2013年12月13日(金)20時30分、Garage labsはオープン日の2011年11月19日から数えて約2年間という歴史を終了いたしました。Garage labsが終了する理由としては、運営会社の株式会社24-7の札幌オフィス閉鎖に伴うことが理由となります。

北海道初のコワーキングスペース、Garage labs


Garage labsインターネットを利用したビジネスで、北海道に雇用を生み出すグローバル企業の創出を目的とした北海道初のコワーキングスペースでした。株式会社24-7が運営母体となり、私、赤沼は24-7の社員として、Garage labsコミュニティマネージャーという運営者してコワーキングスペースを2年間運営していました。

Garage labsの全てを見てきた私が何ができて、何ができなかったのか、ということを、

・自分の活動としての一区切りとして
・Garage labsを利用・応援してくださった方への報告として
・今後コワーキングスペースを運営してみたいと思っている方のために

長文とはなりますが、振り返ってみたいと思います。時間のあるときにお読みいただければ幸いです。

目次

Garage labsができたこと
 ・Garage labsを通してのコワーキングスペースという文化作り
 ・Garage labsを通しての仲間・友達・知り合い作り
  ・道外から北海道に移住して来た人の仲間づくり
 ・Garage labsを通しての仕事や就職の斡旋
 ・勉強会・イベントの場所提供
 ・サービス作りへの応援
  ・iPhone Dev Sapporo
目標達成できなかったこと
 ・若い人の活躍とMashup Awards
ありがとうガレージラボの会を開催していただく
様々な方に支えられて運営ができたGarage labs
Garage labs最後の一週間と最終日
これからコワーキングスペースを行いたい方へ
これからのコワーキングスペースの課題
 ・(1)ビジネスとしてのコワーキングスペース
 ・(2)誰を受け入れ、誰を受け入れないのか
 ・(3)コラボレーションしてビジネスは生まれるか?
最後に

Garage labsができたこと


Garage labsが「できた」と思うところを振り返ってみたいと思います。

Garage labsを通してのコワーキングスペースという文化作り


Garage labsは北海道で初めてのコワーキングスペースでした。北海道のほとんどの方が「コワーキングスペースって何?」というところから始まるコワーキングスペース運営でした。IT・クリエイティブ系の仕事をされている以外の方もGarage labsに来られる方は多く、見学や体験を通して、コワーキングとは何かコワーキングスペースとは何かという理解が進んだのではないかと思っています。

2012年3月19日に経済産業局、札幌市、北海道大学、北洋銀行によるコワーキングスペースを応援する「札幌コワーキング・サポーターズ」(SCS)(Facebookページ)が結成されました。産官学連携でコワーキングスペースを応援する取り組みは全国的にも新しいと聞いています。結成には「Garage labsがあったからこそ、結成された」という言葉を北海道経済産業局の方からいただいております。

その後、ドリノキ、コワーキングカフェ36(※1)、シェアSapporoCafeBASEといったコワーキングスペースが札幌に誕生しました。札幌に限らず、札幌以外の北海道にも続々とコワーキングスペースが誕生しています。

(※1 当時 現在は名称、体制変更し、セイリングデイズ36になっています)

Garage labsはなくなってしまいましたが、「コワーキングスペースが良い!」という方は他のコワーキングスペースをぜひお使いいただければと思います(行きづらい方は一声いただければ紹介することもできると思います)。

Garage labsは北海道におけるコワーキングスペースという文化作りに貢献できたのではないかと思っています。

Garage labsを通しての仲間・友達・知り合い作り


Garage labsを運営していく中で「Garage labsのおかげで◯◯さんと知り合うことができました」という感謝の言葉を掛けていただくことが一番多かったと思います。

Garage labs通常時やFriday Nightなどの様々なイベントで多くの方が新しい繋がりを作ることができました。繋がりを作るということに関してはGarage labsはお役に立てたかと思います。繋がりというのは単純に友達ができたという例もありますし、仕事仲間ができたり、話し合いの結果、企業にジョインしたりということもあったかと思います。

道外から北海道に移住して来た人の仲間づくり


Garage labsの運営を行っていて気づいたことは震災以降の「進む地方化」でした。

ITは場所関わらず仕事ができるイメージですが、実際は首都圏の一極集中です(※2)。規模が大きいIT会社のほとんどは首都圏にあります。仕事の質が高く給料も良い傾向があることから、優秀な人のほとんどは首都圏を目指します。「ITの仕事は場所関係なくできる」というのは事実ではあるのですが、実際の仕事は首都圏に固まってしまっており、地方は首都圏のアウトソーシング場所として機能していることが多くなっています(※3)。

(※2 詳しいソースが提示できないので恐縮ですが、ITの首都圏の市場規模が日本の9割を占めているというデータを就職活動時に見たことがあります。現在のデータをご存知の方がいましたら、教えていただければ幸いです)

(※3 全体的な俯瞰の話で、もちろん地方にも優秀な会社があり、優秀な人がいます。全体的な話としてご了承ください)

しかし、震災以降、流れが変わってきたように思っています。首都圏在住の方がGarage labsに足を運ぶケースが多くなってきました。今、札幌のIT業界はどういう状態なのか、札幌のITコミュニティはどうなっているか、札幌で有望な会社はあるか、札幌にフリーランスの方はいるか…などなど首都圏のIT企業で働いている方が札幌への移住を考え、Garage labsに多くお越しにくるようになりました。

近々起こるのではないかと噂されている首都圏での地震や、現在の原発に対する危機という個人レベルだけではなく、企業レベルでも東京だけに本社機能を置いておくことのリスクから、企業の永続化を考えた地方支社の設立などの話が要因になったかと思います。

もちろん今後もITの主役は首都圏ではあり続けるのですが、徐々に地方化が進んでいくのではないかと思っております。実際にGarage labsがあることによって、北海道の移住を決めた方もいました。そのような方は当初、北海道にはほとんど人脈がないのですが、Garage labsを利用していただくことによって、自然に知り合いが増え、徐々に友達が増え、人脈を作ることができました。

私が東京から札幌が帰ってきたときはコワーキングスペースのような人が集まる場所がありませんでした。人脈作りに苦労しました。その点、Garage labsがあることによって、いくらかは人脈作りには苦労しなくなったのではないかと思います(ただ、その方に能力があること、コミュニケーション能力があること、やりたいことが明確であること、というのが条件です)。

北海道のITの人と人を繋げる場として、Garage labsはお役に立てたと思います。

今後も道外から北海道に移住したい方が多くいらっしゃると思っています。個人での活動になりますが、その方々の背中を押していくような活動をしたいと思っておりまして、こちらは準備中です。

Garage labsを通しての仕事や就職の斡旋


Garage labsというリアルな場所をきっかけに知り合った同士での新しい価値も生まれました。知り合った方同士で仕事を発注するということや、自社や所属企業の求人を紹介し就職や転職に至る、という事例が多くあります。Garage labsをご利用いただいている方で何かしら能力を持ち、手が空いている方には私が誰かを紹介する、あるいは自然発生的に仕事の発注や、転職紹介が行われておりました。

仕事の発注に関しましては、Garage labsというリアルの場所で話し合いながら発注に至ったケースを現場で見てきましたが、その他にはGarage labsの登録者Facebookグループ(※4)を通して、仕事の依頼や、求人情報を掲載し、仕事のやりとりをするケースが多くなっていました。

(※4 Garage labs登録者FacebookグループとはGarage labsの登録者しか入ることができない秘密のFacebookグループです。現在も継続中)

そのような実際の仕事が発生する転職のきっかけになる、ということに関しましては、Garage labsはお役に立てたのではないかと思っています。

Garage labsという場所はなくなりますが、Garage labs登録者Facebookグループは生き続ける予定です。何か北海道のIT・クリエイティブの方への仕事依頼などありましたら、現在入っている方は今後もGarage labs登録者Facebookグループをお使いいただければと思います(グループの新規加入は受け付けていません)。

勉強会・イベントの場所提供


毎週土曜日は高い確率でGarage labsにて勉強会を行っていました。多い時は週2のペースで勉強会を行っておりました。Garage labsの場所貸し出しはGarage labsの趣旨に沿っていれば、基本的には無料で貸し出していました。なおかつwi-fiと電源が使用できる場所でした。当時、イベントの場所として使用することが、wi-fiと電源が完備している場所は貴重でした。多くのITの勉強会は営利目的ではなく、ボランティア的に行っている場合が多いので、予算がなくともIT勉強会を開きたい方、参加したい方のためにGarage labsはお役に立てたのではないかと思っています。

ただ、現在に関しては、インフィニットループさんも会議室を無料で提供していると思いますし(※5)、他のコワーキングスペースもかなり安価にスペースを提供されているはずです。必ずしもGarage labsがなければいけない、ということはなくなったように思いますので、ぜひ他の場所で今後も勉強会やイベントを開いていただきたく思っています。

(※5 会議室無料貸し出し|株式会社インフィニットループ|勉強会、会場、北海道、札幌市)

サービス作りへの応援


インターネットサービスを作っている方(Webサービス・スマートフォンアプリ)に対しての応援ということはGarage labsとしてはある程度できたのではないかと思っております。例えば、Garage labs Friday NightというGarage labs主催のイベントは毎月第一週金曜日夜、サービスを作った方の発表の機会を用意させていただきました。

Garage labs Friday Night、準備の様子。Ustream中継も行いました。
Garage labs Friday Night、準備の様子。Ustream中継も行う

Garage labs Friday Nightについて説明する赤沼
Garage labs Friday Nightについて説明する赤沼

懇親会、Falconでバルスを観る
Garage labs Friday Nightの懇親会、Falconでバルスを観る

発表の他に出展スペースを設けました(左側)。懇親会ではいくつもの場所でたえることのない談笑がありました
Garage labs Friday Night出展スペースと懇親会

その他にも、Garage labs主催イベントではT業界で強い実績を出されている有名な方にもお越しいただきました。MOVIDA JAPANの孫泰蔵氏(@TaizoSon)・伊藤健吾(@itokenv)氏を招いてのスタートアップ向けイベントの「起業家に向けたメッセージ」

「起業家に向けたメッセージ」

同じく地方からのIT企業であった宮崎県のベンチャー企業、株式会社アラタナの代表取締役、濱渦伸次氏(@shinji_hamauzu)を招いての「地方発!ITベンチャーのつくり方」。

当時、Appcelerator, Inc.マーケティング/エバンジェリストであった増井雄一郎氏(@masuidrive)を迎えてのTitanium Mobileハンズオン(現・FrogApps, Inc.、Toreta, Inc. CTO)。

プロフェッショナルコネクターの勝屋久氏(@katchamans)を招いてのランチ交流会

イベントをGarage labsで主催しながら、このような著名な方々にお会いでき、お話を聞くことができたことがコワーキングスペース運営者としての個人的な役得だったかと思います。

iPhone Dev Sapporo


Garage labsは受託よりも「サービス・コンテンツを自ら作っていく人たちをどんどん生み出していこう」という思想なのですが、最もその思想に近かったのは札幌圏のiPhoneデベロッパのコミュニティ、iPhone Dev Sapporo(通称・Dev Sap)の方々でした。今振り返ってみても、Dev Sapの方にGarage labsを利用していただいたのが、とても大きかったです。Dev Sapの何人かはiOSアプリ専業で独立しており、Garage labsとしての一つのモデルケースといえます。上記のイベントに書きましたFriday NightやMOVIDA JAPANとの共同のスタートアップイベントのようなサービス発表イベントの際はDev Sapの方に何度も登壇いただきました。個人としてもDev Sapの方々には大変刺激を受けました。本当にありがとうございます。

目標達成できなかったこと


ここまではGarage labsで、できたと感じていることを書かせていただきました。しかしながら、できなかった方こともあります。2年間運営した中での最大の悔いはGarage labsの目的であった「インターネットを利用したビジネスで、北海道に雇用を生み出すグローバル企業の創出を目的とした北海道初のコワーキングスペース」という目標を達成できなかったことです。

Garage labsを利用している方で、世界を狙えるようなサービスを作っている方はいると思っています。しかし、今現在Garage labsがきっかけとなり、目的を達成したサービスを作ることはできませんでした。

どうしてこの目的を達成することができなかったのでしょうか。原因は私の運営の方法に問題があったかもしれませんし、2年間という期間が短かったせいかもしれません。どちらかか両方かはまだわかっていないですが、反省できる点は反省し、これからに活かしていきたいと思います。

若い人の活躍とMashup Awards


私自身、若いと言われることがありますが、実際はもう若くなく、30歳です。私自身も挑戦者であり続けたい気持ちもありますが、同時にもっと自分より若い人たちの育成もしなければいけません。Garage labsは若い人が集っているイメージを持たれた方もいましたが、実際、利用している方は20代後半から40代くらいの方でした。

Garage labsはこれからIT業界を目指す大学生・高専生にも多く利用してもらえる想定でスタートしましたが、実際には大学生・高専生の利用はほとんどありませんでした。理由は2つあると考えていまして、1点目は私自身が学生に対しての繋がりがほとんどなく、そもそも学生にGarage labsの存在を知らせることができなかったということと(当初、Garage labsを知っていただいた方のほとんどは私や他社員の友達、あるいは友達と友達という方がほとんどでした)、2点目として、学生は活動できる場所がすでに学内にあり(部室など)、わざわざコワーキングスペースを利用しなくても良い、ということがあったかと思います。(しかしながら、コワーキングスペースは単なる場所としてだけではなく、人脈を作ることにも有効だと思いますが、その点を理解していただくことができなかったのは私の力不足なところです)

大学生・高専生の利用がほとんどなく、どうしようか考えているときに、大学生・高専生を飛び越えて高校生がGarage labsにやってきました。当時高校二年生の伊藤輝くん(@Hikaru_Itou)の登場でした。伊藤くんは2012年に行われたリクルート主催のWebサービスコンテスト、Mashup Awardsに出場するためのWebサービスを作る目的でGarage labsに訪れました。

伊藤くんは自身が考えたWebサービスアイデアの最終的な制作作業を行いにGarage labsをやってきました。伊藤くんは私にそのアイデアを話してくれました。高校生の考えるアイデアなのでやはり詰めが甘いところはあるものの、光るものを感じました。サービスの名前を一緒に考えたりもしました。伊藤くんの凄いところは企画・プログラム・デザインというWebで何かを作ることに必要なことが全てできること、最大の能力の高さはプレゼンテーション能力(これは私よりも凄いと思います)、さらに行動力です。

Garage labsには伊藤くんより10歳以上離れた大人が多くいましたが、伊藤くんがGarage labs利用者にアイデア話す度に聞いた方はアドバイスをしました。伊藤くんはそれらを全て、真摯に聞き、時には反論し、その中で自分にとって納得できるアドバイスをサービスに取り込み、自分の元となるアイデアをどんどん拡張し、サービスにフィードバックしていきました。私はその現場を間近で見て、伊藤くんの若さによる強さと、才能を感じていました。

Mashup Awards 8は2012年に行われ、北海道予選をGarage labsで開催させていただきました。伊藤くんはそこで勝ち抜きます。さらに東京で行われた準々決勝でも勝ち抜き、決勝戦に進出しました。決勝では残念ながら敗れたものの、最年少決勝戦進出者として、日本中のMashup Awardsに関わる人に大きな衝撃を与えたと思います。

Mashup Award 8、初の高校生と女性ファイナリストも堂々とプレゼン! Tech-Tokyo

2013年に行われたMashup Awards 9でも北海道予選やアイデアソンなどもGarage labsで開催させていただき、9では24-7メンバーで結成されたメンバーの「Mashup Vision」(Mashup賞)をいただき、Mashup AwardsとGarage labsは関わりの深い大会となりました。

MA9 お知らせブログ 【Final Stageレポート11/12】#MA9 Mashup Battle Final Stage

偶然にも大会の開催中にGarage labsの終了を発表させていただくこととなりましたが、Mashup Awardsの事務局である伴野さんの振り返りブログにGarage labsのことを書いていただきました。Mashup Awardsの発展とともに、Garage labsとしても成長できたと思います。伴野さん、Mashup Awardsに関わる皆様、本当にありがとうございます。

MA9 お知らせブログ #MA9 Mashup Awards 9 を終えて


ありがとうガレージラボの会を開催していただく


Garage labsは最終日、クロージングパーティーのようなものを用意していませんでした。そのためかはわからないのですが、最終日の一週間前の12月8日に『ありがとうガレージラボ』の会を開催していただきました。会はサプライズでした。

何も知らずにお店に向かったところ、席には知ったことのあるような方が多々…一分ぐらいその方々の共通点がわからず、夢の中にいるような感覚に包まれました…。「赤沼さんーお疲れ様でした!」と皆さんに言っていただき、しばし驚き、次には嬉しい気持ちでいっぱいになりました。さらに、たくさんのプレゼントもいただきました(役に立つものと、変なプレゼントがありましたが…)。

サプライズや、表舞台でこのように祝っていただくのが不慣れなので、あまり良いリアクションをしなかったように思うのですが、心のなかはとっても嬉しかったです。楽しかったです。

Garage labsの運営中、人が来ているときはいいのですが、人が来ないときがあると「この方針でいいんだろうか」「必要とされているのだろうか」と不安な気持ちになったことが多々ありました。ただ、このような会を開いていただき、労を労っていただくと、今まで運営し続けることができて、本当に良かったなと心から思うことができました。

会はくすぐるのYukiさんに調整いただいたようです。Yukiさん、参加していただきました皆様、本当にありがとうございます。

『ありがとうガレージラボ』の会

様々な方に支えられて運営ができたGarage labs


(『ありがとうガレージラボ』の会で集まっていただいた皆様向けに締めのタイミングで挨拶をさせていただきました。ただ、酔っていることもあり、話が抜けているところもあったと思いますので、グループ向けに以下の文章を投稿させていただきました。少し修正して全体の方にも伝わるように掲載させていただきます)

まず、Garage labsは私一人で運営していたわけではありません。様々な方にご協力いただいています。Garage labsに関しては何かと私にお礼を言われることが多いと思うのですが、私以外の方にもお礼の言葉を言っていただければ嬉しいです。主なGarage labsに関わっていた方を紹介させていただきたいです。

一人は24-7の田村社長。Garage labsの企画をまだ入社もしていない赤沼に提示いただきました結果、このようなコワーキングスペースを作ることができました。運営していた2年間は私の人件費、諸費用は24-7から全額出ていたものです。Garage labsは補助金というものをいただいていません。Garage labsの当初の企画は田村社長が考えたものですが、実際にGarage labsがスタートしてからはほとんどが私の判断で運営を行っていました。大きい判断事項に関しては随時、相談をするようにはしていましたが、反対されたことはなかったように思います。中〜小規模の判断事項に関しては私の独断で進めていました。全てのことに了承を得ながら、進めていくのと、必要なときだけ了承を得ながら進めていくのではスピードもストレスも違うので、ほとんど赤沼の独断で進めていってもいいような体制を作っていただいたことに、感謝しています。また、このような運営責任者という機会、仕事をいただき、本当に感謝しています。コワーキングスペースの運営という仕事は他の会社ではまず体験できない仕事だったと思います。

一人は元24-7の早川さん。Garage labsで赤沼がいないときはGarage labsの番をしてもらいました。利用者の皆様からいただきましたおみやげの感謝、告知の紙の文章や絵と、イベント告知の看板は早川さんが書いたものです。Garage labsは少人数で営業しており、予算もほとんどない状況というのもあり、全体的な方針としてIT特有のシステマチックなものよりも、人の温かさをできるだけ伝えられるような場所にしていきたいとと思っています。早川さんの書く字や絵は温かみがあり、それで少しはGarage labsを明るく、温かいものになったのではないかと思っています。女性ということもあり、私が気が付かないようなところも度々自主的に掃除をしてもらったりと、Garage labsを明るく綺麗な場所に保つことができたのは早川さんのおかげです。自分にはできない仕事をしてもらい、感謝しています。
早川さんの手書きPOP集


一人は元24-7の川原田さん。Friday Nightのキャラクターは川原田さんが書いたものです。Friday Nightに関しては企画当初から、よく川原田さんに相談しました。相談しながら色々アドバイスをもらって、内容を微調整していき、実現したものです。Garage labs自体の方向性についても、どちらに舵切りしようか迷ったときに、川原田さんに相談することが多かったです。二人の合言葉は「硬派に行きたいよね」でした。早川さんが24-7を退職したあとはGarage labsの番もやってもらいました。Garage labsは22時まで営業していたこともあり、何度も夜遅くまで残ってもらい、感謝しています。
Friday Nightのキャラクター

そしてGarage labsを利用してくださった方、応援してくださった全ての方に本当に感謝しています。Garage labsが独りよがりのコワーキングスペースにならなかったのは、利用・応援してくださった皆様があってこそです。皆様がいたので、こちらとしても「運営を頑張ろう!」「利用してくださっている方にとって、いい場所にしたい!」ということを本気で考えていました。感謝しています。

Garage labs最後の一週間と最終日


Garage labs、最後の一週間は様々な方に訪れていただきました。様々な方に「残念です。悲しいです」とGarage labsがなくなることを惜しむ声を掛けていただきました。悲しんでいただけるようなスペースを運営できたことは本当に幸せなことでした。

2013年12月13日(金)20時30分、最後の挨拶をさせていただき、幕を閉じました。ツイートをTogetterにまとめていますので、少しは雰囲気が伝わるかと思います。

Garage labsラストウィークから最終日まで #garagelabs - Togetterまとめ

これからコワーキングスペースを行いたい方へ


私は2年、Garage labsの運営に関わってきました。コワーキングスペース運営に関するある程度の知見があります。もし今後、コワーキングスペースを行いたい方や今までのGarage labsの歩みに興味ある方がいらっしゃいましたら、自分の持っている知識などはできるだけ共有をしていきたいと思いますので、お気軽に声を掛けていただければと思います。自身の経験が今後のコワーキングスペース会の発展にお役に立ちましたら幸いです。

これからのコワーキングスペースの課題


「コワーキングはいいよ!」と思い、言い、2年の運営を行ってきました。しかし、コワーキングが全ての仕事の進め方の解決策になるわけではありません。コワーキングに向いている人がいたり、向かない人もいると思います。

コワーキングスペースの数は右肩上がりに増え、今後ももう少し増えるとは思いますが、コワーキングスペースが仕事をする際に最適な空間かどうかというのはまだわかりません。

コワーキングスペースの歴史は浅いので、課題をたくさん抱えていると思います。ここからは私が思う、課題をいくつか上げてみます。

(1)ビジネスとしてのコワーキングスペース


コワーキングスペースの運営というのはビジネスとして成り立つのか、という課題です。これは「はい」ともいえるし、「難しい」とも両方言えると思います。ただ、一つだけの答えてほしいと言われれば「厳しいところが多い」と答えざるを得ないです。

増えるコワーキングスペースの話や新しく開設されるコワーキングスペースのニュースがどうしても賑わいますが、閉鎖するコワーキングスペースも出てきています。Garage labsの閉鎖は話題になったほうだと思うのですが、あまり話題にならず、ひっそりと閉鎖していくコワーキングスペースも多いと思います。すでに淘汰が始まっている、という方も多くいます(私もそう思います)。

Garage labsはオフィスの空きスペースを活用した、という点で特殊なのですが、ほとんどのコワーキングスペースは新しい物件を借りて、スタートするかと思います。コワーキングスペースにとってやはり立地が重要ですので、駅前というような交通アクセスが良いところを選択すると思います。しかしアクセスが良くなると、賃料が高くなってくるので、その賃料はコワーキングスペースを利用するコワーカーの利用費に跳ね返ってくるかと思います。

ではコワーカーが高い利用費を払うかというと、なかなか払ってくれないケースが多いのではないかと思います。そもそもコワーカーの需要としては「オフィスを借りるぐらいのお金はない」という金額重視で使っている方が多く(もちろん交流を望んでのコワーキングスペースを使っている方もいます)、コワーキングスペースの利用には高い利用費を払わないのが現状です。

東京のコワーキングスペースでも月額利用費で一万数千円、地方ですと、一万円切るところがあります。月額固定費だけですと、コワーキングスペースの収入が一人あたりのこの金額✕席数ということになりますが、多くの場合、それのみですと、賃料を上回ることは難しいのではないでしょうか。

アクセスが悪いところのほうが賃料は安いですが、コワーカーにとって使うのが大変なので、利用されづらいでしょう。アクセスは重要だと思います。

コワーキングスペースは月額利用だけではなく、スポット利用の方も多いですから、スポット利用の収入もあります。ただスポット利用は、月に何人利用されるかが読みづらく、月額固定費の会員費用よりも、収入は安定しないといえます。

実際のコワーキングスペース経営としてはコワーカーからの月額固定費+スポット利用が常に賑わっているぐらいの集客数がある、あるいはその他の別のマネタイズを組み合わせたビジネスモデルがないと難しいと思います。人づてに聞いたところでは赤字のコワーキングスペースのほうが多いと聞きます。コワーキングスペース経営に関してはまだベストプラクティスがない状態だと言えると思いますので、各運営者が試行錯誤しながら、現在進行形でコワーキングスペース経営のベストプラクティスを探している状態といえるでしょう。

コワーキングスペース経営に関しては私が知っている範囲ではコワーキングスペース7Fの星野さんが経営や試行錯誤について大変ボリュームのある記事を書かれていますので、コワーキングスペース運営をしてみたいと思っている方は必読だと思います。

コワーキングスペースの運営を1年間それなりに本気でやってみて思ったこと色々。 | コワーキングスペース7F

私は正直なところ、現在はコワーキングスペースをビジネスとして成り立たせる自信がありません。ただ、「コワーキング」ということは今後も行っていければと思っていますので、移動式コワーキングというものを実験的に行っています。

(2)誰を受け入れ、誰を受け入れないのか


Garage labsを開設した数ヶ月後、東京に旅行する機会があり、いくつかのコワーキングスペースを訪問させていただき、運営者の方に話を聞かせていただきました。そのときに共通したアドバイスは「変な人が来ると、すぐ""は崩れてしまう」ということでした。

簡単に要約すると、以下のような状況です。

「コワーキングスペース登場以前から、名前が違うだけで、コワーキングスペース的なところはすでに存在していた。しかし、いずれの場も廃れてしまった。廃れてしまった理由としては、場を乱すような悪い人が多くなっていくことにより、良い人が来なくなり、次第に良い人と交流することが目当てだった人も来なくなり、段々と利用人数が少なくなり、場が廃れていった」

そのときに話していた悪い人の例としては「自分が場にいる人に対して何も提供することをしないのに、ただひたすら教えてもらうことだけを求める、クレクレ君」「営業活動しかしない人」というような場に貢献しないような人が場にとっては悪い人になるということです。悪い人の割合が増えていくと、場は壊れていくということです。さらに一般的な気をつける人としては、マルチビジネスや宗教の勧誘をする人や公序良俗や法律に違反するビジネスを行っている人が注意人物だといえます。

簡単に言えばどのコミュニティにとっても、場にいる人が場を良くすることを心がける人が集まれば場は良くなるでしょうし、場のことを考えずに自分の利益しか考えないような人が場に多くなってくると、場は悪くなっていくといえます。

では場にとって悪い人を排除し、良い人だけがいる場所にするためにはどうすればいいでしょうか。これはかなり難しい課題です。

「オープンな場所」という言葉自体は大変魅力的に感じます。「オープンな場所で働いている」ということは最先端な働き方のような錯覚をすると思います。しかし、オープンということは同時に、様々な人が来るということです。良い人も来ますし、悪い人も来ます。悪い人が多くなればどうなるでしょうか。場は廃れていきます。

オープンな場所で良い人だけを集めることができれば理想です。ただ現実的にそれは難しいと思います。何かしらの制約が必要だと思います。

この制約こそが各々のコワーキングスペースの特徴になっていくと思いますし、強みとなると思っています。どういう制約を設定するかが、コワーキングスペース運営者の腕の見せどころだと私は思います。

Garage labsでは「IT・クリエイティブ系限定」と職種で絞ることをしました。他のコワーキングスペースでは面接を行っているところも多いです。僕が聞いた中で長いところは一人あたり3時間長の面接を行っているところもありました。この人は場に良い影響を与えるか、悪い影響を与えるか、という判断を行います。

しかし、乗り越えなければいけない課題もあります。

一点目は利用条件を厳しくしすぎると、そもそもビジネスとしてコワーキングスペースを成り立たせるぐらい条件に合う人が存在するのか、という課題です。素晴らしい人がコワーキングスペースを利用してくれればいいですが、皆が皆、素晴らしい人であるわけではありません。厳しすぎる条件の結果、月に5人しか利用しなければコワーキングスペースとしての経営は成り立たないでしょう。どこかで妥協が必要だと思います。ではどこのラインで妥協するのか。

二点目はその人が場を良くする人か、悪くする人か運営者自身が見極めることができるかどうか、という点です。様々な運営者に聞いてみると「うまく説明できないけど、話をしてみればわかる」ということを言います。私はこの説明に納得します。私も上手く説明できないですが、その人が良い人か悪い人かを"ある程度"見極めることができると思っています。これはコワーキングスペース運営者の暗黙知として存在すると思います。いろいろな方を見ていると、その人が場にとって向いているか向いていないかが、ある程度、わかってくると思います。ただ問題としてはそれが暗黙知であるからこそ、他の運営者に引き継ぐことが難しい点があります。一人の運営者がスペースにずっといることには限界があるので、ある程度は複数の方と運営しなければいけません。その方が見極めることができるかどうか。その人が場にとって良い人か悪い人か見極めていくのは難しいことでしょう。付け加えると、見極めることも"ある程度"のレベルでしかないと思いますので、その精度をどこまで高めていくことができのか。そのような課題として存在すると思います。

(3)コラボレーションしてビジネスは生まれるか?


コワーキングスペースは「様々な人がやってくる」→「様々なスキルを持った人が同じ場所に集う」→「集まることによって、今までなかったようなコラボレーションが生まれる」というイメージがあると思います。

では実際にコワーキングスペースでコラボレーションは生まれるのでしょうか。

実際はなかなか難しいのではないかと思います。もちろん、コワーキングスペースで生まれた新サービスはいくつかあると思います。ただ、現在、日本にあるコワーキングスペース数と、コワーキングスペースで生まれたサービス数を比べたとき、今のところはコワーキングスペースで生まれたサービス数のほうが少ないと思います。

どうしてイメージと隔たりがあるのでしょうか。少しややこしいですが、説明します。気になる方は何度か読んでみてください。気にならない方は読み飛ばしてください。

まずコラボレーションを行うには二人だとして、その二人が近い志が持っていることが必要です。これでまずかなりコラボレーションできる確率が絞られてきます。次に、フリーランスの場合、キャパシティ(仕事の空き)に余裕があることが必要です。ただ、実際のところフリーランスとして食べて行っている人はすでに仕事をいっぱいに抱えていることが多いです。仕事をいっぱいに抱えている人にアイデアを持ちかけても「今手一杯なので、こんど…」となります。仮に空きがあったとしても、もう一人に空きがなければいけません。例えば、一人の人が空きがある状況が20%の確率だとし、もう一人も20%だった場合、20%✕20%で、4%となります。20%の確率で空きがある人がお互いが空きがある確率は4%です。これは二人の例ですが、三人四人になってくると、全員がキャパシティがある確率はさらに上がってきます。

あとは実際のところ、二人がコラボレーションをして新事業を行う時、成功したとき取り分はどうするのか、という大人の話と、例えば50%ずつの半々にするとして、では仕事量は半々となるのか、ということもあります。取り分が半々なのに、実際の仕事量が2:8だと、8の方が不公平感を感じて次第に上手くいかないと思います。

同じ会社にいる2人であれば、守られているものがあるので、仕事量に差があってもいいですが、フリーランス同士となると、すでにお金を産む仕事がありますので、それを犠牲に…その仕事の優先度を下げてでもすぐにお金を産まない新規事業に取り組めるか、ということとなると、そのリスクを取れる方は少なくなってくると思います。

会社員の場合はその方が会社を動かせることが条件となります。会社が大きければ大きいほど、会社を動かすのは難しくなります。

ということで、コワーキングスペースを用意すれば、自然と人が集まってきて、コラボレーションが自然に生まれる…という甘い幻想は捨てたほうがいいと思います。コラボレーションを生み出すためには、何かしら仕掛けが必要だと思います。

とはいえ、コワーキングスペースは一般的なカフェよりはずっと新たな出会いやコラボレーションが生まれる確率は高い場所だと思います。例えば、Garage labsではITとクリエイティブ系の職種しかいないコワーキングスペースでしたので、自分がその職種との出会いを欲し、何度かGarage labsに通っていただければ、自分の望む技術をもった人に出会いやすい環境ではありました。

残念ながら、まだ有名になったものはないのですが、実際いくつかのコラボレーションが発生はしています。いくつかはプロジェクト途中で頓挫してしまっているものもあると思いますし、進行中のものもあると思います。Garage labsは終わってしまいましたが、もしかすると、数年後にGarage labsで出会ったことがきっかけで生まれたサービスというのが世に出てくるかもしれません。

また、全く新規サービスをコラボレーションで生み出すというのは難易度が高いのですが、案件のやりとりというのは日常茶飯事に行われていました。例えばすでに進行中の案件があり、しかしある部分でデザイナーが不足している、などというものがあり、Garage labsにいるデザイナーに声がかかる、という事案です。それに関しましては本記事の「仕事や就職の斡旋」で書かせていただきました。

最後に


以上、Garage labsを2年間運営してきた中で報告、感謝していること、これからの課題など頭に浮かぶ限り様々なことを書かせていただきました。これを持ちまして、2年間の報告とさせていただきたいと思います。

Garage labsを運営する二年間、とても幸せな運営者だったと思います。Garage labsに関わっていただきました全ての皆様、本当にありがとうございました!!
Garage labsと24-7の前で記念撮影

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