2018年07月15日

『新・御宿かわせみ5 千春の婚礼』平岩弓枝著(文春文庫)2

 本屋さんでこの本を見かけて、購入したのは、もう半年近く前のことだ。読もう、読もうと思いながら、なんだかんだで今頃読み終えた。

千春の婚礼 新・御宿かわせみ5 (文春文庫)千春の婚礼 新・御宿かわせみ5 (文春文庫)
著者:平岩 弓枝
文藝春秋(2018-01-04)
販売元:Amazon.co.jp

 【妹・千春の買い物につきあって出かけた銀座で、神林麻太郎は奇妙な出来事に巻き込まれる(「宇治川屋の姉妹」)。嬉しさと心細さを抱えて、千春は嫁入りの日を迎えた(「千春の婚礼」)。ほかに「とりかえばや診療所」「殿様は色好み」「新しい旅立ち」の全五篇。「かわせみ」の若者たちに訪れる転機と事件を描く、[明治のかわせみ]第五弾!】(文春文庫裏表紙の内容紹介より)

 このシリーズに関しては、「当時はこんな言葉は使われていないんじゃないか」といった野暮なことは指摘しないことにしている。しかし、地の文ならともかく、登場人物たちの会話の中に「おやおや」と思われる言葉が使われているとやっぱり気になる。

 それはともかくとして、今回の作品群は少々読みにくく感じられた。

 ストーリー展開が強引すぎたり、設定がややこしかったり、タイトルと内容とがそぐわなかったりといった具合だ。『オール讀物』に二号連続、あるいは三号連続で掲載される関係で少々長めの話を書く必要があったからなのかもしれないが、ファンとしては物足りない気がする。

 「新しい旅立ち」を読むと、これで『新・御宿かわせみ』の幕が一旦閉じられるように思えるのだが、どうなんだろうね。

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2018年07月08日

『ビブリオ・バトル』5

 随分以前に愛知県図書館で『ビブリオ・バトル』に参加した。

 楽しかったので、また参加したいと思っていたのだが、なかなかチャンスがない。

 そんな折、7月7日に「名古屋ビブリオバトルの会」というサークルが主催するビブリオバトルが鶴舞図書館で開催されることを知ったので、参加してきた。

 前回のビブリオバトルの参加者が随分多かったということはHPで拝見して知っていたのだが、今回も15名以上が集まった(正確な人数は数えていません ごめんなさい)。

 2時間という時間の制約があるので、参加者を二つのグループに分けての発表となった。

 ぼくのグループは司会者の方を入れて全部で8名。

 時間通りに進行したので、司会者の方も、ご自分の本を発表することができた。

 ぼくのグループで、紹介された本を集めた写真が下。

 ビブリオバトル
















 チャンプ本に選ばれたのは、ぼくも一番読んでみたいと思った、高井浩章さんという方が書かれた『おカネの教室』であった。

 ぼくのお勧めの『赤頭巾ちゃん気をつけて』は残念ながら1票の獲得にとどまった。

 ビブリオバトルの後は、時間の余裕のある人たちが、鶴舞公園内のカフェへ移動し、お茶をしながらのフリートーク。

 人数が多かったので、三つのテーブルに分かれてしまったが、漱石や鴎外や中也の話を聞くことができて楽しかった。

 下の娘も、興味がありそうなので、次回、都合がつけば、誘って一緒に出掛けたいと思う。

 → 庄司薫『赤頭巾ちゃん気をつけて』のレビュー


 → 愛知県図書館での『ビブリオバトル』の記事

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6月23日のこと

 このブログはぼくの備忘録も兼ねているので、忘れないように書いておこう。

 6月23日の夜には一番気の置けない人との飲み会。場所は「カクタスドォーロ」さん。

 食べたものは以下の通り。


自家製やさいのピクルス盛

中トロのカルパッチョ


豆アジのエスカベッシュ


茶豆


牛イチボローストトリュフ塩で


焼ロメインレタスとベーコンのシーザーサラダ温玉添え



























































 ちょっと注文の順番を間違えて、サラダを一番最後に頼んでしまったのだが、満腹となってしまい、パスタやピザを食べることができなかった。

 このお店は一つ一つの料理の量が多かったことをすっかり忘れていたのが失敗であった。

 次回は、その辺りを考えて注文をしようと話をしていたのだが、帰り道に、ちょっと相当猛烈な言い争いをしてしまった。

 果たして、次回があるのやら

touch3442 at 22:22|PermalinkComments(0)

2018年06月17日

Yellow Mellow Live

 昨日の土曜日は、女性アカペラグループ『Yellow Mellow』のワンマンライブに出かけた。去年の6月に初めて参加し、今回が2回目。

 ライブ会場は昨年と同じ、今池のパラダイスカフェ21。開場は12:30、開演は13:00。

 ライブに誘ってくれた知人と一緒に、大曽根の「陣屋」さんでラーメンを食べ、会場へ。

 何でも、7月15日に神戸で開催される公演が、このグループの最後の公演になるのだそうだ。寂しいね。

 昨年、ライブ後のアンケートに記入したところ、メンバーのるこさんが、Gmailにメールをくださっていたのだが、個人のGmailには広告以外のメールが来ることしかないため、全然チェックしていない。このため、るこさんのメールに気づかず、ノー残業ディの金曜日に、Gmailを整理しようとして初めてメールが来ていることに気づいた。

 あわてて、返信を出したのが、その話を知人にしたところ、あきれられた。ホントに申し訳ないことをしてしまった。


 <この先、セットリストを紹介しますので、最終公演やレギュラーライブにお出かけの方は、ご注意ください。>

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2018年05月30日

『金曜日の本屋さん』名取佐和子著(ハルキ文庫)4

 昨日は私用があって、3時で仕事を早退してきた。今日も、ほぼ定時で帰宅し、サッカー日本代表対ガーナの試合をテレビ観戦した。

 ガーナ戦のメンバーは、小林祐希選手も鈴木大輔選手も、中島翔哉選手も、堂安律選手も選ばれず。ぼくにとってはワクワク感の全然ないメンバーだ。

 「ポリバレント」な選手を選考したらしいが、複数のポジションをこなすことができることはそれほど重要なのだろうか。

 例えば、ブラジルやドイツ、スペインといった優勝候補のチームが、予選から決勝までを見据え、負傷者や累積警告のために出場できなくなる選手が出ることを考えて「ポリバレント」な選手をチームに加えるというなら分かる。

 日本の当面の目標は、グループリーグを突破することで、そのためには、「ポリバレント」性よりも、これだけは外国人選手にも負けないという、ストロングポイントを持った選手を選ぶべきだとぼくは思う。

 しかも、左利きの選手が本田選手しかいない。小林選手や堂安選手がいれば、本田選手が出場しないゲームでも、左利きの選手に有利な位置でのセットプレーのキッカーを任せることができたのに、西野監督や代表チームのスタッフは、その辺のことをどう考えているんだろうね。

 まあ、そうしたファンの声は十分耳にしているだろうから、あとは我々をうならせるような巧みな戦術で結果を残してもらうしかないのだが、今日の結果を見ると、本大会も期待できないのかな。でも、ハリル監督の時よりは、多少面白かったけれどもね。

 さて、『金曜日の本屋さん』は、『夕刊ゲンダイ』で紹介されていて、庄司薫さんの『白鳥の歌なんか聞こえない』が関わっていると知ったため、本屋さんで買ってきて読んだ。

 『ビブリオ古書堂』シリーズや、コミックの『本屋の森のあかり』は、実在した作家の作品を取り上げている。こうした作品を読むたびに、ぼくは書き手の方の本に寄せる愛情の深さに恐れ入ってしまう。ぼくも読書好きを自認しているが、とてもとても彼・彼女たちのような深い境地には達していない。

 この『金曜日の本屋さん』も同様で、取り上げられた四つの作品に対する作者の愛情がひしひしと伝わってくる。

金曜日の本屋さん (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん (ハルキ文庫)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2016-08-09)
販売元:Amazon.co.jp


 【ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は“読みたい本が見つかる本屋”らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店(金曜堂)を訪ねる彼を出迎えたのは、底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れして……。人とホントの運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー開店!】(文庫本裏表紙の内容紹介より)

 この本には四つの作品が収録されている。庄司薫さんについては上で触れてしまったが、他の三つの作品は内緒にしておこう。タイトルを書くだけでも、作品名がばれてしまうだろうから、それもここでも挙げない。

 ちなみにぼくは四作品のうち三作品までを読んでいる。読んでいない作品は、児童文学の名作で、大学の国文時代には、Kさんという女性がこの作品を卒論に取り上げようとしたが、「国文科でこの作品は…」と難色を示されたと聞いている。Kさんは最初の希望通り、この作品を卒論にできたんだっけ?それとも、別の作品に変更したんだっけ?記憶が定かではない。

 残りはハードボイルドの名作と、ぼくのブログでも取り上げたことのある日本の幻想譚である。幻想譚と言っても、『高野聖』や『夢十夜』のような古いものではなく、現役で活躍中の作家さんの作品だ。

 現実的には金曜堂のような本屋さんはあり得ない。あったらそれこそ、ファンタジーの世界だ。でも、こんな本屋さんがあったらと想像するだけでも楽しい。テーマとなった四つの作品以外にも、柴田錬三郎だの大沢在昌だの村上春樹だの江國香織だの、いろいろな作家の名前が登場するのが本好きにはうれしい。『SLUM DUNK』や『ハイキュー!!』といったコミックも登場するしね。

 店長の南と、書店員兼ウェイターの美男子・栖川(すかわ)、金髪角刈りで、どう見てもその筋の人にしか見えない金曜堂のオーナー・和久。高校の同級生だったというこの三人の関係には、まだ明かされていない謎があるようである。

 倉井君の恋の行方とも相まって、是非とも続編を読んでみたい。今度、本屋さんに出掛けたら買ってこようっと。

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2018年05月12日

栄ミナミ音楽祭20184

 11日の金曜日は、仕事帰りに大学時代の友人、東洋史専攻のHと久しぶりに会った。何年ぶりだろうと数えてみると10年ぶり近かった。同じ名古屋にいても、なかなか会えないものだ。その前にあったのは、まだピクシーが現役でプレイしていた頃で、グランパスの試合を見に行った時だから、学生時代、毎週土曜日の夜、一緒に麻雀をしていたことを思えば、随分と疎遠になったものだ。もっとも、大学時代の友人というのは不思議なもので、10年程度の時間は、あっという間に飛び越えて、当時に戻ることができる。

 高校自体のモテ話やら、大学時代の同級生の女の子とのエピソードやらを聞かされたり、大学時代の同級生の消息を報告し合ったりしながら楽しい時間を過ごした。

 さて、毎年出かけている栄ミナミ音楽祭。GWの妻の両親の引っ越しと、体調不良が重なったこともあり、今年はパスして、自宅で12日、13日はゆっくり過ごそうと思っていた。

 しかし、お天気もいいし、一年に一度のイベントに出かけないのは何だかもったいない気がした。

 午前中は甚目寺観音の「手作り朝市」に妻と義母を送っていき、その後大曽根の歯医者さんに行き、父と義父のお昼ご飯を買って、一旦帰宅した。

 午後から、義父の車の廃車手続きをしてもらうために、栄生のディーラーに車を持っていくことになっていたので、そこに車を置いて、その足で矢場公園へ向かった。

 途中、ラシックでのZIP−FMの公開生放送の様子をちょっと見て、矢場公園につくと、ちょうど田村直美さんの出番であった。

栄ミナミ音楽祭2018







 金曜日に、職場で女性社員と栄ミナミ音楽祭のことを話しているときに、「田村直美って名古屋出身なんですって」と聞かされていたが、ぼくは彼女の名前を聞いたことはあっても、プロフィールや代表曲は全然知らなかった。

 一曲目はどこかで聴いたことがあるような気がする曲、二曲目は、「あっ、この歌なら知ってる」と思った。後で調べたら、『ゆずれない願い』という曲で、田村さんはこの曲で「紅白歌合戦」にも出場していた。

 3曲目の『ステップ』という曲が個人的には一番よかった。イーグルスのカバーのカントリーソングも歌った。

 次が奥華子さん。ぼくも栄ミナミで何度か彼女の歌を聞いているが、12回の開催中、10回目の出演だそうだ。栄ミナミに欠かせないアーティストの一人だね。

 『やさしい花』や『初恋』、『ガーネット』といったおなじみの曲であったが、彼女の透明感のある歌声はいつ聴いても素晴らしい。

 ぼくは、『初恋』が好きで、この歌の「名前で呼んだりしないから 隣り歩いたりしないから」のくだりを聴くと、自分の好きな男性が別の女の子と恋人同士になっても、少しでもそばにいさせてほしいと願う女の子の切ない気持ちが胸に沁みて、いつも泣きそうな気分になる。

栄ミナミ2018アーティスト








 奥さんの次は、「jammin’Zeb」(ジャミンゼフ)。男性四人のコーラスグループである。初めて聞くグループなので、興味深い。

 ぼくは洋楽に疎いので、タイトルを紹介されても、覚えていられない。カーペンターズの『青春の輝き』と、何とかいうアーティストの『HAPPY』という曲は聞き覚えたがあったが、『ナイト&デイ』やその他の曲は聴いたことがない。

 SMAPの『夜空のムコウ』も歌ってくれた。もう一曲、日本の歌があるとよかったかもしれない。

 何でもアメリカ公演で『ナイト&デイ』を歌ったところ、現地の関係者に、数あるこの曲のアレンジの中で、ジャミンゼフのアレンジが一番いいと評価されたのだという。

 コーラスはきれいだし、洗練されたパフォーマンスが印象的だった。最後の曲はノリも良かったしね。そう、彼らのステージを見ていて、クリント・イーストウッド監督の『ジャージー・ボーイズ』を思い出した。

 こんなことを書くと営業妨害になりそうだけど、CDで聴くよりも、生で見た方が楽しいと思う。7月7日の七夕の日には、大須でライブがあるそうなので、興味のある方はお出かけください。ぼくもちょっと行ってみたい気がしている。 

 12日のトリは、NORA(from Orquesta De La Luz)Special Latin Unit。

 オルケスタ・デ・ラ・ルスの名前は、昔々、大沢誉志幸さん絡みで聞いたことがあるような気がしたのだが、今、調べた限りでは、ぼくの勘違いだったようだ。

 真っ赤な衣装に身を包んだNORAさん。

 日中は暑かったけれども、日が落ちてからは寒く感じられていたのに、いきなり南国というかラテンのノリで会場を盛り上げる。

 2曲目は、「あれっ、このメロディ聴いたことがある」と思っていたら、サザンオールスターズの『私はピアノ』であった。

 次にカーペンターズの『青春の輝き』、MISIAさんの『Everything』。

 『青春の輝き』は前のステージのジャミンゼフとかぶった訳だが、同じ曲でもアレンジやグループの個性の違いで、ここまで変わるのだという発見があって、面白かった。

 途中からは、客席の前のスペースでサルサ(?)を踊る人たちも出てきて、楽しい。

 ステージと客席が一体となった雰囲気は、ぼくが想像していた以上の熱気に包まれていて、初日のファイナルに相応しい幕切れであった。

 帰りは無性にお肉が食べたくなり、以前、外堀通で見かけたステーキハウス「インディアン・ステーキ・ハウス」まで、矢場公園から一時間以上かけて歩いて行った。

 懐の具合とお腹と相談して、300gのインディアン・ステーキを頼んだ。

 軽く火を通したお肉を、木製のトレイ(?)に置いてくれるので、あとは自分の好きなペースで鉄板にお肉をのせて、アツアツのお肉を食べることができる。

 お肉は、焼肉でいう「ハラミ」で、脂が少なく、赤身肉をガッツリ食べたという満足感が得られる。

 次回は1ポンド(約450g)に挑戦してみようかな?

 そこから自宅まで、歩いて帰ったのが、なんだかんだで延べ3時間近く歩いた計算になる。靴擦れはできるは、足の裏にもマメができるはで、さんざんだったが、最近の運動不足を解消することができたような気がする。

 あわただしかったし、疲労困憊したけれども、楽しい一日であった。

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2018年05月06日

『名古屋地名の由来を歩く』谷川彰英著(ベスト新書)4

 mozoの「フタバ書店」でリサイクル本のコーナーを眺めていたら、見つけた。GWに瀬戸から我が家の近所に引っ越してきた義父が郷土史に興味を持っているので、喜ぶかなと思って購入し、渡す前に読んでみた。

名古屋 地名の由来を歩く (ベスト新書)名古屋 地名の由来を歩く (ベスト新書)
著者:谷川 彰英
ベストセラーズ(2011-10-08)
販売元:Amazon.co.jp

 【名古屋は地名の宇宙だった!
日本経済を支える名古屋は、歴史的にも日本の中心であり続けた。本書はそんな名古屋に眠る地名の謎を探る。多くの戦国武将を生み、ものづくりの町として発展してきた名古屋にはどのような歴史物語があるのか−−。本書は「京都」「東京・江戸」「奈良」に続く、大人気地名シリーズ第四弾。著者・谷川彰英が尾張名古屋の地を丹念に歩き徹底調査。日本最強都市の原動力ともいえる歴史伝説をつきとめた!周辺地図、写真、折り込みマップつきで観光ガイドとしても最適。】(新書表紙見返しの内容紹介より)続きを読む

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『室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君』阿部暁子著(集英社文庫)3

 確か『夕刊ゲンダイ』の書評欄で、面白いと書かれていたので、本屋さんで買ってきて、読んだ。

 実は、南北朝時代が舞台なので、読書会のテーマ「南」に使えるかなという下心もあって、買ってきたのだが、タイトルには「南」が入っていなかったので、途中で断念した。

室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 (集英社文庫)室町繚乱 義満と世阿弥と吉野の姫君 (集英社文庫)
著者:阿部 暁子
集英社(2018-01-19)
販売元:Amazon.co.jp


 【京と吉野に二人の帝が存在した、南北朝の時代。南朝の帝の妹宮・透子は、北朝に寝返った武士・楠木正儀を連れ戻すべく、乳母と二人きり、吉野から京へと乗り込む。京についたとたん人買いに攫われてしまった二人を救ってくれたのは、猿楽師の美少年・世阿弥と、透子たちの宿敵である足利義満で……。世間知らずの姫君が混迷する時代の中で見たものは。瑞々しい筆致で描く書き下ろし時代小説。】(集英社文庫裏表紙の内容紹介より)

 南北朝の時代については、30年近く前に山崎正和さんの口語訳で『太平記』を読んだことがあるが、当時はそれほど歴史小説を読んでいなかったこともあり、今一つピンとこなかった。というより、全然内容を覚えていない。

 そんな訳で、室町時代を舞台にした小説を読むのは新鮮だった。

 ただ、登場人物たちの物言いは、現代のそれと変わりがないので、厳密な意味での時代小説を期待している人には、おすすめできない。

 ぼくはそれなりに透子に感情移入しながら読み進めることができたので、彼女が初めて目にする庶民の生活に驚いたり、感心したりする様子も、ごく自然に受け止めることができた。

 南朝の忠臣として名高い楠木一族の武将が、なぜ、北朝に奔ったのか、その理由も次第に明らかになってくる。もっとも、室町時代に詳しい人であれば、皆承知していることなのかもしれないけれどね。

 お坊ちゃま育ちのわがままな性格と、戦乱の世を鎮めなければならないという使命感の二つを併せ持つ、若かりし頃の足利義満の描き方も興味深い。

 けれども、この作品を一番魅力的にしているのは、観阿弥・世阿弥(=鬼夜叉)親子の存在であろう。

 特につかみどころのない観阿弥のキャラクターがいい。ぼくは読みながら、野村萬斎さんの顔を思い浮かべていた。

 続編が描かれるのかどうかは分からないが、透子と鬼夜叉とがお互いに恋心を抱きながら、それぞれの身分の違いが足枷となって引き裂かれるという切ない物語なら読んでみたい気がする。

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『ラブコメの法則』東山彰良著(集英社)3

 GWは4月28日の土曜日から、二日の有休消化を含めて、9連休。

 しかし、5月1日に、瀬戸に住んでいた妻の両親が、我が家から歩いて3分の賃貸マンションに引っ越してきて、その準備やら、後片付けやらで、行楽とは無縁の日々を送っていた。

 しかも、4月の半ばから引いていた風邪が治りきらなくて、微熱の出る日が何日かあり、何をしても楽しくない。今日も平熱より0.8°ではあるが熱があるため、家でゴロゴロしている。

 明日からは仕事か。ヤレヤレ。

 さて、東山さんの本は、愛知県図書館で見つけて借りてきた。4人もの美女が描かれているポップな表紙に、『モテキ』のようなストーリーを想像して読み始めたのだが、違った。

ラブコメの法則ラブコメの法則
著者:東山 彰良
集英社(2014-08-05)
販売元:Amazon.co.jp

【博多で映画評論家をしている松田杜夫、独身。見た目は悪くないくせに、彼女なし。一体なにが災いしているのか?そんな彼がシングルマザーの岩佐まち子に恋をした!甥の裕樹をダシに使い、積極的にアプローチ。そんな中、映画の試写作品盗難事件が発覚する。その取引現場を見たかもしれない彼は、真相を探ることに―。美人でキョーレツなおばたちに振り回されながら疾走する青春恋愛小説! 】(Amazon HPの内容紹介「BOOK」データベース)より続きを読む

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2018年04月22日

『南方熊楠 日本人の可能性の極限』唐澤太輔著(中公新書)5

 かなり前に、確か『少年ジャンプ』に『てんぎゃん』というタイトルの漫画が連載されていたことがある。その漫画の主人公が、南方熊楠であった。少年時代から神童と謳われた人物であること、著名な博物学者であることを知り、興味を持ったものの、彼について特に調べようとまでは思わなかった。

 南方熊楠の名は、その後も民俗学の本などで時々見かけることがあった。

 今回、読書会のテーマが『南』であったこともあり、この機会に南方熊楠に関わる本を読もうと思って借りてきたのがこの本である。

 愛知県図書館に所蔵されている本の中では、一番新しいことと、門外漢でもとっつきやすそうな新書版であることがこの本を選んだ理由である。

南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)南方熊楠 - 日本人の可能性の極限 (中公新書)
著者:唐澤 太輔
中央公論新社(2015-04-24)
販売元:Amazon.co.jp


 【百科事典を丸ごと暗記、二十以上の言語を解した、キューバ独立戦争参戦といった虚実さまざまな伝説に彩られ、民俗学、生物学などに幅広く業績を残した南方熊楠。「てんぎゃん(天狗さん)」とあだ名された少年時代、大英博物館に通いつめた海外放浪記。神社合祀反対運動にかかわり、在野の粘菌研究者として昭和天皇に進講した晩年まで、「日本人の可能性の極限」を歩んだ生涯をたどり、その思想を解き明かす。】(中公新書表紙見返しの内容紹介より)

 うーん、南方熊楠という人は、我々凡人の常識では測りきれない人物である。

 十二歳〜十五歳にかけて、江戸時代中期に編纂された百五巻八十一冊に及ぶ大百科事典『和漢三才図絵』を手書きで写そうと試みたとか、大学予備門(現在の東京大学教養学部)では夏目漱石や正岡子規、山田美妙と同級であったとか、今でいうバイセクシャル(あるいはトランスジェンダー)であったとか、ロンドンの大英図書館への出入りを許されながら二度の乱闘騒ぎにより永久追放の憂き目にあったとか、通常であれば桐の箱に入れて天皇に献上する標本をキャラメルのボール箱に入れて献上したとか、伝説は別にして、彼にまつわる実際のエピソードも、まるで物語のようで面白い。

 熊楠は孫文や柳田国男とも親交があったというし、熊楠のご進講を受けた昭和天皇に至っては、彼の死後二十年たってから再度南紀を行幸した際に、『雨にけふる神島を見て紀伊の国の生みし南方熊楠を思ふ』という歌を詠まれたというのだから、彼はよほど強い印象を昭和天皇に残したのであろう。

 南方熊楠は毀誉褒貶の激しい人物ではあったようだが、著者は、熊楠の性格を詳細に分析し、己と対象物との関係性における独特の距離感が、彼の対人関係にも影響を及ぼしていたのだと述べる。

 非常に説得力のある分析で、ぼくには腑に落ちるものであった。

 熊楠のような人物を、友人に持ちたいとは正直思わないが、研究に対する彼の真摯な情熱はすごいと思う。

 1911年、今から百年以上前に、乱伐による環境破壊を憂い、「エコロギー」(今でいう『エコロジー』)という概念の必要性を訴えていた熊楠の先見の明には、ただただ感心するばかりである。

 読書会のおかげで、長年気になっていた「南方熊楠」という人物の全貌を知ることができたのは非常によかった。また、この本は、熊楠の生涯やその業績を理解するのに最適のものではないかとぼくは思う。 

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2018年04月21日

『北半球の南十字星』沢村浩輔著(東京創元社)3

 今日は東区の名古屋芸創センターで読書会。今回は新しい方が4名参加した。男性が3名、女性が1名だ。女性はその方一人で、残りの6人が男性だったので、緊張したかもしれないね。新しい顔ぶれが加わると、普段とは違うジャンルの本が紹介されるので、新鮮でいい。

 もし、今日、参加された方で、このブログを読んでくださる方がいらっしゃれば、コメントをくだされば、Facebookでお友達申請しますので、よろしくお願いします。もちろん、コメント自体は非表示にしておきますので、不特定多数の方の目に触れることはありません。

 さて、読書会のお題が「南」であることは前にも書いた。

 しかし、『第二次アメリカ南北戦争』がピンとこないこともあり、新たに借りてきたのがこの本だ。「南十字星」と聞くと、ロマンティックな響きがあるし、海賊が登場するというのが、尾田栄一郎さんの『ONEPIECE』ファンのぼくにはうれしいので借りてきた。

北半球の南十字星 (ミステリ・フロンティア)北半球の南十字星 (ミステリ・フロンティア)
著者:沢村 浩輔
東京創元社(2015-01-29)
販売元:Amazon.co.jp

 【<王国>周辺の海賊を荒らしまわる海賊連合<南十字星>の首魁アルバート・リスターが、海賊退治で勇名を馳せる海軍提督バロウズ卿を誘拐した。そこで海軍諜報部のマクラミン少佐は、剣の名手であるアラン・クリフォード大尉に<南十字星>への潜入を命じる。マクラミンがアランの相棒として選んだのは、かつての名優で大酒飲みのダニエル・ソープ。底知れなさと適当さとを併せ持つソープに振り回されながらも、アランは剣の腕と運を頼みに<南十字星>への接近を試みる。だが、彼を待ち受けていたのは、大海賊が遺した幻の財宝探しと孤島で起きる連続殺人だった!スティーヴンスン『宝島』に胸を躍らせたすべての大人に贈る、愛すべき海洋冒険ミステリ。】(単行本表紙見返しの内容紹介より)

 残念ながら、ぼくは『宝島』を読んだことがない。サカナクションの『新宝島』を聴いたことはあるけどね。それでも、最初はそれなりに面白く読み始めた。

 主人公でもあるクリフォード、その参謀役のソープ、<南十字星>の首魁・リスター、東洋の血の混じった船長バラクータと、魅力的な登場人物が大勢いるが、ストーリー展開がそれを生かし切れていない。

 バラクータは自分のことを「ぼく」と呼ぶ。ジョニー・ディップの『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのファンは、「なんてお上品な海賊でしょう」と馬鹿にするかもしれない。確かに、海賊を描いてはいるのだが、どことなく清潔感が漂っているんだよね。

 ミステリー的な謎解きの要素もあるにはあるが、特に斬新なものではない。

 続編を期待させるラストではあるので、もし続編が書かれるのであれば、もう少しページ数の増えた、奥行きのある物語を読んでみたいと思う。

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2018年04月07日

『アメリカ第二次南北戦争』佐藤賢一著(光文社)3

 最近、参加している読書会のお題は、「東西南北」。

 作者の名前に、東西南北が入るのでもOKなのだが、本好きを自認するぼくとしては、やはりタイトルにこの言葉のある本を選びたい。

 東、西、北は思いついたのだが、南に適当な本がない。まさか、「浅倉南」ちゃんが登場するからと言って、あだち充さんの『タッチ』を持っていくわけにもいかないしね。

 愛知県図書館の蔵書を調べ、「南」で検索してみたが、ヒット数が多すぎて表示できない。そこで、「南朝」とか「南北朝」、「南北」といった言葉で検索し、気を惹かれた本がこの『アメリカ第二次南北戦争』である。

 「南北戦争」自体には興味がないし、どういった戦争だったのかについての知識もない。リンカーンが登場するくらいは知っているけど。

 佐藤賢一さんの著書は図書館でも何度も見かけたが、これまで読んだことはなかった。どんな小説を書かれる作家さんなのかと期待しながら読み出したが、ちょっとぼくの抱いていたい印象とは違った。

アメリカ第二次南北戦争アメリカ第二次南北戦争
著者:佐藤 賢一
光文社(2006-08-22)
販売元:Amazon.co.jp


 【二〇一三年、アメリカ第二次南北戦争が勃発。内閣官房室の森山悟はジャーナリストを装い、現地調査にあたった。凄腕のスナイパー結城健人、スーパーモデル級の美女ヴェロニカ・ペトリ―。義勇兵への取材で知り合った二人と共に、森山は南部へと旅立つ。内乱のきっかけとなった大統領暗殺の現場で、「真犯人はニンジャ」と聞かされた彼らは、事件の真相へと迫る。】(Amazon HPの内容紹介<「BOOK」データベースより>から】続きを読む

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2018年04月01日

『あなたの人生を変える睡眠の法則』菅原洋平著(自由国民社)

 昨日は仕事を終えてから、読書会に参加。

 今回のお題は、「北」であった。作品名やテーマに「北」が含まれるものだけではなく、作者名に「北」が付くだけでもいいという縛りなので、北森鴻さんにするか北村薫さんにするか、北原亞以子さんにするかなどと悩みながら、結局選んだのは佐々木譲さんの『北帰行』であった。

 さて、地元の図書館で見つけて借りてきたこの本は、著者の菅原さんのお名前を、睡眠に関する記事でよく見かけたからである。

あなたの人生を変える睡眠の法則あなたの人生を変える睡眠の法則
著者:菅原洋平
自由国民社(2012-09-12)
販売元:Amazon.co.jp

 【睡眠は、脳にとって自身を成長させるアクティブな活動です。その科学的根拠に基づき医療の現場で実践されている方法を一般の方が日常生活で活用できるように「睡眠の法則」という形でまとめました。
脳と睡眠の仕組みを知り 朝昼夕3つのことを心がけるだけで自然にやる気がわき上がります。
この質のよい睡眠をとる習慣があなたの人生を大きく変えます。】(単行本表紙見返しの内容紹介より)続きを読む

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2018年03月31日

『Ank:a mirroring ape』佐藤究著(講談社)3

 何かの書評かコラムで「面白い」と絶賛されていたので、借りてきた。愛知県図書館にはなかったのだが、地元の図書館にはあったんだよね。

Ank: a mirroring apeAnk: a mirroring ape
著者:佐藤 究
講談社(2017-08-23)
販売元:Amazon.co.jp

 【2026年、多数の死者を出した京都暴動(キョート・ライオット)。
ウィルス、病原菌、化学物質が原因ではない。そしてテロ攻撃の可能性もない。
人類が初めてまみえる災厄は、なぜ起こったのか。
発端はたった一頭の類人猿(エイプ)、東アフリカからきた「アンク(鏡)」という名のチンパンジーだった。

AI研究から転身した世界的天才ダニエル・キュイが創設した霊長類研究施設「京都ムーンウォッチャーズ・プロジェクト」、通称KMWP。
センター長を務める鈴木望にとって、霊長類研究とは、なぜ唯一人間だけが言語や意識を獲得できたのか、ひいては、どうやって我々が生まれたのかを知るためのものだった。
災厄を引き起こした「アンク」にその鍵をみた望は、最悪の状況下、たった一人渦中に身を投じる――。

江戸川乱歩賞『QJKJQ』で衝撃の”デビュー”を果たした著者による、戦慄の受賞第一作!
我々はどこから来て、どこへ行くのか――。人類史の驚異の旅(オデッセイ)へと誘う、世界レベルの超絶エンターテインメント!!】(講談社BOOK倶楽部の内容紹介より)続きを読む

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2018年03月25日

『定年ダンディの作り方 渋い男になるための普段着の着こなし術』馬場啓一著(鹿砦社)3

 以前は、着る物については、無難なことを重視していた。デザインは奇抜なものは避けて、色は赤とかピンクとか、少し派手なものを選んでいたように思う。

 そう言えば、ぼくの通っていた高校は校則が厳しく、革靴は黒のみ、茶系統はダメだった。ただし、スニーカーに対する色の指定はなかったので、ぼくは月星の赤いスニーカーを履いていた。修学旅行にも赤い靴を履いていったのだが、旅行先ですれ違った他校の男子生徒の「赤い靴を履いている男がいるぞ」と感心されたのか、馬鹿にされたのか分からないつぶやきを何回か聞いた。

 今なら別に珍しくもないが、四十年以上前の赤いスニーカーは、目立ったかもしれないね。

 最近は、人が着ていないようなデザインの服を着たいという志向が強くなり、放っておくととんでもない柄の服を買ってしまうので、妻には警戒されている。別に893さんの着るようなデザインの服を選びはしないが、並んで歩きたくないと言われては困るので、一応、買う前に妻には見てもらっている。

 別に「渋い」男になりたいとは思っていないが、地元の図書館で見つけたので、たまにはファッションの勉強でもしようかと思い借りてきた。
 
定年ダンディーの作り方 (鹿砦社ライブラリー)定年ダンディーの作り方 (鹿砦社ライブラリー)
著者:馬場 啓一
鹿砦社(2018-01-26)
販売元:Amazon.co.jp

 【ほんの些細なことで、あなたの定年後が楽しくなる。究極の着こなし術はただサイズの問題だった。「オシャレでも」「お金に余裕のある人でも」ないただの平凡な中年男に向けた渋い男に変身する法。】(紀伊國屋書店ウェブストアの内容紹介より)続きを読む

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2018年03月11日

『たった90分で誰でも小説が書ける! 超ショートショート講座』5

 あの衝撃の3.11から8年。

 あの日、名古屋でも揺れを感じたがそれほど大きなものでもなく、その1時間分ほど後に、報告すべきことがあったので社長室を訪ねると、テレビでニュースを見ていた社長が「東北が大変なことになっている」。

 画面には街に津波が押し寄せる様子が映し出されていた。

 その後、東北のために、ぼくがしたことと言えば、ささやかな募金を行ったことくらいで、今朝のテレビで放映されていたサンドイッチマンのお二人や、糸井重里さんのような支援活動は全くしておらず、内心忸怩たるものがある。

 NHKの夜のニュースで、東京で行われた政府主催の追悼式の様子が映し出された。

 アベ氏の追悼の言葉の白々しさに、「どのツラ下げて、そういうことを言う!」とほっぺたを抓りあげてやりたくなった。

 オリンピックだ、リニアだ、森友学園だ、加計学園だ、スーパーコンピュータだ、アフリカをはじめとする世界各国への支援のばらまきだとか、東北の復興とは無関係なことばかりに血道をあげている人物の追悼の言葉など、ぼくが被災者だったら、聞きたくない。

 それはさておき、今日、清須市図書館で開催された標記の講座に参加してきた。

超ショートショート講座















 講師は、田丸雅智さんとおっしゃる作家の方である。

 ごめんなさい、ぼくは田丸さんの著書を読んだことはないんだけどね。

 定員30名だったはずが、会場には41人の受講者が。何となく女性の方が多い。田丸さんがいわゆる「イケメン」だからかなって言ったら失礼かな。

 タイトル通り、90分という短い時間の中で、小説なんて書くことが出来るのだろうかと半信半疑だったのだけれども、

 ”垰弋弔文斥佞鬚弔る

◆”垰弋弔文斥佞ら想像を広げる

 想像したことを短い物語にまとめる

という三つのステップを踏むと、あーら、不思議。本当に物語っぽいものが出来上がった。

 田丸さんの語り口は、懇切丁寧で、非常に分かりやすい。

 文章を書くことに対して苦手意識を持っている人に余計なストレスを与えないように、細心の注意を払いながら、受講者を導いてくれる。

 残念ながら、ぼくの書いた文章は理が勝り過ぎていて、同じテーブルの他の方の書いた文章の方が、発想が斬新なせいか、ずっとショートショートらしくて面白かった。

 田丸さんはこれからも各地で、こうした講座を開くと思うので、あまり詳しい内容は紹介しないでおこう。

 もし、田丸さんの講座が近くで開催されるようなら、興味のある方は是非参加してみてください。きっと楽しい90分間を過ごすことができますよ。

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2018年03月05日

『瑠璃玉の耳輪』尾崎翠/原案 津原泰水著(河出書房新社)2

 愛知県図書館で書架を眺めていたら、「た」行ではないのに、津原さんの本が置かれていた。不思議に思って手に取ると、「尾崎翠/原案」とある。

 尾崎翠なる作者の名前は知らなかったが、例えば漫画原作者とか脚本家とかそういった方の書かれたものを津原さんが小説家したのかと思い、借りてきた。

 本を読み出すと、なんだか大正から昭和初期の雰囲気が色濃く漂っている。

 不思議に思って「尾崎翠」をネットで調べると、何と明治29年生まれの女流作家であった。

 【時は昭和三年―名探偵・唐草七郎の一番弟子にして閨秀の女探偵・岡田明子のもとへ舞いこんだ、摩訶不思議な依頼。「三姉妹を探して下さい。手掛かりは、三人とも左の耳に、一粒の琉璃玉が嵌った白金の耳輪をしています」阿片窟の女傑・女掏摸・生人形の少女・男装の麗人・旅芸人一座・変態性慾の男・老刑事・放蕩の貴公子…奇想天外、魑魅魍魎、百花繚乱、女探偵・岡田明子の事件簿。】(amazon HP 「BOOK」データベースの内容紹介より)

 うーん、登場人物が多すぎることもあり、読んでいても何が何だか分からなかった。退廃的な雰囲気は、昔見た映画『上海バンスキング』を思い起こさせた。

 尾崎翠さんは昭和2年に映画の便概としてこの作品を書いたということである。どこからどこまで津原さんの手が加えられているのかは定かではないが、当時、この作品が映画化されていたら、かなりセンセーションを巻き起こしただろうと思う。

 あとがきには、この作品が出来上がった経緯が描かれている。なぜ、津原さんがこの作品を書いたのか、読みながら首をかしげていたのだが、なるほど、そういう来歴があったんだね。

 ちょっと変わったミステリーを読んでみたいという人にはいいかもしれないが、謎解きの楽しみや、作品としての完成度を望む人には向かないと思う。

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2018年03月04日

『コルトM1851残月』月村了衛著(講談社)3

今日は瀬戸にある妻の実家へ午前中出かけ、午後から瀬戸市内を散策し、帰宅した。

 帰宅後、下の娘の誕生日ケーキを受け取りに、稲沢の『モン・モ・ディス』さんに出かけ、帰りには清須市図書館に寄ってきた。

 日曜日しか休日がないのに、ハードなスケジュールで疲れた。

 さて、『コルトM1851残月』は、『機龍警察』の月村さんの作品で、大藪春彦賞を受賞している。大藪春彦さんの作品は、若かりし頃に愛読していたこともあって、月村さんのこの作品も読んでみようという気になった。

 ぼくは勝手に、江戸時代の日本人がなぜかアメリカに渡り、拳銃を手に大活躍するというストーリーを思い描いていたのだが、全然違った。

コルトM1851残月コルトM1851残月
著者:月村 了衛
講談社(2013-11-21)
販売元:Amazon.co.jp

 【侍でもなきゃ、やくざでもない。
江戸のアウトロー“残月の郎次”は、その特異な得物で己の立つ瀬を切り拓く。

江戸の裏社会で存在感を増す男、残月の異名を持つ郎次は、抜け荷の稼業を一手に仕切っており、一家の跡目を襲う立場と見なされていた。だが、一人の因業女を始末したことから、潮目が変わり、次第に抜き差しならない立場に追い込まれていく。
このどんづまり。やりきれねぇ。

壮絶なアクションと重厚なドラマの融合が好評の「機龍警察」シリーズで文学賞を立て続けに手にしている著者が、月村印エンターテインメントのもうひとつの柱として力を入れている、時代小説。
時代小説なのに「コルト」という拳銃をメインアイテムとし、著者ならではのユニークかつ読みごたえたっぷりの娯楽小説を完成させた。】(講談社BOOK倶楽部の内容紹介より)続きを読む

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2018年02月25日

『鉄塔家族』佐伯一麦著(日本経済新聞社)4

 2月17日に開催された読書会のお題は「金」。

 「金」に限定される訳ではなく、「銀」や「銅」や「鉄」のように、金偏の文字が含まれていればOKである。

 当初、ぼくが考えていたのは伊坂幸太郎さんの『ゴールデン・スランバー』だったのだが、愛知県図書館で書架を眺めていたら、この本が目に留まったので、久しぶりに佐伯さんの本を読んでみた。

 佐伯さんはぼくと同い年で、こんないい方は失礼かもしれないが、いまどき珍しい「私小説」の書き手である。

 ぼくは、新潮文庫の『ア・ルース・ボーイ』で佐伯さんの存在を知り、その後、『雛の棲家』、『ショート・サーキット』、『一輪』、『木の一族』と読んだ。

 自分の身の回りでの出来事をベースに描かれる作品は、読んでいて楽しいものばかりではないが、ぼくには心に沁みる。「生きる」というより「生活する」ことの大変さが伝わってくる一方で、ささやかな喜びも作品のところどころから感じ取れるような気がするのだ。

 実は自分の過去のブログで佐伯さんの名前を検索してみたら、レビューを書いた記憶のある『ア・ルース・ボーイ』の他に1件、記事がヒットした。その内容を読んでみたら、もう十年以上前にぼくはこの本に挑み、挫折していたことが分かった。また、上記の作品の他に、『遠き山に日は落ちて』という作品も読んでいることもそこに書かれていた。

 十年ぶりのリベンジという訳だね。

鉄塔家族鉄塔家族
著者:佐伯 一麦
日本経済新聞社(2004-06)
販売元:Amazon.co.jp

 【東北のある都市のシンボルである鉄塔が解体・新設される。工事の1年間に、麓で暮らす人たちにもそれぞれの喪失と再生のドラマがあった。三島賞作家が静謐な筆致で普通の人の強さをうたいあげた群像長編小説の傑作。第31回 大佛次郎賞受賞。】(日本経済新聞社HPの内容紹介より)
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2018年02月04日

『見た目レシピいかがですか?』椰月美智子著(PHP研究所)4

 正月休みが明けてから連休がない。先々週は猿投で四日間仕事だったが、大雪の影響もあり、二日間は朝六時に家を出るという強行軍で疲労困憊してしまった。このため、先週の日曜日は愛知県図書館に出掛けただけであとは家でぐったりとしていた。

  今日は、妻と上の娘と一緒に「おおはるカフェ」さんにランチに出掛け、その後妻と二人イオンの茶屋店に出掛けるまでには元気を回復した。「ロフトスキー」で気になっていた服を買い、ちょっとリフレッシュすることができた。

  さて、『しずかな日々』でその存在を知ってから、椰月美智子さんの著作は、新刊が出るたびに読んでいる(はずだ)。椰月さんは、窪美澄さんと並んで、ぼくの気になる女性作家の一人である。以前は、島本理生さんもそうであったが、もういいかな。 この作品は、「イメージコンサルティング」という聞きなれない職業をテーマにしている。

見た目レシピいかがですか?見た目レシピいかがですか?
著者:椰月 美智子
PHP研究所(2017-09-26)
販売元:Amazon.co.jp
 【「イメージコンサルタント」に関わる4人の女たち、それぞれの事情とは? ●純代の場合――娘から「参観日にお母さんが一番ダサかった」と言われ…… ●あかねの場合――不倫相手の「私服がかっこ悪い」のが許せない…… ●美波の場合――自分がこんなかわいらしい服を着てもいいのだろうか…… ●繭子の事情――的確なアドバイスを下す彼女の抱える問題とは……  あなたの第一印象、そのままでいいですか? 本当に似合う色、服、髪型などを提案し、「見た目」を変えるイメージコンサルタント・御手洗繭子。ほんのちょっとの気づきと心構えで、人生は変わっていくもの。彼女のアドバイスを受けた人々の外見と内面の変化とは? そして繭子自身が抱える秘密と事情が……。「きれいになりたい」「自分らしくありたい」と思う女性たちの心理を、鋭くかつ細やかに描く、連作小説集。】(PHP研究所HPの内容紹介より)続きを読む

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