2016年03月14日
トルコ国・スペイン国の訪問レポート
H.28.02.21
「トルコ国・スペイン国の訪問レポート」
文教委員長 立谷 誠一
平成27年10月11日から18日迄の日程で、仁坂知事・前芝議長そして私（文教委員長）の3名でトルコ・スペインの両国を訪問いたしました。
現在から遡ること125年前の1890年9月16日、日土親善のため来航し明治天皇に接見してその帰途、日本近海に到達していた台風の時化に煽られ、串本町大島地先の岩礁に打ち付けられトルコ海軍所属のエルトｳ―ルル号は沈没した。600人程の乗組員の内500名余りが水死し、69名が島民の献身的な救助活動により命を取り留めた。この事件の顛末は、その後トルコ国民が知るところとなり、大島島民の村を挙げての救助活動が、後年トルコ国では子供たちの学校の教科書にも掲載され、語り継がれて来たという。従ってトルコ国民が日本国に寄せる感情は大変友好的で暖かいと仄聞している。
今回の訪問は、エルトｳ―ルル号遭難事件を素材とした映画「海難1890」の完成を踏まえ、トルコと和歌山県の友好の絆をさらに広め深めていくことを目的のひとつに位置づけている。関西国際空港から首都アンカラへの直行便は無く、まずヨーロッパへのハブ空港であるイスタンブール空港に向かう。日本との時差は約6時間。イスタンブール空港では在トルコ総領事館職員の出迎えを受け、そして首都のアンカラへ向かう。
まずアタチュルク廟を訪問し献花をする。アタチュルク廟はトルコ共和国建国の父と言われている初代大統領ムスタファ・ケマル・アタチュルクのお墓である。石灰岩を敷き詰められた広場を通り、ひと際高く設置された「廟」へと石畳の階段を上り、廟を守る兵士に見守られ厳粛な規律の中、知事と議長が献花をして記帳台で訪問の記しとして記帳をする。その後トルコ海軍省に於いてビュレント・ボスタノール海軍総司令官主催の昼食会に出席する。司令官からはシリアとトルコの関係の説明があった後、「200万人のシリア難民はトルコにとって大きな問題である。日本とトルコの友好関係をもっと深めたい。来年海上自衛隊の長官が来られることを楽しみにしています。」といった挨拶があった。夜は土日基金文化センターに於いてサドウクラル土日基金理事長との懇談会に臨み、引き続きエルトｳ―ルル号のセミナーに出席する。セミナーの席上、横井駐トルコ日本国大使が開会の挨拶をされ、サドウクラル理事長より「よくいらっしゃいました。エルトｳ―ルル号の映画はトルコにとっても重要と考えています。」など歓迎の挨拶があった。続いて仁坂知事より和歌山県を紹介するプレゼンテーションがあり、トウファン団長からも「遺品発掘プロジェクト」と題したプレゼンテーションが行われた。その夜はアンカラのヒルトンホテルに泊まる。ホテルは小高い丘に造られておりバスは坂を登る。途中、ポリスの車両とポリスの姿が多く見られたので「何故？」と思っていたが、後でわかったことに宿泊予定のヒルトンホテルで翌日から世界サミットが予定されていて、そのための警備だったようである。
「トルコ国・スペイン国の訪問レポート」
文教委員長 立谷 誠一
平成27年10月11日から18日迄の日程で、仁坂知事・前芝議長そして私（文教委員長）の3名でトルコ・スペインの両国を訪問いたしました。
現在から遡ること125年前の1890年9月16日、日土親善のため来航し明治天皇に接見してその帰途、日本近海に到達していた台風の時化に煽られ、串本町大島地先の岩礁に打ち付けられトルコ海軍所属のエルトｳ―ルル号は沈没した。600人程の乗組員の内500名余りが水死し、69名が島民の献身的な救助活動により命を取り留めた。この事件の顛末は、その後トルコ国民が知るところとなり、大島島民の村を挙げての救助活動が、後年トルコ国では子供たちの学校の教科書にも掲載され、語り継がれて来たという。従ってトルコ国民が日本国に寄せる感情は大変友好的で暖かいと仄聞している。
今回の訪問は、エルトｳ―ルル号遭難事件を素材とした映画「海難1890」の完成を踏まえ、トルコと和歌山県の友好の絆をさらに広め深めていくことを目的のひとつに位置づけている。関西国際空港から首都アンカラへの直行便は無く、まずヨーロッパへのハブ空港であるイスタンブール空港に向かう。日本との時差は約6時間。イスタンブール空港では在トルコ総領事館職員の出迎えを受け、そして首都のアンカラへ向かう。
まずアタチュルク廟を訪問し献花をする。アタチュルク廟はトルコ共和国建国の父と言われている初代大統領ムスタファ・ケマル・アタチュルクのお墓である。石灰岩を敷き詰められた広場を通り、ひと際高く設置された「廟」へと石畳の階段を上り、廟を守る兵士に見守られ厳粛な規律の中、知事と議長が献花をして記帳台で訪問の記しとして記帳をする。その後トルコ海軍省に於いてビュレント・ボスタノール海軍総司令官主催の昼食会に出席する。司令官からはシリアとトルコの関係の説明があった後、「200万人のシリア難民はトルコにとって大きな問題である。日本とトルコの友好関係をもっと深めたい。来年海上自衛隊の長官が来られることを楽しみにしています。」といった挨拶があった。夜は土日基金文化センターに於いてサドウクラル土日基金理事長との懇談会に臨み、引き続きエルトｳ―ルル号のセミナーに出席する。セミナーの席上、横井駐トルコ日本国大使が開会の挨拶をされ、サドウクラル理事長より「よくいらっしゃいました。エルトｳ―ルル号の映画はトルコにとっても重要と考えています。」など歓迎の挨拶があった。続いて仁坂知事より和歌山県を紹介するプレゼンテーションがあり、トウファン団長からも「遺品発掘プロジェクト」と題したプレゼンテーションが行われた。その夜はアンカラのヒルトンホテルに泊まる。ホテルは小高い丘に造られておりバスは坂を登る。途中、ポリスの車両とポリスの姿が多く見られたので「何故？」と思っていたが、後でわかったことに宿泊予定のヒルトンホテルで翌日から世界サミットが予定されていて、そのための警備だったようである。
翌日の13日は午前中、二階代議士の親書を携えて知事が、外務副大臣を表敬訪問された。我々は朝ゆっくりの出立をして、お昼の便でアンカラ空港からイスタンブール空港へ向かう。イスタンブールでは江原総領事の出迎えを受け、トルコオリンピック委員会へ向かう。委員会が用意してくれた建物の入り口がわかりにくく少し迷うことになったが無事指定された会場へ入り、ハニット・ウスタトルコオリンピック委員会副委員長、ネシェ・ギュンドアン事務局長他の出迎えを受けトルコ茶を頂きながら懇談に入った。会議終了後、日本国総領事館にて晩餐会に出席した。冒頭、ハニット副委員長から訪問前日に自爆テロが発生し100人近くの尊い人命が一方的に奪われた事件についてお詫びを兼ねて報告があり、続いて「2020年東京オリンピックおめでとうございます。私達はオリンピックが成功し、スポーツを通して世界平和に貢献したいと願っています。トルコ人として特別な心を持っています。トルコ人の殆どは日本人に愛情と尊厳を持っています。」等々の挨拶があった。
14日は午前、国立海事博物館を訪ね、エルトｳ―ルル号遺産展を視察した。博物館ではイルヤス・ガルタス館長（海軍大佐）、トウファン・トウランルエルトｳ―ルル号遺品発掘調査団長他の出迎えを受ける。
この博物館には巨大なエルトｳ―ルル号の模型や装備品等も多数展示されていて、難破した時の状況を思い描くことができた。昼過ぎには再びイスタンブール空港より、トルコ航空で次の目的地であるスペインのマドリード空港に向かい、更にイベリア航空でサンティアゴ・デ・コンポステーラ空港に向かう。
夜9時を過ぎていたが塩澤ガルシア日本協会会長の出迎えを受けた。宿泊地は1,200年前に造られた石造りのホテルである。信じられない程のその古さにビックリ。1,200年の昔からとは日本では到底考えられないことである。木造り文化で育った私にはちょっと不自由だが、泊まる宿としては特に大きな問題はない。寧ろその古さにワクワクである。翌朝6時過ぎ目が覚めた。しかし外は真夜中と感じられるほど真っ暗である。10月中旬にしては寒い。股引が要る程である。そして朝は遅く8時を過ぎてようやく朝日が射してきた。9時には朝食を取り外へ出た。外はキリスト教会や大学など石の建物で囲まれ、1,000坪程の広場も花崗岩で敷き詰められた石、石、石の工作物である。今日の朝一番の仕事はホテルの向かいにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学への表敬訪問である。大学ではアルムデサ・オスピド副学長や和歌山大学からお出で頂き、ここで合流した山田副学長、堀田観光学部教授や生徒の皆さんと大きなテーブルを囲んで懇談をした。その後、少し離れた所にあるガルシア州議会へピラール・ロホソゲラ議長を表敬訪問した。
現地で生活している日本人で同行してくれたガイドの話ではスペインは殆どの世帯がマンション住まいをしていて平均的な市民の部屋は2LDKの約80�屬巴傭覆�1200万円位であるという。子供は平均1.6人で姑と嫁は一緒に住むことはない。20歳位で婚約して10年の婚約期間で300万円程貯めて、30歳位で結婚する。その平均年齢は男性34歳、女性30歳である。マンションは電気設備・水廻り・フローリングを替えることにより何世代も繰り返し使っている。建物はレンガで造られており、通気性がよく冷房は必要ない。給与は手取り平均19万円で、老後の生活を支える年金は厚生年金ではなく国民年金である。高齢化率は約17％で平均寿命は女性84歳、男性80歳である。
更にスペインの面積は日本の約1.4倍で日本のように地震や津波や台風などの災害は殆ど無い。国民には2001年から、9ヶ月間の徴兵制が布かれている。人口は4000万人と難民が600万人で現在4600万人である。老人ホームは全て州立制で400ユーロ以下の所得の国民は無料である。老人の5％位しか老人ホームに入居しない。民間立のホームもあるが、金持ちは庶民とは同じホームに入ることはない。教育費は18歳迄無料であるが、高校入学者の30％は卒業できていない。
又、スペイン国の収入の13〜14％が、外国の観光客が落としてくれるお金である。医療費は無料で年金には年2回のボーナスが付けられている。夏休みは2ヶ月と20日、労働者の給与は30日頃に支給されるが大方の世帯では、翌月の25日頃には全部使い切ってしまい次の給与が支給される日を待っている。消費税は米・野菜・パン・薬は4％、エビやカニは10％、住宅は10％、家電商品でも贅沢品は21％、水道代10％であるが国民の多数は生活は豊かだと考えているとのことであった。
翌日ガルシア州首相と会談のため、ラホイ宮殿に向かった。ガルシア州首相との会談には真砂田辺市長、和歌山大学山田副学長、田辺市商工会議所橘会頭、国際熊野学会の山本常任委員他随行員の方々も同席された。会談に先立ち、姉妹県提携書に仁坂知事、フェイホーガルシア首相による署名が行われた。夕刻からはオリンピック誘致に向けて建設を進めていたCultureCityのメイン施設において「巡礼者フォーラム」が実施され、地元の関係者など参集して頂いた200人ほどの方々に向かって仁坂知事、山本常任委員、山田和歌山大学副学長等による熊野古道のプレゼンテーションが行われた。引き続き18時からセグンド・ペレス・ロペス主席司教を表敬訪問し歓迎ミサを受けた。
スペインの日没は遅く、夜8時を過ぎてもまだ日本の夕方のような明るさである。その後故ルイス・オカニヤ氏の夫人と懇談するとともにルイス・オカニヤ追悼写真展を視察して夜遅くホテルの自室に戻った。
翌朝17日はもう帰国準備である。お昼に駐スペイン日本国大使館に出向き、大使主催の昼食会に参加する。大使公邸にはスペイン国で活躍している日本企業の方々も招待されており、スペインの文化や国民性や気質・気候などを話題に交流をさせて頂いた。これで全ての公務は終了となり、1週間前に訪問させて頂いた飛行ルートを逆にマドリード空港からイスタンブール空港、そして関西国際空港へと向い無事帰国することが出来た。以上8日間に亘る出張の報告と致します。
14日は午前、国立海事博物館を訪ね、エルトｳ―ルル号遺産展を視察した。博物館ではイルヤス・ガルタス館長（海軍大佐）、トウファン・トウランルエルトｳ―ルル号遺品発掘調査団長他の出迎えを受ける。
この博物館には巨大なエルトｳ―ルル号の模型や装備品等も多数展示されていて、難破した時の状況を思い描くことができた。昼過ぎには再びイスタンブール空港より、トルコ航空で次の目的地であるスペインのマドリード空港に向かい、更にイベリア航空でサンティアゴ・デ・コンポステーラ空港に向かう。
夜9時を過ぎていたが塩澤ガルシア日本協会会長の出迎えを受けた。宿泊地は1,200年前に造られた石造りのホテルである。信じられない程のその古さにビックリ。1,200年の昔からとは日本では到底考えられないことである。木造り文化で育った私にはちょっと不自由だが、泊まる宿としては特に大きな問題はない。寧ろその古さにワクワクである。翌朝6時過ぎ目が覚めた。しかし外は真夜中と感じられるほど真っ暗である。10月中旬にしては寒い。股引が要る程である。そして朝は遅く8時を過ぎてようやく朝日が射してきた。9時には朝食を取り外へ出た。外はキリスト教会や大学など石の建物で囲まれ、1,000坪程の広場も花崗岩で敷き詰められた石、石、石の工作物である。今日の朝一番の仕事はホテルの向かいにあるサンティアゴ・デ・コンポステーラ大学への表敬訪問である。大学ではアルムデサ・オスピド副学長や和歌山大学からお出で頂き、ここで合流した山田副学長、堀田観光学部教授や生徒の皆さんと大きなテーブルを囲んで懇談をした。その後、少し離れた所にあるガルシア州議会へピラール・ロホソゲラ議長を表敬訪問した。
現地で生活している日本人で同行してくれたガイドの話ではスペインは殆どの世帯がマンション住まいをしていて平均的な市民の部屋は2LDKの約80�屬巴傭覆�1200万円位であるという。子供は平均1.6人で姑と嫁は一緒に住むことはない。20歳位で婚約して10年の婚約期間で300万円程貯めて、30歳位で結婚する。その平均年齢は男性34歳、女性30歳である。マンションは電気設備・水廻り・フローリングを替えることにより何世代も繰り返し使っている。建物はレンガで造られており、通気性がよく冷房は必要ない。給与は手取り平均19万円で、老後の生活を支える年金は厚生年金ではなく国民年金である。高齢化率は約17％で平均寿命は女性84歳、男性80歳である。
更にスペインの面積は日本の約1.4倍で日本のように地震や津波や台風などの災害は殆ど無い。国民には2001年から、9ヶ月間の徴兵制が布かれている。人口は4000万人と難民が600万人で現在4600万人である。老人ホームは全て州立制で400ユーロ以下の所得の国民は無料である。老人の5％位しか老人ホームに入居しない。民間立のホームもあるが、金持ちは庶民とは同じホームに入ることはない。教育費は18歳迄無料であるが、高校入学者の30％は卒業できていない。
又、スペイン国の収入の13〜14％が、外国の観光客が落としてくれるお金である。医療費は無料で年金には年2回のボーナスが付けられている。夏休みは2ヶ月と20日、労働者の給与は30日頃に支給されるが大方の世帯では、翌月の25日頃には全部使い切ってしまい次の給与が支給される日を待っている。消費税は米・野菜・パン・薬は4％、エビやカニは10％、住宅は10％、家電商品でも贅沢品は21％、水道代10％であるが国民の多数は生活は豊かだと考えているとのことであった。
翌日ガルシア州首相と会談のため、ラホイ宮殿に向かった。ガルシア州首相との会談には真砂田辺市長、和歌山大学山田副学長、田辺市商工会議所橘会頭、国際熊野学会の山本常任委員他随行員の方々も同席された。会談に先立ち、姉妹県提携書に仁坂知事、フェイホーガルシア首相による署名が行われた。夕刻からはオリンピック誘致に向けて建設を進めていたCultureCityのメイン施設において「巡礼者フォーラム」が実施され、地元の関係者など参集して頂いた200人ほどの方々に向かって仁坂知事、山本常任委員、山田和歌山大学副学長等による熊野古道のプレゼンテーションが行われた。引き続き18時からセグンド・ペレス・ロペス主席司教を表敬訪問し歓迎ミサを受けた。
スペインの日没は遅く、夜8時を過ぎてもまだ日本の夕方のような明るさである。その後故ルイス・オカニヤ氏の夫人と懇談するとともにルイス・オカニヤ追悼写真展を視察して夜遅くホテルの自室に戻った。
翌朝17日はもう帰国準備である。お昼に駐スペイン日本国大使館に出向き、大使主催の昼食会に参加する。大使公邸にはスペイン国で活躍している日本企業の方々も招待されており、スペインの文化や国民性や気質・気候などを話題に交流をさせて頂いた。これで全ての公務は終了となり、1週間前に訪問させて頂いた飛行ルートを逆にマドリード空港からイスタンブール空港、そして関西国際空港へと向い無事帰国することが出来た。以上8日間に亘る出張の報告と致します。
