2013年10月10日

ABL(動産担保融資)に向けた新たな資産評価サービス業務への展開

(社)日本資産評価士協会セミナー(無料)のお知らせ
ABL(動産担保融資)に向けた新たな資産評価サービス業務への展開


中小企業への緊急対策として制定された中小企業円滑化法も本年3月末に終了しました。現状、金融庁はこれまでと金融行政の変化は無い旨を強調していますが、その出口対策が国の大きな課題となっております。

国はかねてより、不動産、個人保証に頼らない、新たな中小企業の資金調達手法としてABLのわが国での普及を進めておりますが、ABLが全企業融資の25%(約60兆円)を占める米国に対し、わが国の融資残高は未だ4000億円弱、比率0.1%以下が現状です。この状況に対し現在金融庁は、金融庁検査における経営指導を通じ、各金融機関の実施状況を査定すると同時に、その積極的推進を指導しております。

ABLの担保対象となるのは基本的に機械設備及び製品・商品在庫ですが、わが国では先進国の米国に比してその評価ノウハウが殆ど存在しないのが現状で、ABL普及の大きな障害になっております。日本資産評価士協会では、これまで各種金融機関の業界団体からの要請/委託を受けて、提携先であるASA(米国鑑定士協会)より米国のABL関連の評価技法等に関する実務教育プログラムを提供し、ABL推進を支援しております。

今、各金融機関ではABLの推進に向けて、不動産と同様に中立第三者によるリーゾナブルなコストで品質・信頼性の高い評価サービスの提供が求められており、不動産鑑定士の皆様に強い期待がかけられております。今回のセミナーでは不動産鑑定士の皆さんを対象に、これら金融機関のニーズをご説明すると同時に、高い成長が期待される、評価を含めたABL関連業務サービスへの進出の方法等についてご説明致します。

日本の今後のABLの発展は、この大きな変革に対応出来る評価インフラの創設に掛かっており、今後の1年が飛躍に向けた非常に重要な時期と考えられます。皆様のご参加をお待ちしております。

                          記

● 日時:10月21日(月)17:30〜19:00(17:15〜受付)

● 場所:パシフィックセンチュリープレイス丸の内22階(東急リバブル(株)ソリューション事業本部会議室)
 東京都千代田区丸の内1-11-1 JR「東京駅」地下道直結、徒歩5分
  セミナー会場への地図はこちら http://www.jasia-asa.org/pgm/ABL_seminar.pdf

● 内容:
  ‖1部「ABL(動産担保融資)に向けた新たな資産評価サービス業務への展開」
  (社)日本資産評価士協会 専務理事 若山より
  ・ABLに係る我が国の金融情勢について
  ・我が国のABLの現状とビジネスチャンス
  ・銀行のニーズとアプローチの仕方
  第2部 質疑応答

● 申込み:(定員50名)
 〇臆辰鬚幹望の方は、下記の当協会ホームページにアクセスしてください。
(社)日本資産評価士協会ホームページ http://www.jasia-asa.org/
▲肇奪廛據璽 NEWS の中のJaSIA 無料セミナーお申込みフォームよりお申込みください。

● 申込締切り:10月18日(金)
  ※当日直接会場にお越し頂いた場合は、空席があればご案内は可能ですが、確実に席を確保されたい方はお早めにお申込みください。
  ※定員を超えた場合は、次回セミナーへのご案内となりますので御了承ください。
  ※今回ご出席できない方で、次回以降のセミナーのお知らせを希望される方は、下記のアドレスまでメールにてご連絡ください。

● お問合せ:(社)日本資産評価士協会 TEL:03-3358-9883 email:info@jasia-asa.org 担当:亀尾


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2013年10月03日

ASA機械・設備評価人養成講座を実施します。

本年3月に終了した中小企業金融円滑化法の出口対策として経済産業省・金融庁が、中小企業金融に関する国の重要施策として、不動産以外の機械設備や在庫を担保として活用するABL(動産担保融資)の普及を強力に進めている。
ABL先進国の米国においてABLは企業金融の25%(農業金融では50%超)を占めるのに対して、日本では国による強力な後押しにも拘わらず0.1%にも満たないのが現状で、金融庁は各金融機関に対してABL推進に向けた指導を更に強めている。
日本でABLが本格化しない原因の一つに評価の問題が指摘されている。わが国では機械設備は伝統的に税務上の簿価を使用するのが一般的で、国内に時価評価のインフラやノウハウが現状不在で、ABLの普及に限らず、工場設備の減損会計の適用でも大きな支障となっているが、今後、評価業務における新たなマーケットとなる可能性を秘めている。

そのような中、私が会長を務めている日本資産評価士協会にて2013年10月30日(水)- 2013年11月3日(金)の5日間の日程で東京にて「ASA国際資産評価士(機械・設備)養成講(ME201・202)」を予定している。

当協会ではASAの機械設備評価士資格の取得講座の日本語化にいち早く着手し、2011年より国際資格取得に向けた日本語による養成講座を提供しており、本講座では、ASA本部から経験豊かな認定講師を招き、日本語環境での講義を行う。

この講習を通じ、IFRS(国際財務報告基準)及びIVS(国際評価基準)に準拠した機械設備の評価理論及び実務を修得し、グローバルスタンダードに基づく機械設備の評価ノウハウを修得することができる。興味のある方は以下をご参照されたい。

http://www.jasia-asa.org/pgm/ME201202.html

ASA(米国鑑定士協会)について
ASAは首都ワシントンに本部持つ、1936年に創設された非営利の業界自主団体で、米国の鑑定業界では最も古い教育・資格団体である。

不動産、動産、機械設備、事業(含む知財)、美術品、宝石等それぞれの専門分野での鑑定に関する教育と資格を提供し、特に、動産、機械設備、事業評価の分野に於いては高い信用力を有する。ASAの鑑定教育・資格は、東欧、中国・その他アジア諸国、オセアニアにて広く受け入れられている。現在国際財務報告基準(IFRS)に合わせて現在作成されている国際鑑定基準(International Valuation Standards)についても、米国を代表して中心的な役割を果たしている。
また、英国のRICS(Royal Institute of Chartered Surveyor)との協定により、資格の相互性が合意されている。

ASAサイト http://www.appraisers.org/ASAHome.aspx


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中古住宅 環境要因も重要


 本年6月19日に国土交通省が発表した「住宅政策の最近の動向」によれば、「中古住宅と新築住宅を併せた住宅流通市場に占める中古住宅の流通シェアは13.5%(平成20年)であり、欧米諸国と比べると1/6程度の低い水準にある。それでも中古住宅流通シェアは年々大きくなりつつある。」としています。

 ちなみに、中古住宅の流通シェアの国際比較では、米国90.3%、イギリス85.8%、フランス64.0%であるとされています。

 統計の調査機関や調査目的によって、微細な数値のズレがあるかもしれませんが、これによると欧米諸国では全住宅流通市場に占める中古住宅の流通シェアが圧倒的に大きいことがわかります。

 日本ではマンションを取得したとか、住宅を購入したという表現はごく近年のことで、家を持った、家を建てたという表現は新築住宅を持った、家を新築したという意味で使われてきたように思われます。

 これに対して欧米の中古住宅流通シェアに留意すると、住宅を取得するという概念には新築住宅も中古住宅も区別がないのではないかと推察されます。

 「ヨーロッパでは住宅がレンガ造であったり、石造であったりするので、住宅の耐用年数が長い。従って、中古住宅の流通が特に多いのだ。」とどこかで説明を受けて、なるほどと気にもかけないで過ごしていました。

 しかし、米国の例を見ると必ずしもレンガ造や石造が多い訳ではないので、説明になりません。

 また、住宅流通市場の90%以上が中古住宅であるなどという市場は、現在の日本の住宅流通市場では想定できません。
 購入する住宅のほとんどが中古住宅であることを購入者は認識して購入していることになるし、新築住宅の購入機会は10%しかないことになるので、米国での住宅の購入は一般的に中古住宅の購入のことを意味するのではないかと思われます。

 日本の住宅の場合、新築住宅の方がその時代を反映するスペックを取り入れやすいし、性能や保証が表示されて見えやすいことが大きな購入要因になると思われます。

 これまで中古住宅の取引は「現状有姿」での取引が一般的であり、インスペクション(建物調査)や住宅履歴情報も未整備であったため、構造体等の建物内部を確認できず、また、補修履歴、耐震性等品質に関する信頼できる情報がなかったことも、中古住宅の購入を阻害する大きな要因であったと思います。

 リニューアルやリフォーム(維持保全)によって住宅の快適性が保証されるのであれば、住宅が新築でも中古でもかまわないのではないかと推測されます。

 しかし、住生活の快適性の外部要因としては、環境良好性や景観、学区、コミュニティの良好性等の要因があり、これらの要因も住宅購入の重要な要因となっています。

 この点ではむしろ中古住宅の方が安定的な選択指標としては判別しやすいのではないでしょうか。

 「中古住宅・リフォームトータルプラン」(平成23年3月24日策定)では、2020年までに中古住宅流通市場やリフォーム市場の規模を倍増することを目標としていますが、住宅コミュニティや環境、景観等リフォームによるスペックの高度化以外の要因も、今後中古住宅購入の大きな要因になってくるのではないでしょうか。

※平成25年9月2日付全国賃貸住宅新聞に掲載した内容です。

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2011年11月21日

バイヤーズ・エージェント(買主代理人)

 新任の前田国土交通大臣は、建設・運輸系専門紙との会見で、(平成9年の衆議院総選挙では民主党マニフェストの住宅分野を担当し、不動産仲介の両手取引禁止などを提言していたが、会見では業界が今まで積み重ねた慣行に対し、「政策的に立ち入るつもりはない」と語った。

一方で、「不動産の価値が何故高まってこないかという反省を不動産業界に持ってもらいたい。」と述べた)と報じられています。(平成23年9月9日日刊不動産経済通信)

不動産賃貸借契約を巡る契約更新料の最高裁判決を含め、近年不動産仲介業に対する見直しが話題にのぼることが多くなってきました。賃貸住宅契約更新料判決といい、仲介業務における両手取引の禁止への見直しといい、現段階ではひとまず安堵し、小康状態であるかに見えます。

しかし、今後も不動産仲介業における両手制度が維持されていくのかどうかは不透明ではないかと思われます。日本国民法では、契約の自由を原則としながらも、双方代理の契約を基本的に禁止しています。
不動産業におけるいわゆる仲介業務は代理業務にあたらない業務として位置づけられてきた結果、半世紀以上続いているのではないかと思われます。

社会経済制度の進展は、市場経済において、限りない透明性や説明責任を要求することが年を重ねる毎に強まってきています。不動産業界もこのままその例外ではいられないのではないかと思われます。

ここ50年位の歴史の中でも、不動産取引における取引価格については、かつてはブラックボックスになっていた時代もありました。地価公示制度や相続税路線価の広域化、不動産取引情報公開制度などによって、売買契約の当事者がメルクマールとして取引価格について知ろうとすれば、誰でも知ることができる時代となっています。にもかかわらずいまだに不動産業界への不透明性が問われることがしばしばあります。

私は不動産業界の不透明性が問われる大きな原因の一つは、業界では当たり前になっている仲介業務における両手取引制度にあるのではないかと考えています。

仲介業務において、買主に不利なことがあったとしても、買主に問われなければ法律(重要事項説明書)に違反しない限り、積極的に説明したくないと考えることの方がむしろ経済合理性に適合しているのではないでしょうか。

しかし、時代が進むとやがて、不動産取引において両手取引ができなくなる時代が来てもおかしくないのではないかと思われます。すでに、2002年1月に、NPO法人日本バイヤーズ・エージェント協議会(理事長 磯部裕幸氏、蠧本ヴァリュアーズ 代表取締役 不動産鑑定士)が設立されています。

そこでは、「近年の高度情報化社会の中で、インターネット等を利用して住いの情報を入手する多くの市民に対して、会員相互の協力により、住いについての相談、情報提供、教育普及活動を行い、また趣旨を同じくする諸団体と提携し、もって、住まいに関する取引の公正化を推進して、社会全体の利益の増進を図り、社会貢献に寄与することを目的とする。」としています。

 超大手不動産会社を除けば、両手取引の3%+3%の仲介手数料が得られることはまれなことではないかと思われます。中小零細企業であっても両手取引は可能性としてはありますが、もはや幻想に過ぎないのではないでしょうか。
そうだとすれば、買主の一方的な代理人としてのバイヤーズ・エージェント業務を事業として開発することもそろそろ検討すべき時代が来ているのではないでしょうか。


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2011年09月05日

IT化が社員を劣化させる

インターネットの発展とともに不動産業も急速な変革が行われ、チラシの作成、物件案内から成約・入金管理までPCやインターネットなしではやっていけないまでに普及、浸透しています。
 困ったことにIT化が進展すればするほど不動産業における実務家が少なくなり、実務能力が劣化していく側面があるように思われます。

 先日、個人所有地について売却の委任契約をいただいたので、隣接地も合わせて一体開発すべく隣接地の所有者に対し、売却依頼の委任をいただくよう社員に指示したところ、「それでは先方に手紙を送っておきましょうか。」とのことでした。

 彼は大手の不動産販売会社の社員であったこともあり、優秀な社員であるので、一瞬唖然としました。
一面識もない隣接地所有者に対し、手紙を一通送って土地の売却委任がもらえる程までに不動産業界の信用は高くないし、サンプル取引ができるほど商品が均質化しているわけでもありません。

 どうしてこの様な発想が生まれるのか、私は不思議に思いました。
 私は入社後6年間用地部に所属し、多摩ニュータウンの用地買収や都市計画一団地施設の大規模住宅団地の開発に係わってきました。

地主交渉は一年も三年もかかるケースがあります。
農家の玄関先で追い返され、信用されて縁側でお茶を飲めるまでに相当な時日を要することは、むしろ当たり前のこととして先輩達から教わってきました。

 不動産業の場合、小さくても一件で数千万円となることが普通です。
一面識もない零細不動産企業から「隣接地について売却依頼を受けたので、あなたの土地も売りませんか。」などという手紙が一通来ただけで売却委任がもらえる等とは夢にも思いません。

 この様なことがあってから、それぞれの社員や他社の社員等についても、ITの得意な世代とつぶさに意見交換すると、ほとんど実務の調査能力は無く、表面だけを仕上げるのにスピーディーな達人は数多くいるものの、法人仲介の基になる地上げ交渉や関係機関調整を手がける社員がほとんどいないことがはっきりしてきました。

 つまり、汗水をかいて泥臭い交渉をねばり強く続けるような業務は、IT社会では無駄であると考えている様です。
 不動産業界では一つの物件が成約できそうになると、どの業者が重要事項説明書を書くのか、遠慮の仕合い、押し付け合いが未だに続いています。

物件調査能力がない仲介業者が仲介料だけは均等にほしいという状況があります。
これでは商品の取引における説明責任委任は果たせません。

 不動産業は流通事業ですが、流通の対象となる商品加工ができなくなったら商売になりません。
 IT化が進行している反面で、静かに進行している現象をどこかで修正しないと、不動産業界も終焉をむかえる様な気がします。

 実験的に社員一人一人に一度は専任委任を取る業務を経験させるべきだと思います。

※平成23年9月5日全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。

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2011年08月09日

法的処理により事業者責任を明確にすべき

 「公正な社会を考える民間フォーラム」から「原発事故の損害賠償に関する公正な処理を求める」緊急提言が届きました。
 これによれば、「仮に、今回政府が提出しているような法案が、このまま国会で成立するようなことがあれば、日本は力の強い特定権利を守るため、法治主義の原則を平然と踏み外す国家ということになる。もはや日本は法治主義社会とも民主主義国家とも言い難い。

こうしたことのないよう、以下の方針に沿って、東京電力の処理を早急に進めるべきことを緊急提言する。

1.政府の「原子力損害賠償支援機構法案」は撤回し、法治主義の原則に則った東京電力の処理プランを作り直すこと。

2.具体的には、巨額の賠償債務によって債務超過が明らかになっている以上、東京電力は会社更生型の手続きに則り、事業再生と被害者への損害賠償を行うこと。これによって東電自身の責任と、東電の財産と事業による最大の弁済を行うことを明らかにし、資産売却はもちろん、株主と金融機関に明確な責任を果たさせること。その上で残る賠償債務については、国の負担で援助すること。

3.一方、被災者への損害賠償は最優先し、早急に支払いを実施すること。

4.また、電力供給に支障を生じさせないよう、国が必要な資金は供給すること。」

 呼びかけ人は八田達夫氏(大阪大学招聘教授)、久保利英明氏(弁護士)、福井秀夫氏(政策研究大学院大学教授)等となっています。また、これに呼応してジャーナリストの田原総一朗氏等20数名の著名人が名を連ねています。
 被災者、被災地域に対する東京電力の損害賠償額を考慮すれば、企業としての東京電力は実質的に破綻していることは明らかであり、このことは十中八九の人が認めているところです。

 通常の企業であれば、会社更生法などによる法的な破綻処理が行われることが一般的です。(日本航空もそうでした。)
 ところが、不思議なことに東京電力については、東電側の被災者に対する補償額が算出される前から政府が前面に出て、あたかも共同責任であるが如く、東電に対する事業者としての責任追及もないまま、国が肩代わりする様な状況になっています。

 放射能による直接的な被害や避難地域など、今後何十年に渡るのかわからない様な広範囲で深刻な被害、損害を具体的に与えています。

 経営責任、株主責任も不明のまま、国が国民の税で賠償負担をする様なことになるのであれば、被害者だけでなく国民感情もこれを許さないのではないでしょうか。

 「緊急提言」にあるように、まず第一義的には東京電力が会社更生法による法的手段により事業再生をはかるとともに、被害者に対する無限責任の損害賠償を行い、株主、金融機関の責任を明確にした上で、それでも東京電力だけでカバーできない部分について、国の負担で援助するというのが順序です。

 資本市場の原則に立ち返り、破綻処理を行って新たな電力事業の供給体制を再スタートすべきです。

 不透明で中途半端な状況を続けるのではなく、資本市場の原則によるケジメをつけて再スタートできれば、停滞感のある不動産市場も復興に向けた活性化の一歩となるものと予測されます。

※平成23年8月1日付全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。


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2011年07月12日

総合特区法案パブコメ

総合特区法案パブコメ
総合特区法案のパブリックコメントの受付が始まっています。(7月21日まで)

今年の2月15日に閣議決定されたものが法案として提案される方向になったことは喜ばしいことです。

不動産業に限らず、都市再開発やデベロッパーの実務家にとっては、今か今かと関心の高い法案です。

総合特別区域基本方針(案)によれば、「総合特区制度は、政策課題の解決を図る突破口とするため、地域の資源や知恵を地域の自立や活性化に向けて最大限活用し、政策課題解決の実現可能性の高い区域における取組に対して、国と地域の政策資源を集中することにより、国際戦略総合特区については産業の国際競争力の強化、地域活性化総合特区については地域の活性化を推進し、我が国の経済社会の活力の向上及び持続的発展を図るものである。」としています。

国際戦略総合特区については、全国で5ヶ所程度であり、地域活性化総合特区については平成21年7月から平成22年9月までに募集され、提案された数は延べ450件とされています。
人口減少や少子高齢化社会で地方経済は疲弊しており、地方の都市ではどこの街に行ってもシャッター通りや駐車場通りがあたりまえのように見られる状況となっています。

地方活性化総合特区の提案が延べ450件もあることは、それ自体大変な状況だと思われます。もともとポテンシャルの低い地域が多いので、特区をかけたら直ちに何とかなるものではないでしょうし、それなりの創意工夫と熱意が要求されるので、指定基準に適合し、指定されるプロジェクトはかなり限られたものにならざるを得ないのではないかと予測されます。

注目されるのは、地域活性化総合特区について、「東日本大震災によって被災した地域や震災の影響を受けた地域における総合特区制度の運用にあたっては、震災の影響を十分に考慮した運用を行うこととする。」としているところです。

総合特区法案は、いわゆる東日本大震災以前から立案されてきた制度であり、いわば平常時における国際競争力強化や地域活性化を目指す制度であると思われます。

東日本大震災復興には多くの特区制度を使わざるを得ないと予測されますが、総合特別区域基本方針案に定める手続は平常時の申請、規定手続を前提としており、諸制度に例外的な取扱い等、特例措置を行うために、かなり慎重な行政手続や議会手続が予定されています。

震災復興は平常時のできごとではなく、いわば非常時における対応が求められることになります。

そこで、総合特区法案に定める手続と東日本大震災復興基本法による復興対策本部などとの関連、連携がスピーディーに推進されるかが心配となります。

平成23年7月4日付の全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。



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2011年06月15日

地価公示協会に展望はない

現在の鑑定協会会員は約5,800人です。
この1/2は約2,900人となり、特別決議の3/4は約2,200人です。
実際に約2,200人の賛成を集めるのは大変なことですが、そこにはカラクリガあるのです。
各県士協会、連合会をあげて、前代未門の組織的な委任状集めをやった結果、求められた会員は、白紙委任状を出す結果となり、賛否の指示のない場合は賛成したものと見做すということになっています。
全て執行部の言いなりに議案が通ることになるのです。

歴史的に鑑定協会の設立以来、連年その様な総会を繰り返してきましたので、そのことがあたりまえで当然であると考える人々も多くなっていきたと思われます。

それでも高度成長が続いた時代は官から仕事が降って来たので、業務にあずかれるという観点から見れば、執行部にお任せしておいても何の不都合もなかったのです。だから現在の執行部も何ら悩むこともなく、白紙委任状を集めて機関決定したと信じきっています。従って、実のところ何も委任などしていないのです。

ところが、低成長時代、マイナス成長時代を向かえ、業務量が極端に減少してくると、そういうわけにいかなくなってくるのです。自分の身は自分で守らなければいけません。
自前でやれることはやるべきであるし、ケースによっては隣接職種とアライアンスを組んで新たなニーズを調査研究し、商品化するビジネスモデルを自らが創りあげていかなければなりません。

地価公示制度ができる前から、裁判所の鑑定人制度や担保評価制度はあったわけですから、その様な始点に戻って不動産鑑定制度を考えていかないと、地価公示鑑定協会の延長上には業界の展望が見えないのではないでしょうか。


tosikk at 16:25|PermalinkComments(0)TrackBack(0)日本不動産鑑定協会公益社団法人化移行問題 

公益社団法人移行議案13号に反対投票を!!

(社)日本不動産鑑定協会会長名による委任状提出のお願いなる文書は、指導部理事会の焦りが見えてむしろ悲痛に感じます。

ハードルの高い公益社団を目指したがために特例民法法人の解散にまで、追い込まれ、シャニムニ白紙委任状を集めて追認してもらおうとしているように見えます。

むしろ、戦略的に逆ではないでしょうか。まず、ハードルの比較的低い一般社団法人に移行し、その必要が認められた段階でも公益法人への移行は可能であって、移行しなければならない時期は特定されていないのですから充分慎重に会員から理解が得られるよう説明会を開くなど、対応ができたはずです。

ところが歴代執行部は連合会移行あり、公益法人ありきで検討を進めてきましたので、土壇場になって白紙委任状で乗り切ろうとしているのです。

仮に特例法人が解散になったとしていたらそれは歴代執行部のミスリードであって、一般会員が負うことではありません。会員の一人一人が公益社団法人が良いのか一般社団法人が良いのかわからないのに白紙委任状を集めて総会決定をして、一体どれほどの意味があるのでしょうか。

どちらが良いのかわからないまま、白紙委任状を提出する会員も問題ではあるが、解るような説明会を一度も開かず、検討・討議から目をそらせたまま、まず、公益法人ありきで白紙委任状だけ積み上げた総会を何年開いても協会は基盤が固まらないのではないでしょうか。

民法による旧来の社団法人、財団法人は、全て民法特例法人に移行しており、平成25年11月までに公益社団法人又は一般社団法人に移行しない場合には、解散させられます。

本年5月から一般社団法人に移行した財団法人日本不動産研究所は、民法特例法人でありながら解散させられず移行していますし、国交省関係でも(社)再開発コーディネーター協会は総会決議して次年度一般社団へ移行することになっていますが、特例民法法人は解散となっていません。

会長自らが「本会が解散とならないために」とあたかも団体の先がないが如く、会員をあおっていますが、創意工夫で解散しない途もあるのです。

今からでも遅くありません。公益社団法人移行議案13号に反対します。

tosikk at 11:33|PermalinkComments(0)TrackBack(0)日本不動産鑑定協会公益社団法人化移行問題 

2011年06月13日

取引事例 新スキームのウソ

協会脱会者が急激に増加するであろう。

地価公示の枠組を使った新スキームによる取引事例収集制度が終焉に近づいている様に思われます。

(社)日本不動産鑑定協会に、高い年会費を支払って入会しているのは、取引事例が閲覧できるからです。はっきり言えば現在の鑑定協会は実質的には地価公示協会であり、それ以上でも以下でもありません。

先月の理事会で、地価公示の代表幹事でもある理事から、「現在の取引事例新スキームは地価公示制度の枠組みで行われているので、契約上原則的には地価公示のためにのみ使うことになっている。一般不動産鑑定に使うためには別途契約が必要である」旨の説明が行われたと聞いています。

私は理事会に出席していませんので、真意はわかりませんが、仮に事実だとすれば「今更何を言っているのか」と言わずにはおれません。

新スキームのスタートにあたって、当時の執行部は「地価公示スキームで社会的に雑巾がけをすることによって、一般鑑定でも取引事例が使えるから」と説明し、事実ここ数年そのように運営されてきました。

すると当時の執行部(今もほとんど同じメンバー)は、契約上明らかなのに、ウソをついていたことになりませんか?

(社)日本不動産鑑定協会の会員は、2008年から2011年にかけて、200社(人)近くが脱会しています。大手鑑定機関でも約40名の大量退会があったと聞いています。

つまり、この4年間で毎年50人づつ退会が続いているのです。
たとえれば、長野県鑑定士協会(約52名)規模の協会が、4団体脱会した人数ということになります。

この事実から鑑定受注が激減し、協会の年会費すら支払えないような状況に鑑定業界が落ち込んできたということを、執行部はつぶさに見る(認識する)べきだと思います。

ただでさえその様な状況にあるのに、その上一般鑑定には地価公示取引事例は使えない等ということになったら、鑑定協会に入っているメリットはないので、個人業者だけでなく、大手鑑定機関も脱会が加速度的に増大するであろう。自らノウハウや商品開発を続けられる大手鑑定機関にとって、取引事例閲覧以上のメリットが現在の協会にないからです。

その結果どうなるのか、協会に残った会員がますます思い負担を担わざるを得ず、会費の値上げと脱会のスパイラルに陥るのではなかろうか。

執行部自ら自滅の道を選んでいるとしか思われません。


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2011年06月10日

公開質問状

■新スキームによる取引事例収集と利活用について

新スキームによる取引事例の収集については、鑑定協会側の利活用も含めて、地価公示だけでなく、一般鑑定にも利用できるということで、地価公示担当者のみならず、鑑定事務所、事務職員も含め20kmでも30kmでも車を飛ばし、危険を冒しながらも取引事例カードの作成をしてきている。
私はかねてより、地価公示制度の抜粋で取引事例を収集している限り、鑑定協会による独占的利用は無理であるとの主張をしてきたところではあるが、今回「契約上は新スキームによる取引事例は原則的には地価公示のみに使用できるだけである。」旨、理事会で説明があったと聞く。そこで、

1、当局との契約書を協会メルマガで会員に知らせるべきである。

2、契約上明らかであることを数年間に亘り、全会員に明らかにできなかった理由は何か。

3、地価公示に直接使用しないマンション事例は何のために集めさせられるのか。

4、現に一般鑑定で利用してきたことは協会と国交省地価調査課が闇で行ってきたことにならないか。(閲覧料を取っている)

5、今後閲覧料を取り続けることは鑑定協会の事業収入となり、事業収入が1/2を越えた場合、公益社団法人への方向と矛盾しないか。

6、事例収集も地価公示も鑑定協会が自前でやる方向は考えられないか。


■新スキームに関連するソラン(株)について

1、新スキームに関連するソラン(株)に、毎年数千万円の費用を支払い、次年度では本会と士協会で8,000万円もの支払いを必要とすると聞きました。
一般会員から見ると、協会がソラン(株)の食い物になっていると思われても仕方ありません。そこで、下記について明らかにしてほしい。

 (1)ソラン(株)という団体の設立経過 役職員名簿

 (2)協会との契約内容

 (3)具体的な業務委託内容と社員給与等

 (4)今後とも運営管理に8,000万円もかかるなら、ソラン(株)をM&Aする考えはないか。

 (5)(4)ができないのであれば協会が自前でソフトを開発したらどうか。


tosikk at 13:59|PermalinkComments(0)TrackBack(0)日本不動産鑑定協会公益社団法人化移行問題 

2011年06月08日

白紙委任状による形式的な総会決定にいかほどの意味があるのか

■白紙委任状による形式的な総会決定にいかほどの意味があるのか

(社)日本不動産鑑定協会のメルマガ「総会の主要議案に係るQ&Aについて」によれば

公益法人への移行について説明が不足しているのではないかとのQに対し、これまでに「公益法人制度改革への対応方針について(第一次報告)」(平成19年3月20日)同(第二次報告)(平成20年9月8日)として会員に報告するとともに、これらの手続きを踏んで昨年の総会で公益社団への移行をすることと決定していただいたものです。としています。

こういうのを形式主義というのです。ほとんど全ての会員が公益法人でなくてはならないメリットや一般社団法人ではいけないデメリットについて理解していないのに(具体的にアンケートでもしてみるがよい。)昨年の総会で公益社団への移行することに決定されたといってみたところで実質は何も変わらない。

白紙委任状を集めて総会だけ通してみても会員が理解していないのではどうにもならないのではないでしょうか。また「総会委任状提出のお願い」という協会文書では「公益法人に移行することが本会にとって最善の方策と判断されるので」としていますが何故最善策なのかについては論議も文書も説明会もあった訳ではありません。会員がわからなければ協会運営の基盤そのものがあやしいのです。

会員がいて執行部があるのであって、執行部が判断しても無意味なことです。歴史的に見ると、全ての本会総会が連年白紙委任状で成立決定されてきているので、どのくらい協会運営が危うくなってきているかについて執行部自体に認識がないのです。

各県の士協会会長に対して、会員数の1/2×1.2の委任状集めのノルマをかけているのだから特別決議も通ることは通るでしょう。一般社団と公益社団の異いやメリット、デメリットについて一般会員が理解していないのに白紙委任状を集めて出席者の数十倍の委任状で総会決議をしたところで、一体どういう意味があるのかについて執行部も真剣に考えなおすべきではないかと思います。

つづく


tosikk at 13:54|PermalinkComments(0)TrackBack(0)日本不動産鑑定協会公益社団法人化移行問題 

2011年05月24日

国際資産評価士(機械・設備)養成講座 第二次追加募集のご案内

国際資産評価士(機械・設備)養成講座 
第二次追加募集のご案内

一般社団法人日本資産評価士協会では、米国鑑定協会(ASA)との提携により、国際資産評価士(機械・設備)の養成講座を下記により開催します。


1、開催年月日
  ・ME201 6月22日(水)・23日(木)
・ME202 6月24日(金)・25日(土)26日(日)

2、講座時間 毎日 9時30分から17時30分まで
       ただし、26日(日)は試験日につき、午前中に終了する予定。

3、開催場所 国際基督教大学(ICU)  (東京都三鷹市大沢3−10−2)

4、費用 JaSIA会員 : 1コース 1講座52,500円×全4講座 一括189,000円
      Jasia非会員: 1コース 1講座73,500円×全4講座 一括264,600円

5、詳細 ホームページ http://www.jasia-asa.org/
6、参考 
 公共事業が激減する時代状況の中で、2015年に予定される国際財務報告基準(IFRS)の実施によって、企業会計が時価会計に変更されることになっており、機械設備の評価制度は日本にはないので、ASAの資格はきわめて有望な国際資格となっています。

既に第一次が4月24日・25日・26日に開催されており、約60名の方が先行していますが、今回はME201・ME202の講座を連続5日間で終了することになっています。

日本資産評価士協会会員が受託した機械・設備評価例は、
 ー動車工場へ資金融資のための工場財団の組織
 半導体のオフバランスの時価及びセール&リースバックによる2年後の改定価格。
 I力発電の第三セクター化に伴う資産評価
 せ業承継に係る、個人所有冷凍機設備の売却価格
 ィ諭Aにおけるブレス機械(1億円)の時価評価

東京都新宿区新宿1−12−12
一般社団法人 日本資産評価士協会
会長 平澤 春樹



tosikk at 17:25|PermalinkComments(2)TrackBack(0)セミナー等 

2011年05月17日

法政大学不動産鑑定士橙法会 記念講演会

■記念講演会 先着80名限定
                    
私の所属する、一般社団法人法政大学不動産鑑定士橙法会(代表理事 田邉 勝也氏)の
記念講演会について下記の通りご案内申し上げます。
 
(社)法政大学不動産鑑定士橙法会の第10回総会後の記念講演会に時代のニーズに即応した
テーマである「未利用容積の移転」の第1人者である財団法人日本不動産研究所理事で
不動産鑑定士の福本泰氏をお招きし講演して頂きます。東日本大震災の復興でも総合特区制度
の活用が検討されており、未利用容積の 移転も都市再生における大きなテーマとなってくる
と思われます。不動産・建設に携わる方々にとって は大変実のある成果が期待できます。
どうぞ多くの方々をお誘いの上ご参加下さい。               
                   
 記

1、開催日時 平成23年6月6日(月) 午後 18:00〜19:00(終了後に懇親会)
2、場所 法政大学 ボアソナード・タワー 26階 スカイホール 
3、主催者 一般社団法人法政大学不動産鑑定士橙法会
4、テーマ 「未利用容積の移転について考える」
5、講師 財団法人日本不動産研究所 理事 不動産鑑定士福本 泰 氏
 ※ 略歴下記
6、会費 5,000円(講演会3,000円及び懇親会2,000円当日支払い)
7、申し込み締切日 平成23年5月20日
8、定員 会場の都合上先着80名にて締切らせていただきます。
9、申込のFAX 03−5759−1687 トーエー不動産鑑定
  必ずFAXでお願いします。

―別記―
 (経歴)●氏 名  :福本 泰(ふくもと やすし)氏
    ●生年月日 :昭和23年6月18日
    ●出 身 地:東京都
    ●現 職 名:(財)日本不動産研究所 理事
    ●学 歴  :昭和48年3月 東京教育大学(筑波大学)大学院農学研究科修士課程終了
(修士論文:ハインリッヒ・フォン・チューネンの地代論に関する一考察)  
      (資格)不動産鑑定士、再開発プランナー、補償業務管理士
      (公職等)資産評価政策学会理事、(社)不動産活用促進機構常務理事
       青山学院大学総合文化政策学部 非常勤講師


参加申込みは以下の項目を(FAX 03−5759−1687)トーエー不動産鑑定まで。

■会社名                                         
■お名前                                         
■お電話番号                                                 
以上 ご案内させていただきました。



tosikk at 15:55|PermalinkComments(0)TrackBack(0)セミナー等 

2010年03月09日

踏み出した時価会計

 月刊不動産経済通信(2010年2月16日)によれば、「鑑定協、賃貸等不動産会計巡り実務指針〜時価開示が不要の場合も、判断は企業側〜」との記事が掲載されています。

 これによれば、「日本不動産協会は、国際会計基準(IFRS)とのコンバージェンスを受け、上場企業が2010年3月期以降の決算から適用スタートする新・不動産会計基準『賃貸等不動産会計』に関する不動産鑑定実務指針をまとめた。 ―中略― 賃貸等不動産の総額(時価ベースでの総資産における賃貸等不動産の割合)について、原則的時価算定(不動産鑑定)またはみなし時価算定(簡易査定)により、企業自らが総額を巡る「重要性」を判断する。

「重要性が乏しい」とした場合、賃貸等不動産の時価開示は不要となる。」と報道されています。
 これは2008年11月に公表された「賃貸等不動産の時価等の開示に関する会計基準」によって企業の所有する賃貸不動産や遊休不動産を時価評価し、その結果を「注記」の形式で貸借対照表上に開示することが求められています。

 経済の国際化に伴って、諸国間の会計基準のコンバージェンス化(収斂)が急速に進められています。市場原理主義や過度なレバレッジなど様々な批判を受けながらも、国際会計基準への統合の方向は変わらないのではないかと思われます。

 日本経済だけが国際化の外側にいることができないからです。
 金融商品の一部を除いて「時価評価」になじまないとされてきた企業資産(土地、建物、工作物、機械設備、商品、特許権、商標権、ノウハウ、著作権、のれん等)のほとんどについて、今後の資産評価の潮流は時価評価を行っていく方向になっていくものと予測されます。
 私は漠然と企業の含み益はあることが望ましいと思っていました。

しかし、それは取得原価である簿価と企業資産の時価との間に乖離があることを前提にしており、会計帳簿が真実性を反映していないことの裏返しでもあります。
 また、企業の保有する機械設備はオペレーションやメンテナンスを適切に行えば、その耐用年数は長くなります。高度化し熟成した社会やエコの社会では、物を大切にすることが益々必要になっています。

 ところが、耐用年数を一律として求められている償却後の機械設備価格にはほとんど科学的な根拠がなく、実際の使用価値とは関係がありません。
 この様な状況は賃貸等不動産や機械設備だけに特有な問題ではありません。

 企業資産のそれぞれの資産価値の合計がその企業全体の企業価値になります。企業の保有するそれぞれの資産の取得原価に耐用年数による償却率をかけて求めた合計額が、全体の企業価値になるとは限りません。取得原価=時価そのものが変化しているからです。

 経済の発展状況や制度・歴史の異なる関係各国が統一的な会計指標に向けてコンバージェンスしていくことは、経済活動の国際化にとって合理的であり、賃貸等不動産の時価会計はその一歩であると思います。

※平成22年3月1日付全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。

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2010年03月04日

東京地価、上昇に転じたか

このほど不動産鑑定士市場賃料研究会(東京都新宿区 代表筆者)では、東京地価指数2009年12月号をとりまとめました。東京の住宅地について、2000年平均を基準として月次で発表している地価インデックスです。(今年で10年目)

 調査方法は、建売住宅の売却物件を全都的に大量に収集し、ここから建物価格を控除したものを土地価格と推定して、その推移を指数化し、月次でとらえたものです。
 これによれば、2008年1月をピークに東京都内の住宅地の地価は下落を続けてきましたが、直近の1年についてはほぼ横ばいとなっています。

 調査の対象となっている都内144駅の徒歩10分圏の各住宅地の価格は、ほとんどの地域で下落が続いていますが(東京都全域前年比△8.2%)、ブロック別に見るとアトランダムな地価推移の動向が窺えます。

 特に直近3ヶ月間の平均地価と08年の平均とを比較すると、東京都全域で1.2%の上昇となり、そのうち東京区部都心部(千代田、中央、港、新宿、文京、台東、渋谷、豊島)では、前年比7.1%の上昇となっています。

 その他の地域でも、区部南西部△2.1%、区部北東部△0.6%、北多摩地域△2.0%、南多摩地域△2.2%となっており、昨年に比較して急速に下落率が緩和する傾向にあります。

注目されるのは、西多摩地域の動向で、09年4月頃から上昇が始まり、直近の09年9月からの3ヶ月間の平均では前年比12.3%の上昇となっています。

この地域は近年、地価水準の下落が激しく、地域の総取引件数も減少し続けていましたので、相対的にやや問題点もありますが、08年に収集された総取引件数120件に対し、09年では200件に増加しています。

西多摩地域の調査ポイントは、JR青梅線河辺駅から徒歩10分の住宅地となっています。この地域の上昇要因は、都心部からの距離がほぼ同じと推測される八王子地域については、最寄り駅からのバス便が多く、交通渋滞により通勤時間が読めない難点があることに比較して、東京駅から立川駅を経て青梅線に入る特別快速による影響と、限界住宅地域で価格水準が低下していた地域で、本来であれば2棟現場とすべきような物件を3棟現場にする等の工夫をして、総額を抑えることにより、結果的に土地価格相当部分が上昇する様なことが要因として推測されます。

サンプル数も相対的に少ないので、確定的な事実となるまでには今しばらく注目する必要があります。

 さらに特筆されるのは、東京における地価変動は、まず都心部が上昇し、これが台風の目のように時計回りで区部南西部、区部北東部へと波及し、さらに多摩地域に波及するという法則が繰り返されてきました。

 今回は最も価格水準の低い地域から上昇が始まっており、私の40年余りの鑑定経験の中でも経験したことのない現象です。この統計を始めてから始めてのことであり、驚いています。
 限界住宅地が底値に近くなったことは確かだと推測されます。

※平成21年2月15日付全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。

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2010年03月03日

格付けと鑑定評価における中立性

 Q&A格付の仕組み―“準公共財”としての格付のゆくえ―(三國仁司著 (社)金融財政事情研究会刊)によれば、そもそも「格付けとはどういうものですか」とのQに、
「A,格付けとは、簡単にいえば、格付けの対象となるものを選び、それを一定の基準で評価し、評価の結果をなんらかの「ランク表示」として表したもの、ということになります。そのようなランク表示は、「優・良・可」や「A・B・C(金融取引や金融商品のように、さらにその数の多寡と組み合わせて表示する場合を含みます)」、あるいは「星の数(たとえば、ミシュランのレストランガイド)」のように、一見してわかりやすいものが選ばれるようです。」と答えています。

 米国における低所得者向けの住宅ローンを証券化したサブプライムローンの破綻や、エンロン破綻においても、格付け機関における評価姿勢や中立性のあり方が強く批判されてきました。格付け機関に限らず、依頼者から報酬をもらいながら依頼者側からの要望をどこまで受け入れるのかという専門職の中立性、独立性などの問題は古くて新しい問題です。

 依頼者の要望・利益を可能最大限に尊重することが社会正義とつながる弁護士を除けば、ほとんどの士業では依頼者から報酬をもらって業務を行っていますので、そもそも中立性や独立性になじむのかという論議があります。

 不動産登記の場合の様に、登記が可能になる形式的な要件が厳格に定められている場合、そもそも要件に該当しなければ登記自体ができないので、初めから中立性の問題は少ないように思われます。

 格付け評価においても、不動産評価においても、何らかの評価基準があって格付け評価や不動産評価を行っています。

格付け評価では定量的な評価が必ずしも義務付けられていませんが、不動産鑑定評価は定量的な金額評価を義務付けられています。

 “格付け”の法律的な意味は「格付機関の意思表明にすぎない」と聞いたことがありますが、前掲著者の三國仁司氏によれば、「格付けの評価基準(=尺度・物差し)はいくつもあるのですか」とのQに対し、
 「A,格付けが「債務履行の確実性(=1−不履行確率)」を評価するものだとしたら、評価基準(=尺度・物差し)はそれを示すことができるものが1つあれば十分です。

しかも、それは資金提供者や投資家にとって差異を理解しやすいものでなければなりません。したがって、不履行確率(PD)ということになります。逆にいえば、PDという基準で評価できないものは、金融取引の格付対象とするにはふさわしくないこととなります。そして、PDで評価できるのであれば、格付けのランク体系は1つあれば十分です。―中略―」と言い切っています。

 評価目的別に評価基準がいくつあったとしても、中立的で信頼性の高いものが市場で選択されることになるので、格付け・評価にとっての中立性は重要で必須の要件であると思います。

※平成22年2月1日付全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。


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2010年02月16日

地価公示制度も民営化の時代か

 不動産市場に関する情報量はこの十数年間で想像できなかった程に拡大し、透明性が高まってきています。

 特にJ−REITの上場に伴うエンジニアリングレポートや不動産鑑定書の添付など、投資家に対する説明責任を適切に果たすための必要性が社会的に求められてきたためと思われます。

 不動産業界は、これまで不透明業種の代表格のように言われていましたが、近い将来、その様な汚名は返上できることになるのではないかと期待しています。

 情報の閉鎖による事業展開ではなく、性能と品質管理による業能の拡大が一段と進むものと思われます。逆説的には、(財)不動産流通近代化センターの業能近代化の役割が終焉することになれば良いと思います。

 不動産市場に係る情報のうち、地価情報に比較すると地代、家賃の情報はまだ圧倒的に少ないと思われます。

 不動産の価格を元本とみなせば、地代家賃はその利息であり、不動産価格を投下資本とみなせば収益の基礎です。従って、地価情報と家賃情報は裏腹の関係にあると思われますので、地代、家賃の統計が皆無に近い状況は片手落ちではないかと私は思っています。

 ところで、地価インデックスでは、(財)日本不動産研究所が発表している全国市街地価格、指数、六大都市市街地価格指数が継続性において有名です。この地価指数は調査地点も調査方法も公開していませんが、信頼性が高く、多方面で利用されています。

 平成18年から始まった国土交通省の不動産市場の透明化、活性化を目的とする不動産取引価格情報が公表されている「土地総合情報システム」には平成21年10月時点で約68万件の取引価格情報が提供されており、アクセス件数も膨大な量になっていると発表されています。
 地価インデックスは国や財団法人の発行するものだけでなく、

〔鄲璽◆璽丱鵐優奪箸痢崕斬霖話浪繊廚函崔羝泥泪鵐轡腑鷁然福廚瞭宛
∋依Д轡好謄爛▲廛譽ぅ競襪痢峪依地価インデックス」
三井不動産販売(株)の「リハウス・プライスリサーチ」
ぅ螢ルート・IPDジャパンの「リクルート住宅価格指数」
イ澆困杰託銀行等の「RENEX」
ε豕カンテイの「中古マンション価格指数」
不動産市場賃料研究会の「東京地価指数(住宅地編)」

等々、20数グループのインデックスが発表されています。これらの地価インデックスは、その特徴により、その利用目的によって利用者側で選択して使用しています。

 これらの民間機関が発行する地価インデックス等に比較すると、地価公示価格の連年対比指数はかなり精緻なものとなっており、地点も公表されているにもかかわらず、膨大な費用の割に人気が今イチではないかと思われます。

 一般的に調査内容が精緻になるに従って、その調査費は増加します。

 地価インデックスを国家がどんなに精緻にしても利用を強制できるわ
けではありません。

使い勝手の良いものを利用者が選択して行けば良いのではないかと思います。
 日本勧業銀行の調査部の統計を継承した(財)日本不動産研究所の市街地地価指数と同様に、地価公示制度も民営化しても良い段階にきているのではないでしょうか。

※平成22年1月18日付全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。

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2009年12月24日

良い年を創りましょう。

今年もご愛読いただきありがとうございました。

今年は政権交代があり、大変な年でした。
鑑定文化の創造のためにいくつかの提言を続けていきたいと思います。
年間のインデックス(以下に掲載)を見ると、業務領域の拡大が必ずしも業務量の拡大に
直接的に結びついていないことを感じます。

個別、具体的に掘り下げる努力をしたいと思います。良いお年を。

(送信日) (タイトル)
12/21 容積緩和分は規約共用部分ではないか
12/18 不動産戦略アドバイザー認定制度の紹介
11/20 いよいよ始まった鑑定業界の海外進出
11/6 課題になる事業設備(プラント)評価
10/20 事業中止の生活再建補償
10/4 専門職の活動領域の国際化
9/25 農地制度の見直しと不動産鑑定
9/8 まだできる即売マンション
8/19 復活するか、REIT市場
8/12 不動産鑑定業法違反にはならないか。
8/11 自発的策定各種指針 その3
8/10 事業再生ADRへの期待
8/6 自発的策定各種指針 その2
8/5 自発的策定各種指針 その1
8/3 旧態依然の不動産鑑定士に「明日はない」
7/23 地域づくりの紹介
7/9 不動産鑑定士の仕事
7/8 渋谷新文化街区着工
7/1 不動産活用促進機構 セミナー開催
6/17 地籍調査促進へ
6/15 東京・新築マンションの利回り
6/4 不動産市場は金融制度でできている
5/28 長野県不動産鑑定士協会の快挙
5/8 不可解な建物固定資産税
4/21 事業再生には任意売却と機械設備評価インフラが必要
4/13 不動産任意売却促進法案
4/1 お知らせ エコノミスト4/7号特大号
4/13 不動産任意売却促進法案
3/26 PRE(公的不動産)戦略の紹介
3/19 制度設計に収入目標を
3/6 信託スキームによる不動産管理業の拡大
1/2 無形資産が企業価値を決める
1/20 地価指数、2000年比30%下落の住宅地も
2/19 東京地価指数からみる08年総括 3 (全3回)
2/13 東京地価指数からみる08年総括 2 (全3回)
2/12 東京地価指数からみる08年総括 1 (全3回)
2/10 特集「家賃崩落」都心で始まった
1/30 不況で進むCRE(企業用不動産戦略)
1/29 進まぬPRE(公的不動産戦略)
1/19 セミナー「不動産業及び関連業の『倒産局面ごと』への緊急対策」
1/16 建替え決議による借家権消滅請求制度
1/14 明るい競売PT その5
1/9 明るい競売PT その4
1/8 明るい競売PT その3
1/7 明るい競売PT その2
1/6 明るい競売PT その1
1/5 あけましておめでとうございます

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2009年12月21日

容積緩和分は規約共用部分ではないか

 建物の容積率について、建築基準法の施行令では、「第1項第4号ただし書きの規定は、同項に規定する専ら自動車または自転車の停留、または駐車のための施設の用途に供する部分の床面積については、当該敷地内の各階の床面積の合計(同一敷地内に二以上の建物がある場合においては、それらの建築物の各階の床面積の合計の和)の5分の1を限度として適用するものとする。」として、建物を建築する場合に全体容積率の20%までを駐車場とする場合には床面積に算入しないこととして、全体の容積率を緩和しています。

 ところが、建築基準法と不動産法が連動していないので、社会的にいくつかの問題が発生しています。例えば、デベロッパーがマンションを建てる場合には駐車場を設置して、容積率の緩和を受けることが一般的に行われています。

 私の考えでは、建物全体で容積率の緩和を受けて設置された当該駐車場部分は、区分所有法上は規約共用部分とすることが当然であり、合理的であると思います。

 しかし、実際にはデベロッパーが専有部分の登記を自ら行って、自己所有しているケースが多々あります。その方が経済的利益が大きいからです。その結果どういうことが起きるか。

 デベロッパーは、容積率緩和を受けた駐車場を販売計画から除外して、自己の専有部分とします。この自己が専有する駐車場部分を店舗や事務所に用途変更をして、更に収益を上げる等ということが行われています。

 私の関連するマンションでも同様のことがあり、一審の地方裁判所は原告住民側の敗訴としています。原告弁護士の訴訟技術上の問題もありますが、建築基準法の駐車場から店舗への用途変更は、本来、管理規約により管理組合の決定を受けて、建築基準法上の諸手続を得て行われるべきものです。

当該部分が専有部分であったために、管理組合=一般市民が知らないことをよそに勝手にできたに過ぎません。

 この様に建築基準法違反が容認されるような判決は社会的に有害です。
 駐車場用途から店舗に変更したのは明らかに建築基準法違反です。従って、違反の事実に基づいて発生した収入部分は不当利得です。

 こんなことがどうして起こるかと言えば、建築基準法と区分所有法が連動していないからです。容積緩和を受けて設置された駐車場は、現行区分所有法では当然には規約共用部としなければならないことになっていません。

また、建築基準法上は建設された建物の用途が駐車場であれば良く、その所有が共用部分であるか専有部分であるかは問われません。だからと言って、全体で容積緩和を受けて設置された駐車場部分を専有登記して、勝手に店舗に用途変更する様なデベロッパーが正しいわけではありません。

 そこで、容積緩和を受けて設置した駐車場部分は集会所等と同様、規約共用部分とするよう、区分所有法の改正を行うべきであると私は思います。

 それにしても、実務の世界では違法性が誰にも見えるのに、裁判官にだけ見えない様では何のための裁判所かわからなくなります。(もっとも二審の高裁では、さかんに和解が勧告されている模様。)

※平成21年12月21日付全国賃貸住宅新聞に掲載されたものを転載しています。


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