俳句と主夫の間で(2)♫

俳句と主夫を仕事とする 「団塊の世代」日記

先週末、超結社のメンバー17名による「細道句会(早稲田句会)」

に参加してきた。

地方からの投句者もいるので、句会の場に参加する人間は、毎回

10名程度である。

数名の主宰をはじめ、各結社のベテラン俳人ばかりなので、事前投

句される119句(一人7句)は、すべて秀句ばかり。

その清記一覧を見ながら、相互に選(10句選、うち特選2句)を

するのだが、一人一人の観賞コメントも各々の俳句観に基づいてい

て、的確であり、個性的である。

最終結果は欠席投句者の選も加えて、「夏雲」システムで集計発表さ

れる。当日の句会とは別に選が2回楽しめる仕組みになっている。

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先日の足立俳句連盟・理事会の場で、さる1月30日に急逝さ

れた小谷武生・前会長の後任に就くように改めて要請される。

一旦、会長という職務を引き受けてしまえば、結社「あだち野」

の月2回の本部月例会や、4か所の住区センターでの支部句会

の運営にも支障をきたすし、自分自身の俳句作りに時間をさけ

なくなる恐れも出てくる。 「隔月の会報作り」や「アンソロジ
ー」の編集作業に影響が出ないとも限らない。 

「物理的に無理」と、4か月あまりずっと固辞してきた話だ。

しかし、半年近く「会長空位」のままでは、いろいろ具合の悪い

ことも多くなってくる。

理事会で話し合った結果、他の副会長(3人)との役割分担を

平等にして、4人体制による共同運営を継続すること、あくま
で「便宜上の職名」という条件で引き受けることにする。

後半生において、「俳句」という素晴らしいフィールドを得られ

たことへの感謝の気持ちもあり、「ボランティア活動」の一環と

考え、やれる範囲でやるしかない。

うまくいかなければ、「固辞」する人間に任せたからだ・・・と

開き直ればいいのだから ( ;;)

一茶ゆかりの俳句寺として知られる炎天寺俳句大会「青葉まつり」
6/9に開催される予定。 

例年どおり特別選者を高野ムツオ「小熊座」主宰が務め、地元からの
選者として私も加わることになっている。

選をするのはよしとして、「特選者に選者から色紙(または短冊)を

授与したいので、当日持ってきてほしい」との依頼があった。

我が家には自著の短冊が何本か飾られているが、著名な俳人でもない
私の色紙をもらって、果たして特選受賞者は嬉しいものだろうか。

なんとも畏れ多いことではあるが、とりあえず色紙と短冊の両方を

何枚か書き終えた。
いくらか見栄えのいいものを持っていくつもり・・・。

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足立連盟主催の「俳句大会」に投句された396句の中から、参加者ひとり

一句ずつの短冊を俳連理事が分担して書き終えた。(写真上)

投句者本人ではなく理事10名で分担して筆で書いたもので、足立文化団体

連合会主催の「美遊展」の参加作品として、20日(月)から25日(金)

まで足立区役所のロビーに掲示される。(写真下)
出掛けの際は、是非ご覧ください。

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おもしろうてやがて悲しき鵜舟哉   芭蕉

コロナ以来、数年ぶりに日本の伝統行事である鵜飼いが復活

するという。俳句にもしばしば登場する行事なので、一度は

見てみたいと思っているものの一つ。

最近、こうした伝統行事に「動物虐待」の批判が起きること

がある。

古くは、和歌山の「イルカ」「鯨」に関連したトラブル。最近

では、三重の「上げ馬神事」、さらには、この「鵜飼い」など

もその一例・・・etc

今、中国でブームになっている愛犬を「パンダ風」「キリン風」

に染めたりする流行は如何かとも思うが、この動物愛護の精神

と伝統行事の両立・・・・なかなか難しい問題である。

古い人間なので、近年の「キャッシュレス時代」になかなか

付いていけない。

様々なカードを使い分けて生活している人たちの頭の構造は

一体どうなっているのだろう。

どのカードを使えば、どれだけ得なのかが瞬時に判断できる

能力には恐れ入ってしまう。

また、すべてをスマホの中に収めている人もいる。改札でも

コンビニでも、スマホをかざして通り抜けてしまう。

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私は、一時期JCBカードを使っていたが、それをを解約して

からは、「現金一本」という生活スタイルで通している。

先日、新宿の緑の窓口で「山梨」行の特急切符を買う時も、現
金で支払っている私のような人間は少数派だった。

この「キャッシュレス」と「現金」という2つの生活スタイル

には功と罪が相半ばする。

すべてスマホ内部に集約するスタイルは便利なのだろうが、いろ

いろなトラブルも起きてくる。

スマホを知らないうちに解約されて、新しく作られたスマホから

現金を引落とされてしまうという事件なども一例。

また先日も、PayPayなどのシステム障害がランチタイムに起きて、

現金を持ち合わせない人達がアタフタしたケースもあった。

「カード使いわけ」の人は、塵も積もればの発想なのか、僅かな

損得のために毎日多大なエネルギーを使っているような気がして

ならない。

同じ「集約派」でも、私のような現金一本の生活は、駅の出入り

などで不便もあるが、金の出入りが可視化されることで無駄遣い

が減るというメリットもある。

古いといわれても、当分は「現金ですべて処理するのが一番」と

いうスタイルを変えるつもりはない・・・。

  老齢年金月額六万冷奴     十志夫

「冷し中華」が無性に恋しくなる時期である。

 うずたかく冷し中華を活けにけり   十志夫

先日とある句会に投句したが、まったく理解されなかった。

滝つぼに活けるのが「滝」なら-ば、冷し中華も皿に活ける

のである。

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毎日、料理を担当している人間にしかピンとこない句なの

だろうか。それとも句自体がダメなのか・・・(笑)

三色に冷し中華を活けにけり

に変更して出したら少しは理解されるだろうか。

5/12~5/13、句友の結社が企画した飯田蛇笏、龍太親子の「山廬」

を訪ねる吟行にゲスト参加してきた。

結社「雲母」の本陣で、以前から一度は出掛けたいと思っていた場所だ。

結社主宰5人を含めて、総勢16名。

前日に「石和温泉」に到着し、チェックインまでの時間を使って周辺を見て

廻った。

①天然石工房「採石」
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②マルス山梨ワイナリー

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③石和温泉
宿泊ホテル「新光」は、外国の団体客が多かった。食事はビュッフェ方式で、

和洋中の料理が盛りだくさんで大満足。風呂場の体重計で図ると、1・5キロ

の体重増となっていた。お湯はアルカリ質の「美肌の湯」。
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 はうたうに固形燃料冷し酒     十志夫

翌朝、大型タクシーで「山廬」へ移動。

④「山廬」

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見学には「予約」が必要とのことだが、すべてを幹事が済ませてくれていた。

現在、同庵にお住まいで、管理保存もしている龍太の長男の飯田秀實さんが

案内してくれた。

蛇笏、龍太親子の書はもとより、井伏鱒二、虚子らの真筆のあふれた廬の内

部は撮影禁止なので、すべてを写真で紹介できないが、一部撮影可能なもの

だけを紹介する。

 真筆のかこむ涼しき廬(いおり)かな   十志夫

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  蛇笏、龍太の関連書物      虚子の書 「山廬」

IMG_20240513_153229蛇笏・書 「芋の露連山影を正しうす」

IMG_20240513_153818龍太・書 「一月の川一月の谷の中」

IMG_20240513_115709山廬は築140年、赤松は400年

IMG_20240513_120346晩年の龍太お手製の竹箒

  竹皮を脱ぐ二万句の選了へて    十志夫

「雲母」のピーク時は、会員4000名、投句数2万句だったという。
すごいなぁ、今とは桁が違う。

龍太は「ユンケル」を飲みながら、毎月その二万句の選に取り組んでいた
という話。

IMG_20240513_122239山口素堂句碑 「目には青葉山ほとゝぎす初鰹」

生憎の雨天だったが、「後山(ござん)」にのぼり、「一月の川一月の谷の中」

を詠んだ「狐川」、たかんなの伸びる「竹林」、山口素堂「目には青葉」

句碑などを見て廻った。

蛇笏自身は句碑を拒否していたが、家族に断りもなく甲州の先輩・素堂の句碑

を裏山(後山)に向かう道に建立したという。
IMG_20240513_121608「一月の川」の舞台「狐川」

さすがに、附帯施設として句会場所「山廬俳諧堂」も備えられている。

昼食をはさんで、午後から句会を開催。三句出し。
IMG_20240513_134527 俳諧堂

句会終了後、16:30「石和温泉駅」に戻り解散。車組、列車組に
分かれて新宿へ。

充実した1日だった。

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「俳句界」5月号に掲載されている「百鳥」創刊30周年に関する特集記事

を興味深く読ませていただいた。

誌面では、多くの俳友によって大串章主宰の「俳句との関わり、俳句観」

が語られていて、たびたび「抒情」「恒心」というフレイズが登場してくる。

大串主宰が一番大切にしている「基本的考え方」が、この「抒情」「恒心」

ということなのであろう。

「非凡にあこがれるより、常凡をおそれぬ恒心の確かさ」(飯田龍太)

「恐れるのは作者自身より作品が上になることである。作品がその人物を

追うようになれば心配はない」(宇佐美魚目)

「俳句は〈私〉に発する、故に抒情。〈私〉に発するとすれば、その〈私〉

 を耕し、高めていくことを抜きにして秀句はない」(大野林火)

こうした大串主宰が大きな影響を受けた俳人たちの論をよめば、大串章

主宰が、「少なくとも自分の俳句にはデフォルメやシュールの要素は導入し

たくない」という俳句観に至った経緯が分かってくる。

以前、主要の俳句雑誌に拙句を投句していた時期があるが、その時、選者

だった大串主宰との相性は惨憺たるものであった。

わが「あだち野」の師系は野澤節子であるから、大野林火という共通の師

系のもとにあるのに、他の選者の秀逸や特選に入っている句が、大串主宰の

選には掠りもしなかったのである。

その時は分からなかったが、「大串主宰との相性の悪さ」が今回の特集記事

を読んで得心できた。 

私の小説執筆で培った「エンターテイメント重視」の俳句観は、大串章主宰

のそれとは対極にあったのだ。

しかし、年齢とともにその溝は少しずつ縮まってきていることを実感する。

私の俳句観が年齢とともに間違いなく変遷してきているから。

 

追記

明日は山梨の飯田蛇笏、龍太親子の「山廬庵」吟行のために石和温泉へ出か

けてくる。

主催結社に「雨男」がいるらしく、浅草の屋形船吟行に続いて雨天の予報。

結果報告はのちほど。

 

 

来週予定している「山廬庵」吟行でいく「石和温泉」までの特急
列車の確認と予約のために新宿まで出掛けてきた。

緑の窓口には外国人が列をなしていて、言葉の問題もあってなのか、

通訳担当者がいるものの、なかなか窓口が進まない。

オーバーツーリズムの影響がこんなところにも出ているのか。

それにしても久しぶりの「新宿」で、その様変わりにびっくりして

しまう。まるで田舎者になった気分。

南口改札を出ると、大きなバスターミナルが、でんと構えている。

安いこともあってGWの期間は何百ものバスが、ここから日本各地
へ出発していったのだろう。

駅前に革新系の街宣車が出ていて「武器輸出云々・・・」と大声で
叫んでいる。これも昭和の新宿には欠かせない光景だった。

駅に添って沿ってぐるりと左に回ったところに「ユニクロ」があった

ので夏用のパンツを2本ほど買った。 ここも客は7割かた外国人で
免税コーナーまである。

東口の広場に出て、ようやく現在いる場所がわかってきた。

「スタジオアルタ」があったところだ。
ビルに看板が残っているがスタジオ自体は既になくなっている。まさ
に昭和は遠くなりにけり。 

  新宿の夏よピカソの絵の角度    十志夫

旨いものでも食べようかと思っていたのだが、歩き疲れて早々に帰る
ことにする。 体力の衰えを実感。

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日々忙しくなってきて、吟行の機会が減ってくると身の回りの生活
関連ばかりに句材を求めるようになってしまう。

また、そうした身の回りのテーマに対し、写生というより主観的な
表現やアイロニカルな視点で作る句が多くなってくる。
こうした傾向は、只事俳句を避けるための作句上の方便でしかない。
悪い兆候だ。

当然のことながら外に出ることでの発見や出会いがなければ、本当
の「自然」は詠めない。机の上で自然を詠んでも嘘っぽくなりがち
である。

コロナの頃は、やむを得ずTVの旅番組を見ながら吟行した気分で
詠んだこともあったが、やはり現実の景と向き合わなければ秀句は
生まれない。

俳人には「自然詠」を基本とした人が多く、「生活句」への偏重は、
どうしても只事俳句とみられてしまう傾向にある。

 生きてゐるうちに死にたし蒸鰈       十志夫

十数年前、とある俳句大会に投句した句である。

複数のゲスト選者から特選を頂いたこの句に対しても、自然詠を基本

とするメイン選者からは「こうした句は俳句ではない」と一蹴された。

伝統俳句からすれば、俳句の醍醐味は、自然を切り取ることの面白さ
にあるということなのだろう。

 外(と)にも出よ触るるばかりに春の月   中村汀女

外に出なければ・・・と自戒する今日この頃。

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人体冷えて東北白い花盛り  金子兜太
               (『蜿蜿』(1968)所収)

この兜太の代表句に対する清水哲男氏の評がある。(増殖する俳句

歳時記)

「(中略)ここには春とは名のみの寒さにかじかんでいる主情的な

自分と、そんな自分を含めた東北地方の人々と風土全体を客観的

俯瞰的に眺めているもう一人の自分を設定したということだ。

この、いわば複眼の視点が、句を大きくしている。と同時に、東北

地方独特の春のありようのニュアンスを微細なところで押さえても

いる。一般的に俳句は徹底した客観写生を貫いた作品といえどもが、

最後には主情に落とすと言おうか、主情に頼る作品が圧倒的多数で

あるなかで、句の複眼設定による方法はよほど異色である。読者は

詠まれた景の主情的抒情的な解釈にも落ちるだろうが、それだけに

とどまらず、直接的には何も詠まれていない東北の風土全体への思

いを深く呼び起こされるのだ。発表時より注目を集めた句だが、け

だし名句と言ってよいだろう」

手法は違うが、「複眼」の視点という形からすれば、以下の句も同じ

趣向を感じる。

渡り鳥みるみるわれの小さくなり    上田五千石 

「渡り鳥」を見ている作者の視点と、上空から地上の作者をみている

渡り鳥の視点という複合。

屈折した不思議な魅力のある句で、好みの一句だ。

 

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5月5日、恒例の足立俳句連盟主催の俳句大会が開催された。

昭和25年にスタート。以後、富安風生、西東三鬼、中村草田

男ら、錚々たる選者を迎えて、春秋年2回開催されてきている。

今回の特別選者はNHKの俳句番組でおなじみの櫂未知子さん。

そのネームバリューもあってか、例年より30名ほど投句者が

多かった。参加者132名、総投句数は396句。

あだち野からも多く同人が参加し、上位入賞を果たした。

その様子は、「俳句界」7月号、「俳句四季」7月号で紹介さ
れる。

PS
欠席投句の方には、近々報告書が郵送されます。しばらくお待
ちください。

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人体冷えて東北白い花盛り  金子兜太
                (『蜿蜿』(1968)所収)

この兜太の代表句に対する清水哲男氏の評がある。
                   (増殖する俳句
歳時記)

「(中略)ここには春とは名のみの寒さにかじかんでいる主情的な

自分と、そんな自分を含めた東北地方の人々と風土全体を客観的

俯瞰的に眺めているもう一人の自分を設定したということだ。

この、いわば複眼の視点が、句を大きくしている。と同時に、東北

地方独特の春のありようのニュアンスを微細なところで押さえても

いる。一般的に俳句は徹底した客観写生を貫いた作品といえどもが、

最後には主情に落とすと言おうか、主情に頼る作品が圧倒的多数で

あるなかで、句の複眼設定による方法はよほど異色である。読者は

詠まれた景の主情的抒情的な解釈にも落ちるだろうが、それだけに

とどまらず、直接的には何も詠まれていない東北の風土全体への思

いを深く呼び起こされるのだ。発表時より注目を集めた句だが、け

だし名句と言ってよいだろう」

手法は違うが、「複眼」の視点という形からすれば、以下の句も同じ

趣向を感じる。

渡り鳥みるみるわれの小さくなり    上田五千石 

「渡り鳥」を見ている作者の視点と、上空から地上の作者をみている

渡り鳥の視点という複合。

屈折した不思議な魅力のある句で、好みの一句だ。

 

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伊藤強一句集「枯野」を紹介したこのblog(4/28)を読んだ人から、

句集を注文するにはどうしたらいいか、という問い合わせがきた。

定年退職後に俳句を始めたという点。  家族を詠む句が多いという点。

自然句より生活句が好みだという点。

言われてみれば、その人と「枯野」の作者・伊藤氏との俳句に共通点が

多いような気がする。

初日さす入歯洗浄剤の泡    
思春期の半日蟻を眺めをり  
晩学の文語文法秋ともし 
一泊の金婚旅行遠花火

などの句が気に入ったらしい。

作者の環境と自分自身の現在を重ね合わせたのかもしれない。

050112
昭和の時代のメーデーの舞台は日比谷公園。壇上に立った革新政党の
党首が鉢巻をして大声で賃上げを要求する。 そしてその後は、旗を
掲げてシュプレヒコールの中をデモ行進するというスタイルだった。
いつの頃からか、そんな深刻さが消えて、GW恒例の儀式(イベント)
となってくる。中には親子連れで参加する人も。
余りにのんびりとしたメーデーの様子に、ニュース報道もなくなった。

メーデーのマックに父子あふれけり   十志夫
掲句はそんな時代の変化を詠んだものだ。
カタカナ語が二つも入るのはいかがなものか?
「マック」でなく、「マクド」なのではないか?
句会の場で、良きにつけ悪しきにつけ話題となった一句。

4月29日の祝日の変遷が複雑なので、wikipediaで調べてみる。

昭和前半まで天皇誕生日は「天長節」と呼ばれていた。「天は長く
地は久し」(老子)からとった言葉で、天地が永久であるように天皇
の治世も続くようにという意味が込められているのだとか。
そのため天長節は、明治天皇の誕生日(11/3)、大正天皇の(8/
31)、そして昭和天皇(4/29)という具合に天皇が代替わりする
と日付が変わった。
1948(昭和23)年に国民の祝日に関する法律が制定され、それまで
「天長節」と呼ばれた日が「天皇誕生日」に改められた。
昭和64年、昭和天皇が崩御すると、天皇誕生日は明仁天皇(現上皇)
の誕生日(12月23日)に移動する。
それに伴い、それまでの天皇誕生日だった4月29日は「みどりの日」
という祝日になる。祝日法に「自然に親しむとともにその恩恵に感謝
し、豊かな心をはぐくむ」と定められている。
その後(2007年)に「昭和」という名前を残そうということから、
4月29日を「昭和の日」とし、みどりの日は5月4日に移動する。
「天長節」に始まり、「天皇誕生日」「みどりの日」「昭和の日」
と祝日の名称が4回も変遷した例は珍しいのだとか。

 彼の人の振る手やはらか昭和の日    十志夫
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 「伊藤強一句集」(俳句アトラス・刊)を送っていただいた。

感想を記して御礼とさせていただく。

    ★  ★  ★  ★

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「伊藤強一句集」(俳句アトラス・刊)

定年を機に俳句を始められる人は多い。作者もその一人で半世紀近く

勤めた信金を退職引退した67歳の時に一からスタートしたという。

そして、来年、傘寿(80歳)を迎えるにあたって第一句集の上木を

決心する。

「取るに足りない細やかな1冊の句集に過ぎないけれど、紛れもなく

〈私の句集〉である」(あとがき)と胸を張る。

俳句の修行を更に深め、次のステップに進むための、まさに「橋頭堡」

とせんがための第一句集なのであろう。

集中300句は、おおむね、以下のように分類される。

   人事(身の回り)を詠んだ生活(趣味)関連句。   約 86句

   家族(父母、妻、孫など)や幼少の記憶を詠んだ句。 約 43句       

   老い(死)に対する逡巡と諦観の句。        約 27句

   王道としての客観写生とさりげない主観との合成句。 約110句

   比喩に託した俳諧味のある。            約 26句

   その他

 

それぞれ項目別に共鳴句を上げて短い感想を記す。

   人事(生活)句  

 初日さす入歯洗浄剤の泡     1月1日からのルーティーン。

 花の雲モデルの胸の谷間かな   カメラか絵画か。趣味の世界。

 ポーズとるモデルのうなじ飛花落花     々

 花冷やつくり笑ひのモデル嬢        々

 沈丁の香りのやうな別れ方    後ろ髪をひかれるような別れ方。

 線香のかたちの灰や秋彼岸    死しても死にきれない思い。

 空壜にのこる酢の香や春愁    集中の私の特選句である。

 手足外してマネキンの更衣    銀座のショーウインドあたりの景。

     家族/幼少の記憶 

 節分や早く帰りて鬼の役     半世紀も前の良き思い出か。

一泊の金婚旅行遠花火      しばらくぶりなので、一泊でも充分。

親離れしたる二ミリや油虫    2ミリという措辞が面白い。

金魚売る昭和の声も遥かなり   独特の節回しが懐かしい。

思春期の半日蟻を眺めをり    蟻に自らを重ねながら。

来し方は檸檬のかをり古希の朝  梶井基次郎の世界。

リモコンを取つてくれろと炬燵の子  かわいらしい一句。

石蕗咲くや妣の不機嫌憶ひだす  黄色い花を見ると思い出す記憶。

泣き言を嫌つた父の白絣     剛健な父親だったのでしょう。

愛してると今日は言ふまい万愚節  信じても貰えないことは言うまい、と。

諍いて無言の夕餉とろろ汁    どちらが先に折れるか、それが問題だ。

母の日や家計助けし裁ち挟    お裁縫の内職を夜なべで。昭和の景。

  老い(死)に対する    

 歳の瀬をあらよと渡る余生かな  「あらよ」のオノマトペが効いている。

 記憶力落ちてことさらわらび餅  ぼんやりした頭と餅が響き合っている。

来た道は戻らぬつもり蟇     人生の「寄り道」は、時にはいいものだ。

老いの目に来し方うかぶ柚子湯かな 傘寿を迎える実感の句。

指先の白き鼻毛や初日の出    新年、鼻毛までもが白くなってきた(笑)

晩学の文語文法秋ともし     「植える」でなく「植ゑる」と言われても。
 咲くことは散るといふこと花の雲 桜も人生も又。

④ 客観写生と主観との合成句      

 さくら湯にほのとたゆたふ華燭かな 控室で待つ間の目出度さもひとしお。

 満目の神々しさや野分あと    すべてが吹き飛び、きれいさっぱりと。

 依怙地さをぶらさげてゐる烏瓜  依怙地にならずに、昼にも咲いておくれ。

 北窓を開けブラウスの胸に風   涼しくも艶っぽい一句。

 打ちし蚊のわが手に黒きわが血かな 吸われたばかりのわが血のおどろおどろしさ。

     俳諧味 

 医師は言ふ「ご臨終です」水中花 まさに事務的な一言である。

ごきぶりやごきぶりらしく逃げ通す どんな逃げ方なのか?気になる。   

海蛸の味ゆうべの夫婦喧嘩かな  それゆえに海蛸(ほや)が嫌いなのかも。

かけ違ひあまる釦や油照     あの一言が・・・。後悔してもあとのまつり。

しじみ汁命の果てをつまむ箸   久保田万太郎の「湯豆腐句」を踏まえて。

夏の果へろへろなワンタンになる  秋元不死男の「へろへろとワンタンすする

クリスマス」を踏まえて。

空虚とは切つたピーマンの中らしい 池田澄子の「ピーマン切つて中を明るくして

                 あげた」を踏まえて。

立ち読みが趣味といふ人文化の日 俳諧味のある一句。

やつとできた自賛の一句冬紅葉  自分で自分をほめてあげたい(有森裕子)♬

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今月の「細道句会(早稲田句会)」は、遠方(栃木県)からの出席者
がいたため久し振りの賑わいだった。
ただし個人的には、自分では分かるだろうと思って出した句が、意外
と理解されず無点のオンパレードだった。
投句7句のうち、選を頂いたのは一句のみという体たらく。
俳句の難しさを改めて知った。
まっ、それでも例によって句会後の一杯が楽しめたので、良しという
ことで♬

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あだち俳句連盟の理事が集まり、投句一覧表の校正(写真左)、大会入賞

者の賞品の準備(写真右)、当日の役割確認をした。

思えば、還暦を前にして

「すべての仕事から引退し、俳句三昧の生活に入りたいけれど、いいか?」

と、Yに申し出た時、

「そうしてもいいけれど、やるからには、遊びとしてでなく仕事のごと
取り組んで下さいね」

と条件がついた。教師出身のらしい厳しい条件・・・。

昨今の状況は、自分にとっては、まさに「仕事としての俳句」である。

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