2012年08月

2012年08月09日

『夢であいましょう』〜ジャニ研リターンズ!

d4b4df27.jpg以前、爆笑問題の番組で、川口にあるNHKの施設が紹介されていました。そこに行けば、過去のNHK番組のアーカイヴが無料で閲覧可能だ、と。番組では、久米正雄がビデオ撮影した芥川龍之介など超秘蔵映像が流され、それはそれはアガったものですが、ジャニーズ研究を進めていた僕としては「初代ジャニーズのデビュー映像が拝めるかもしれぬ!」と、ぜひ行きたいと考えていました。で、もうけっこう前のことですが、行きました。結論から言うと、当然のことながら、過去映像は網羅されているわけではなく、初代ジャニーズの映像は残念ながら観ることができませんでした。

初代ジャニーズのデビューは、NHK『夢であいましょう』で、田辺靖雄のバックダンサーとして出演したのが最初だと言われています。ジャニーズ事務所がナベプロ内に設立された1962年のこと。今回は、このデビュー映像を確認したかったのです、残念。とは言え、戦後文化にそこそこ関心はあったので、『夢であいましょう』を観れること自体、なかなか興奮する体験でした。中村八大の音楽が全編にわたって流れる番組は、終戦後のアメリカ文化が押し寄せ、高度経済成長期の「夢の時代」(見田宗介)にふさわしい、とってもモダンな雰囲気で、思わず「60年代最高!」と思いました。一応、メモしておいた制作クレジットを紹介しておくと、

制作 川口幹夫
振付 松見登、西野皓二
演出 末森憲彦
タイトル 吉村祥、増井敬二

といった感じ。さすがに知らない名前ばかりですが、おそらくその後、放送業界で大きな仕事に関わっているのでしょう。機会があれば調べたいと思います。作家に入っているのはもちろん、我らが永六輔。出演者は、僕が観た限りレギュラー的な位置に、城山吉之助、中島弘子、黒柳徹子、岡田真澄の兄であるE・H・エリクソン、ダンサーとしてレ・パンテールとレ・ドルフィンなどです。その他、準レギュラー的な位置に、立川談志、益田喜頓、後期に渥美清などコメディアン筋や、坂本九、ダニー飯田とパラキン、梓みちよ、松尾和子などのミュージシャン筋。これは有名ですが、『夢であいましょう』では月ごとに歌が作られ、「上を向いて歩こう」「こんにちは赤ちゃん」などは、そこから生まれたヒット曲ですね。ちなみに言うと、ジャニーズのデビュー曲である「若い涙」も、『夢であいましょう』のために作られた曲なので、作詞作曲は六八コンビ(永六輔・中村八大)です。

番組は、コントと音楽ライブが一緒になったもので、おそらく浅草的な舞台演芸の延長として、ステージがそのまま放送されているような感じである。したがってそこでは、ミュージシャンもコントに参加するし、芸人も歌う。『HEY!HEY!HEY!』以降、アーティストもお笑い対応を求められてきた印象がありますが、そもそも音楽とお笑いはとても近い位置にあるものなのですよね。それは、クレイジー・キャッツやザ・ドリフターズを思い出せばわかることで、むしろその手の存在がいないことこそが特殊状況かもしれない。かろうじて、矢島美容室か。僕は、音楽とコメディが結びつくようなステージに憧れがあるので、ぜひそういうものが勢いをつけて欲しいと思います。僕は坂本九のライブ盤LPを持っていますが、そこには「芸人の歩み」と書かれています。ちなみに、若かりし頃の立川談志は誰に似ているかと言われれば、やはり太田光その人だと思います。太田は、パクリに対して非常に敏感で、かなり素朴と思えるオリジナリティ信仰を持っている印象がありますが、彼の記憶の源流には強く談志がいます。いや、ビートたけしを経由しているのでしょうが、実際に談志の姿を見たら、本当に似ていると思いました。爆笑問題がデビュー直後に談志に飲みに連れられ、「天下取っちゃえよ」と言われた、というエピソードは有名ですが、このような芸人の水脈が続いていることに思いを馳せると、やはり感慨深いです。

余談でしたが、ジャニーズの登場にこういう文脈があったことは押さえたほうが良いかもしれません。『ラジカントロプス2・0』の竹内義和の回では、初代ジャニーズは体操のお兄さん的な存在だった、と発言されていましたが、僕らが現在抱いているアイドル・イメージとは、当然のことながら異なる部分は多そうです。ちなみに、『夢であいましょう』では、4人組のコーラス・グループが出てきて、はて、これはジャニーズかな、と思いつつ、歌が上手すぎるから違うかな、と思っていたら、それはデューク・エイセスでした。歌って踊れるグループというジャニーズの発想は画期的だったという話を聞きますが、デューク・エイセスとレ・ドルフィンの結節的な存在として、ジャニーズは登場したのでしょうか。同時代的な文脈は、できるかぎり押さえておきたいところですね。NHKアーカイヴでは、他に『ヤング101』を観ました。これは歌番組で、音楽ファンとしては数多くの和製ソフトロックが生まれた番組として有名(?)です。少なくとも僕は、『ヤング101』のサントラ盤はよく買います。有名な曲は、もはや合唱曲としても定番の「涙をこえて」や「怪獣のバラード」あたりでしょうか。僕は、ワカとヒロによる「にくい太陽」という曲が好きです。あ、田中星児や谷山浩子も、『ヤング101』出身でしょうか。ちょっと情報が曖昧ですが。おもに最終回を観ていたのですが、これもなかなか良かったです。

いずれにしても、『ヤング101』は少し違いますが、歌とコントが結びついた舞台演芸としてのステージに、娯楽としては憧れますね。で、ジャニーズはもともとそういう文脈から出てきているので、スマップ〜嵐的なテレビ・バラエティの面のみで捉えようとすると本質を見誤る。残念ながら初代ジャニーズのデビューを確認することはできませんでしたが、『夢であいましょう』の舞台演芸的な空気に触れることができたのは、良い体験でした。また、こうした前提条件を踏まえて、いま大谷能生さんと速水健朗さんとともにジャニーズ本を準備しているので、そちらはぜひ楽しみにしていただければと思います。来週14日には、荻窪ベルベット・サンで関連トーク・イベントもおこなうので、そちらもよろしければどうぞ!

イベントについてはこちら。大谷能生40歳記念の7デイズの一企画です。他の日には、あの菊地成孔氏も降臨するよ!
http://www.velvetsun.jp/7days2012/

toshihirock_n_roll at 21:09|Permalink イベント