演奏: 庄司紗矢香[ヴァイオリン]、モディリアーニ弦楽四重奏団(アムリ・コエトー[ヴァイオリン]、ロイック・リョー[ヴァイオリン]、ローラン・マルフェング[ヴィオラ]、フランソワ・キエフェル[チェロ])、ベンジャミン・グローヴナー[ピアノ]
[劇]作・演出: 平田オリザ
[劇]出演: 渡辺香奈、井上三奈子、大竹直
鑑賞日: 2023年9月20日(水) 19:00
上演時間: 第1部(55分)/休憩(15分)/第2部(70分)
劇場: 神奈川県立音楽堂
チケット代: 6,000円(7列) [パンフレットなし]
曲目:
第1部
武満徹:妖精の距離
ドビュッシー:ヴァイオリン・ソナタ
ヴェルディ:弦楽四重奏曲 ホ短調
第2部
ショーソン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲 ニ長調 作品21
ショーソン:ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲 ニ長調 作品21
【感想】
庄司紗矢香さんの演奏を聴くのは約5年ぶり。
なんでも、平田オリザさんとのコラボレーションだとか。
どんな感じになるのか、全く予想がつきません。
以前、『肉声』という舞台で、寺島しのぶさんとコラボしてましたが、その時は、BGM的な感じで演奏されていて。
それはそれで良かったですが、もう少しガッツリと聴きたい。
今回は、その希望が叶いました。しかも、6000円というコスパで。
ステージ中央には演奏者。そして下手にはベンチと街灯があります。
薄暗い中、庄司さんとピアノのベンジャミン・グローヴナーさんが配置につきます。
こんな登場の仕方、庄司さんも初めてじゃないでしょうか?
俳優の大竹直さんがベンチに腰掛け、『妖精の距離』の詩を朗読。
それから演奏が始まりました。
幸運にも私の席は4列目だったので、小さな音までダイレクトに聴こえてきて、久しぶりの庄司さんのヴァイオリンに癒されました。
やっぱナマの庄司さんは凄い。
モディリアーニ弦楽四重奏団の皆さんも良かったですねぇ。
濁りのないハーモニーが、とても心地よかったです。
第一部は、その後、俳優さんが登場することなく、普通に演奏が続き、「あれっ?オリザさんとのコラボは?」と思ってましたが、それは第二部だったんですね。
第二部は、ショーソンの『ヴァイオリン、ピアノと弦楽四重奏のための協奏曲 ニ長調 作品21』。
この楽章間で、毎回10分程度のお芝居が挟まれます。
劇のタイトルは『ふるさと』。平田オリザさんらしい会話劇です。
喪服で登場する井上三奈子さんと渡辺香奈さん。遅れて大竹直さんもやってきます。
三人はどうやら高校の時の同級生らしい。
同じく同級生だった井上三奈子さんの旦那の法事に集まったようです。
他愛もない話をする三人。
例えば、息子が最近、数を数え始めて止まらなくなったとか。
「99の次は何?」「999の次は何?」と尋ねる息子に、「次は1000」と答えると「1000の次は?ずっと続くの?」と、怯えたように聞いてくる、そんな話など。
永遠に続く時間と限りある命、なんてことが透けて見えます。
ショーソンが、どんな心情で作曲したのかはわかりませんが、不思議とこのお話にマッチしていたように思います(まあ、オリザさんは、この曲からインスパイアされたものを書いたので、当然と言えば当然ですが)。
一夜限りの公演で、とても面白い試みでしたが、真のクラシックファンからみたら、どう感じたんでしょうか?
私は好きでした。