やっぱし舞台が好き!

芝居、ミュージカル、バレエ、ダンス、クラシック、コンサートなどの舞台観賞が大好きです。 観劇の個人的な感想をつらつらと書いてます。 たまに、ちょっとした体験談や気になったことも・・・。

若村麻由美

【観劇】首切り王子と愚かな女

首切り王子と愚かな女

作・演出: 蓬莱竜太
出演: 井上芳雄、伊藤沙莉、若村麻由美、高橋努、入山法子、太田緑ロランス、石田佳央、和田琢磨、小磯聡一朗、柴田美波、林大貴、BOW、益田恭平、吉田萌美
観劇日: 2021年6月28日(月) 13:00
上演時間: 第1部(1時間15分) / 休憩(20分) / 第2部(1時間10分)
劇場: PARCO劇場
チケット代: 12,000円(F列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

蓬莱竜太さんの作品は大好きで、数年前からよく観ています。
私が観たものは、現代の日本を舞台にし、日常の何気ないひとコマに、ちょっとした"毒"やユーモアを混ぜ込んで、最後にはジーンときたり、ほんわかしたり、考えさせられたり……みたいな芝居が多かったんですが、今回はかなりテイストが違っていて。

第一王子・ナルが病に倒れ、政治的混乱に陥っている国・ルーブでの話。
呪われた子として生まれ、ずっと城から遠ざけられて育った第二王子・トル(井上芳雄さん)は、反乱分子を鎮圧するために城に呼び戻されます。
様々な理由をつけて、反抗する人民の首を次々に切り落としていった彼は、いつしか「首切り王子」と恐れられるようになりますが、ある日、自殺しようとしたヴィリ(伊藤沙莉さん)に会い、彼女の死を恐れない様に興味を持ち、自分の召使いとして城へ連れて帰ります。
そして、ヴィリはトルに仕えるようになりますが……。

舞台セットは、まるで稽古場のような感じ。
中央にコンパネで作られたような高さの違う台があり、シーンに合わせて、演者の手によって組み替えられます。
それを取り囲むように、演者たちの待機机が配置されていて(アクリルパーティション付き)、出番のない演者は、そこに座って休憩?してます。
劇場に掲示されていた座席表や上演時間のところには、「開演5分前からキャストがスタンバイを始めます」と書かれていて、実際、5分前になると、皆さん三々五々登場して、それぞれの机について準備を始めました。
首切り王子と愚かな女

物語の方は、チラシやホームページには「現代の寓話」と書かれていましたが、教訓的なメッセージより、"切ないファンタジー"色の方が濃かったかな。

生まれてからずっと、城から遠く離れた孤島?で、執事と二人きりで暮らしてきたトル(その執事にも、最後には酷いことを言われ、殺してしまいます)。
そんなトルが、母親である女王・デン(若村麻由美さん)を守ろうと(愛されようと)して、反乱分子を処刑していく。
まあ処刑される方はたまったもんじゃないけど、トルの気持ちを考えると、かなり切ないですよね。
しかも、当然、家来たちからは距離を置かれるので、周りに人がいても、孤独であることは変わりない。

そんな心情をいち早く察して、フランクに接してくれるのがヴィリ。
召使いなのに、まるで友達のようで……この二人のやり取りが、ほっこりするんだけど、同時に、それまで味わってきた寂しさが際立ってきて、やるせないんですよね。

母親の愛情が欲しい、一緒に遊ぶ友達が欲しい、そんな寂しさを抱えた子供が、そのまま大きくなった感じを井上芳雄さんが好演しています。
デンと広間で影踏みをするシーンも、たまらなかったですね。
伊藤沙莉さんは、少年のように屈託ないヴィリを、そのまんま演じていて、トルとは息もピッタリでした(カーテンコールでは、息が合ってませんでしたが(笑))。

他の登場人物も、皆、それぞれ想っている人がいて、その人に愛されたくて……でも、その願いは叶えられず。

最後、トルの魂を取って(トル)、ナルになる(ナル)という魔法のせいで、カタストロフィを迎えます。
寓話ということなので、「トル」や「ナル」以外にも隠されたメッセージがあるのかと思い、帰宅後、他の名前も調べてみましたが(ルーブは英語で潤滑油、ドイツ語でライオンとか、デンは英語で巣穴とか、ヴィリは男性の名前とか……蓬莱さんの意図と合ってるかどうかわかりませんが)、あまり深読みはせず、純粋なファンタジーとして観るほうがいいかもしれません。

【観劇】少女仮面

少女仮面

少女仮面

作: 唐十郎
演出: 杉原邦生
出演: 若村麻由美、木﨑ゆりあ、大西多摩恵、大堀こういち、田中佑弥、武谷公雄、井澤勇貴、水瀬慧人、森田真和
観劇日: 2020年1月31日(金) 19:00
上演時間: 1時間40分(休憩なし)
劇場: シアタートラム
チケット代: 8,000円(B列) [パンフレット代:1,000円]


【感想】

最初、タイトルだけを見た時、アイドルが演る2.5次元的なものなのかと……。
でも、作:唐十郎、出演:若村麻由美とあったので、勘違いに気づき、俄然興味が湧きました。
後で知ったんですが、1969年に早稲田小劇場で初演され、岸田戯曲賞も受賞した有名なアングラ劇だとか・・・勉強不足ですみません。

宝塚を夢見る少女・貝(木﨑ゆりあさん)。
憧れのスター・春日野八千代(若村麻由美さん)が経営している喫茶「肉体」に、お婆さん(大西多摩恵さん)と一緒に訪れます。
そこには指に包帯を巻いたボーイ(大堀こういちさん)や腹話術師(武谷公雄さん)、何故か水道の水を飲みにだけくる男(田中佑弥さん)など、様々な人たちがやってきて……。

予想どおり、アングラ特有の難解な話でした(笑)。
でも、これもまたアングラ特有の見世物小屋的な迫力というか熱量のようなものに押されて、分からないなりに楽しむことはできました。

どうやらキーワードは「肉体」ということらしく……。
そう言えば、登場する人物は、体のどこかが怪我していたり、病気のようだったりしていたような。
そうじゃない人は、自分が何者なのかを見失い、魂だけの「肉体の乞食」なんて言ったりしています。

この劇が公演された当時、おそらく観客たちは、それらが何のことかピンとくるものがあったんでしょう。
想像するに、例えば傷痍軍人とか戦争で亡くなった亡霊みたいな……。

セリフには「乞食」「めくら」のような差別用語も頻繁に出てきて、ちょっとドキッとしてしまいますが、公演された当時のことを考えると、これらのセリフには、今ほどの毒は無かったんでしょうね。
昔でも差別的に使うことはありましたが、私が幼い頃は「あの人は事故にあって、めくらになっちゃったんだって。気の毒にねえ」なんて普通に言ってましたから。
だから、この劇を理解しようとすると、当時の時代背景みたいなものも考えないといけないのかもしれません。

でも、一方で、感じ方は人それぞれ、時代それぞれで自由
「放射能」と言ったら、現代では「原発」を想像する人が多いでしょうが、昔なら圧倒的に「原爆」だったでしょう。
今ならば、「肉体がない」ってことは、ヴァーチャルなことに没頭してしまった弊害と見ることもできるかもしれません。

この日は、アフタートーク(木﨑ゆりあさん、大西多摩恵さん、武谷公雄さん、田中佑弥さん、森田真和さん、大堀こういちさん)もありましたが、演者さんたちもまだ分からないところがたくさんあるとのこと。
観客の私が(しかも一度しか観ない)、簡単に理解できる世界ではないと、ある意味、ホッとしました。

【観劇】Le Pere 父

Le Pere 父

作:
 フロリアン・ゼレール
演出: ラディスラス・ショラー
出演: 橋爪功、若村麻由美、壮一帆、太田緑ロランス、吉見一豊、今井朋彦
観劇日: 2019年2月12日(火) 19:00
上演時間: 1時間50分(休憩なし)
劇場: 東京撃術劇場 シアターイースト
チケット代: 7,000円(H列) [パンフレット代:1,000円]


【感想】

チラシには「哀しい喜劇(コメディ)」とありましたが、私には途中から「怖さ」の方が勝った舞台でした。

物語は、認知症を患っている父・アンドレ(橋爪功さん)のもとに、娘・アンヌ(若村麻由美さん)が訪れるところから始まります。
腕時計をヘルパーに盗まれたと憤るアンドレに、アンヌは「自分は、近々、彼氏とロンドンへ移住しなければいけない」と言い、新しいヘルパーを雇おうとしますが……。

最初の方は、アンドレが引き起こす"勘違い"を笑って観ていましたが、ある時、帰宅したアンヌが壮一帆さんに変わり、ここから我々観客もアンドレと同じ"混乱”を共有し始めていきます。
似たようなシチュエーションが繰り返されたり、時間軸が前後したり、アンヌの発言が矛盾していたり、何が現実で何が空想なのかが分からなくなってきます。
これを自分の身に置き換えると、とても怖ろしく、だんだん笑えなくなってしまいました。

混乱や戸惑いから生じる怒り・焦り・恐怖といったものが、追体験のように伝わってきて、改めて橋爪功さんの凄さを実感しました。
特に、ラストシーンでアンドレが襲われる孤独感……観ているこちらもいたたまれなくなりました。

演出も、パーっと照明が強くなってから暗転するのが、記憶が白く霞んで、ふっと途切れる様を、とても印象的に表現していたように思えます。

ともすれば暗くなりがちなテーマの中で、アンドレ(橋爪功さん)の頑固ながらも飄々としたキャラや、新しいヘルパー・ローラ(太田緑ロランスさん)の屈託のなさが、救いになりました。

【観劇】チルドレン

チルドレン

チルドレン チルドレン

作: ルーシー・カークウッド
演出: 栗山民也
翻訳: 小田島恒志
出演: 高畑淳子、鶴見辰吾、若村麻由美
観劇日: 2018年9月12日(水) 19:00
上演時間: 1時間50分(休憩なし)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: 7,500円(A列) [パンフレット代:1,500円]


【感想】

イギリスの劇作家の作品ですが(場所の設定もイギリス?)、題材にしているのは東日本大震災。
ロンドンやブロードウェイでも上演されたそうですが、やはりこれは日本でも上演すべき舞台でしょう。

震災後、原発から遠くないところに移り住んだ夫婦(ロビン:鶴見辰吾さん、ヘイゼル:高畑淳子さん)のもとに、何十年ぶりで友人のローズ(若村麻由美さん)が訪ねてきます。
3人は、事故が起きた原発で、昔一緒に働いていた元物理学者。
原発の建設にも携わった仲です。
思い出話に花を咲かせる3人ですが、ローズが訪ねてきたのには訳があって……。

舞台セットは、夫婦が住んでいる家のダイニングキッチン。
床が微妙に傾いていて、震災の影響や復興の進み具合なんかも見てとれます。

なぜ突然訪ねてきたのか、なかなか明かさないローズ。
いろんな秘密を胸に抱え、かなり疲れている様子が、すっぴんメイク?の若村麻由美さんから伝わってきます。

そんなローズのことが、ちょっと苦手なヘイゼル。
時折、情緒不安定気味にヒステリックになるあたり、高畑淳子さんの演技が光ります。

そして、冗談だか本気だかわからないジョークでいなすロビン。
ちょっとイラっとくるような雰囲気もありながら、哀愁も感じさせる鶴見辰吾さんでした。

題材は東日本大震災ですが、この舞台の大きなテーマは「責任の取り方」じゃないかと思います。
自分たちが作り出したもの、自分たちが壊してしまったもの、犯してしまった過ち……そういったことの"責任"を、誰が、どうとるのか?
原発だけじゃなく、例えば、地球温暖化問題であったり、国の借金であったり、企業の不正隠しであったり、「自分が生きてる間・現役の間だけしのげればいい」みたいな"先送り"体質を問われているようにも感じました。

そして、責任を取らなかったツケは子供たち(チルドレン)に……
母なる地球の子供(チルドレン)である我々は、どうしなければいけないのか、深く考えさせられる舞台でした。

【観劇】子午線の祀り

子午線の祀り

作: 木下順二
演出: 野村萬斎
音楽: 武満徹
出演: 野村萬斎、成河、河原崎國太郎、今井朋彦、村田雄浩、若村麻由美、佐々木梅治、観世葉子、小嶋尚樹、星智也、月崎晴夫、金子あい、円地晶子、篠本賢一、内田潤一郎、時田光洋、松浦海之介、嵐市太郎、岩崎正寛、浦野真介、駒井健介、西原康彰、神保良介、武田桂、遠山悠介、三原玄也、森永友基、宇田川はるか、香織、田村彩絵、吉川依吹
観劇日: 2017年7月20日(木) 13:00
上演時間: 第1部(1時間45分) / 休憩(20分) / 第2部(1時間50分)
劇場: 世田谷パブリックシアター
チケット代: S席 8,800円(G列) [パンフレット代:1,500円]


【感想 (あくまでも個人的なものです)】

平家物語が題材で、源平の戦いを描いた舞台です。

正直、私は歴史物が苦手なのですが、野村萬斎さんと成河さん目当てで行きました。
タイムテーブルを見ると、20分の休憩を挟んで4時間弱の長丁場
話が分かるかどうか不安だったので、パンフレットを買い、あらすじを読んでみたのですが、登場人物の名前から難しく、もうこれは演者さんに身を委ねるしかないと腹をくくりました(大げさですが)。

席はG列の端の方だったのですが、舞台がせり出しているため、前から3番目の好位置です。
最前列はEX列となっており、背もたれのない箱型ベンチの椅子でしたが、この日はカメラが入っていたせいか、EX列も中央だけしか無かったため、私の席は実質2列目でした。

座席表


芝居の方は、セリフが古文調(?)で語られる場面も多く、最初は面食らいました。
が、これが意外にも聞きやすく、セリフに合わせて演者さんたちが表現してくれるので、何を言っているのか大体理解することができました。

なにより、野村萬斎さんの朗々たる声で語られる古文調のセリフは、本当に耳心地がよく、まるで能や狂言を観ているかのようで、聞き惚れてしまいました。

平家側・源氏側が、それぞれ戦いに赴く様も、アクションシーンは少ないのに、躍動感や緊張感があって、ハラハラしながら観入っていました。

野村萬斎さんや成河さんも良かったですが、阿波民部役の村田雄浩さんが物語の重要な役どころで、存在感バツグンの演技でした。



※昨年から、私の観劇記録は「レビューぴあ」にも投稿しています。よければ、合わせてご覧ください。
https://r.pia.jp/review/pia/list/reviewr/20832/insert_date/1

写真AC
趣味で撮影した写真を
「写真AC」

に掲載しています。
無料でダウンロードできますので、よかったら覗いてみてください。

私の作品は、
ここからどうぞ!


※ 資料用としてアップしたものも多いので、「何じゃこりゃ」って写真も多々ありますが。
記事検索
タグ絞り込み検索
  • ライブドアブログ