カリギュラ

カリギュラ

作: アルベール・カミュ
翻訳: 岩切正一郎
演出: 栗山民也
出演: 菅田将暉、高杉真宙、谷田歩、橋本淳、秋山菜津子、原康義、石田圭祐、世古陽丸、櫻井章喜、俵和也、野坂弘、坂川慶成、石井淳、石井英明、稲葉俊一、川澄透子、小谷真一、小比類巻諒介、西原やすあき、髙草量平、原一登、平野亙、峰﨑亮介、吉澤恒多
観劇日: 2019年11月17日(日) 13:00
上演時間: 第1部(70分) / 休憩(20分) / 第2部(70分)
劇場: 新国立劇場 中劇場
チケット代: 10,800円(6列) [パンフレット代:1,800円]


【感想】

登場人物は大勢いましたが、まるで一人舞台のような圧倒的な存在感の菅田将暉さんでした。

人徳にも富んだ非の打ちどころのないローマ皇帝・カリギュラ(菅田将暉さん)。
しかし、最愛の妹を亡くし、放浪の末、3日後に宮殿に戻ってくると、残虐非道な行為の数々を繰り広げるようになります。
初めは恐れていた貴族たちも反旗を翻そうと策謀しますが……。

カリギュラといえば、無茶苦茶な暴君というイメージしかなかったですが、その背後には悲しみ、苛立ち、怒り、そして絶望を秘めているのだと知りました。
まあ実際やってることは許されないですが、単に私腹を肥やすような私利私欲で動いているようには見えず(少なくともこの舞台では)、それが逆にカリギュラの純粋さを表しているようで、悲しくもあり、恐ろしくもありました。

人を動かすのに必要なのは「正面の理、側面の情、背面の恐怖」という中坊公平氏の言葉がありましたが、カリギュラの場合は「正面の恐怖、側面の情、背面の理」といったところでしょうか。
決して恐怖だけで支配しているのではなく、時には情も見せ、相手の痛いところを突く理屈で説き伏せることもやっています。

絶望感を抱きながら暴虐の限りを尽くし、そして言葉でも相手をやり込める……そんなカリギュラを菅田将暉さんが、まさに魂の激演!
TVや映画でいろんな役をされてますが、やはり『あゝ、荒野』とか『ディストラクション・ベイビーズ』のようなエネルギーが暴走するような役はピカイチだと思います。
この舞台では、更に複雑な感情を加えるという難しさもありましたが、見事と言うほかありません。
特に冒頭の打ちひしがれて帰ってくるシーン。
あの悲観があればこそ、その後のカリギュラの振る舞いにも説得力が出てきます。

そして、そんな暴走を受け止める秋山菜津子さん(セゾニア役)や谷田歩さん(エリコン役)のベテランも流石

終始ピンと張り詰めた緊張感で、激しい動きこそありませんが、さぞ体力や精神力を消耗する舞台じゃないかと。
カーテンコールはスタオベでしたが、何度も出てきてもらうのが、何だか申し訳ないくらいでした。