作: 中島かずき
演出: いのうえひでのり
出演: 古田新太、早乙女太一、早乙女友貴、久保史緒里、高田聖子、粟根まこと、山本千尋、池田成志、右近健一、河野まさと、逆木圭一郎、村木よし子、インディ高橋、山本カナコ、礒野慎吾、吉田メタル、中谷さとみ、保坂エマ、村木仁、川原正嗣、武田浩二、藤家剛、川島弘之、菊地雄人、あきつ来野良、藤田修平、紀國谷亮輔、寺田遥平、伊藤天馬、米花剛史、武市悠資、山崎朱菜、本田桜子、古見時夢
観劇日: 2023年10月11日(水) 12:00
上演時間: 第1部(1時間25分) / 休憩(20分) / 第2部(1時間10分)
劇場: THEATER MILANO-Za
チケット代: S席 14,000円(2階D列) [パンフレット代:2,500円]
【感想】
劇団☆新感線の舞台は、『薔薇とサムライ2』以来なので、約1年ぶり。
えっ?『薔薇とサムライ2』観てから、もう1年経ったの?ってビックリです。
結構前から劇場に行くのを楽しみにしてましたが、体調不良者が出て、昨日まで公演は中止に。
今日から再開したので、ギリギリセーフのラッキーでした(中止の回に当たってた方には申し訳ないですが)。
ただ、席はS席なのに、2階席の最後列で、こちらはアンラッキー。
でも、2階席にしては、ステージも意外と近くに感じたし、見切れるところもなかったし、まあ観やすかったです。
通路を役者さんたちが通る1階席と同じ値段(14000円)というのは、やはり引っ掛かりがありますが。
それでも、久しぶりに観る新感線は、王道の痛快娯楽時代劇って感じで。
半兵衛(古田新太さん)は、表向きは口入れ屋の主人ですが、裏では悪党を始末する"引導屋"の元締めをしています。
しかし実は、本当の元締めは女房のお伊勢(村木よし子さん)で、半兵衛は顔が怖いだけの気弱で温厚な性格。
一方、引導屋を潰し、裏稼業の独占を目論む黒刃組は、宵闇銀次(早乙女太一さん)に半兵衛の暗殺を依頼します。
ある晩、銀次が半兵衛に斬りかかったところ、雷が直撃し、二人の身体が入れ替わってしまい……。
ストーリー的には、まあよくある"入れ替わり"モノ。
性格も容姿も正反対(古田さん、ごめんなさい)というところもセオリー通り。
それでも面白いのは、やはり古田さんと早乙女太一さんのキャラが際立っているからでしょうね。
何といっても観どころは、早乙女太一さんの太刀捌き。
半兵衛に入れ替わった後は、へっぴり腰になってしまいますが、その下手さも上手い。
ちゃんと下手なんだけど、身体が覚えて反応している部分もあるので、ズブの素人ってわけでもない。
ヨタヨタしながらも、紙一重で相手の刀を避けるなんてのは、お見事ですね。
歩き方も、半兵衛(というか古田さん)の特徴をよく捉えていて、細かいところにも抜かりがありません。
喋りは、ところどころ武田鉄矢さんや江頭2:50さんが出てきたようにも見えましたが 笑。
心は半兵衛ですが、外見は銀次(太一さん)をずっと観てるので、最後の方は、半兵衛を応援してるのか、銀次を応援しているのかわからなくなってしまいました。
今回は、友貴さんも出演されていたので、念願の兄弟対決も。
二人が刀を交えると、相乗効果で、より一層凄みが増します。ここまでくると、一種の名人芸ですね。
殺陣といえば、もう一人、山本千尋さんも凄かった。
何かのバラエティ番組で、武術太極拳を披露しているのを観て、カッコいいなと思ってましたが、生で観ると迫力が違います。
武術太極拳も、もともとは本当に戦うための武道だと思いますが、"演舞"という意味では、魅せることも重要になってくるので、いわゆる"アクション"なんかには、うってつけなんでしょうね。
早乙女兄弟と互角に渡り合えるのって、男女問わず、今までいなかったんじゃないでしょうか。
まあ、刀で"斬る"というよりは、剣で"突く"という感じではありましたが、今後は日本刀の殺陣も覚えていって、最強の女剣士になることを期待しています。
他にも、池田成志さんや粟根まことさんらの"笑わせ隊"も健在で、緊張と緩和のバランスも抜群の舞台でした。
それから、今回、2階から俯瞰して観てたこともあって、改めてスタッフさんたちの凄さにも気付かされました。
あの速い太刀捌きに「シャキーン」っていう効果音を合わせたり、斬られる人には血を連想させる赤い照明を一瞬だけ当てたり、斬り合っている時はBGMの音量が大きいのに、合間でセリフをいうところになると小さくするといった調整を瞬時に・的確に・自然にやってます。
だから、キレのいい、迫力ある舞台になるんでしょうね。