2011年12月

2011年12月20日

「セプテンバー」の思い出

12月になりました。毎年、もろもろの学校行事が終わって授業に本腰が入る11月はヘロヘロになる月で、まあ、自分の誕生月でもあるのですが、毎年誕生日もヘロヘロのうちに過ぎてしまい、ブログもすっかり更新せずに冬休みに至るまで過ごしてしまいました。ちなみに去年の誕生日には、佐々木中さんの『切手』本を読み、同じ誕生日のドストエフスキーに思いを馳せていました。現在から振り返っても、去年の誕生日の読書体験は思い出深いです。

さて、今から書く記事は、本当は9月中に書こうと思っていたのですが、期を逸してしまったので、次の機会は12月しかないだろうと、なんとか今月中に書きたいと思います。9月と12月をつなぐものと言えば、ご存じ、アース・ウインド&ファイア「セプテンバー」です。「Do you remember 21st night of september.」という、中学生でも聞き取れる歌詞で始まるこの曲は、中盤ではっきりと「ナウ、ディッセンバー!」と歌われるように、12月現在から9月を振り返る歌です。だから、クラブでこの曲をプレイするとき、9月にかけるのではあまりに狙いすぎな感じがあるので、12月にさらっとかけるのは良いかもしれません。

それで、TBSラジオ「菊地成孔の粋な夜電波」では、9月の3週目に「セプテンバー」をプレイしたのですが、その紹介コメントは、ネットでも一部話題になったようですが、僕も聴いていて、とてもエモーショナルなものでした。以下に、文字を起こして引用します。

アタシがこの曲を生まれて初めて聴いたのは、テレビでもラジオでもレコードでもありませんで、今は無き赤坂MUGENというディスコで踊っていたら、今週のヒット曲ということで、DJがこの曲を流したんですね。要するに突然流れてきたんです、この曲。まったくこんな曲知らないという状況でね、ディスコでバーンとね。まあ、あまりにもありきたりなことを言いますけど、アタシは、この曲が突如始まったその瞬間から終わるまでの3〜4分くらいだと思うんですけども、もう幸福で幸福で、あまりに幸せすぎて、もう幸せすぎて死んじゃうんじゃないかって。この曲が流れているあいだなら、いつ死んだって全然かまうもんかと本気で思っていました。たった15歳のくせして、です。発売から34年経ってますが、異様なまでにですね、いまだに宇宙の宝石箱のような輝きを放つこの素晴らしい曲を、9月に耐えがたいトラウマを持っているすべてのアメリカ人に、そして、この番組を聴いている、今年の9月を生きるすべての国籍の、今年の9月を生きるすべての人々、希望に満ちているであろうあのジャズバーにいるすべての学生たち、すべての人々に捧げて今週は終わりにしたいと思います。それではみなさま。生まれて初めて聴く方も、10万回目だよという方も、いや20万回目だよ、いや30万回目だよオイラは、という方も、みなさまの住宅環境が許すかぎり、ただいまより音量を最大にしてください。どうぞ。

菊地成孔のコメントは、とても素晴らしかったと思います。菊地成孔は、15歳のときにディスコで「セプテンバー」に出会ったと言っています。僕が、「セプテンバー」に出会ったのも、15歳のときでした。兄の部屋にあったカセットテープの1曲目に入っていました。多くの人と同じように、冒頭のギターの音色に頭が真っ白になり、ほどなくして指のスナップ音が聴こえてきた時点には、とてもとても感動をしていました。その後、何回も何回もくり返し聴きました。クレジットの無いダビングテープだったので、曲名は知りませんでした(その後、その曲は「セプテンバー」だと、次の曲はシェリル・リン「ガッタ・トゥ・ビー・リアル」だと、その次の曲はエモーションズ「ベスト・オブ・マイ。ラヴ」だと知ります)。15歳という時期が特別なのか、「セプテンバー」が優れているのかわかりませんが、カセットの劣化した音まで含めて、とても崇高な体験として記憶に残っています。

菊地成孔と同じように、僕も15歳のときにクラブに行きました。僕がブラック・ミュージックが好きだということを知った悪い先輩に連れていかれた初めてのクラブです。とは言え、昼のイベントだったので、20歳以下も入場することができ、なにも悪いことはしておらず、たぶんお酒も飲んでいないと思います。渋谷のハーレムで、当時始まったばかりのJウェイヴの番組「ソウルトレイン」のイベントでした。この「ソウルトレイン」がまた、僕の高校時代におけるサッカー以外の青春をかなりの部分占めることになるのですが、番組名からわかるように、ヒップホップやR&Bといった最新のブラック・ミュージックのみならず、往年のソウル〜ディスコもよくかかる番組でした。僕はそのとき、日本のヒップホップだけを追っていたくらいなので、DJが流す海外の曲はほとんどわからず、しかし、それなりに楽しんでいました。ただし、「あのテープに入っている曲さえ流れればなあ」とずっと待っていたような気もします。

そして、流れた。曲名の知らない「セプテンバー」が。あの瞬間もやはり良い思い出です。



toshihirock_n_roll at 01:36|Permalink 日記的 | 音楽