2017年10月15日
『君の膵臓をたべたい』住野よる著(双葉文庫)
職場の後輩のT君にはあまり本を読まない人らしいが、ある周期で無性に本を読みたくなることがあるのだそうだ。
今年もその時期が来て、何冊か本を買い求めて読んだそうなのだが、恋愛小説は性に合わないらしく、もし、ぼくがこの本を読んでいないようなら差し上げますと言ってくれたので、ありがたく頂戴して読んだ。タイトルがユニークだし、映画化もされているので、気にはなっていたからだ。
君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
著者:住野 よる
双葉社(2017-04-27)
販売元:Amazon.co.jp
【ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を披露。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて−−。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!】(双葉文庫裏表紙の内容紹介より)
今年もその時期が来て、何冊か本を買い求めて読んだそうなのだが、恋愛小説は性に合わないらしく、もし、ぼくがこの本を読んでいないようなら差し上げますと言ってくれたので、ありがたく頂戴して読んだ。タイトルがユニークだし、映画化もされているので、気にはなっていたからだ。
君の膵臓をたべたい (双葉文庫)
著者:住野 よる
双葉社(2017-04-27)
販売元:Amazon.co.jp
【ある日、高校生の僕は病院で一冊の文庫本を披露。タイトルは「共病文庫」。それはクラスメイトである山内桜良が綴った、秘密の日記帳だった。そこには、彼女の余命が膵臓の病気により、もういくばくもないと書かれていて−−。読後、きっとこのタイトルに涙する。「名前のない僕」と「日常のない彼女」が織りなす、大ベストセラー青春小説!】(双葉文庫裏表紙の内容紹介より)
本を読みながら、不思議に思ったことは、余命が1年と宣告されながら、ごく普通に学校生活を送ることができて、焼肉を食べたり、スイーツビュッフェを楽しんだりすることができるような膵臓の病気は存在するのかということである。
知人に膵臓がんで亡くなった方がいるが、常人の送るような日常とは無縁の闘病生活であったと聞いていた。
さっき、インターネットで膵臓の病気について調べてみたら、主な膵臓の病気として、急性膵炎、慢性膵炎、膵臓がんが紹介されていたが、そのどれも、この作品のヒロイン・桜良には当てはまらないように思える。
もしかしたら、彼女の病は、何百万人に一人しか掛からないような病気で、だからインターネットでざっと調べただけでは見つけられないのかもしれないが、それなら、その病名を明確にして欲しいと思う。
さもないと、物語のリアリティが担保できないからだ。
もっとも、病気についてのリアリティが保証されたとしても、語り手であり物語の主人公の「僕」の極端に他人と距離をおく生活態度や、余命を宣告されたにも関わらず、やたら明るい桜良の振る舞いなども、現実離れしている。
異性に関心を持つ男子高校生であれば、夢に見るようなシチュエーションにあっても、「僕」は淡々としている。「僕」が女性に興味がないということであれば、理解できるが、特にそうした記述はなさそうなので、余計に理解に苦しむ。
そう、この小説に描かれているのが現実の出来事だと思ってはいけないのだ。最初からSFあるいはファンタジーなのだと思って読めば、そうした点も気にはならなくなる。
映画化され、ドラマ化もされた『世界の中心で、愛をさけぶ』よりも、この作品の方が、小説としてはずっとぼくは好きだ。
猟奇的なタイトルの意味にも、納得がいった。
「僕」と桜良のコミカルなやり取りなどは十分に楽しめるので、細部を気にしないで読むのであれば、それなりに感動的な恋愛小説であるといえよう。
映画は、この二人の間柄をどんな風に描いたのか、ちょっと興味が湧いてきたが、DVDを借りてきて見るかどうかは、微妙なところだね。