーナリストの後藤健二さんと
民間軍事会社を経営する湯川遥菜さん。

私は、仕事の種類は違うが、
紛争地帯で活動してきた経験があるので、
一応コメントしておこうかなと思う。

私は、国際医療協力として、
アフリカや中東の紛争地帯で医師として仕事をしてきた。
ただ、そんな時、注意していたことがある。

仮にも、世の中をよくしようと思って活動している人は、
「軽々しく死んではいけない」ということだ。
理由は以下である。

もしも海外の、「とある国」で日本人が死んだ場合、
その国で日本人(さらには欧米人までも)が働くのは危険だ
という風潮になり、
国際協力団体の国連のユニセフやjica(日本政府の国際協力機構)、
民間のNGO(非政府組織)たちが、
活動を停止してしまうことが多いのである。

日本人や欧米人のスタッフたちが、みんな、その国から撤退する。
こうなると、その「とある国(イラクやシリアなど)」で
おこなわれてきた国際協力活動は、中断されてしまう。

数百人以上の外国から来た援助関係者が、
数億円以上のお金を使っておこなってきた、
「数十万人の貧しい人たち」への援助が、
突然、打ち切られてしまうのである。

たった一人の日本人が、殺されただけで。

食料援助や医療援助が打ち切られることは、
それすなわち、彼ら彼女ら、数十万人の死を意味する。

このため、少なくとも、国際協力活動や援助活動として、
途上国や紛争地帯に入っていく場合は、
自分は絶対に死んではならない、と肝に銘じて仕事をしている。

このため、
やすっぽい「ヒーローイズム」や「自分探しの旅」などとして、
十分な危険に対する配慮をしないまま紛争地帯に赴く人たちに対して、
私はあえて、批判的な立場をとっている。

ただし上記は、国際協力を目的とする人たちに対してであり、
「ジャーナリズム」をするため
(迫害されている人の実態を報道するため)、
という目的(大義名分?)を持つ人に対しては、
なんといったらよいのか、正直わからない。

ただし、彼らにも、上記のような考え方があることを、
知っておいて欲しい、とは思う。