文学フリマ（2009.5.10）

そういえば、まったく告知とかしていなくて迂闊だったのですが、このあいだの日曜日、文学フリマに参加してきました。会場が大きくなったことで、全体的な規模も大きくなり、いつもよりたくさん売れて、いつもよりたくさん買いました。

快くCDとトレードしてくれた速水健朗さん、快く献本してくれたRLL間宮さん、快くCD買って紹介までしてくれた山下さん、ありがとうございます。さらに上林さん、ビジスタ・ニュースで『F』の名前を出してくれてありがとうございます。

また、その他、買ってくれた多くの方々、ありがとうございました。

事後報告的ですが、今回は、いつもの『F』が４号目として、「ゼロ年代の小説」を特集としています。このざっくりとした特集感がわれながら良い感じです。ゲストには、HEADZの申し子（勝手に命名）こと遅れてきた日曜文芸評論家、菊池太陽さんです！

ということで、目次を。

【論文】
矢野利裕「一人称複数形でつながるゆるやかな世界――岡田利規「三月の５日間」論」
鈴木直史「〈日常〉をめぐる一考察――伊坂幸太郎『アヒルと鴨のコインロッカー』試論」
須貝俊大「米澤穂信論」
菊池太陽「逆転の文学――長嶋有という企み」
千田洋幸「小説／言語としての『新本格魔法少女りすか』」
石川治樹「舞城王太郎「好き好き大好き超愛してる。」――〈崇高〉が〈美〉へと転化する瞬間、〈死〉と「愛」」
鈴木さとみ「少女へのまなざしをめぐって――桜庭一樹論のために覚書」

〈座談会（？）〉
全体性なきあとの社会について――舞城王太郎『好き好き大好き超愛してる。』を手がかりに

【創作】
〈小説〉藤崎央嗣「はっか・キャンディ」
〈短歌〉スズキロク「この薄い日記に書いてあることはすべてあなたが読んでいいこと・他二編」
〈漫画〉矢野利裕「西瓜喰ふ人（牧野信一）」

【おまけ】
yano toshihiro作品集CD

＊

おまけCDは、量産が間に合わなくて先着３０部にだけの特典みたいになってしまいましたが、もし、ご希望なら、メールでもいただけたらと思います。ただ、本当にただのおまけで、去年作ったトラックを５曲入れただけなので、全然聴く価値ないと思います。あ、右も左もわからないmyspaceで聴けるようにしました。

そして、今回は、『F』だけではなく、四六時中ポストモダンと実存のことなっか考えている石川さんによる『POST』（郵便差し出し箱、〜以後）という雑誌も出品して、そこにも寄稿させていただきました。特集は、「90年代を、総括する。」ということで、批評、小説、アニメ、漫画、音楽における９０年代の風景を論じたものです。佐々木さんより先に９０年代論を出す！というのが裏目標で（？）、なんとか文学フリマに間に合いました。

以下目次。

大石将朝「宮台真司の時代――それは果たしてどのような「勝利」だったのか？」
石川治樹「廃墟の光、空隙に意味を満たす――村上と舞城をつなぐポストモダンの実存」
鈴木さとみ「90×『ジャンプ』×富樫義博――ぼくらのマンガのゆくえ」
千田洋幸「９０年代アニメは「外部」をどう語ったか」
矢野利裕「９０年代音楽論・イン・ジャパン――ブルーハーツの転向を手がかりに」

〈付録〉
１、時代を俯瞰する９０年代マップ
２、９０年代を知る各ジャンル案内１０

＊

『post』も『F』も、どちらも、誠実な文章が載っていて良い雑誌だと思います（というか、執筆陣がかなりかぶっていますが）。実は、両方とも献本分などを除くと、すでにほとんど売り切れ状態になっているので、今後、増刷とかどうするか検討が必要なのですが、もし、ご希望の方がいれば、連絡ください。

ちなみに、戦利品は、基本的にはまだぱらぱらとしか読めてません。面白いものがあれば、書きたいです。『アラザル２』は、１よりも好感持って読んでいます（これは本当に、おもしろい、とくに前評判通り、円城さんインタビューはすごい）。こんなことを書くのは、アラザル関係者の方に対する申し訳ない気持ちもありつつ、たしかな嫉妬の念もあって、だって、僕には出来ないもんなあ、とか、「ディスる」ってdis-respectの略ですが、どっちかと言えば、respectを通過したうえでのdisっていうか、respectの変形のdisっていうか、そういう気持ちってあるじゃないですか。だから、僕は、良いんですよ。良いと思ってるんです。それは、なんというか、好みの問題なだけであって、それ以上でもそれ以下でもないというかですね。ただ、２は、本当にとても興味深く読んでます！

何を言ってるかわからないと思いますが、アラザル関係者の方に、このブログを見られてしまっていたことがわかり、なんか、不快な思いをさせてしまったようなので、そんなことは無いんですよという弁解です。おーい、午前の店番の方、見てるかいー？

Comments

1. Posted by andoh3   2009年05月16日 09:03

　大丈夫ですYO！　こういうdisとか色々しながら楽しんでくのがいいんですｗ。あ、僕は「いまさらジョンケージについて語ってるアラザルです」とニコニコ顔で言った人の横で、何やら不穏な空気を感じ取っていた者でございますｗｗ。何が起きたのか全然わからなかったんですが。
　んで、「F」購入しましたよ〜。最新号と２号を買ったのですが、個人的に「バイバイ・ロックンロール」が好きです。あーゆー自意識の薄い男の子を主人公にしたやつはたまらんです。
　ではでは、今後もお互い、末永くdisり合えるといいですよねｗ、いやマジで。がんばっていきましょう。

2. Posted by 矢野   2009年05月16日 13:40

安東三さんですね。はじめまして。
『F』買っていただいてありがとうございます！

安東さんの文章もぜひ読ませていただきますね。今後とも、よろしくお願いします。

3. Posted by 一浪   2009年05月17日 23:42

やっぱりというか案の定というか、ばっちり誤植ありましたねw

個人的にはまたもや本のタイトルが、ちょいちょい間違っていたのが痛恨の極みです。

『アヒルと鴨とコインロッカー』って！

4. Posted by 矢野   2009年05月18日 01:48

文学フリマ、お疲れ様でした。

本当だ！本文は「と」率高いね！

誤植はもうしょうがないっす。