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「ちょうどの学習×ちょうどにする指導」の「自学自習と教材の力」(p229〜389)の「数学教材から考える:教材と指導の一体化」(p342〜389)を読みました。(小林教室収蔵

《以下引用(p383)》
すこし以前に評判になった本に、リヒテルズ直子氏の『オランダの個別教育はなぜ成功したか―イエナプラン教育に学ぶ』(2006)がある。指導現場とバックヤードでおこなう指導サポートや教材制作の関係にオランダがどうとりくんだかの現場報告が書かれている。…
《引用終り》

この本、絶版のようですが、オンデマンド版があるようです。アマゾンで入手できるようなので、いま発注しました。

《以下引用(p385)》
戦後復興を成功裡に終えたオランダでは、高度成長のあと、旧秩序や旧体制を批判する動きが活発化し、伝統的なキリスト教倫理にささえられた旧来の社会が部分的に崩壊しだす。

とくに旧い画一的な教育では、同じ内容をただ反復するという授業形態が留年の原因になっていること、また、留年する子どもはわかっていない部分をもういちど学ばせるために、わかっている部分もくり返して学ばなければならない、という非効率な教育がおこなわれていた。こうした状況に対して、1965年ごろから学生を中心に批判の嵐がまきおこる。従来のように学習内容を学年ごとにヨコに決めるのではなく、タテに、つまり子どもの発達を、学校就学期間全体をつうじて継続的にとらえ、より包括的な形で組織していくべきだという意見が出されたのである。

自分の子どもをオランダの地方都市の学校に転入させようとしたときに、著者はおどろく。地方都市といえども、「自宅に一番近いところの学校に通わせようと思っても、歩いて買い物に行けるほどの距離のところに3つや4つの学校があるのがあたり前で、子供が自転車で通える範囲まで含めると、容易に10校前後が候補としてあがるのが普通だからです。選びたくなくても選ばざるを得ないのがオランダの小学校です」。

なにも同じ教育に統一する必要は、少なくとも子どもの側にはない。オランダではすでに憲法を改正して、教育の自由が確立していた。市民団体であっても、独自な理念や方法に基づいて学校をつくり、公立校と同様に国庫補助金を得て、教育活動が展開できるのである。オールタナティブ教育が受け入れられる素地ができあがっていたのだった。

オールタナティブというのは、従来型の教育法に対して代替的な方法を提唱するさまざまな教育思想家によってつくられた教育、既存の教育にとって代わる別の教育、という意味である。ここで既存の教育といわれるのは、長いあいだ習慣とされてきた、同じ年齢の子どもを一つの教室にあつめ、先生が教壇に立って、おもに一方通行で知識を伝達し、子どもはそれを受け身的に習うという形式の教育のことである。

こうして比較的小さな学校が街の辻にならぶという、日本ではちょっと見られない光景ができあがる。カトリックの学校、プロテスタントの学校、モンテッソーリの学校、シュタイナーの学校、イエナプランの学校(学校を協同社会として位置づけ、部分的ではあるが、無学年制をしく。集団学習と個別指導を両立させるユニークな教育をおこなう)、という具合である。もちろん、行政もこの動きに積極的にからむ。
《引用終り》

つまり、学習塾のように、学校が町に点在しているということですね。

《以下引用(p386)》
1976年には「国立カリキュラム開発研究所」ができた、そして、「教育サポート機関」が全国各地に公費で設置された。国家事業として、教材の開発、制作、そして、指導法の研究、支援が組織的におこなわれたのである。学校の指導者に自由裁量権をもたせたがゆえに、教材開発など、バックヤードの仕事との関係も構築されていった。移民を積極的に受け入れてきた国柄である状況から反転して、まったく新しい教育行政の道をひらいている。

こうしてオランダの学校では、「個別教育」をベースにして、このほかに、自分の進度に応じてどんどん挑戦的に先にすすんでいく「自立学習」と、ほかの子どもたちとの相互学習をつうじて、その関係の築き方や役割分担の仕方などを学ぶ「共同学習」がおこなわれるようになる。自分の発見や関心事をほかの子どものそれと比べることによって、おたがいの性格や適性の発見につなげていく考えである。これら3つの、方法のちがう教育をじょうずに組み合わせて、子どもの発達を多方面からはぐくむのだ。個別学習や自立学習があってはじめて、共同学習が成り立つ、これは新しい学力観を提示し、「総合的な学習」を取り組もうとして、道半ばで頓挫したわが国の教育行政に大きなヒントになるのではないだろうか。
《引用終り》

それぞれのお国柄があると思うので、日本でオランダのような方法が実現できるかは分かりません。わが国の場合は、行政が絡むと本来の目的から遠ざかってしまうような気がしますし。逆に、オランダの学校のように町に点在している学習塾がそれを担っていくべきなのかもしれません。

そもそも、公文式は創立時からそれを目指しているということかもしれませんが。



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