サメと泳ぐ

サメと泳ぐ サメと泳ぐ

原作: ジョージ・ホアン
上演台本: マイケル・レスリー
演出: 千葉哲也
翻訳: 徐賀世子
出演: 田中哲司、田中圭、野波麻帆、石田佳央、伊藤公一、小山あずさ、千葉哲也
観劇日: 2018年9月4日(火) 13:30
上演時間: 第1部(95分) / 休憩(15分) / 第2部(70分)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: 8,800円(I列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

主要キャストはたったの3人(田中哲司さん、田中圭さん、野波麻帆さん)なのに、休憩入れて3時間が、あっという間の濃密な人間ドラマでした。

オープニング。ビバルディの四季(夏)が流れる中、フードを被った男が椅子に座っている男にピストルを向けています。
一瞬の暗転の後、オフィスのシーンに切り替わります。
そして、この破滅的結末に向かって、物語が始まります。

大手映画会社の大物プロデューサー・バディ(田中哲司さん)のもとに、映画好きの青年・ガイ(田中圭さん)が、アシスタントとしてやってきます。
ガイは脚本家を志していましたが、仕事はバディからのパワハラ的な命令に従うことばかり。
フリーのプロデューサー・ドーン(野波麻帆さん)と恋人になったガイに、ある日、バディは「ドーンの企画を俺たちでやろう」と持ちかけますが……。

映画界を舞台にしたゴタゴタ、プロデューサーのパワハラ・セクハラ・無理難題。
あれっ?これって先日観た『シティ・オブ・エンジェルズ』と同じじゃん!(プロデューサーの名前「バディ」まで一緒!)
描き方は正反対だけど……。

田中哲司さん、パワハラ上司を演らせたら一番ってくらいピッタリです。(褒めてます)

田中圭さん、純粋な夢を抱いていた青年が、野望を抱くように変わっていく様や葛藤を、実にうまく表現されていました。(田中圭さん人気でしょうか、3階の立ち見席まで満席でした)

野波麻帆さん、一人だけブレない信念を持ちながら、でもここに来るまで色んなことがあったんだろうな、と思わせるミステリアスな感じが艶っぽくカッコよかったです。

それにしても、彼らは、何故あんなにも野望を持ちたがるのでしょう。
出世?名声?金?いろんな欲があるとは思いますが、やはり一番は、「でかいことを成し遂げた」とか「あまたいるライバルに勝った」みたいな競争心を満足させたいということなんだと思います。
単純に「いい映画を作りたい」と思っていた青年が(おそらくバディでさえ最初はそう思っていたはず)、ビジネスの世界で生きていくうちに、いつしか”競争に勝つ”という快楽に溺れていくんじゃないかと感じました。

そして、これは大小の差はあれ、我々の世界(普通の会社)にも当てはまるんじゃないかと……。
パワハラとかセクハラとかのシーンが目立ちましたが、私には「何のために仕事をしているのか」と問われているように思いました
そう思うと、テーブルの上でちょこまか動いていたゼンマイ仕掛けのオモチャが、とても象徴的で、どこか哀れにも滑稽にも感じられました。